国旗損壊罪とは、2026年8月に施行された「国旗の損壊等の処罰に関する法律(通称:国旗損壊罪法)」に伴う犯罪である。
概要
日本国を侮辱する目的で、国旗を汚損、棄損、除去する犯罪である。
この法律は古くは1990年代から導入が議論されていた。国旗及び国歌に関する法律が1999年に制定されたときも、処罰対象にすべきであるという議論はあったが、この時は見送られた。それ以降も、単発的に導入すべきの意見は上がったが、いまいち盛り上がることはなかった。
2025年に高市早苗内閣が成立すると、高市早苗および参政党などが導入に前向きな姿勢を見せたことによって、再び脚光を浴びることとなった。
賛成意見
国旗及び国歌は尊重されるべきである
単純に、国旗や国歌を尊重すべきであって、これらを尊重しない態度が処罰されるべきであるということ。また、内心国旗や国歌が嫌いでもそのような内心の思想だけでは逮捕されず、行動にして初めて逮捕されるのだから問題ない。また、そのような国旗を侮辱するところをみたくないという心情を守るために必要である。
外国国旗を侮辱すると犯罪なのに、日本国旗を侮辱することは問題ないのはおかしい
外国の国旗、国章を侮辱する目的で破壊することを罰する「外国国章損壊罪」がある。だから、外国国旗国章を損壊することが罪になるのに、日本国旗はそうではない、というのはおかしいということ。表現の自由を損なうというのなら、外国国旗を破壊することが罪になることも違憲である。
反対意見
表現の自由の侵害である
諸外国では自国の国旗を損壊することに刑事罰を科す法律があると主張しているが、これは真っ赤な嘘であり、米国、英国、カナダ、オーストラリア、デンマークなどの先進諸国に国旗を冒涜することに刑事罰を科す法律はない。米国では一度成立したが、テキサス州対ジョンソン事件及び合衆国対アイクマン事件で表現の自由に反するとしてアメリカ合衆国連邦最高裁判所で違憲無効とする判決が出ている。
国旗を燃やしたり汚したりする表現の自由は認められなければならない。その表現の自由を認めることで、国旗および日本の力強さは増す。国旗というのは形而上の存在であり、物理的に燃やされようが汚されようが、国旗及び日本の本質的な価値はいささかも貶められたりしないのだ、という意見。
誰が告訴するのか、侮辱する意図、日本国旗かどうかが曖昧である
国旗を棄損したことに対して、誰が告訴するのだろうか?仮に誰でも告訴通報していいことになると、嫌がらせ目的で「×田〇美が日本国旗燃やしつつ反日発言をした」みたいな通報がじゃんじゃん警察にかかってきて、警察がかえって困るのではないか?という懸念がある。
侮辱する意図というのも、誰が証明するのかが謎である。また、燃やして捨ててしまえば証拠は残らないが、誰が立証するのだろうか?
日本国旗のデザインがシンプルで、ただの「白地に赤丸」の紙や布なのか、国旗なのかが曖昧なのも問題である。仮に白紙に赤丸を書いて、何か反日発言をしながら燃やしたらどうなるのだろうか?
外国国章損壊罪の場合は「侮辱する目的で」「汚損、除去、毀損する」「外国政府が告発することで告訴できる親告罪」などと構成要件や誰が告発するのかをガチガチに決めている。だから、表現の自由の名のもとデモで韓国国旗を燃やしても直ちに逮捕はされないし、ただ単に国旗を汚してしまったとか、捨てただけで逮捕されるわけではない。ここを曖昧にしたまま法律が成立してしまうと、恣意的に「左翼的な思想を持っている」「行政に批判的な思想を持っている」「メディア関係者であり、行政に都合の悪い報道をする」みたいな理由で逮捕できたり、訳の分からない通報が大量になされる可能性がある。
なお、よく言われている「外に飾っていたら色あせてしまった場合」「雨が降ってきて濡れた場合」「コーヒーをこぼして汚してしまった場合」「要らない国旗を捨てたり、日の丸弁当を食べたり、お子様ランチの日の丸を捨てたら捕まる」「運動会の後国旗を除去してお片付けしたら捕まる」みたいなのは心配しなくてもよいと思われる。これらから侮辱の意図を立証することはできないからである。仮に「内心国旗を汚損する目的で外に飾っていた」などと告発しても、証拠不十分であろう。ただし、「侮辱する目的で」などと制限もない法律が成立してしまうと、この辺も危なくなってくる。
なぜ日本国旗だけなのか?道徳レベルの話なのではないか?それを法律で決めるの?
例えば、普段あまり意識することはないかもしれないが、神奈川県旗など県旗もあるし、横浜市や鎌倉市の市旗など市町村旗もある。故郷や母国、地元をリスペクトしろ、というのなら神奈川県旗や横浜市旗が保護されず国旗だけ保護されるのはなぜ?神奈川県旗棄損罪も成立するの?
故郷を大事にすべきである、みたいな道徳レベルの話を法律で押し付けるのはおかしいのではないか?それによって守られる法益は何なのか?それは法律で決めるようなことなのか?ということ。
漫画やアニメにおける「不快とされる表現」に波及する
国旗損壊罪は、保護法益が「国旗を大切に思う一般的な国民の感情」と明記されており、感情を守るために特定の表現を禁止する法律である。処罰対象も、「著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法・行為」による損壊とされている。非常に曖昧に人の感情をもとに刑罰対象を規定しており、この法律が成立してしまったら、人を不快に思わせる可能性のある漫画やアニメの表現にも波及することが予想される。昨今のSNSでは、過去に特定のアニメイラストを「性的搾取」と主張して炎上していた事件もあったが、そのような表現が法律で禁止される根拠を与えてしまうのでは?という懸念がある。
格言
アメリカ最高裁が国旗損壊罪に違憲判決を下したテキサス州対ジョンソン事件の締めの文章は、この問題を考える上で屈指の名文であり、多くの示唆に富んでいる。
The way to preserve the flag's special role is not to punish those who feel differently about these matters. It is to persuade them that they are wrong.
国旗の特別な役割を守る方法は、これらの問題について異なる考えを持つ人々を罰することではなく、彼らの考えが間違っていることを説き伏せることである。
We can imagine no more appropriate response to burning a flag than waving one's own, no better way to counter a flag burner's message than by saluting the flag that burns, no surer means of preserving the dignity even of the flag that burned than by -- as one witness here did -- according its remains a respectful burial.
国旗を燃やす行為に対して、自分が持つ国旗を振ること以上に適切な対応は考えられない。国旗を燃やす者に対抗する手段として、燃えている国旗に敬礼すること以上に優れた方法はない。燃えた国旗の尊厳を守る方法として、―ここにいる目撃者のように―、その残骸を敬意をもって埋葬すること以上に確実なものはない。
We do not consecrate the flag by punishing its desecration, for in doing so we dilute the freedom that this cherished emblem represents.
国旗を冒涜した者を罰することによって、国旗の尊厳を守ることはできない。なぜなら、そうすることで、この尊い象徴が表す価値である自由を薄めてしまうからである。
関連項目
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