地球防衛軍3の兵器 ミサイル単語

チキュウボウエイグンスリーノヘイキミサイル
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ここでは地球防衛軍3の兵器のうち「ミサイル」について記述する。

・他の兵器については「地球防衛軍3の兵器ネタ記事」の総録を参照とする。

フィクション この記事は高濃度のフィクション成分を含んでいます!
この記事は編集者妄想の塊です。ネタなので本気にしないでください。

目次

 

 

 

 

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  • MEXエメロード
     世界規模での航空作戦が行われた日のことは、今でもよく憶えている。
     当時、まだ幼かった私にとってフォーリナーとの戦争モニターの向こう側の出来事に過ぎなかった。巨大生物の出現は大都市の出来事であったし、報道管制下で知ることのできる情報は限られていた。
     ネットワークの利用が制限されたことへの不満を除けば、他の多くの子供と同じように期限の休校を喜び、「宇宙人侵略」という非日常の訪れに冒険心をくすぐられ、まるで台風の到来を待つかのように、胸を躍らせながらの後を追って非常食を買いに出かけたものだ。いつものようにカート菓子をしのばせた私を叱ったの焦燥も、それを悲しいで穏やかにいさめたの悲哀も理解することなく……。
     2017年のあの日、午前中にも関わらず職場から帰って来たは自室に私を呼んで椅子に座らせ、自らは床に膝を着いて向かい合った。いつも見上げていた正面から見詰められ、その厳しい眼差しに、一本動かすことができなかった。
    「どんなことがあっても諦めるな。お前が二人を守れ」
     それだけを言っては立ち上がり、部屋を出て行った。
     戸惑いを引きずりながら後を追った私は、玄関で抱き合うの姿を見て呆然と立ち尽くした。二人の傍で自らの細い肩を抱いてうつむくの姿も、混乱に拍をかけた。
     に映る光景を、理解できなかった。
     どうして母さんは……おちゃんも…………二人とも、どうして泣いているんだろう。
    「いってくる」
     深緑軍服に身を包んだが背を向け、ドアを開けて逆光の中へと消えていく。
     おかしい。
     基地に出勤するを、家族で見送るのは見慣れた光景だ。
     なのに、どうして――
    父さん!」
    「……」
     言で振り返ったは、優しいをしていた。
     ドアの閉まる音が一際大きくいた。
     背後のリビングから……点けたままのTVからヒステリックな女のが流れていた。
    一方的です! EJ24戦闘機が次々と撃墜されていきます!』
     あの日、マザーシップ空母円盤に対して行われた一斉攻撃はガンシップの登場で失敗。く間に攻撃隊を撃ち破ったガンシップはそのまま飛散し、各地の防施設や空軍基地を襲撃しに向かった。
     私の故郷にも空軍の基地があった。が勤めていた基地が。
     要撃機のパイロットだったが数分間でも帰宅できたのは、攻撃隊全滅の報を受けながらも出撃を命じた基地官から特別の許可があったからだと後に聞いた。
     が出て行ってすぐ、私はに連れられてを出た。最低限の荷物を持って、避難所に定されていた学校の体育館をした。
     故郷の様相は一変していた。見慣れた路は人で溢れ、徒歩避難の通達を無視した渋滞を作り、交差点事故を起こしていた。警察官が拡器で何かを喚き、複数のサイレンが鳴りいている。あちこちから子供の泣きが聞こえた。
     喧騒に圧倒されて足元のおぼつかない私の手を、は痛いくらい握りしめていた。
    「はやく、はやく歩いて……!」
     苛立つに混じって、先で揺れる長い黒髪から流れてくる甘い香りに、私は現実感を失いつつあった。
     十数分で着くが、群衆の動きに流されて一時間以上も歩き続けていた。やっと辿り着いた別の避難所は既に人で溢れ返り、先に助かろうとする人々の醜い争いも起こっていた。乱れた列がどこに向かっているのか……どこに行けば助かるのか……何も分からないまま歩くことにもが不安と疲労に苛まれていた。
    「おちゃん……に帰ろうよ……」
    馬鹿言わないでよ!」
    「だって……!」
    大丈夫よ。二人とも、はぐれないで…………あ!」
     をあげてから間を置かず、一際大きなサイレンが鳴りいた。
     毎年、になるとTVに映る戦争番組。
     何十年も前の戦いの記録
     白黒映像の中で何度も聞いた、あの音。
     ――警報
     群衆が凍りつき、老若男女を問わずもがを見上げた。
     次の間、すぐ頭上をが飛び過ぎ、強圧で人々が倒れた。将棋倒しで下敷きになった者が悲鳴をあげるが、もっと大きく、身の毛のよだつような叫びに掻き消された。
     離れた場所で何かが燃えていた。
    「あ、ああっ……!」
     にならない悲鳴を洩らす。
     人が燃えていた。
     何人もの人間が、燃やされていた。
     その頭上に、数十人の髪の毛と皮膚と衣服が燃える炎の照り返しを受けて、白銀怪鳥が浮かんでいた。
