そのすべてに付き合う覚悟がなければ、歴史を味わうことにはならないのではないか。
そして、「味わう」ことなしに、ほんとうの意味での「教訓を得る」こともできないと信じている。
塩野七生(しおのななみ)とは、歴史小説家、文筆家である。女性。
概要
1937年7月7日生まれ。東京都北区滝野川出身。名前の由来も七月七日生まれであることに由来する。東京都出身。1970年以降イタリア在住(永住権取得)。学習院大学文学部哲学科卒。イタリア人医師と結婚したが、後に離婚。
息子は共著を書いたアントニオ・シモーネ。大学の考古学専攻出身で、映画の製作助手をしていたが不況で失業。現在は母親の仕事の手伝いをしている。ちなみに「ローマ人の物語」には彼が高校生時代などに使っていた、イタリアの歴史教科書の内容などが出ている。
知性、説得力、肉体上の耐久力、自己制御の能力、持続する意志。
カエサルだけが、この全てを持っていた。
そのほか、古代から中世にかけてのヨーロッパ史を題材に歴史小説を書いている。2010年からは、『十字軍物語』を執筆、2012年に完結している。
現在はイタリアの政治と比較して日本の政治のことを取り上げる論文を雑誌に掲載したりしている。
大のユリウス・カエサル好きであり、彼の後援会員(クリエンテス)でもある。
ローマ人の物語
今われわれは、かつて栄華を誇った帝国の滅亡という、偉大なる瞬間に立ち合っている。
だが、この今、わたしの胸に占めているのは、勝利の喜びではない。
いつかわがローマも、これと同じときを迎えるであろうという哀感なのだ。
カルタゴ陥落時の言葉
塩野七生の代表作としてロムルスによる王政ローマ建国から、共和政への移行、帝政への移行、西ローマ帝国滅亡、そして西ローマ帝国滅亡後の東ローマ帝国によるイタリア占領までを記した「ローマ人の物語」(全15巻 新潮社)シリーズがある。この作品は1992年から2006年まで書いた塩野女史の最長の長編作品である。
巻にもよるが、大体各巻ごとに複数人の主軸となる登場人物(たとえば1巻は王政ローマの歴代の王とルキウス・ユニウス・ブルータスなど、2巻はハンニバル・バルカと、プブリウス・コルネリウス・スキピオ・アフリカヌスの両名など)があり、彼らに各巻の各章の多くを割り振り、大体は彼らに主軸をおき彼らの所行を追うことが多い。主軸にはハンニバルのようにローマ人じゃなく、ローマ人の敵対者の場合もあった。この主題に加え、当時の軍事、政治、文化などの事情も色濃く描く。地理的要件に触れることも多く、現在のイタリアの地理・気候などの特徴を踏まえつつ記述することも多い。
また歴史作家の意見に反論する形で塩野女史の意見が取り入れられることも特徴である。特に帝政以後はコルネリウス・タキトゥスの意見に反対して、彼女の独自の意見や歴史観を強く書いている。暴君と呼ばれることの多いローマ皇帝(ネロなど)にも、割かし肯定的である。逆にキリスト教やキリスト教を肯定した人物には、従来より厳しい評価を下している(日本人から見ればむしろ中立的だが)。
また大のユリウス・カエサル好きである塩野氏であるからか、全15巻の「ローマ人の物語」のうち第4巻と第5巻はカエサルを主人公として、彼の生年から没年、そして後継者に与えた影響までを色濃く書いている。「ローマ人の物語」において単行本を2巻まるごと使った主題の人物はカエサルのみである。こういった事からか、「『ローマ人の物語』は、カエサルが死んでからやる気がなくなったのでは?」などと言われたらしいが、「カエサルがいなくなればアウグストゥスと一緒にいるだけ」と軽くかわしている。
多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。
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