国債とは、以下のものを指す。
1.は広い概念で、国庫短期証券のなかの政府短期証券の部分も含むし、繰延債も含む。2.は財務省の作成する資料で多く見られる概念で、国庫短期証券のなかの政府短期証券の部分[1]を含まないし、繰延債も含まない。
本記事では主に1.の定義に従って記述する。また本記事においては主に日本国の国債について説明する。アメリカ合衆国の国債については米国債の記事を参照のこと。
概要
定義
国債とは、政府が発行する債券である。
債券とは、発行者が「券面に記載された期日に券面に記載された通貨を券面に記載された金額だけ支払う」と約束して負債証明書として発行する証券のうち、市場で売買しやすくしてあるものである[2]。
A建てB国債
Aという通貨を支払うと約束したB国政府の国債は、A建てB国債と表記される。日本円を支払うことを約束する日本政府の国債は円建て日本国債というし、アメリカ合衆国ドルを支払うことを約束するアルゼンチン政府の国債はアメリカ合衆国ドル建てアルゼンチン国債という。
国債は公共債の一種で、債券の一種で、有価証券の一種
中央政府が発行する債券を国債という。地方公共団体が発行する債券を地方債という。独立行政法人などの政府関係機関が発行する債券を政府関係機関債という。国債と地方債と政府関係機関債を合わせて公共債(公債)という。
公共債の対義語は民間債で、民間債は企業が発行する社債と、一部の金融機関が発行する金融債に分けられる。
公共債と民間債を合わせた概念を債券と呼ぶ。
債券と手形と小切手と株券と図書券と商品券などをまとめて有価証券と呼ぶ。
以上のことをまとめると次のようになる。
有価証券 | ||||||||||
債券 | 手形 | 小切手 | 株券 | 図書券 | 商品券 | その他 | ||||
公共債(公債) | 民間債 | |||||||||
国債 | 地方債 | 政府関係機関債 | 社債 | 金融債 |
国債は政府の負債で、政府以外の存在にとっての資産
日本国債は日本政府の負債である。つまり、日本政府以外の存在にとって日本国債は資産となる。日銀の貸借対照表を見ても(資料3ページ)、銀行の貸借対照表を見ても(資料5ページ
)、資産の部に国債が書き込まれている。
「ある人の負債が、それ以外の人の資産になる」という考え方は、簿記や貸借対照表(バランスシート)の知識が少しでもあると理解できる。
政府の財源となる
国債は、政府の負債を記した証券で、国会の議決を受けた上で政府が発行し(憲法第85条)、国債市場で売り出され、個人・企業・団体・他国政府などに対して売却される。
円建て日本国債は東京の国債市場で売り出される。アメリカ合衆国ドル建てアルゼンチン国債はニューヨークの国債市場で売り出される。このように、国債に明記されている通貨を発行する中央銀行が立地する国の国債市場に売り出される[3]。
国債を売却して得られた通貨は、政府の収入になる。
日本政府の予算の大部分を占める一般会計の歳入は、「租税及び印紙収入」と、「その他収入」と、「公債金」から成り立っている(平成31年度予算)。
「租税及び印紙収入」は、いわゆる租税収入(税収)である。
「その他収入」は、税外収入と呼ばれるもので、政府の営利事業で得られる収入や、交通違反の罰金などの収入が含まれる。日本中央競馬会(JRA)や日本銀行からの納付金がここに入る。
「公債金」は、国債を発行して市場で売却して得られる収入である[4]。
日本政府の予算の大部分を占める一般会計の歳入の中で公債金が占める割合を公債依存度という。日本の公債依存度の推移は次のようになっていて(資料)、3分の1から2分の1程度、と憶えておいてよい。
年 | 公債依存度 |
2012年(平成24年) | 48.9% |
2013年(平成25年) | 48.2% |
2014年(平成26年) | 38.9% |
2015年(平成27年) | 37.5% |
2016年(平成28年) | 37.7% |
2017年(平成29年) | 36.3% |
2018年(平成30年) | 34.5% |
政府の支出について「我々の税金が使われている」と表現したり、政府の支出の無駄遣いのことを「税金の無駄遣い」と表現したりする例が見られる。
そういう表現は、政府予算の歳入の3分の1から2分の1程度を占めている国債のことを無視した表現であり、あまり正確な表現ではない。
政府の支出について「我々の税金と国債が使われている」と表現したり、政府の支出の無駄遣いのことを「税金と国債の無駄遣い」と表現したりするのが、より正しい表現といえる。
債務不履行(デフォルト)
政府が発行済み国債の利子や元本を支払えなくなることを債務不履行とかデフォルトという。デフォルトで有名なのは、アメリカ合衆国ドル建てアルゼンチン国債を償還できなくなったアルゼンチン政府や、ユーロ建てギリシャ国債を償還できなくなったギリシャ政府である。
支払う通貨の種類によって国債を分類する
国債とは「何らかの通貨を支払うと約束する政府の負債」を記した証券なのだが、どういう通貨を支払うのかで分類することができる。
20世紀以降の世界において、大多数の国は中央銀行が発行する銀行券を通貨として採用してきた。その現実に従って国債を分類すると次のようになる。
名称 | 支払う通貨 | 債務不履行の危険性 | 例 |
自国不換銀行券建て国債 | 「国債を発行する政府」の影響を強く受ける自国中央銀行が発行する不換銀行券 | 全く存在しない | 2021年の日本国債、1971年8月15日のニクソンショック以降の米国債 |
自国兌換銀行券建て国債 | 「国債を発行する政府」の影響を強く受ける自国中央銀行が発行する兌換銀行券 | 存在する | 1971年8月14日以前の米国債 |
他国不換銀行券建て国債 | 「国債を発行する政府」の影響を全く受けない他国中央銀行が発行する不換銀行券 | 存在する | 2001年のアメリカ合衆国ドル建てアルゼンチン国債 |
他国兌換銀行券建て国債 | 「国債を発行する政府」の影響を全く受けない他国中央銀行が発行する兌換銀行券 | 存在する | 1904年のイギリスポンド建て日本国債 |
共通不換銀行券建て国債 | 「国債を発行する政府」の影響を全く受けない中央銀行が発行する不換銀行券 | 存在する | 2015年のユーロ建てギリシア国債 |
共通兌換銀行券建て国債 | 「国債を発行する政府」の影響を全く受けない中央銀行が発行する兌換銀行券 | 存在する | (発行例なし) |
日本銀行は日本政府の経済政策の基本方針に整合的な金融政策をとるように義務づけられており(日銀法第4条)、日本政府の意向に逆らうことができず、日本政府の影響を強く受ける。日本政府が「日本国債を100%確実に償還する」という経済の基本方針を打ち立てたとき、日本銀行はそうした経済の基本方針に整合的な行動をとるしかない。
自国不換銀行券建て国債は、自国中央銀行のもつ無限の通貨発行権を行使することで返済できる。不換銀行券というのは、券面の金額に相当する資産を提供する義務が無期限に延期されていて、負債としての性格が極度に薄まっている負債であり、中央銀行の経営をまったく圧迫しないものであり、中央銀行が無限に発行することができる。
このため、自国不換銀行券建て国債は「どんなことがあっても100%確実に償還される極めて安全な金融商品」と位置づけられる。
発行した自国不換銀行券建て国債の返済方法は、通貨発行権を行使して償還するか、借り換えをして市中に残し続けるか、税収などによって償還するか、のいずれかになる。
通貨発行権を行使して国債を償還する具体例は、日本銀行が通貨を新規に発行してそれと引き換えに国債を買い取る、というものである。
『自国不換銀行券建て国債』の項目で、自国不換銀行券建て国債についてさらに詳しく解説することとする。
日本国債は金融商品
日本において、銀行や証券会社で個人向け国債が販売されている。また個人向け投資信託(ファンド)で国債を必要に応じて組み込んでいることがある。そして、銀行はその資産の多くを国債に割り振っている。このように、国債そのものは、政府以外の存在にとって資産であり、金融商品のひとつである。ちなみに、金融商品ではあるが金融庁が監督していない。
銀行は日銀当座預金をもっているが、その日銀当座預金が必要な分よりも余ることがある。政府は、そうした日銀当座預金を吸収するために、日銀当座預金の利率を上回る利回りで国債を売り出す[5]。日銀当座預金を余らせた銀行は自動的に国債を購入することになる。ゆえに、銀行にとって日本国債は、必ずお金を増やすことができる貯金箱のようなものといえる。
銀行にとって、余った日銀当座預金で株式(どこかの会社の所有権の一部)や外国の国債を買うという選択肢もある。ところが、株式には値下がりのリスクがあるし、外国の国債には為替リスクがある。後者は、日銀当座預金を外国通貨に両替して外国の国債を買った後に「円高・外国通貨安」になり、外国の国債が外国通貨で償還されたときに大損するということである。このため、銀行は、余った日銀当座預金で株式や外国の国債を買うことを本質的に非常に嫌がり、日本国債を買いたがる傾向がある。確実に日本の通貨を増やすことができる金融商品は、日本国債だということになる[6]。
世の中の金融商品は、安全性(償還されるかどうか)、流動性(換金しやすいかどうか)、収益性(利子が高いかどうか)の3つの基準で評価することができる(資料)。円建て日本国債は自国不換銀行券建て国債なので、安全性が極限まで高くてリスクフリー(risk free 「リスクが皆無」という意味)とされ、それにより流動性も非常に高いが、利子が低めになっていて収益性が今ひとつである。
日本国債を担保にして資金調達できる
日本国債は安全性が極度に高い債券である。このため資金を借りるときの担保にしやすい。
銀行や保険企業のような金融市場参加者が中期国債・長期国債・超長期国債といった「残存期間が1年を超える期間の国債」を持っているとき、中期国債・長期国債・超長期国債を日銀へ担保として差し出すことで日銀から融資を受けることができる。また短期金融市場のオープン市場の現先市場において中期国債・長期国債・超長期国債を売り現先[7]することができる。
