この記事は、原作『とある魔術の禁書目録』のネタバレを含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
垣根帝督(かきねていとく)とは、『とある魔術の禁書目録』に登場する学園都市第二位の超能力者である。
概要
暗部組織『スクール』のリーダーを務める長身イケメンの少年。
学園都市に七人しか存在しない超能力者(レベル5)。序列は第二位。
能力名は「未元物質(ダークマター)」。
高位の能力者らしく実力に立脚した余裕が態度に表れており、基本的に暗部以外の一般人や無関係の者には攻撃せず、自身にとって障害となりえない者を見逃す余裕を持っている。
その一方で自身の目的の為、または自身の敵とみなした者には容赦をしないという残虐性も持ち合わせる。
アレイスター=クロウリーとの直接交渉権を得る為の手段として一方通行を倒し、第一候補(メインプラン)となる事を目指して暗躍。
『メンバー』を壊滅させたり、『アイテム』勢を追い詰めたりと終始有利な戦闘を展開した。
一方通行との戦いでは未元物質を活用し、一方通行の反射を破って優位な展開に持ち込んだが、未元物質を現実世界の定義に組み込まれ、逆に劣勢に立たされる。
追い込まれた垣根は一方通行の制止に入った黄泉川を攻撃。一方通行の暴走を引き起こして二度目の『黒い翼』の顕現を間近で見た。その際、『黒い翼』から「未元物質の根源」とでも言うべき力を理解し、未元物質の純白の翼は更なる成長を遂げている。
しかし、謎の力の前に何も出来ず一瞬の内に敗北。そこから先、彼を待ち受けていたのは一方的な虐殺であった。敗北の直前にその正体に気付いた様だが、詳細は彼の口から語られる事はなかった。
この一件で死亡したと思われていたが、19巻ではアレイスターの指示で密かに回収されていた事が判明。おおよそ無事といえる状態ではなく、麦野曰く「ネバネバした液体の入った容器に、三つに分かれた脳をそれぞれ収め、潰れた内臓を補うために冷蔵庫よりもデカい機材を腹の横に直接取り付けている」との事。
もはや超能力を吐き出すだけの塊になっており、22巻では未元物質で生み出された素材から作られた学園都市の新装備『Equ.DarkMatter』が登場した。
新約
新約5巻、木原唯一の発言で「自身の臓器・肉体を未元物質で再製造」するという手法を取ってから急速に状態が変化していた事が判明。そして、遂に復活を果たした。
新約6巻では一方通行、麦野沈利と再戦。未元物質による不死性や増殖、カブトムシ型自律兵器や妹達の複製を武器に戦い、その驚異的な再生力と創造力で二人を圧倒し封殺した。
しかし自身が生み出した「カブトムシ05」の反乱によって、垣根帝督としての権限(パーソナリティ)をカブトムシ05に乗っ取られて消滅。そこから善人化してしまった。詳細は後述。
何を言っているのか分からないと思うが、読者もバレ時点ではポルナレフ状態だったので安心して欲しい。
新約7巻では、フレメア=セイヴェルンのランドセルの付属品(キーホルダー)として彼女を見守っている模様。とある事件のとある敵からフレメアを守る為、上条当麻と共闘した。
