城平京(しろだいら きょう)とは日本の推理小説家、漫画原作者である。
概要
1974年奈良県生まれ。アンソロジー『本格推理』への短編投稿を経て、第8回鮎川哲也賞に『名探偵に薔薇を』を応募、最終候補となるもオチに前例があったことなどが理由で落選[1]。この作品が1998年に創元推理文庫から刊行され、小説家デビュー。
翌1999年から月刊少年ガンガンにて漫画『スパイラル~推理の絆~』の原作を手掛け、アニメ化もされる大ヒット作となる。その後『スパイラル・アライブ』、『ヴァンパイア十字界』、『絶園のテンペスト』と原作を手がけ、『絶園のテンペスト』は2012年にアニメ化された。
その間、小説家としては2001年から2004年にかけて『スパイラル』の小説版全4巻を刊行したあとはしばらく沈黙していたが、2011年に完全新作長編『虚構推理 鋼人七瀬』を刊行、第12回本格ミステリ大賞を受賞した。今後のミステリ作家としての活躍も期待されるが、その後も基本的には漫画原作がメイン。
現在は少年マガジンRにて『虚構推理』を連載中。小説のコミカライズとしてスタートしたが、原作1冊目の「鋼人七瀬」編は6巻で終了し、7巻以降は漫画と小説が並行する形で発表されている(7巻~9巻の短編エピソードは漫画として発表されたあと、短編集として小説が刊行。10巻からの長編エピソードは漫画のエピソード完結を待たずに小説が刊行)。2020年1月からはTVアニメが放送され、2期制作も決定済み。
また少年マガジンRでは、2020年1号から並行して『雨の日は神様と相撲を』のコミカライズ版も連載していた(全3巻)。
なお、『虚構推理』はニコニコ静画 (マンガ)にて第一話(83ページ)が無料公開されている。
作風
「ファンタジーと言える世界観の中で論理的な推理を行う」ことを主題とする、現代で言うところの所謂特殊設定ミステリを得意とする。「推理物であるが妖怪や幽霊などが平然と登場し、それらの中から推理する」「事件の真実の解明ではなく、主人公の岩永琴子がするのは幽霊や妖怪の情報に基づいた「依頼人が納得する推理」を作る」虚構推理はその極致ともいえる。その一方でファンタジー要素がない本格ミステリも書くことができる。
女性キャラがほぼ全員男前と言えるキャラ造形となっており、読者からはよくネタにされる。
主な作品(漫画原作)
- スパイラル~推理の絆~ (作画:水野英多、1999~2005年、月刊少年ガンガン連載、全15巻)
- スパイラル・アライブ (作画:水野英多、2001~2008年、月刊ガンガンWING→月刊少年ガンガン連載、全5巻)
- ヴァンパイア十字界 (作画:木村有里、2003~2007年、月刊少年ガンガン連載、全9巻)
- 絶園のテンペスト (構成:左有秀、作画:彩崎廉、2009~2013年、月刊少年ガンガン連載、全10巻)
- 虚構推理 (作画:片瀬茶柴、2015年~、少年マガジンR連載中)
- 天賀井さんは案外ふつう (作画:水野英多、2015年~2017年、月刊少年ガンガン連載、全4巻)
- 雨の日も神様と相撲を (作画:戸賀環、2019年~2021年、少年マガジンR連載、全3巻)
主な作品(小説)
- 名探偵に薔薇を (1998年、創元推理文庫)
- 小説 スパイラル~推理の絆~ ソードマスターの犯罪 (2001年、エニックスCOMIC NOVELS)
- 小説 スパイラル~推理の絆~2 鋼鉄番長の密室 (2002年、エニックスCOMIC NOVELS)
- 小説 スパイラル~推理の絆~3 エリアス・ザウエルの人喰いピアノ (2003年、エニックスCOMIC NOVELS)
- 小説 スパイラル~推理の絆~4 幸福の終わり、終わりの幸福 (2004年、エニックスCOMIC NOVELS)
- 虚構推理 鋼人七瀬 (2011年、講談社ノベルス)
→ 虚構推理 (2015年、講談社文庫[改題]→2019年、講談社タイガ) - 雨の日も神様と相撲を (2016年、講談社タイガ)
- 虚構推理短編集 岩永琴子の出現 (2018年、講談社タイガ)
- 虚構推理 スリーピング・マーダー (2019年、講談社タイガ)
- 虚構推理短編集 岩永琴子の純真 (2021年、講談社タイガ)
- 虚構推理 逆襲と敗北の日 (2021年、講談社タイガ)
- 虚構推理短編集 岩永琴子の密室 (2023年、講談社タイガ)
関連動画
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関連項目
脚注
- *この回の鮎川哲也賞は、受賞した谺健二『未明の悪夢』のほか、最終選考で落選した4作のうち城平のほか、柄刀一『3000年の密室』、氷川透『眠れない夜のために』(『密室は眠れないパズル』に改題)ものちに刊行されており、鮎川賞史上最も激戦だった回として知られる。
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