このため銀行や保険企業は安心して「残存期間が1年を超える期間の国債」を保有することができる。
残存期間が1年を超える債券を購入した者は、貸借対照表の資産の部の中の固定資産の中に金額を書き込むことになり、本来なら「流動性が低い資産を持っていて財務体質がイマイチである」と評価される。しかし「残存期間が1年を超える期間の国債」なら話が変わってきて、「国債を担保として短期資金を借り入れすることが容易なので財務体質が良い」と評価される。
日本国債の利回りが日本国内における貸出利率の基準になる
日本国債は自国不換銀行券建て国債であり、100%確実に償還されるという信頼があり、リスクフリー(無リスク)の債券とされている。
このため、日本国債の利回りが日本国内における貸し出し金利の基準となる。銀行が30年の住宅ローンを組むときは30年物の超長期国債の利回りを参考にするし[8]、銀行が10年の自動車ローンを組むときは10年物の長期国債の利回りを参考にするし[9]、自動車販売業者が5年間の自動車ローンを組むときは5年物の中期国債の利回りを参考にするし、銀行が1年間の貸し出しをするときは1年物の国庫短期証券の利回りを参考にする。
このため日本国債は日本国内の金融業者にとって「利率の見本」であり、日本国内の金融業者にとって一種のインフラと言っていい存在である。
日本政府はその気になれば国庫短期証券だけを売却して財政を組むことができるのだが、決してそのようなことをせず、2年債・5年債・10年債・20年債・30年債・40年債とバラエティ豊かに国債を売りだしている。その理由の1つは、国内の金融業者に対して貸出利率の基準を作ってあげるためである。
一度に大量の国債を売らず、分散して少量ずつ国債を売っている
日本国債には様々な期間の国債があるが、「10年物固定利付債を1年に一度大量に発行する」ということをしておらず、「10年物固定利付債の総量を12で割って、1ヶ月ずつに分けて発行する」ということをしている。このため新規発行国債を扱う国債発行市場は年がら年中開かれている。
期間 | 償還方法 | 発行頻度 |
6ヶ月債 | 割引債 | 月2回 |
1年債 | 割引債 | 月1回 |
2年債 | 固定利付債 | 月1回 |
3年債 | 固定利付債(個人向け国債) | 月1回 |
5年債 | 固定利付債 | 月1回 |
固定利付債(個人向け国債) | 月1回 | |
10年債 | 固定利付債 | 月1回 |
変動利付債(個人向け国債) | 月1回 | |
物価連動国債 | 年4回(3ヶ月に1回) | |
20年債 | 固定利付債 | 月1回 |
30年債 | 固定利付債 | 月1回 |
40年債 | 固定利付債 | 年6回(2ヶ月に1回) |
自国不換銀行券建て国債
定義
中央銀行に口座を開設している市中銀行が国債を保有していて、それに対して国債の償還をするとき、不換銀行券と即時に交換できる中央銀行預金を政府が送金している[11]。そうした現実を踏まえて自国不換銀行券建て国債をさらに定義すると、次のようになる。
政府の負債を記した証券で、「その証券を発行した政府の影響を強く受ける中央銀行が発行する不換銀行券を保有者に支払うか、その証券を発行した政府の影響を強く受ける中央銀行が発行する中央銀行預金を保有者の中央銀行口座に送金する」と約束したもの
中央銀行に口座を開設せず市中銀行に口座を開設する保険企業が国債を保有していて、それに対して国債の償還をするとき、保険企業が口座を開設する市中銀行に対して政府が中央銀行預金を送金しつつ、その市中銀行に対して「保険企業に対して銀行預金を発行してあげてください」と要請することが一般的である。そうした現実を踏まえて自国不換銀行券建て国債をさらに定義すると、次のようになる。
政府の負債を記した証券で、「その証券を発行した政府の影響を強く受ける中央銀行が発行する不換銀行券を保有者に支払うか、その証券を発行した政府の影響を強く受ける中央銀行が発行する中央銀行預金を保有者の中央銀行口座に送金するか、その証券を発行した政府の影響を強く受ける中央銀行が発行する中央銀行預金を保有者取引銀行に送金しつつ保有者取引銀行に対して保有者の口座の金額を増やすことを要請する」と約束したもの
このように、自国不換銀行券建て国債は、自国の中央銀行が肩代わりできる種類の負債である。
政府が国債の返済に行き詰まったら、中央銀行がその国債を買いオペして、政府の負債を肩代わりすることができる。
中央銀行は、無限に自国不換銀行券建て国債を買うことができる
不換銀行券というのは中央銀行にとって負債性が極めて薄い負債で、中央銀行がごく簡単に発行することができる。このため、不換銀行券を発行する中央銀行には無限の通貨発行権がある、と表現される。
ゆえに、自国不換銀行券建て国債が債務不履行(デフォルト)に陥る可能性は全く存在しない。
自国不換銀行券建て国債を売り浴びせられたとき、中央銀行は売られた国債をすべて買い取ることができる。中央銀行が思い通りに国債を買い支えて国債価格を維持することができるため、「自国不換銀行券建て国債には市場原理が働かない」「自国不換銀行券建て国債は市場原理の枠から外れている」と表現することも可能である。
政府と中央銀行の関係
中央銀行は政府から完全に独立しているわけではなく、政府の影響を非常に強く受ける存在である。
日本の中央銀行である日本銀行は次のような義務を課せられている。
日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。 日本銀行法第4条
政府の経済政策の基本方針が「主」で、日銀の通貨・金融調節が「従」であり、日銀は政府の意向を常に伺わねばならず、日銀の拒否権など認められない・・・これが、日銀法第4条に明記されている。
政府は国会の議決を受けて国債を発行し(憲法第85条)、国債市場に売却するのだが、そのことを差し止める権限など日銀には全く備わっていない。
日銀が政府の経済政策の基本方針に対して公然と異を唱えて拒否権を発動すると、日銀法第54条第3項に基づいて日銀総裁が国会に呼び出される。衆議院の予算委員会や財務金融委員会で徹底的に吊し上げられ、「なぜ日銀法第4条を遵守しないのか」と問い詰められる。参議院の予算委員会や財政金融委員会でも同じことが行われる。
それでも日銀が政府の経済政策の基本方針に対して反抗する姿勢を示すと、国会議員たちが日銀法を改正したり日銀に関する特別法を立法したりして日銀総裁を解任する流れになることが予想される。
「自国不換銀行券建てではない国債」との比較
「自国不換銀行券建てではない国債」とは、他国不換銀行券建て国債や、共通不換銀行券建て国債のことである。アメリカ合衆国ドル建てアルゼンチン国債や、ユーロ建てギリシャ国債が典型例となる。
自国不換銀行券建て国債と「自国不換銀行券建てではない国債」は、次元が違うと言っていいほど異なる存在である。
前者は債務不履行の可能性が全く存在しない。後者は債務不履行の可能性が存在する。後者の返済に行き詰まったら、通貨を発行する中央銀行に向かって土下座してひれ伏して「支援をしてください、国債を買い取ってください」と懇願することになる。
自国不換銀行券建て国債は安定的に売りさばかれる
政府が自国不換銀行券建て国債を発行し、国内の国債市場に売却した場合、とても順調に売れていくのが常である。
日本国は、自国不換銀行券建て国債を順調に消化するため、次のような手続きを踏んでいる。
- 日銀法第4条
を制定し、日銀に対して政府の経済政策の基本方針と整合的な金融政策をするように義務づける。平たく言えば、日銀に対して政府の経済政策をひたすら支援するように義務づける。
- 政府の経済政策の基本方針として「○年×月△日に国債を売却して◇兆円を得て、その◇兆円で経済政策をする」「国債の売買の前後で短期金利が急激に変動するとそれを参考に貸出金利を決めている国民に迷惑がかかるので、そうした事態が起こらないようにする」といったものを決め、日銀に対して通達する。
- 日銀が国債市場の様子を調べる。「長期金融市場の国債市場で国債を売却して市場参加者の余剰資金を政府が吸収したら、短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場でも市場参加者の余剰資金が不足して短期金利が急上昇しそうだ」と判断したら、日銀は国債市場に参加する市中銀行・企業に対して資金供給オペレーションを行い、国債市場に参加する市中銀行・企業が持つ資金を増やす。これを「政府の国債売却に伴う短期金利上昇を防ぐための資金供給オペレーション」という。
- 政府が国債を売り出す。国債市場に参加する市中銀行・企業は資金に余裕があるので、売り出される国債が次々に売れていく。
政府の国債売却に伴う短期金利上昇を防ぐための資金供給オペレーション
国債市場の参加者たちが持っている余剰の通貨が減ってくると、国債の売り手に対して国債の買い手が少なくなって国債の価格が下がり、国債の金利(利回り)が上昇し、政府が国債を売却しても狙いどおりの売却益を得られなくなる。また、長期金融市場の国債市場と短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場の両方に参加している金融機関が多く、長期金融市場の国債市場で政府が国債を発行して余剰資金を吸収すると短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場でも余剰資金の減少が起こって短期金利が上昇する。そうしたことは中央銀行ならすぐに察知できる。
そういう場合は、中央銀行が新規に通貨を発行して、国債市場の参加者達が保有する国債を次々と買いオペし、国債市場の参加者たちが持っている余剰の通貨を増やしてあげている。余剰の通貨を抱えた国債市場の参加者達は、国債が売り出されると自動的に国債を購入していく。