新約8巻では現在の白垣根(カブトムシ05)とは別の垣根が登場している。この個体はオッレルスがトールに変装して侵入する際に渡した『第二位の臓器』から出現。人格は新約6巻の悪意や復讐心が表面化した個体に近く、自分を利用した者達を攻撃しようとした。
しかし、黒翼一方戦のように『魔神』オティヌスが一瞬で沈静化させ、無惨にも服従の言葉を強要された挙句、バレーボールほどの塊に圧縮されてしまう。次のあだ名はバレーボールだろうか。
新約16巻ではエレメント発生直後から危険を早期に察知し、フレメア達を守るために第十三学区の小学生と教師を博覧百科へと避難させた。フロイライン=クロイトゥーネと同じくエレメント狩りをしていた様子。同族だと思われそうで嫌なのか「いい迷惑だ」と言ってエレメントを撃ちまくっていたらしい。
未元物質(ダークマター)
この世に存在しない素粒子を生み出す(または引出し)、操作する能力。及びそれによって作られた「この世に存在しない素粒子(物質)」。
本来の定義である暗黒物質が「理論上は存在するがまだ見つかっていない」のに対し、垣根が操っているのは「本当にこの世界には本来存在しない物質」である。
これは「この世の物質」ではない=この世の物理法則に反するということで、相互作用した物質もこの世のものでない独自の物理法則に従って動き出す(太陽光→殺人光線)といった効果を示す。
能力をフルで使用する際には、垣根の背後から現れたソレが天使のような白い6枚の翼の形になる。これがメルヘン野郎の由来である。
旧15巻で一方通行の「黒い翼」を見て『未元物質』の根源とでも言うべき力を理解し、未元物質の純白の翼が数十メートルにも及ぶ巨大な翼へと変貌を遂げている。
新約8巻では、白翼はそこからさらに巨大化して数百メートルを裕に超えていた。
未元体(仮称)
新約5、6巻で「臓器・体を未元物質で創る」という未元物質の新たな使用法が提示された。
人体を補う術を獲得した段階で「脳」の再現、つまり自分自身を創造する事すらも可能となり、学園都市の能力者としては極めて異質な「不死性」と「無限増殖能力」を獲得している。
しかし、人間の脳を再現できる為にもはや「本人」と呼べる個体が存在しない。脳が垣根を再現してるのか、能力が脳を作ってるのかも分からない、曖昧な存在が誕生してしまった。
新約19巻では、美少女化したアレイスター=クロウリーが「能力だけが本体から分離して自律稼働している」と現在の垣根の状態に言及している。まさにその通り、能力そのものである為、寿命もなければ肉体的な制限もない。つまり適当に撃って適当に待つだけで勝利が転がり込んでくる。
究極的には「座して待つ」という言葉を人類滅亡レベルにまで引き上げた状態の為、それこそ永劫の時を生きる者でもない限りは同じ土俵にも立てない。
新約6巻時点だと「自分だけの現実」の再現が難かしく能力の噴出点止まりだが、既に「個体ごとの自分だけの現実の再現」や「他人の能力の実装」も視野に入っているらしい。能力そのものと定義付けられた状態の垣根は、能力の本質を誰よりも理解していたのかもしれない。
(ちなみに、「プロデュース」という「自分だけの現実」が宿る場所の研究において、「霊魂と呼べる何かが宿った肉体そのものに能力が宿る」という事が判明している)
【考察】魔術と同じ理論?
