- 巨大な土砂・地形・濁流の移動など。
- 表面どころか、生えている樹木ごとスライドするように地形が移動する場合もある。
- もろに巻き込まれれば回避・離脱は困難で破壊力が非常に大きい。
- そのまま土砂に埋もれると呼吸困難な上、発見・救助が困難で手遅れになりやすい。
便宜上、原因となる土砂の移動や、その代表例である「土砂崩れ(崖崩れ・山崩れ)」「土石流」「地すべり」についてもここで述べる。
冬山など、土砂ではなく積もった雪のみが崩れ流れるものは雪崩として区別される。
概要
斜面にある土砂が下に移動する現象を、学術的には「マスムーブメント」などと呼ぶ。土砂災害はこれによって引き起こされる災害である。
土砂災害の発生原因となる現象は、日本の法律(土砂災害防止法)では以下の3つに分類されている。
- 急傾斜地の崩壊
- 土石流
- 地すべり
これ以外の土砂災害の原因には山体崩壊などがある。
また、これらとは別に、崩壊する層の深さによって「表層崩壊」と「深層崩壊」にも分類される。表土層が流れる場合は表層崩壊とされるが、その下の岩盤層などの地盤まで流れる場合は深層崩壊となる。表層崩壊は植林によってある程度予防できるが、深層崩壊は植林による予防が困難であり、被害も深層崩壊の方が大きくなることが多い。
多くは降雨や雪解けなど地中に水がしみ込んだ場合や、地震発生時に起こるが、稀にそのような現象が見られないときにも土砂の移動が発生することがある。
急傾斜地の崩壊
急な斜面や崖で発生する土砂の崩壊。単に「土砂崩れ」・「崖崩れ」・「山崩れ」・「崩落」・「崩壊」などと呼ばれることが多い[1]。
土石流や地すべりと比べると範囲が狭いものが多いが、崩れ落ちる時間が短いため、逃げ遅れて被害に遭う人が出ることもある。流れ出た土砂が川を塞いでしまうと天然のダムができ、決壊すると鉄砲水が下流を襲うこともある。
フェンスやコンクリート壁を設置して土砂を防いだり、崖ごとコンクリートで覆う(吹付工を行う)ことで被害を抑えることができる。
土石流
谷に沿って、土砂と水が混ざったものが高速で流れ下る現象。俗に「山津波」とも。
予兆が少なく急速に土砂が流れるため、事前の避難が難しい上、土砂が移動する範囲が比較的広くなるため、犠牲者が多く出ることもある。
地すべり
参考動画:上越市の地すべり止まらず・・・土の堤防で拡大阻止へ(12/03/15)(YouTube)
「地辷り」・「地滑り」とも[2]。傾斜が5°~20°程度の緩い斜面で発生し、数日かけてゆっくりと土砂が移動する。
流れる速度が遅いため避難はしやすいが、土砂の移動する範囲が広いため、物的被害が大きくなることが多い。地下水を抜いたり、杭を打つことで被害の拡大を防ぐ。
なお、広い意味では、地すべりは土砂の移動全般を指すこともある。ニコニコ動画のタグとしては、崖崩れ等を含む広い意味で使われている。
注意すべきもの
前兆
見抜けることもある。
人為的なもの
山の斜面で不適切な工事・開発・不法投棄などが行われ、災害が起きやすくなっている場合もある。
(2021年7月、静岡県の熱海市伊豆山土石流災害など)[4]
対策
- 予兆を見逃さない。(前述)
- 天気予報や災害情報を集める。
- 土石流や洪水・津波・氾濫といった災害の危険性のない避難所に避難する。
- やばいと思ったら、理由にかかわらず自分一人でもすぐ逃げる。
- 災害の恐れがある危険な場所に居住しない。
- 安全な場所に引っ越す。
想定外
- 濁流や土石流が巨大すぎ、建物ごと飲み込まれる、押し流される、破壊されてしまう。
- 地形によっては濁流・土砂が一か所に集中してしまい、想定以上の威力を持つ。
- 地形によっては濁流・土砂が迂回するなど死角となり、気付いた時には手遅れとなる。
- 古い建物においては、水害以前に地震などの初撃で破壊されてしまう。
非常に大きな地震や記録的な豪雨が来ている際などは、その点も留意して頂きたい。
せっかくのチャンスに逃げ遅れれば、相手は無理ゲー以上のラスボスである。
関連動画
関連リンク
- 宮本新平「防-5 地すべり・崩壊・土石流の違い」(日本応用地質学会中国四国支部「応用地質Q&A 中国四国版」)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov)
- 「表層崩壊と深層崩壊」(土砂災害防止広報センター)
関連項目
脚注
- *ただし、これらの言葉は土砂の移動全般を指すこともある
- *本来の表記は「地辷り」だが、俗に「地滑り」と書かれることも多い
- *単純に間取りが悪かったり狭い、交通の便が悪い場合もある。
- *相手側の企業が「面倒な団体」の幹部であったため、熱海市側も及び腰で黙認していた。
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