国債市場の参加者達が国債を保有していない場合は、中央銀行が新規に通貨を発行して、国債市場の参加者達に対して、短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場で証書貸し付けしたり、短期金融市場のオープン市場の現先市場で買い現先[12]したりする。このときの中央銀行は、国債の利回りよりも低い金利で貸し付ける。国債市場の参加者達は、中央銀行から借りた資金の利子よりも高い利回りの国債を買うことができれば十分に利益ができるので、中央銀行から借りた資金で次々と国債を購入する。
こうした中央銀行の行動を政府の国債売却に伴う短期金利上昇を防ぐための資金供給オペレーションという。
国債は日銀当座預金や銀行預金よりも魅力がある
国債市場に参加する市中銀行は、日銀当座預金を資産として持っている。国債は日銀当座預金の利率よりも高い利回りで売り出される。そのため日銀当座預金を余らせている市中銀行は、国債が新規に売り出されたら、自動的と言っていいほど即座に買う。
国債市場に参加する企業は、銀行預金を資産として持っている。国債は銀行預金の利率よりも高い利回りで売り出される。そのため銀行預金を余らせながら国債市場に参加する企業は、国債が新規に売り出されたら、自動的と言っていいほど即座に買う。
自国不換銀行券建て国債の償還に対する絶対的な信頼感
どこの国でも、中央銀行は政府を支援している。特に日本には日銀法第4条があり、政府の経済政策の基本方針と整合的な金融政策をすることを日銀に義務づけている。
国債市場に参加する市中銀行・企業は、日銀に日銀法第4条が課せられていることを知っている。
国債市場に参加する市中銀行・企業は、政府が「国債が債務不履行になると金融の大混乱が起こるので、そうした事態を絶対に回避する」という経済政策の基本方針を堅持していることも知っている。
それゆえ国債市場に参加する市中銀行・企業は、「政府の発行する国債が債務不履行になることは、日銀があらゆる手段を尽くして必ず阻止するだろう」と高く信用している。このため日本国債は売り出されるたびによく売れていく。
自国不換銀行券建て国債が不換銀行券の材料になる
2021年現在は、中央銀行の発行する不換銀行券を主力通貨として採用する国が全世界の大多数を占めていて、日本もそのうちの1つである。
国民生活を支えるため、中央銀行は不換銀行券や中央銀行預金という通貨を発行し、ある程度の量を国民経済の中にばらまかねばならない。
そうした不換銀行券や中央銀行預金は、中央銀行の負債である。中央銀行が何らかの資産を受け取ったときに、その代償として発行される。
2021年現在において、各国の中央銀行は、自国不換銀行券建て国債を資産として受け入れて、その代償として不換銀行券や中央銀行預金を発行するという方式を主に採用している。日本銀行の2019年9月30日時点における貸借対照表を見ても(資料3ページ)、そのことは一目瞭然である。資産の部において国債金額が飛び抜けて大きく、負債の部における発行銀行券(不換銀行券)と預金(日銀当座預金)の合計金額と同じような金額になっている。
このため、自国不換銀行券建て国債は不換銀行券の材料になる、自国不換銀行券建て国債は通貨の材料になる、と憶えておいてよい。
日本国債の種類
発行目的による分類
国債を発行目的によって分類すると、歳入債・財投債・繰延債・融通債の4種類になる[13]。
歳入債
市場に売却して資金を調達し歳入を増やして歳出需要をまかなう目的で発行するもの。普通国債とも呼ばれる。当該年度の歳出を賄うために発行する新規財源債と、復興債と、国債の償還資金を調達するために発行する借換債がある。新規財源債は建設国債と特例国債に分けられる。
歳入債 | 新規財源債 | 建設国債 |
特例国債 | ||
復興債 | ||
借換債 |
- 建設国債
- 社会資本の建設のための国債。財政法第4条
は「社会資本の建設だけは国債を財源としてよい」と定めている。そのため4条国債とも呼ばれる。一般会計の歳入になる。
- 特例国債
- 歳入の不足を補うための国債。時限立法[14]として特例国債法
が可決されて、その法律に基づいて発行されている。国会が財政法第4条を完全に無視しつつ発行を認めている国債。正式な名称は特例国債だが、赤字国債と呼ばれることも多い。一般会計の歳入になる。この特例国債の中には年金特例国債というものがあり、基礎年金における国庫負担の追加に伴い消費税が引き上げられる平成26年度までのつなぎの財源として平成24年度と平成25年度の間のみ発行されており、平成45年度までに償還される予定である。
- 復興債
- 2011年度(平成23年度)から2025年度(令和7年度)まで実施する東日本大震災からの復旧・復興事業の財源にするための国債で、正式名称は復興国債である。2011年度から2025年度まで発行される予定である。償還期限は25年間で平成26年までの発行総額は16兆1037億円。日本郵政株式売却収入(4兆円を見込んでいる)、復興特別所得税(平成25年から平成49年まで課税)は、この復興債の償還財源に充てられる。震災復興特別会計の歳入になる。
- 借換債
- 国債の借り換えの為の国債。国庫短期証券の形態で発行される。国債整理基金特別会計の歳入になる。
財投債
市場に売却して資金を調達し歳入を増やして財政投融資の費用をまかなう目的で発行するもの。正式名称は財政投融資特別会計国債という。償還・利払いが財政融資資金の貸付回収金によって賄われているという特性から、一般政府の債務には分類されない。財政投融資特別会計の歳入になる。
市場に売却されず金銭の給付に代えて交付(譲渡)されるもの。政府は繰延債の償還期日まで支出を繰り延べることができる。交付国債や出資・拠出国債が含まれる。
融通債
市場に売却して資金を調達し国庫金[15]の一時的な資金不足に対応するため、言い換えると市場に売却して資金を調達し国庫金の資金繰りのために発行するもの。国庫短期証券のなかの政府短期証券の部分が融通債に該当する。財務省はこの融通債を国債と扱わない傾向があり、「国債や政府短期証券」といった風に両者を分けて表現することが多い[16]。
償還期間による分類
- 超長期国債
- 償還期間が10年を超える国債のことをいう。20年債、30年債、40年債がある。
- 長期国債
- 償還期間が10年の国債のことをいう。新規発行10年物国債(固定利付債)の利回りは長期金利の代表的数値とされる。
- 中期国債
- 償還期間が1年を超えて10年未満の国債は、ここに分類される。2年債、3年債、5年債が発行されている。
- 短期国債(国庫短期証券)
- 償還期間が1年以内の国債は、ここに分類される。国庫短期証券とも呼ばれる。2ヶ月債、3ヶ月債、6ヶ月債、1年債がある。すべてが割引債の形態で発行される。
国債市場参加者の業種が変わると、好む国債も変わる。銀行は通常は5年以内の債券に投資するのが一般的で、保険企業は10年を超える超長期の債券に投資するのが一般的であると言われる[17]。
日本は2年債と5年債と10年債をそれぞれ同じぐらいに発行しており、この3種が発行額の上位3番手を占める。2019年度は10年債(固定利付債)が25兆2000億円、5年債が22兆8000億円、2年債が24兆円だった[18]。
諸外国も同じようなことをしており、どれか一つの種類に偏重せず、様々な種類の国債を発行している。債務管理リポート2020の54ページに棒グラフが掲載されているので参照のこと。
償還方法による分類
- 固定利付債
- 発行時に決められた表面利率に従って利子が定期的に支払われ、償還期日に額面金額が支払われる。日本国債において最も一般的な形態とされ、償還期間が1年を超えて40年以下の中期国債・長期国債・超長期国債の多くで採用されている。
- 変動利付債
- 市場金利の変動によって変化する表面利率に従って利子が定期的に支払われ、償還期日に額面金額が支払われる。償還期間10年の個人向け国債で採用されている。
- 物価連動国債
- 物価の変動によって額面金額が変動する。表面利率は発行時から変わらず一定である。償還期間が10年の長期国債の一部で採用されている。
- 割引債
- 定期的に支払われる利子が存在せず、償還期日になると額面金額が支払われる。このため、発行時に額面金額を割り引いた低価格で販売される。償還期間が1年以内の短期国債(国庫短期証券)のすべてで採用されている。
割引債以外の3形態は、すべて、償還期間の間に定期的な利払いを受ける。ちなみに、日本国債において、利子の支払いは半年に1回である[19]。「額面金額100万円・表面利率2%の固定利付債」なら、1万円の利払いを年に2回受け取る。
国債の保有者別内訳
保有者 | 保有率(%) | ||
---|---|---|---|
国債 | 国庫短期証券 | 全体 | |
日本銀行 | 46.5 | 10.8 | 43.5 |
銀行等 | 15.2 | 15.5 | 15.2 |
生損保等 | 21.2 | 2.1 | 19.6 |
公的年金 | 4.1 | 0 | 3.8 |
年金基金 | 3.1 | 0 | 2.8 |
海外 | 7.4 | 71.6 | 12.8 |
家計 | 1.3 | 0 | 1.2 |
その他 | 1.0 | 0 | 0.9 |
一般政府(除く公的年金) | 0.3 | 0 | 0.3 |
財政投融資 | 0 | 0 | 0 |
かつては銀行の保有率のみが単一で突出していた時代もあったが、2019年の時点では日本銀行の保有割合がとても多くなっている。
財務省の国債等関係諸資料のページに掲載されている国債等の保有者別内訳 (令和元年6月末(速報))
から抜粋した。
国債などの残高推移
国債の残高の推移
年度 | 普通国債残高 | 対GDP比 | 国・地方合計債務残高 | 対GDP比 |
---|---|---|---|---|
1998年(平成10年) | 295兆円 | 56% | 553兆円 | 105% |
2003年(平成15年) | 457兆円 | 88% | 692兆円 | 134% |
2009年(平成21年) | 594兆円 | 121% | 820兆円 | 167% |
2010年(平成22年) | 636兆円 | 127% | 862兆円 | 173% |