未元物質は「異世界の法則を現世に適用する力」と言い換える事ができる。
と地の文で表現された事がある。
要は禁書における魔術理論と同じなのだが、魔術側が神話や宗教の異世界(位相)を引き出しの対象とするのに対し、仮にも超能力の未元物質がどんな世界の法則で動いているのか分かってない。
しかし、魔術を見限ったクロウリーが今さら科学に擬態させたテレマ教の理論を基にした力を使い、忌まわしい魔術の位相(天界)などに手を染めるのだろうか。
仮に十字教カバラ思想を始めとする何重にも重なった魔術的な異世界ではないのなら、一体どの法則で動いているのかと興味は尽きない。
魔術の破滅を掲げるクロウリーの計画の第二候補である事、天使を連想させる翼、ヒューズ=カザキリと一方通行との類似性。 更に『ここではない別の世界』との表現。もし魔術的な天界ではないのなら、未元物質は人工的な異世界(位相)『虚数学区』の力を扱う能力ではないかと推測できる。
また上記と関係は不明だが、聖守護天使エイワスの佇む最下層の世界「純粋なる物理法則の世界」(科学の世界)と呼ばれる異世界も考慮しておきたい。
カブトムシ05(白垣根)
未元物質から作り出された、全長15mの白いカブトムシ型自律兵器。
その内の1体であるカブトムシ05が後に離反し、垣根帝督としての権限を持った存在に変質している。
離反した原因は口頭オーダーの解釈から生じた齟齬。高度な自己判断能力を持つカブトムシ達が、「作戦行動に支障をきたす要因を残らず撃破しろ」という口頭オーダーから、個体ごとに違う答え・目的を導き出し、優先順位や敵味方の識別がブレて同士討ちを始めた。
カブトムシ05はその中で「現状予想し得るあらゆる危険分子から学園都市とその住人を保護する」という答えを導き出した個体。浜面達を追撃する最中に「脅威を感じられず、作戦を続行することでオーダーリスト全体の崩壊に結びつくリスクがある」と判断し、他の個体と敵対して浜面達の味方に付いている。
当初は機械的に行動するだけの存在だったが、フレメア=セイヴェルンや打ち止め(ラストオーダー)と接する内に揺り動かされ、最終的には彼女達が助けたいと願う「友達(フロイライン=クロイトゥーネ)」との橋渡しとなって、平和な世界に帰すという目的を持って行動するようになった。
ただし『垣根帝督』とはマスターとスレーヴの関係である以上、いずれは対象を排除するという結論に至ってしまう。そこから逃れる方法は垣根帝督の権限(パーソナリティ)を奪う事だけだが、垣根帝督から発生したという本質を抱えるため、中心核を強引に否定すれば肉体を保てなくなる。
決定的な矛盾を抱えた中、カブトムシ05は『垣根帝督というプリセットにない解法』に辿り着く。それは「自身が垣根帝督としてのシステム権限を得て、垣根帝督になること」であった。
こうして「垣根帝督と名乗っていた誰か」は瓦解するように崩れ、「垣根帝督と名乗る、緑色の目をした白い少年」が誕生した。
垣根は能力で体を無限に量産していたが、その体には様々な側面を持った自分が宿っていたらしい。良心や悪意、臆病、短期、見栄っ張りなど様々な側面が『垣根帝督』に集約しており、新約6巻の垣根すら一方通行への復讐心が表面化しただけの一側面に過ぎない。
カブトムシ05も「垣根帝督の良心」が表面化した個体の一つである。どうやらその良心は滝壺理后が無意識下に発した能力に影響を受け、行動が促されていたようだ。
新約7巻以降は上述した通り、フレメアの保護者(あと世話係)として見守っている。ただそのままではサイズがでかすぎるので、普段はランドセルのキーホルダーに変化している。
常に敬語を使う、幼女の保護者キャラなど完全に善良な性質を持ったキャラなので、読者のイメージする垣根帝督とはもはや別人となっている。このため、通常の垣根と区別する為に「白垣根」と呼称される。
余談だが、カブトムシ05が垣根帝督としての権限を得てから短期間で「カブトムシさん」という正義のヒーローの都市伝説が発生したらしい。これに関しては噂発生までの期間が短過ぎて「垣根に目をつけた暗部が意図的に流布した噂」の可能性がある。
サンプル=ショゴス
パトリシア=バードウェイ達が南極調査活動で発見した謎の寄生生命体。
姿形は不定形で、深海に揺蕩うタコにも、或は包丁で切り分けられたブヨブヨの脂肪の塊にも、たるんだゴムの膜を裏側から炙ったようにも見える。