     それがフォーリナーガンシップだと認識する前に、人々は逃げだした。本恐怖に突き動かされて。
     ガンシップの鋭い双を備えた機首からい熱線が走り、群衆を引き裂く。灼熱の粒子ビームに撃ち貫かれた部分は即座に炭化したが、その周囲のが焼け、は燃えた。燃料タンクを撃たれた爆発し、周りにいた十数人を巻き込む。んだ体から出られずに生きたまま焼かれていく者の叫びは、まるでのようだった。
     の前にいた男の頭部が消し飛ぶのを撃したは、糸が切れたようにその場にを落とした。地面に広がった失禁の染みを眺めても、私は感動だった。
     倒れたまま群衆に踏み潰される者の悲鳴……全身に火傷を負って男とも女とも判らなくなったの呻き声……愛る者の無残な姿を見て半狂乱になった者の叫び。
     なぜ、どうして、こんな光景が、こんな事が起こっているのだろうという疑問で思考が飽和しつつあった。答えをめてを見上げると、のように飛び回る数のガンシップに混じって、煙を引いて落ちていく飛行機の姿が見えた。
     空軍戦闘機だ。
     既に操縦不能に陥った機体が、幾筋ものパルスビームに貫かれて爆散する。背景に、砕け散った戦闘機の破片が煌めいた。
     あれは……父さんだ。
     なぜか、疑いようのない直感があった。
     もう一度地面を見ると、足元にが倒れていた。見てすぐにはだと分からなかった。を着ていたのに、だったからだ。背中から生えているく焼け焦げた何かが、心臓を貫いた破片だと理解できるまで時間がかかった。
     座り込んだは虚を見つめたままを流している。
     もう、何も感じなかった。見よりも遠い現実
     私との頭上で、一機のガンシップが停止する。くるり回転して下を向いたは、まるで観察するかのように私たちを眺めた。東洋の仮面を思わせる細いで、間違いく、“そいつ”は見ていた。
     ――死滅セヨ。
     譬えがたい悪意が伝わってきた。これが機械なのだとしたら、作った悪魔に違いない。
     苛めっ子や野良とは次元が違う。絶対に相容れない存在。
     それを何と呼ぶのか、言葉だけは知っていた。
     敵だ。
     そうとしか呼べない。生まれて初めてその実感を与えてくる存在が、の前にいた。
    「……!」
     私の胸に湧いた感情は、恐れではなく、怒りだった。
     を討つとか、を助けるといった考えはなかった。あまりにも異質な存在に対する拒絶反応と言ってもいいだろう。私はの前の死神を心の底から、純に、憎んだ。
     縛めが解けた。
    「――宇宙に、帰れッ!
     考える間もなく罵倒が口を出て、次の間には足元の瓦礫片を拾って投げつけていた。
     小さなコンクリート片はガンシップの顔――機首にぶつかった。反応はい。私は今でも、あの時ガンシップに嘲笑されたのだと思う。そういう間があった。
     力が欲しい!
     の前の悪魔を打ち倒す! 絶対的な力が欲しい!
     身を焦がす程の憎悪が別の悪魔に聞き入れられたのか、を突き刺す鋭い金属音とともにガンシップが姿勢を崩した。連続する金属音とともに小突かれるように跳ね上げられたガンシップのもとへ煙を引いて何かが飛び込み、爆発する。破片がのように降り注ぎ、私のを浅く切り裂いた。
    馬鹿野郎!」
     怒とともに突き飛ばされる。
    「突っ立てんじゃない! 死にたいのか!」
     数のと力強い足音が周囲でいた。
    「確保!」
     別のかに首根っこを掴まれ、倒れたまま乱暴に物陰へと引きずり込まれる。爆が弾けるような音とともに莢が降り注いだ。その中の一つが触れたのか、に火傷の痛みを憶えた。痛みが意識を鮮明にしていく。
    「本部! こちらレンジャー2-5! 民間人1名を保護した! 敵の攻撃は苛! 救援を要請する!」
    「駄だ、敵の数が多過ぎる!」
    「弾をくれ! 弾をッ!
     ヘルメットいアーマーベスト……EDFの陸戦隊だった。普通の軍隊とは異なる手な戦闘姿はニュース映像の中では現実感の乏しいものだったが、の前に現れた煤で顔をく汚した男達は全く別の存在に見えた。を食い縛りライフルミサイルで果敢にガンシップに応戦する姿は、まるで――。
    「おいっ! このも生きてるぞ!」
     の方を見ると、も物陰に運び込まれていた。
    「た、隊長! 敵が速過ぎる! こんなミサイルじゃ――」
     言いかけた若い隊員の胸にが開き、倒れた。焼け焦げた貫通は血を流さない。
    ジョニーがやられた!」
    「潮時だな……軍曹! 後退するぞ! こんな地獄子供2人なら上等だ!」
    「イエッサー! 野郎ども後退だ! 現形を維持しろ! 弾幕を絶やすな!」
    「後退! 後退!」
     私は軍曹と呼ばれた黒人の大男の小脇に抱えられた。胴に回された太い腕は重機のそれのようだった。もう片方の腕でミサイルランチャーを軽々と持っている。視界の隅に、同じように運ばれるの姿を見た。
    「走るぞ! 祈ってろよ小僧!」
     直後、圧を感じた。
    「くそがっ……!」
     悪態を吐きながら大男が倒れ、私は放り出された。すぐ近くをビームが擦過したのか、オゾン臭がを突く。
    軍曹ッ!