2011年(平成23年) | 670兆円 | 136% | 895兆円 | 181% |
2012年(平成24年) | 705兆円 | 143% | 932兆円 | 189% |
2013年(平成25年) | 744兆円 | 147% | 972兆円 | 192% |
2014年(平成26年) | 774兆円 | 149% | 1001兆円 | 193% |
2015年(平成27年) | 805兆円 | 151% | 1033兆円 | 194% |
2016年(平成28年) | 831兆円 | 155% | 1056兆円 | 197% |
2017年(平成29年) | 853兆円 | 156% | 1077兆円 | 197% |
財務省・財政関係パンフレット教材ページの中にある日本の財政関係資料(令和元年6月)
から抜粋した。財務省・国債等関係諸資料ページ
の国債発行額の推移(実績ベース)
でも普通国債残高の推移を確認できる。
日銀保有分を引いた国債の残高推移
2013年3月に黒田東彦が日銀総裁に就任してから、量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)と称して大規模な量的金融緩和を進めた。
日銀は日銀法第4条に従う存在であり、政府を追い詰めるような行動をとる可能性が極めて低い。このため政府は日銀保有の国債の元本や利子の返済を考えなくてよいと言われる。日銀が量的金融緩和をすると、政府の実質的な債務が減っていく。
日銀が保有する国債が満期を迎えたとき、満期を迎えた国債と同額分だけ日本政府が借換債として国庫短期証券を発行して、その国庫短期証券を日銀が直接買い取っている。これを日銀乗換(のりかえ)といい、中央銀行の国債直接引き受けの一種である。日銀は、保有する国債の元本に対する債権を放棄しているのと同じである。
日銀が利付債の国債を保有している場合、日本政府がいったん日銀に利子を支払ったあと、日銀が日本政府から利払いとして受け取った額の95%のお金を日本国政府に国庫納付金として返還している[20]。日銀は、保有する国債の利子の95%に対する債権を放棄しているのと同じである。
日銀保有の国債が急激に増加し、国債の総額から日銀保有分を差し引いた額がどんどん減少していることを示す表は以下のようになる。
発表時 | 国債などの総計 | 日銀保有分 | 総計-日銀保有分 | 日銀保有比率 |
---|---|---|---|---|
2010年(平成22年)12月末 | 727兆円 | 58兆円 | 669兆円 | 8.0% |
2011年(平成23年)12月末 | 755兆円 | 67兆円 | 687兆円 | 9.0% |
2013年(平成25年)3月末 | 807兆円 | 93兆円 | 713兆円 | 11.6% |
2014年(平成26年)3月末 | 840兆円 | 156兆円 | 683兆円 | 18.7% |
2015年(平成27年)3月末 | 883兆円 | 224兆円 | 658兆円 | 25.5% |
2016年(平成28年)3月末 | 955兆円 | 317兆円 | 637兆円 | 33.2% |
2016年(平成28年)12月末 | 958兆円 | 370兆円 | 587兆円 | 38.7% |
2017年(平成29年)12月末 | 988兆円 | 427兆円 | 560兆円 | 43.2% |
2018年(平成30年)12月末 | 1013兆円 | 466兆円 | 546兆円 | 46.0% |
財務省の国債出版物のページに、各年度の債務管理リポートが載っている。「保有者層の多様化」のページの「国債の保有者別内訳」を参考にした。
日本における国債の状況
政府債務残高が多い
日本政府は大量の国債を発行しており、2020年の時点において政府債務残高はGDP比で約237.6%(2.376倍)と世界最大になっている(資料)。
100%自国不換銀行券建て
2021年現在の日本国債は100%自国不換銀行券建て国債であり、日銀が通貨発行権を行使して無限に買いオペすることが可能なので、財政破綻の可能性はゼロである。
100%自国不換銀行券建て国債で財政をまかなっているのだから、すでに日本は健全なる財政を達成しているといってよい。
世の中には他国通貨建て国債というものがある。これだと、日銀が通貨発行権を行使できず、買いオペに限界があるので、発行者は財政破綻の可能性に怯えることになる。
かつての日本は他国通貨建て国債を発行したことがあった。日露戦争の戦費を調達するため、イギリス・ロンドンでポンド建て日本国債を売りだしたことは有名である[21]。また、1950~60年代の日本は世界銀行から米ドル建てで巨額の融資を受けており(詳しくはプライマリーバランスの記事を参照)[22]、これは米ドル建て日本国債を発行したのとほぼ同じ意味を持つ。こうした他国通貨建て国債・他国通貨建て融資に頼っていた時代は、債務不履行・財政破綻の可能性と隣り合わせだったので、かなり危険で不健全な財政状態だったと言ってよい。
日露戦争の他国通貨建て国債を返済し終わったのは1986年で、世界銀行の融資を返済し終わったのは1990年7月である。
100%自国不換銀行券建てなので利回りを人為的に引き下げることができる
2021年現在は、日銀による量的金融緩和の継続という要素があり、長期金利(新規発行10年物国債の利回り)が世界最低クラスを維持している。国債に対して買い手が多く、国債の値段が高くて国債の利回りが低い状態が続いている。
日本国債は100%自国不換銀行券建て国債なので、日本銀行という巨大な買い手に支えられており、利回りが急上昇しにくい構造になっている。
日本国債の全てが自国不換銀行券建て国債なので、日本において1.が発生する可能性が存在せず、2.が発生する可能性も極度に低い。
自国不換銀行券建て国債である日本国債を扱う市場においては、底なしの購買力を持つ日本銀行という巨人が存在する。日本銀行は好きなように国債を買い、いくらでも国債の価格を釣り上げて国債の利回りを下げることができる。
100%自国不換銀行券建てなので利回りが上昇しても慌てる必要が無い
日本銀行にとって日本円は不換銀行券であり、額面金額に相当する資産を提供する義務を無期限に停止している銀行券なので、日本円を発行するとき日本銀行に負担がまったく掛からない。そして日本政府は、日銀法第4条に基づき日本銀行に対して政府の経済政策の基本方針に整合的な通貨発行をするように義務づける権力を持っている。
以上の事柄から、日本政府は好きなように日本円を入手できる立場にある。日本政府が日本円を入手するとき、日本銀行にも日本政府にも負担らしい負担がかからない。
日本銀行や日本政府は「国債の利回りが高くなったら日本政府の財政負担が増加する」といったことを一切考える必要が無く、国債の利回りが上昇しても慌てる必要が無く、政府の財政的な都合で無理矢理に国債利回りを引き下げる必要が無い。日本銀行と日本政府は、「国債の利回りは実体経済に合わせて自然に決まれば良い」という方針を持つことができる。
日本の対外純資産が多い
日本は対外純資産が世界で最も多い国で、「世界最大の対外債権国」という称号を得ており、その座を1991年以降ずっと堅持している。2020年末の時点で、対外純資産は356兆9,700億円となっている(資料)。
対外純資産は、日本の政府・企業・個人が外国向けに保有している資産から、日本の政府・企業・個人が外国に対して負っている負債の額を差し引いた額である。
日本政府の外貨準備高が多い
アメリカ合衆国財務省が発表している「2019年6月28日の時点において米国債を大量保有している国のランキング」のなかで日本が第一位になっており、日本政府や日本企業が保有している米国債の合計値は1兆1253億米ドルとなっている[23]。
2019年6月末の時点の日本政府の外貨準備高の合計額は1兆3222億米ドルで、そのうち証券として保有しているのは1兆1256億米ドルである[24]。この「1兆1256億米ドルの証券」というのは、日本政府が保有しているすべての外貨建て証券を米ドルに変換して合計した数値であって、ポンド建てイギリス国債のようなものも含まれている数字であり、米国債の保有高を示す数字ではない。とはいえ、「1兆1256億ドルの証券」のうち大部分が米国債ではないかとみられている[25]。
これらのデータから、日本政府が米ドル建て日本国債を発行する可能性が極めて低いことが分かる。米ドル建て日本国債は他国不換銀行券建て国債であり、債務不履行(デフォルト)の可能性があり、日本政府にとってとても危険なものであるが、日本政府はそういうものを発行する必要性がない。
日本の経常収支が黒字続きになっている
2018年における日本の経常収支は19兆932億円の黒字になっている。貿易収支は小幅な黒字に留まっているが、第一次所得収支が20兆8,102億円の巨額に上っている(資料)。
第一次所得収支とは、日本企業が海外において子会社を設立するなどの投資をして得られる利子・配当の積み重ねを指す。多くの日本企業が海外に工場を持ち、堅調に利益を上げていることになる。第一次所得収支は、安定的な稼ぎであり、それが順調に増えている(資料)。
経常収支は1981年から2020年まで40年連続で黒字になっている(資料)。これは、日本が産業に恵まれ、米ドルなどの外貨を極めて大量に稼いでいることを意味している。
産業に恵まれない貧乏国は、外貨を稼ぐ手段を持ち合わせておらず、経常収支が小幅な黒字になったり赤字になったりする。それなのに、ときおり、外貨を使って石油などのような国家の生存に不可欠な外国製品を購入しなければならない。
ある国が固定相場制または中間的為替相場制を採用し、外貨を稼ぐ手段が乏しいのに民間人が自国通貨を外貨に両替してから外貨を使って石油を大量購入するのなら、政府の外貨準備高が一気に底を付く。そこで政府は他国不換銀行券建て国債を発行して外貨を調達して外貨準備高を増やすことになる。他国不換銀行券建て国債は、通貨発行権で返済できず債務不履行の危険があり、極めて危険である。
