国士無双とは、
『国士』はその国の中で最も優れている人物、『無双』は並ぶ者のないという意味を指し、「天下に並ぶ者が居ないほど大変に優れた者」の事である。
語源は前漢の高祖劉邦に仕えた大将軍、韓信を讃えた史記から。
故郷を離れた劉邦軍から逃げ出した将のうち、韓信だけを丞相の蕭何が連れ戻した際、その理由を問われた時の蕭何の返答
「韓信は国士無双であり、他の雑多な将軍とは違う。
(劉邦が)この漢中にずっと留まるつもりならば韓信は必要無いが、漢中を出て天下を争おうと考えるのなら韓信は不可欠である」
に由来する。
麻雀における国士無双
国士無双は麻雀の役でもある。役満として扱われる。
もともとの名称は十三么九(シーサンヤオチュー)で、国士無双は雅名[1]である。
么九牌[2]という普通は扱いづらい牌のみを集中して扱うため、比較的成立させやすい役となっている。
大三元、四暗刻と並び、出しやすい役満として有名で、役満御三家や三大役満などと呼ばれることも。(ただし他の一般役とは比べ物にならないほど難しい役ではある)
某漫画の影響で、ごく一部ではライジング・サンと呼ばれることも。なお正式な英語名は "Thirteen Orphans"(サーティーン・オーフェンズ:13人の孤児)なので、もし某国大統領とかと麻雀を打つ機会があっても、「ライジング・サン!」と言い放とうが通じないので注意。
役の作り方
国士無双は么九牌のみを揃えて和了る役である。么九牌13種14枚での和了となるので13種全てが使われる役である。
つまり么九牌はどれか一種類は2枚あることになる。残りは全て一枚ずつである。
聴牌した際の「待ち」の形は2種類に分ける事が出来る。12種13牌(=何れか一種の牌を2枚持っている)状態の待ちがスタンダードな「国士無双」であり、揃っていない最後の1種を待つ事になる。この待ちは通常の待ち方(両面・嵌張・辺張・双碰・単騎)のいずれにも属さない特別な待ち方である。このような待ちを単騎待ちと呼ぶこともあるが、雀頭となる牌を待っているわけではないため、この表現は誤りである。
例:国士無双(一面待ち)
もう一つの待ちが、聴牌の時点で13種13牌が揃っており、么九牌13種全てが当たり牌の待ち「国士無双十三面待ち」である。ローカルルールによっては、四暗刻単騎待ちや九蓮宝燈九面待ち、大四喜と同様にダブル(2倍)役満とする場合がある。ちなみに、前述のライジング・サンという呼称は、厳密にはこの十三面待ちの場合に使用されるものであり、通常の国士無双の和了りに用いるのは適切ではない。
例:国士無双(十三面単騎待ち)
もともと国士無双(十三么九)と十三不搭は、配牌時に刻子・槓子・順子・対子・搭子が一切ない状態(十三么九の場合はこれに加え、么九牌のみで揃えるという条件がある)での和了を指していた。当初は雀頭が不要であったが、後に雀頭をチー・ポン・カンが一切宣言されていない純粋な第一ツモ以内に揃えるという条件が追加された。その後は国士無双に限り、手作りも認められるようになったが、最初の頃は十三面待ちでなければ、国士無双として認められなかった。そして現在では、結果的に么九牌13種14牌であれば国士無双として認められるようになったという経緯がある。
また一説には、もともと十三不搭は十三么九の別名で、日本に伝来した際、日本人の誤解釈によって分離された派生役とも言われている。
そのためこの国士無双十三面待ちのことを、本来の国士無双という意味で「純正国士無双」と呼ぶこともある。同様の理由で、九蓮宝燈九面待ちを「純正九蓮宝燈」と呼ぶこともある。前述したが、四暗刻単騎も含めいずれの役もルールによってはダブル役満となる。
比較的上がりやすいとはいえ、一般的に有用である牌から切っていく為、捨牌でバレやすい。また、么九牌は一般的に不要牌になりやすいものが多い為、聴牌する前に牌が全部使い切られてしまう事も少なくない。「国士狙い」していそうな者がいればなおさらとっとと処分されてしまう事だろう。
さらに、一般的な手作りの役ではないため、聴牌するまで鳴く事もできず、自力で13牌を揃える必要がある。いかにして国士狙いであるかを悟らせず、尚且つスピーディに聴牌するかがポイントである。
こうした性質上、配牌が么九牌ばかりで、タンヤオやピンフ等の形に持って行きづらい時に狙われる。九種九牌で流局するか国士無双を狙うかの選択で悩む場面も多い。
バラバラな牌で和了る
このように「鳴く」「順子や刻子を作る」といった普段の役で見慣れた手作りが無い役は古くはもっと多く存在した。確かに今でもローカルでは残っているものも多い。しかし、そのような役は定義が曖昧だったり、あまりに特殊な役でルールに取り入れにくかったりしたため、競技ルールの整備とともに廃れていった。とはいえ中国麻雀など、立直麻雀以外ではいまだ健在である。
…etc.
暗槓に対しての槍槓
槍槓(チャンカン)とは他家の加槓(ポンした牌に手牌からもう1枚を加えて槓子とするカン)した牌に対しロン和了することで成立する1翻役であるが、和了手が国士無双の場合に限り暗槓(手牌で4枚を揃えて槓子とするカン。通常は暗槓に対し槍槓はできない)に対しても槍槓でのロン和了を認めるローカルルール(通称「国士槍槓」)が存在する。
暗槓に対して槍槓で和了が認められる唯一のケースであり、ルールとしてはそれなりに浸透しているようである。
なお、国士無双の時点で役満であるため青天井でもなければ槍槓1翻は考えないことになる。
例
このような形で聴牌している場合、
相手(他家)の暗槓(アンカン)→に対しても例外的にロン和了ができる。
全てを1枚ずつ持っている13面待ち形では(普通は)他家がカンをすることができないので、アタマが揃ってどれかが欠けている通常の国士無双でのみ起こり得る現象である。
役満の中では最も出現率の高い役のひとつである国士無双とはいえ、国士槍槓が成立するには他家が当たり牌を4枚揃えてしかもそれをカンしてくれなければならないというきわめて稀な状況が必要であり、そうそうお目に掛かれるものではない。
このルールの存在により、国士槍槓が採用されている卓で暗槓によって国士を殺そうとすると逆に撃墜されるおそれがある。振り込まないようにするには4枚を握り続けるしかなく、もしそれが字牌だった場合、握ったプレイヤーは4枚使用の七対子が認められない限りもう和了は不可能である。
逆に言えば、国士聴牌側は当たり牌を暗槓される気配が強くてもそれを理由に和了を諦める必要はない。ただし、このルールはそれなりに有名である為、残念ながら暗槓する人はほとんどいないと思われる。
もちろん国士槍槓を採用していない場合もあるので、まず出ないとは思うが事前に確認しておくのが好ましい。
十三面待ちのフリテン
国士無双に限り、現物以外はフリテンとならないというルールも存在する。かつてはルールブックにも記載されていたほど知られていたルールだったが、現在では一部で採用されるローカルルールとなっており、事前に言われなければ非採用であると考えていい。
実演
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関連項目
脚注
- *ガメイ:物の風流な呼び名のこと。
- *ヤオチュウハイ:萬子、索子、筒子の1,9および字牌と三元牌のこと。全部で13種ある。「么」の字は「幺」の異体字だが、本来日本語にない漢字のため「公」で代用されるかカタカナで「ヤオ」と書かれることが多い。
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