地方交付税交付金とは、日本の政治に関する言葉である。法律上の正式な名称は地方交付税である。
概要
定義
日本において地方交付税法に基づいて中央政府が地方公共団体へ使い道を決めずに渡すお金のことを地方交付税交付金という。
名称
地方交付税法第2条第1号において地方交付税という名称で表記されている。つまり、法律の上では「地方交付税」が正式な呼び方である。
しかし「地方交付税」という名称は、税金の一種に見えてしまうという欠点を持っている。
このため、地方交付税交付金という名称で呼ぶことがしばしばある。この名称なら税金の一種に見えづらい。
ちなみに、国(中央政府)の歳出において「地方交付税交付金が○円」と書かれ、地方公共団体の歳入において「地方交付税が△円」と書かれるのが慣例となっている。
国庫支出金との比較
日本の中央政府が地方公共団体へ渡すお金というと、国庫支出金と地方交付税交付金の2種類がある。
国庫支出金は使い道を決めた上で中央政府が地方公共団体に渡すお金で、地方公共団体にとっての特定財源である。
地方交付税交付金は使い道を決めずに中央政府が地方公共団体に渡すお金で、地方公共団体にとっての一般財源である。
制度の仕組み
地方交付税交付金は、地方交付税法によって分配されるお金であり、中央政府が徴収する税金(国税)による収入の一部を原資として中央政府が地方公共団体に分配するものである。
地方交付税交付金の原資となる国税収入は、所得税収入の33.1%と法人税収入の33.1%と地方法人税収入の100%と酒税収入の50%と消費税収入の19.5%である(地方交付税法第6条第1項)。
地方交付税交付金を地方公共団体に分配するとき、それぞれの地方公共団体において地方交付税法第11条の規定に基づき基準財政需要額を計算し、地方交付税法第14条の規定に基づき基準財政収入額を計算する。
そして基準財政需要額から基準財政収入額を引いて財源不足額を算出し、その財源不足額と同じ額が地方交付税交付金の普通交付税額になる(総務省資料)。
地方公共団体の間の格差を縮小させる
有力な企業が多く立地している地方公共団体のなかで、基準財政需要額よりも基準財政収入額の方がずっと多い地方公共団体は、地方交付税交付金を全くもらえない。大企業が集中する東京都は、地方交付税交付金の制度が始まった1954年度から2024年3月現在に至るまで一度も地方交付税交付金の交付を受けたことがない。
有力な企業があまり立地しない地方公共団体の中で、基準財政需要額よりも基準財政収入額の方がずっと少ない地方公共団体は、多額の地方交付税交付金をもらうことになる。
豊かな地方公共団体は地方交付税交付金をもらえず、貧乏な地方公共団体は地方交付税交付金を多くもらえる。
つまり、地方交付税交付金の制度というものは、地方公共団体の間の財源の不均衡を調整し、すべての地方公共団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障するための制度である(総務省資料)。言い換えると、地方公共団体の間の格差を縮小させるためのものである。
有力な産業がある地方公共団体の住民に批判されることがある
地方交付税交付金は、有力な産業がある地方公共団体の住民によって批判されることがある。
有力な産業がある地方公共団体に住む個人や企業が、地方交付税交付金の原資となる国税を多く負担している。
そして地方交付税交付金は、有力な産業がある地方公共団体には少額だけ交付されたり全く交付されなかったりする。
このため、有力な産業がある地方公共団体の住民が「地方交付税交付金の制度は、豊かな地方公共団体に住む個人・企業からお金を巻き上げて貧乏な地方公共団体にお金をばらまく制度である」と批判することがある。
関連項目
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