ある国が変動相場制を採用し、外貨を稼ぐ手段が乏しいのに民間人が自国通貨を外貨に両替してから外貨を使って石油を大量購入しようとすると、自国通貨安が一気に進み、石油を思うように買えなくなる。この場合は政府が他国不換銀行券建て国債を発行して外貨を調達してその外貨で石油を買って国内に供給することになるが、やはり他国不換銀行券建て国債は債務不履行の危険があり、極めて危険である。
経常収支が赤字になって外貨を稼げなくなるとこれらの事態になる。日本は、経常収支が40年連続黒字で外貨をたっぷり稼いでいるので、これらの事態から最も縁が薄い国の1つである。
海外投資家の保有率が13%
2021年6月末の時点で、国債の約87%は国内で消化され、海外投資家の保有率は約13%になっている[26]。
「海外投資家の保有率が高くなると、海外投資家が一斉に日本国債を売りに出して日本国債が暴落して日本国債の利回りが急上昇することが起こりやすくなる」と主張する人がいるが、日本国債は自国不換銀行券建て国債なのでそういった事態が起こりにくい。海外投資家がどれだけ日本国債を売り浴びせても、日本銀行が全て買い取ることができる。
安倍政権は国債の新規発行額を減らしていた
2012年12月発足の安倍晋三政権は財政再建という名の緊縮財政を志向しており、新規国債発行を年々減らしていた。
2012年(平成24年)度 | 44兆2440億円 |
---|---|
2013年(平成25年)度 | 42兆8510億円 |
2014年(平成26年)度 | 41兆2500億円 |
2015年(平成27年)度 | 36兆8630億円 |
2016年(平成28年)度 | 34兆4320億円 |
2017年(平成29年)度 | 34兆3698億円 |
2018年(平成30年)度 | 33兆6922億円 |
2019年(平成31年)度 | 32兆6605億円 |
※財務省・国債等関係諸資料のページの「国債発行額の推移(当初ベース)
」を参考にした。
国債を発行して政府が国内向けに財政支出すると市中銀行の預金が増えるか増減無しになる
政府が国債を発行して国債市場に売却してから国内企業向けに支出したり国内家計向けに給付金を支出したりした場合、国債発行前と政府支出後を比べると、市中銀行の預金額が国債の金額だけ増えるか、市中銀行の預金額が増減無しになるか、のどちらかになる。
日銀当座預金を保有する金融機関が国債を保有する場合、市中銀行の預金が増える
日銀に口座を開設して日銀当座預金を保有している金融機関というと、銀行、信用金庫、農林中央金庫、そして証券企業といったところである(日銀資料1、日銀資料2
)。
そうした金融機関が国債を購入して保有し、政府が国債発行で得た資金を国内企業向けに支出したり国内家計向けに給付金として支出したりした場合、市中銀行の預金額が増える。
市中銀行が国債を購入する流れは以下のようになっている。
- 日本国政府が政府預金を全くもっておらず、ニコニコ銀行とカドカワ銀行が日銀当座預金をそれぞれ100億円持っているとする。ニコニコ銀行は、余剰の10億円を使って日本国債を購入した。すると、ニコニコ銀行の日銀当座預金は90億円になり、日本国政府の政府預金は10億円になる。
- 日本国政府は、10億円分の政府支出が可能になる。10億円分の政府預金を担保にして、10億円分の政府小切手を発行する。その政府小切手で、10億円分の公共事業の代金をドワンゴ建設に支払う。
- ドワンゴ建設はカドカワ銀行に10億円分の政府小切手を持ち込み、「10億円に換金してください」と要求する。そこでカドカワ銀行は、ドワンゴ建設の口座に10億円を書き込む(預金の創造)。これでカドカワ銀行の預金総額が10億円増えたことになる。世の中に出回るお金(マネーストック)が10億円増えた。
- カドカワ銀行は日銀へ行き、10億円分の政府小切手を換金することを要求する。日銀はカドカワ銀行の日銀当座預金を10億円増やして110億円にする。また日銀は、日本国政府の政府預金を10億円減らして0円にする。
4.が終わった時点での貸借対照表(バランスシート)は、1.に比べて次のように変化している。民間部門全体で見ると、公共事業に関する労働の対価として国債という資産を得たことになる。
資産 | 負債 | 備考 | |
ドワンゴ建設 | 銀行預金 +10億円 |
公共事業に関する労働を提供する義務を負う | 労働の代償としてお金をもらった |
カドカワ銀行 | 日銀当座預金 +10億円 |
銀行預金 +10億円 |
少しだけだが、損をする。日銀当座預金には短期金利の幅の最低限ぐらいの利子がつき、銀行預金には短期金利と同じぐらいの利子を付けねばならない。ただし、日銀当座預金を使って短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場で貸し付けしたり、日銀当座預金を使って国債を購入すれば、その損を取り返すことができる |
ニコニコ銀行 | 国債 +10億円 日銀当座預金 -10億円 |
少しだけだが、得をする。国債は基本的に日銀当座預金の利率よりも高い利回りで発行されている。 |
※この例え話の資料・・・中野剛志『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』121~124ページ


4.を終えた時点で、今度はカドカワ銀行に10億円の余剰の日銀当座預金が発生した。カドカワ銀行は、余剰の10億円の日銀当座預金で国債を購入することができる。このように、民間部門は国債の購入を無限に続けることが可能である。
「日本国政府が国債を発行しまくると、市中銀行は預金者から集めた預金をどんどん減らすことになる」という考え方は間違いである。
実際はその逆で、日本国政府が国債を発行して市中銀行に保有させて得られた資金で公共事業を行うたびに、それと同額だけ市中銀行の預金額が増加するし、世の中の通貨流通量(マネーストック)が増加する。
2019年6月3日の参議院決算委員会において、西田昌司参議院議員が、日本銀行の加藤毅企画局長に対して質問し、加藤局長は「銀行が国債を保有するケースということについて申し上げますと、政府が国債を発行し、かつ、その資金を国内で支出するという場合には民間貯蓄は増加するという形にはなりますので、そういう意味では民間の預金が増える形でそこはファイナンスされている形になるというふうに認識しております」と答弁している(議事録四ページ)。西田議員の質問のシーンはこちら
、加藤局長の答弁のシーンはこちら
。
2019年5月23日の参議院財政金融委員会において、西田昌司参議院議員が、日本銀行の雨宮正佳副総裁に対して質問し、雨宮副総裁は「国債発行による財政支出が預金通貨の創造につながるかどうかは、国債の最終的な消化形態によっても変わってくるわけでありまして・・・(中略)・・・銀行が保有している分について申し上げますと、それは信用創造を通じて預金が増加するという格好になります」と答弁している(議事録三ページ
)。雨宮副総裁の答弁のシーンはこちら
。
2019年10月23日の衆議院内閣委員会において、安藤裕衆議院議員が、日本銀行の藤田研二企画局審議役に対して質問し、藤田審議役は「委員御指摘のとおり、発行された国債を銀行が保有しまして、財政支出が行われた場合には、同額の預金通貨、マネーといいますか、これが発生することになるということでございます」と答弁している(議事録三ページ
)。藤田審議役の答弁のシーンはこちら
。
こうした国会議事録のPDFファイルは、このページで検索するとすぐに見つかる。
さて、最近の日本国政府は、政府小切手を使わずに財政支出をするようになった。そのため、上記の説明は、ちょっと古いものとなった。政府小切手を使わずに支払いをする現状を踏まえて説明すると、以下のようになる。
- 日本国政府が政府預金を全くもっておらず、ニコニコ銀行とカドカワ銀行が日銀当座預金をそれぞれ100億円持っているとする。ニコニコ銀行は、余剰の10億円を使って日本国債を購入した。すると、ニコニコ銀行の日銀当座預金は90億円になり、日本国政府の政府預金は10億円になる。
- 日本国政府は、10億円分の政府支出が可能になる。10億円分の公共事業をドワンゴ建設に依頼する。それと同時に、日本国政府はドワンゴ建設から取引銀行がどこであるか聞き出し、ドワンゴ建設の取引銀行がカドカワ銀行であることを把握する。
- 日本国政府は、ドワンゴ建設に振込通知を送付しつつ、日銀に対して「カドカワ銀行に開設してあるドワンゴ建設の口座」への振り込みを依頼する支払指図書データを送信して振り込みを依頼する。その支払指図書データを受けた日銀は、カドカワ銀行の日銀当座預金を10億円増やして110億円にして、日本国政府の政府預金を10億円減らして0円にしつつ、カドカワ銀行に「ドワンゴ建設の口座の金額を10億円増やしていただきたい」と送信する。
- カドカワ銀行はドワンゴ建設の口座に10億円を書き込む(預金の創造)。
※この例え話の資料・・・日本銀行の機能と業務(有斐閣)

日銀当座預金を保有しない人が国債を購入すると、市中銀行の預金が増減なしになる
日銀に口座を開設しておらず日銀当座預金を持っていない金融機関というと、生命保険や損害保険などの保険企業である。
また、一般人や一般企業も日銀に口座を開設することができない。
また、GPIF(年金の積立金を運用する団体。世界最大級の機関投資家とされる)も日銀に口座を開設していない。
そうした人や企業や団体が国債を購入するときは、銀行預金を減らすことになる。政府が国債発行で得た資金を国内企業向けに支出したり国内家計向けに給付金として支出したりした場合、市中銀行の預金額が増える。銀行預金がいったん減って、同額だけ増加するので、差し引きゼロということになる。
保険企業が国債を購入する流れは以下のようになっている(よく知られている政府小切手モデルで説明する)。
- 日本国政府が政府預金を全くもっておらず、ニコニコ銀行とカドカワ銀行が日銀当座預金をそれぞれ100億円持っているとする。
- ひろゆき生命はニコニコ銀行に口座を開設しているのだが、政府から国債10億円分を購入することにした。ひろゆき生命の預金が10億円減少し、その代わりに10億円の国債が手に入った。ニコニコ銀行は10億円の日銀当座預金を政府に送金した。すると、ニコニコ銀行の日銀当座預金は90億円になり、日本国政府の政府預金は10億円になる。