     近くで後退りながらライフルを撃っていた隊員が駆け寄るが、頭上に滞するガンシップに狙い撃たれた。「畜生!」と怒鳴った大男は、物から出てこようとした他の隊員に「来るな!」と命じる。
    お前らは先に行け!」
    「しかし!」
    ガキを餌に誘き出す気だ! そのだけでも助けろ!」
     言われた隊員は言で敬礼し、を抱えて瓦礫のへと入っていった。
    「……おいっ!」
     ゆっくりと起き上った私に、倒れたままの大男は苦痛にんだ顔で呼びかけてきた。
    「それを……押してくれ!」
     彼が腕を伸ばした先――私のの前にはミサイルランチャーが転がっていた。の発射器に「ME1-EMERAUDE」とく印字されている。言われた通り、両手を当ててランチャーを大男の方へと押し出そうとするが、重い
     理だと言おうと顔を上げた私のに飛び込んできたのは、を見開いて絶命している大男の姿だった。よく見ると、こちらへ向けていた腕が肩からくなっていた。
    「おまえが……おまえがやったんだな!」
     見上げて叫ぶ私を、ガンシップの冷たい眼が見据える。
    「おまえなんか…………おまえなんかに!」
     の前の敵に負けたくない一心で、私はミサイルランチャーを抱え起こした。子供にとっては丸太のような重さだったが、なんとか背負うようにして肩に載せようとした。
     支えるためにグリップを握った際に、トリガーに触れたのは全くの偶然だった。
     ランチャーの発射口が開き、中に納まっていたミサイルシーカーが作動。自動認識汎用ミサイル前のガンシップ標として赤外線画像認識。形状をデータ照合――Unknown――敵味方識別信号の有を確認――味方識別信号し――標を敵性と判断して安全装置を解除した。
     僅かな爆発音とともに発射器からミサイルが投射され、その衝撃に私はバランスを崩して倒れた。すぐさまミサイルロケットモーターが点火、ガンシップに向かって突っ込む。ガンシップは上昇して避けようとしたが、全静止状態からの機動は鈍いのか、逃れられなかった。機首の先端にミサイルが直撃する。
     ガンシップの動きが緩慢だったことが幸いし、ミサイルは対高機動体近接破砕モードではなく、通常の対機甲貫モードのままガンシップの片に突き刺さって弾頭を起爆――怪鳥の首を丸ごと吹き飛ばした。
     機種を失ったガンシップ独楽のように回転しながら墜落し、民家を押し潰して瓦礫の一部と化した。
     煤に汚れた私の口許に、自然と笑みが浮かんだ。
    「……ざまぁみろ」
     その後、どこをどう歩いたのか、私は地獄を抜け出すができた。
     避難民の一団に合流した後のことも、よく憶えていない。ただ毎日生きることに必死で、を弔うことも、の消息を知ることもできなかった。
     大戦後は自警団に少年兵として参加し、戦災遺児基金の奨学金を受けて教育を受け、EDFに入隊した。孤児として生きるが限られていたのは事実だが、あの日、私やを助けようと奮戦した男達のことを忘れてはいなかった。
     陸戦隊に配属された私の手にはミサイルランチャーがある。MEX-EMERAUDE。あの日、私がガンシップに向けて撃ったミサイルの最新バージョンだ。数奇な運命を感じないではない。
     まだ訓練以外で使った経験はないが、いつか、その日が来るのかもしれない。
     あの大戦で、何も守れない力な子供だった私に代わってを取り、命を賭して戦い、世界を救ってくれた人々がいた。
     だから私も、ここにいる
     ようやく授かった息子に、このを残すために。
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地球防衛軍3の兵器 ミサイル

1 ななしのよっしん
2013/02/11(月) 16:02:52 ID: GVAAHRNvyT
かしここも他のも、よくできた記事だな

プレミアム会員であったならばお手伝いしたいところだが…
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2 ななしのよっしん
2013/07/28(日) 23:29:43 ID: a558LOZQJ/
エメロード主人公、今作で出撃したんだ。。と内補
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3 ななしのよっしん
2013/08/09(金) 21:07:27 ID: Jqf3R2pOmn
を守るか・・・
たしかにその通りだな
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4 ななしのよっしん
2014/01/19(日) 12:18:33 ID: 0mL4eao6y7
エアトータス01の部分…
>>EDF長官のである深紅シボレー・コルベットに試したところ、むどころか直視できないきを放った――当然、販売は中止された――これを検したところ、太陽線を含むあらゆる電磁波を撹乱することが確認され、後に軍事転用された

まさかとは思うが、ゴールドベガルタには…考えすぎだな!うん!
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