全体的に黒いため作中では「黒」と呼ばれていたが、体表面の所々は毒沼のように滑った黄・緑色が夜光塗料のように輝いたり泡立ったりして、初めて見た者に固定された情報を与えない。
新約14巻で鍋パーティの具材の買い出しに出かけた上条(+肩に乗ったオティヌス)と、魔神を狙う上里翔流の前にいきなり姿を現し、「赤」と呼ばれる謎の存在と戦闘を始めた。
「黒」はサンプル=ショゴスに寄生されたパトリシア、「赤」は妹を救うべく魔術に身を差し出したレイヴィニア=バードウェイであった。
両者は激突の末に倒れ、レイヴィニアは上条側に、パトリシアは上里側にそれぞれ保護された。
この謎の寄生体はパトリシアの全身の脂肪を溶かして空いたスペースに入り込み、人のシルエットを保っている。栄養の蓄積と分配もショゴスが担っており、不用意に摘出すればパトリシアも衰弱死する。
上里翔流:
ではそんな彼女に何を埋め込んだ?それは学園都市では良く知られる、ある種実力を信頼された既知の何かでなければ筋が通らない。そう、例えば……変色した『未元物質』とかね?新約とある魔術の禁書目録 14巻322ページより
その正体は「未元物質の変種」。もはや寄生体扱いである。
これは上里の推測に過ぎなかったが、続刊の新約15巻で未元物質の変異体であることが確定した。
新約15巻以降は木原唯一が直接使役している。唯一が『理想送り』の所持者となるために「縫合」を施す必要が有り、サンプル=ショゴスの「第三者でも制御可能」な点が彼女の目に止まった。
師として敬愛する木原脳幹の件に対する復讐の一心で、上里から『理想送り』を奪って神経・血管をショゴスで再接続し、自分の体に縫い付けた。他にも攻撃や体の「補填」等に使用している。
オティヌスはグレムリン時代に垣根をボコった経験があるので、上条に正体を聞かれた際「(答えが)喉まで出かかっている」とも言っていた。
ニコニコ動画での扱い
本人は15巻で初登場してから長らく作中に出番がなかったにも関わらず、その人気は驚くほど高い。2ちゃんねるにはとある科学の未元物質というスレも立っており、ファンからは「変わることのできなかったもう一人の一方通行」と囁かれている。
人気の理由としては、以下の事柄が挙げられる。
- 強靭な能力:『未元物質(ダークマター)』という能力を持ち、下位を圧倒する程の能力。あの一方通行をも追い詰めた。
- 容姿:(長身イケメン、自らも認めたメルヘンな翼を持つ)。
- 度量:小物(=自らの障害と為りえない者)を見逃す。
- ミステリアス性:学園都市に反旗を翻すこととなった経緯が謎である。
- 野望:アレイスター=クロウリーとの直接交渉権・第一候補(メインプラン)化という野望をもつ。
- 言動:セリフや行動がかっこいい。以下例文。
また、とあるシリーズ内でも屈指のネタキャラという側面も持ち合わせている。作中で彼が歩んでいる人生そのものがもはやネタであり、それ故に付いたあだ名も相応に多い。
『15巻』・・・未元物質の翼の描写から『イケメルヘン』
『19巻』・・・冷蔵庫よりも大きい機材を取り付けている事から『冷蔵庫』
『22巻』・・・能力を吐きだす塊状態で未元物質を使わされ、新装備の素材を提供していた事から『工場長』
『新約6巻』・・・カブトムシ05に垣根帝督としての権限を乗っ取られた事から『カブトムシ』
『新約8巻』・・・別個体がオティヌスにバレーボール程の塊に圧縮された事から『バレーボール』
『アニメ3期6話』・・・地面に埋め込まれ、モグラ叩きのように連続パンチを受けたため『モグラ』 ←New!
関連動画
とある科学の未元物質
新約とある科学の未元物質(カブトムシ)
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関連項目
- とある魔術の禁書目録
- 科学サイド
- スクール(とある魔術の禁書目録)
- 超能力者(レベル5)
- フレメア=セイヴェルン
- 一方通行(アクセラレータ)
- アレイスター=クロウリー(とある魔術の禁書目録)
- カブトムシ │ 冷蔵庫 │ 工場長 │ バレーボール
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