- 日本国政府は、10億円分の政府支出が可能になる。10億円分の政府預金を担保にして、10億円分の政府小切手を発行する。その政府小切手で、10億円分の公共事業の代金をドワンゴ建設に支払う。
- ドワンゴ建設はカドカワ銀行に10億円分の政府小切手を持ち込み、「10億円に換金してください」と要求する。そこでカドカワ銀行は、ドワンゴ建設の口座に10億円を書き込む(預金の創造)。これでカドカワ銀行の預金総額が10億円増えたことになる。
- カドカワ銀行は日銀へ行き、10億円分の政府小切手を換金することを要求する。日銀はカドカワ銀行の日銀当座預金を10億円増やして110億円にする。また日銀は、日本国政府の政府預金を10億円減らして0円にする。
4.が終わった時点での貸借対照表(バランスシート)は、1.に比べて次のように変化している。民間部門全体で見ると、公共事業に関する労働の対価として国債という資産を得たことになる。
資産 | 負債 | 備考 | |
ドワンゴ建設 | 銀行預金 +10億円 |
公共事業に関する労働を提供する義務を負う | 労働の代償としてお金をもらった |
カドカワ銀行 | 日銀当座預金 +10億円 |
銀行預金 +10億円 |
少しだけだが、損をする。日銀当座預金には短期金利の幅の最低限ぐらいの利子がつき、銀行預金には短期金利と同じぐらいの利子を付けねばならない。ただし、日銀当座預金を使って短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場で貸し付けしたり、日銀当座預金を使って国債を購入すれば、その損を取り返すことができる |
ニコニコ銀行 | 日銀当座預金 -10億円 |
銀行預金 -10億円 |
少しだけだが、得をする。 |
ひろゆき生命 | 国債 +10億円 銀行預金 -10億円 |
少しだけだが、得をする。国債は基本的に銀行預金の利率よりも高い利回りで発行されている。 |
この場合、カドカワ銀行とニコニコ銀行の預金額の合計は、増減がない。
2006年頃から2019年現在まで、国債保有者における保険企業の割合は18~22%程度となっている。ゆえに、上記のケースも多々発生していることになる。
ひろゆき生命の銀行預金が、国債を介して、ドワンゴ建設の銀行預金に姿を変えた・・・という風にとらえることもできる。ひろゆき生命の銀行預金があまり消費されない性質のもので、ドワンゴ建設の銀行預金は従業員の給料になるなどして消費に使われる性質のものなので、このケースにおいても国債発行は景気刺激の効果があると言える。
ちなみに、このことを経済学の用語を使って表現すると「ドワンゴ建設の銀行預金は高い乗数効果をもたらす、ひろゆき生命の銀行預金は低めの乗数効果しかもたらさない」となる。
まとめ
政府が国債を発行して得られた資金で国内の企業・家計向けに財政支出するとき、日銀当座預金を持つ金融機関が国債を保有するケースと、日銀当座預金を持たない企業が国債を保有するケースを比較すると、次のようになる。
日銀当座預金を持つ金融機関が国債保有 | 日銀当座預金を持たない存在が国債保有 | |
代表例 | 銀行、証券企業 | 保険企業、個人、GPIF |
日銀当座預金の全体額 (マネタリーベース) |
増減なし | 増減なし |
銀行預金の全体額 (マネーストック) |
増加する | 増減なし |
いずれの場合でもマネタリーベースが増減なしになる。一方、日銀当座預金を持つ金融機関が国債保有するときに限り、マネーストックが増加する。
インフレの発生原因を説明する考え方にはおおむね2通りあり、「世の中に出回る通貨の総量が増えるとインフレになる」という貨幣数量説風の考え方と、「世の中の需要が供給に比べて増加するとインフレになる」という需給バランス重視の考え方がある。
「世の中に出回る通貨の総量が増えるとインフレになる」という貨幣数量説風の考え方に従うと、「日銀当座預金を持つ金融機関が国債保有するときはマネーストックが増えるのだからインフレになる」という考えになる。
「世の中の需要が供給に比べて増加するとインフレになる」という需給バランス重視の考え方に従うと、「日銀当座預金を持つ金融機関が国債保有するときはマネーストックが増えるが、それによって直ちにインフレになるとは限らない。世の中の人々の不確実性が増すなどして将来不安が広がっていると『将来に備えて貯蓄しよう』という考えが広がって消費と需要が増えないので[27]、インフレにならない」という考え方になる。
国債の返し方
国債には支払い期日というものがあり、満期になると元本を償還しなければならない。また、利付債なら定期的に利子を支払わねばならない。このため政府にとっての負債といえる。
国債の元本と利子をどのように支払うかについて、大きく分けて3つの方法がある。中央銀行が国債を買い取る方法と、借り換えを行う方法と、税金で返済する方法である。
中央銀行が国債を買い取る
日銀が国債を買い取って国債の返済をする方法は2つに分かれる。
1つは買いオペレーションである。日銀が日銀当座預金を発行して国債を買い上げる。
もう1つは中央銀行の国債直接引き受けである。日本国政府が日銀に国債を購入させて政府預金を手に入れて、その政府預金で国債の元本・利子を償還する[28]。
買いオペレーションも中央銀行の国債直接引き受けも、日銀の持つ通貨発行権を利用して国債の返済をしている。
いずれの場合でも、市中銀行は、日銀当座預金を増やすことになる。日銀当座預金が増えると、短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場で資金の貸し手が多くなって資金の借り手が少なくなり、無担保コール翌日物金利が下がり、短期金利が下がっていき、世の中の1年以内の貸出金利も下がっていく。デフレに苦しんでいるときはこの方策を採用することになる。インフレで苦しんでいる状況では、あまりこの方策を採用したくないと言える。
日銀当座預金や銀行預金の変化は2パターンに分かれる。銀行は日銀当座預金を持つ存在の代表、生命保険は日銀当座預金を持たない存在の代表、と考えておけばいい。
日銀当座預金 | 銀行預金 | |
買いオペや直接引き受けで銀行保有の国債の元本・利子を返す | 増加 | 増減なし |
買いオペや直接引き受けで生命保険保有の国債の元本・利子を返す | 増加 | 増加 |
国債発行残高の変化は2パターンに分かれる。ちなみに、直接引き受けに関しては「日本政府が日銀に国債を0%利回りで直接引き受けさせて、得られた政府預金で返済をする」と仮定している。
累積国債発行残高 | 市中に出回る国債 | 日銀保有の国債 | |
買いオペで元本・利子まとめて返済 | 増減なし | 減少 | 増加 |
直接引き受けで元本返済 | 増減なし | 減少 | 増加 |
直接引き受けで利子返済 | 増加 | 増減なし | 増加 |
借り換え
借り換えという方法は、国債返済の資金を新規国債の売却で調達する方法である。
借り換えの際に発行される新規国債のことを借換債(かりかえさい)という。この借換債は国庫短期証券の形式で発行される。
利付債の国債Aの利子を払う期日が近づいたら、国債Bを発行して国債市場に売却して日本国政府の政府預金を増やしておく。国債Aの利子を払う期日になったら、政府預金を支払って償還する。
利付債または割引債の国債Cの元本を払う期日が近づいたら、国債Dを発行して国債市場に売却して日本国政府の政府預金を増やしておく。国債Cの元本を払う期日になったら、政府預金を支払って償還する。
国債Aは市中に残り続けるし、国債Cは国債Dに姿を変えただけであるので、国債が市中に存在し続けることに変わりがなく、現状維持の方策だといえる。
日本国政府は、借り換えによって少しずつ国債の累積発行額が増えていく。次の紫枠の中では、既存の国債を借り換えによって返済するとき日本政府の国債の累積発行額が増えていくことを示している。
額面金額1億円で表面利率2%の2年物固定利付債があるとする。1年目は100万円の利払いを2回行い[29]、2年目も100万円の利払いを2回行い、支払期日になって1億円を償還する。
この国債を全て借り換えで返済するのなら、100万円を調達する借換債を4回発行し、1億円を調達する借換債を1回発行するのだが、これらの借換債は国庫短期証券市場の利回りに合わせた利回りで発行される。
国庫短期証券市場の1年物債券の利回りが2%なら、100万円を調達するために額面金額102万円の1年物借換債を売ることになるし、1億円を調達するために額面金額1億200万円の1年物借換債を売ることになる。
額面金額1億円で表面利率2%の2年物固定利付債は合計の負債が1億400万円だが、それが借り換えによって額面金額102万1年債4つと額面金額1億200万円の1年債1つになり、合計の負債が1億608万円になった。
借り換えで返済するとき、日銀当座預金の総額が変化しないので、短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場で資金の貸し手も資金の借り手も増減せず、無担保コール翌日物金利が維持され、短期金利が維持され、世の中の1年以内の貸出金利も維持される。インフレ率が2~3%でとてもちょうど良い状態の時は、この方策を採用することになる。
借り換えで返済するとき、日銀当座預金や銀行預金の変化は3パターンに分かれる。
日銀当座預金 | 銀行預金 | |
銀行に国債を購入させて銀行保有の国債の元本・利子を返済 | 増減なし | 増減なし |
銀行に国債を購入させて生命保険保有の国債の元本・利子を返済 | 増減なし | 増加 |
生命保険に国債を購入させて銀行保有の国債の元本・利子を返済 | 増減なし | 減少 |
生命保険に国債を購入させて生命保険保有の国債の元本・利子を返済 | 増減なし | 増減なし |
借り換えで返済するとき、国債発行残高の変化は1パターンのみになる。
累積国債発行残高 | 市中に出回る国債 | 日銀保有の国債 | |
借り換えで元本返済 | 増加 | 増加 | 増減なし |
借り換えで利子返済 | 増加 | 増加 | 増減なし |
税金で返済する
税金を徴収して、日本国政府の政府預金を増やし、その政府預金で国債を償還する方法がある。必要に応じて税率を上げて税収を増やす。デフレ圧力がかなり高い。
インフレで苦しんでいるときは、税金返済の方策を採用することになる。デフレに苦しんでいる状況では、あまり税金返済の方策を採用すべきではないと言える。
お金の流れを詳しく解説すると、2つのケースに分かれる。
日銀当座預金を持つ存在(銀行)が国債保有者であるケースは、次のようになる。
ニコニコ銀行が1億円の国債を保有していて、それを税収で償還するとする。
民間人が政府に対して1億円を納税し、民間人の銀行預金1億円が消滅する。市中銀行から政府に対して送金が行われ、市中銀行が日銀当座預金1億円を減らし、政府が政府預金を1億円増やす。
政府は、手にした1億円の政府預金でニコニコ銀行保有の国債を償還し、政府預金を1億円減らす。ニコニコ銀行は政府から日銀当座預金1億円を受け取り、ニコニコ銀行が保有していた国債は消滅する。
以上を振り返ると、銀行預金が1億円減り、日銀当座預金に増減がないことが分かる。
銀行預金が純粋に減り、市中に出回っているお金(マネーストック)が減る。
日銀当座預金を持たない存在(生命保険)が国債保有者である場合は、次のようになる。
ひろゆき生命が1億円の国債を保有していて、それを税収で償還するとする。ひろゆき生命はニコニコ銀行に口座を開設していることにする。
民間人が政府に対して1億円を納税し、民間人の銀行預金1億円が消滅する。市中銀行から政府に対して送金が行われ、市中銀行が日銀当座預金1億円を減らし、政府が政府預金を1億円増やす。
政府は、手にした1億円の政府預金でひろゆき生命保有の国債を償還するため、ニコニコ銀行に1億円の送金をする。政府は政府預金を1億円減らし、ニコニコ銀行は日銀当座預金を1億円増やす。ニコニコ銀行はひろゆき生命の口座に1億円を書き入れ、ひろゆき生命が保有していた国債は消滅する。
以上を振り返ると、銀行預金に増減なし、日銀当座預金にも増減がないことが分かる。
民間人の銀行預金が、ひろゆき生命の銀行預金に化ける形になる。ひろゆき生命は国債に投資するような企業なので、あまり消費を活発に行わない存在である。世の中の消費がすこし鈍り、景気を冷やすことになり、デフレ圧力がかかる。
以上の例え話を表にまとめると、こうなる。
日銀当座預金 | 銀行預金 | |
銀行保有の国債の元本・利子を税金で返済 | 増減なし | 減少 |
生命保険保有の国債の元本・利子を税金で返済 | 増減なし | 増減なし |
累積国債発行残高 | 市中に出回る国債 | 日銀保有の国債 | |
税金で元本返済 | 減少 | 減少 | 増減なし |
税金で利子返済 | 増減なし | 増減なし | 増減なし |
経済に与える影響の観点から3つの方法を比較
国債の返し方には3つの方法があるが、それらが経済に対してどのように影響を与えるかという観点から比較すると、以下のようになる。
中央銀行購入 | 借り換え | 税金返済 | |
経済に対する影響 | 短期金利が下落する | ほとんど影響を与えず、平穏である | デフレ圧力が強まる |
借り換えという方策は、国債発行残高が一向に減らずにじわじわ増えていくので、国債恐怖症を発症している人から見ると極めて過激で恐ろしい方策に思えるのだが、経済に与える影響という観点では最も安全で穏健な方策である。
「国債とは、基本的に借り換えされるものである。それゆえ、基本的に増え続けていく」といわれることが多い。その言葉通り、日本の国債はずっと右肩上がりで増え続けている。アメリカ合衆国の国債も同様で、右肩上がりで増え続けている。日本もアメリカ合衆国も、借り換えという穏健な方策を採用し続けてきたのである。
税金返済という方策は、デフレ圧力が強すぎてあまりお奨めできないというのが実情である。この方策を採用するにはプライマリーバランスを黒字化しなければならないが、プライマリーバランス黒字化を達成したら大不況に陥るという不吉な法則が存在する。(詳細は、プライマリーバランスの記事を参照のこと。)
「どういう通貨を支払う国債か」という観点から3つの方法を比較
自国不換銀行券建て国債なら、中央銀行購入と借り換えと税金返済の3方法の全てを採用できる。
自国兌換銀行券建て国債や、他国不換銀行券建て国債や、他国兌換銀行券建て国債や、共通不換銀行券建て国債や、共通兌換銀行券建て国債なら、中央銀行購入という手段を採用できず、借り換えもやや困難で、税金返済の手段を中心にせざるを得ない。
以上のことをまとめると次のようになる。
中央銀行購入 | 借り換え | 税金返済 | |
自国不換銀行券建て国債 | 採用できる | 採用できる | 採用できる |
自国兌換銀行券建て国債 | 採用できない | 採用するのに限界がある | 採用できる |
他国不換銀行券建て国債 | |||
他国兌換銀行券建て国債 | |||
共通不換銀行券建て国債 | |||
共通兌換銀行券建て国債 |
債務不履行(デフォルト)の可能性
国債の利子や元本を返済できなくなることを債務不履行(デフォルト)という。
国債の債務不履行(デフォルト)の可能性は、政府にとって「国債の券面に書かれている通貨」の入手が簡単かどうかで大きく変動する。
自国不換銀行券建て国債を発行する政府は、自国中央銀行に対して強い影響力を行使できる。そして政府の影響力を受けた自国中央銀行は不換銀行券としての通貨をごく簡単に発行できる。政府は自国中央銀行に対して通貨を発行させてから新規国債を売却すれば容易に通貨を入手できるので、「国債の券面に書かれている通貨」の入手が極めて簡単である。このため自国不換銀行券建て国債は債務不履行の可能性が存在しない。
自国兌換銀行券建て国債と他国不換銀行券建て国債と他国兌換銀行券建て国債と共通不換銀行券建て国債と共通兌換銀行券建て国債は、国債を発行した政府が「国債の券面に書かれている通貨」を極めて簡単に入手できるわけではない。このため債務不履行の可能性が存在する。
日本の江戸時代では、徳川幕府が江戸や大阪の商人に対して「御用金(ごようきん)」というものを課した。これは近現代の国債とよく似たもので、徳川幕府が将来の返済を約束して商人に対して証書を発行してお金を借り上げたものである。幕末になって薩摩藩や長州藩との戦争が増えて徳川幕府が戦費の調達に励むようになると、御用金が多く課された。表向きは利子を付けて元本を返済することを約束されたが、利子も元本も債務不履行になったケースが多かった。
江戸時代の後半になると徳川幕府が通貨発行権を完全に掌握していて、通貨の発行によって財政収入を得ることが常態化していた[30]。とはいえ、不換銀行券や政府紙幣(不換紙幣)ほど簡単に通貨を発行できるわけではなく、小判の新規デザインを考えてから世の中に流通する小判を回収し、中古の小判を鋳つぶして新規の小判を鋳造するという改鋳をする必要があった。徳川幕府にとって新規通貨発行はやや面倒な作業であり、「御用金の証書に書かれている通貨」を極めて簡単に入手できるわけではなかった。このため債務不履行に踏み切ったことが多かった。
以上のことをまとめると次のようになる。
国債や証書に書かれた通貨を政府が入手することが容易であるかどうか | 債務不履行(デフォルト)の可能性 | |
自国不換銀行券建て国債 | 極めて容易 | 存在しない |
江戸時代の徳川幕府の御用金 | やろうと思えば可能だが、なかなか面倒。あまり容易ではない | 存在する |
自国兌換銀行券建て国債 | 容易ではない | |
他国不換銀行券建て国債 | ||
他国兌換銀行券建て国債 | ||
共通不換銀行券建て国債 | ||
共通兌換銀行券建て国債 |
国債の債務不履行(デフォルト)と税金の徴収は非常によく似ている
国債の債務不履行で有名なのはアルゼンチンで、他国不換銀行券建て国債の一種である「アメリカ合衆国ドル建てアルゼンチン国債」を債務不履行に陥らせる常習犯として悪名高い。
先述のように、日本の江戸時代では、徳川幕府が江戸や大阪の商人に対して「御用金(ごようきん)」というものを課した。利子や元本が債務不履行になったケースが多かった。
アルゼンチンの債務不履行も、徳川幕府の債務不履行も、それらの行為を被った人にとって貸した金が戻ってこなくなったわけであり、貸した金を喪失したわけであり、実質的に税金を徴収されたのと同じである。税金の徴収という行為は、国内に住む人に対して財産の一部を取り上げて財産権の一部を喪失させる行為である。
相手の資産を対象にして課税することを資産課税という(詳しくは税金の記事を参照のこと)。「国債の債務不履行は資産課税と同じようなもの」と表現することができる。
国債に関する表現
日本政府が発行している国債は自国不換銀行券建て国債だが、その自国不換銀行券建て国債をどのように表現するべきか、しばしば論争になる。
※これ以降の本項目では「自国不換銀行券建て国債」を「国債」と表記する。
中央銀行にとって、通貨の材料であり売りオペの弾丸であり掃除機
中央銀行にとって、国債とはどういうものだろうか。
まず間違いないことは、国債は中央銀行にとって通貨の材料である、という点である。
日本銀行は、「政府が円という通貨を支払います」と約束された国債を買い取って、その代償として円という通貨を新規に発行している(買いオペ)。
また中央銀行は、通貨を発行しすぎたと判断した場合、保有している国債を市場に売却している。そうすることで通貨を正式に消滅させている(売りオペ)。
通貨というものは、現金通貨の形態なら持っていても利子が付かないし、中央銀行預金の形態なら国債よりも低い利率の利子しか付かない。一方で、国債には中央銀行預金の利率よりも大きい利回りで発行され、増殖の速度が中央銀行預金の形態よりも圧倒的に速い。このため、日銀が売りオペして国債を売り出すと、とても順調に国債が売れていき、確実に市中の通貨を減らすことができる。このため日銀にとって、国債とは売りオペの弾丸であり、余分な通貨を吸収する掃除機であり、売りオペに際して最も頼りになる道具である。
政府に発行されて国債市場に売却された国債は、日銀と、日銀以外の市場参加者の間を、キャッチボールの球のごとく行ったり来たりすることになる。日銀の手元に国債が入ったら通貨が新規発行され、日銀の手を離れて日銀以外の市場参加者の手元に国債が収まったら通貨が消滅する。
銀行・保険企業にとって、通貨自動増殖券であり経営を助ける貯金箱
「国債を発行する政府」や「国債の券面に書かれている通貨を発行する中央銀行」を除いたすべての国債市場参加者にとって、国債とはどういうものだろうか。
「100%確実に増殖することが保証されている金融商品」というのが、国債というものをもっとも的確にとらえた表現である。株式・土地・金塊・石油といった商品にはすべて値下がりのリスクがあり、社債または金融債といった民間債には債務不履行のリスクがある。ある通貨を100%確実に増殖させる金融商品というのは、国債と、その通貨を発行する中央銀行が発行する中央銀行手形だけである。
「国債を発行する政府」や「国債の券面に書かれている通貨を発行する中央銀行」を除いたすべての国債市場参加者にとって、国債は100%確実に利子をもたらしてくれる宝物であり、通貨自動増殖券であり、経営を助ける貯金箱である。
国債を好んで買う団体というと銀行や保険会社といった金融機関である。そうした金融機関は、国債の保有によって安定した利子収入を得て経営の安定度を高めている。そのため、国債のことを「政府が発行する金融機関支援券」と表現することができる。
政府にとって、無限であり有限である資金調達手段
国債を発行する政府の立場から国債というものを見つめ直すと、「無限の資金調達手段」となる。政府というのは、日銀法第4条に基づいた日銀の支援をいつでも受けられる立場にあるので、国債による資金調達を無限に行うことができる。ゆえに、そういう表現が可能となる。
もちろん政府は憲法で行動を制約されている。憲法前文には「国民に福利をもたらすような国政をしろ」と書いてある。
無限大に資金を調達して無限大に政府支出して官公需を目一杯増やして年率10%を大きく越えるような高率のインフレをもたらすと、通貨価値が下落して物価が上がるので、金銭債務を持つ者は大きく得をするが金銭債権を持つ者が大きく損をすることになり、国民の一部が大きく得をして国民の一部が大きく損をすることになる。
だから結局、政府にとって国債は、「日銀法第4条によって無限に販売できるが、憲法によって販売が有限となる換金商品」ということになる。無限であり有限である資金調達手段、という表現になる。
「国の借金」と「政府の借金」
日本国政府の一部門である財務省は、国債を「国の借金」と好んで呼んでいる。同省の作成する資料にはそういう表現が載っている(検索例)。
これに対し、経済評論家の一部は、国債を「政府の借金」と表現することを好んでいる。借金をしているのは政府であり、国民は政府に対して貸付を行っているのであり、政府が国債を発行して「政府の借金」を増やすほど国民の貸付金額すなわち資産が増加するのであり、政府が国債を発行するほど国民は豊かになる、という論理展開が行われることになる。「国債は政府の借金で、それと同時に政府以外の全員にとっての資産」という結論に到達することになる。
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関連項目
- 銀行
- 中央銀行
- 日本銀行
- 信用創造
- 準備預金制度
- マネタリーベース(日銀当座預金)
- マネーストック(マネーサプライ)
- ゼロ金利政策
- マイナス金利政策
- 量的金融緩和
- インフレーション
- デフレーション
- 短期金融市場
- 長期金融市場
- 資金供給オペレーション
- 資金吸収オペレーション
- 中央銀行の国債直接引き受け(マネタイゼーション)(財政ファイナンス)
- ヘリコプターマネー(ヘリマネ)
脚注
- *国庫短期証券のなかの政府短期証券の部分は、政府が一時的な資金不足を補う目的、言い換えると資金繰りをする目的で政府が発行しているのであり、歳出需要をまかなう目的で発行しているわけではない。
- *発行者が「券面に記載された期日に券面に記載された通貨を券面に記載された金額だけ支払う」と約束して負債証明書として発行する証券というと手形が挙げられるが、手形は市場で売買しやすくしてあるわけではない。
- *債券は、「債券に明記されている通貨を発行する中央銀行がある国」の債券市場だけでなく、「債券に明記されている通貨を発行する中央銀行がない国」の債券市場に売り出すことがある。日本円を多く持っている日本国外の企業に対して日本国外で売り出される円建て債券をユーロ円債という。世界各国に輸出して外貨を多く稼ぐ日本企業に対して日本国で売りだされる外貨建て債券をショーグン債という。そういう例があるが、基本的には「円建ての債券は日本国の債券市場で売り出される」「アメリカ合衆国ドル建ての債券はアメリカ合衆国の債券市場で売り出される」と憶えておいてよい。
- *政府予算の一部を占める特別会計でも国債が発行されて市場に売却され、政府が通貨を獲得している。特別会計においても政府が獲得した通貨は、歳入という項目の「公債金」に入る(平成30年度東日本大震災復興特別会計
、平成28年度財政投融資特別会計
)
- *日銀当座預金の利率が0%の時代なら、必ず0%を上回る利回りで政府が国債を発行する。こうした時代においては「日銀当座預金には利子が付かないが、国債には利子が付く」と言われる。
- *ちなみに確実に日本の通貨を増やすことができる金融商品というともう1つあり、中央銀行が発行する手形である。日本なら日銀が発行する日銀手形である
- *売り現先は、一定期間の後に買い戻す約束をしつつ債券を売却して資金を調達する行動で、実質的に、債券を担保にして資金を借り入れる行動である。詳しくは短期金融市場のオープン市場の現先市場の項目を参照のこと。
- *銀行が住宅ローンを組むとき、新築なら30年ローン、中古物件なら25年ローンを組むことが多いとされる。
- *自動車ローンの期間は5年から10年まで様々なものがある。銀行は期間を長めにする傾向にあり、自動車販売業者は期間を短めにする傾向があると言われる。
- *債務管理リポート2020
39ページ
- *政府の口座に入っているときの中央銀行預金は政府預金と呼ばれ、市中銀行の口座に入っているときの中央銀行預金は日銀当座預金と呼ばれる。
- *買い現先は一定期間の後に売り戻す約束をしながら債券を買い取る行為であり、実質的に債券を担保とした貸し付けである。詳しくは短期金融市場のオープン市場の現先市場の項目を参照のこと。
- *教えて!にちぎん 国債にはどのような種類がありますか?
- *特例国債法
は1965年度(昭和40年度)の初制定から2011年度(平成23年度)の制定まで1年かぎりの時限立法とするのが恒例だった。しかし2012年度(平成23年度)からは複数年限りの時限立法で制定されるようになった。
- *国庫金とは、日本政府が保有する現金のことで、政府が日本銀行に開設する口座に収まっている政府預金のことをさす。国庫金は、日本政府に直接属するものと、日本政府が法令又は契約に基づき一般私人等から提出され一時保管している現金(保管金、供託金)と、公庫から国庫に預託された業務上の現金(公庫預託金)がある。財務省資料
や日銀資料
も参照のこと。
- *財務省は毎年『債務管理リポート
』を発行しているが、その中で「歳出需要を賄うための国債」と記述しつつ(資料
)、「政府短期証券は、国庫金の短期の資金繰りのために、また特別会計の一時的な資金不足のために発行する」と記述していて(資料
)、国債と「国庫短期証券のなかの政府短期証券の部分」を区別する傾向がある。
- *債券の基本とカラクリがよ~くわかる本 第3版(秀和システム)久保田博幸 82~83ページ
- *財務省ウェブサイトの国債等関係諸資料
の『国債発行額の推移(当初ベース)』を参照にした。
- *債務管理リポート2020
39ページ
- *経済学とは何だろうか ー現実との対話ー
(八千代出版)青木泰樹 255ページにおいて「制度的に日本銀行への利払い分の95%は政府へ還流する仕組みだからである。」と記述されている。
- *この当時は英国が世界一の超大国であり、英国のポンドが基軸通貨で、日本政府が海外から軍需物資を購入するときに使うことができる外貨だった。
- *この時代になるとアメリカ合衆国が世界一の超大国で、アメリカ合衆国の米ドルが基軸通貨であり、世界各国間の国際貿易の決済に使われるようになっていた。
- *英語版Wikipedia記事
、米国財務省資料A-12~A-15
を参照。
- *財務省資料
- *日本政府に米国債の保有高を質問しても、「金融・為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため公表しないことにしている」と答弁されるだけである。2011年6月28日政府答弁書
が好例である。
- *財務省ウェブサイトの国債等関係諸資料
の『国債等の保有者別内訳』を参照した。
- *不確実性に備えて通貨を貯蓄することを予備的貯蓄という。「不確実性が強まるほど人は通貨を予備的貯蓄したがるようになり、消費を避けるようになる」と指摘したのはジョン・メイナード・ケインズである。
- *中央銀行の国債直接引き受けは財政法第5条で基本的に禁止されていて、2021年現在における日本政府や日銀もその法律を守っているが、本項目では「中央銀行の国債直接引き受けが行われている」と仮定することにする。
- *日本政府は利付債の利払いを半年に1回のペースで行うことが通例である。債務管理リポート2020
39ページ
- *第11代将軍・徳川家斉や第12代将軍・徳川家慶が世を治めていたころは文政の改鋳や天保の改鋳が行われ、徳川幕府に莫大な貨幣利益をもたらした。
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