墨とは、以下のことを表す。
- 墨 - 煤を練り固めたもの、またそれを磨って水に溶いた黒い液体。書画に用いる。後述
- 墨 - ニコニコ動画で活動している女性歌い手。→「墨(歌い手)」
- イカやタコが威嚇や混乱を狙って吐く黒い液体。
- メキシコのこと。メキシコの漢字表記「墨西哥」から。
- 墨田川のこと。
- 墨 - 芸術新聞社が発行している書道専門誌。隔月刊。
人名
概要
文字を書いたりや絵画を描く時に使われる。
先の硬い鉛筆とは逆に、筆を使って書くので毛筆と呼ばれる。
小学校では習字の授業や書き初めが行われているため、 日本で育つと何度かは必ず触れているものである。
そのたびに手が真っ黒になり、大量の古新聞紙が捨てられる。
筆を洗うためにバケツを用意することもあるが、それももちろん真っ黒である。
お正月などの罰ゲームの定番として顔に落書きをすることがある。
習字の時、先生は大抵添削用に赤い墨(朱墨)を持っている。
硫黄と水銀を反応させた硫化水銀を原料として通常黒色を出している煤(すす)の代わりに使用している。
固形と液体
墨は伝統的な固形のものと、すぐ大量に使えるように液体のものが売られている。
墨を磨る時間を短縮できるため、学校での習字で効果的だった。やがて、その便利さが好評となり大人も利用するようになっていった。
芸術家からも高品質な液体墨を求められ、墨生産業者は新製品を開発していった。
液体墨は固形墨とは異なり膠(にかわ)でなく合成樹脂を使用している。これにより安定した品質の墨を生産することができるようになった。
液体墨は約3年間を超える長期保存ができるようになっている。
歴史
- 飛鳥時代(西暦610年)に高麗より伝来。
- 大宝律令の時代(701年)には製墨を司る役所ができる。
- 奈良時代以降(710年~)、仏教が広まり写経をするために需要が高まり高級品になる。
- 平安時代、仮名文字の誕生と文字の広まりにより、さらに需要増大
- 江戸時代以降、全国各地で生産されるようになる
- 現在の主な産地は奈良県と三重県。
漢字として
- 意味
- 旧字体は墨。
- 黒い顔料、すみ、すみで書いた、詩文、水墨画、黒い、黒色の、汚い、貪る、入れ墨をする刑罰、眉墨、五尺、メキシコ、(黙と通じて)だまる。
- 〔説文解字・卷十三〕に「書する墨なり」とある。
- 字形
- 土+黒の会意。甲骨文に墨で書いた跡のあるものもあり、古くから墨による記述が行われたようである。また古くは石墨を用いた。
- 音訓
- 音読みは、ボク(漢音)、モク(呉音)、訓読みは、すみ。
- 規格・区分
- 常用漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 声符
- 墨を声符とする漢字には、纆などがある。
- 語彙
- 墨鴉・墨花・墨家・墨海・墨客・墨丸・墨君・墨刑・墨痕・墨守・墨汁・墨色・墨水・墨荘・墨池・墨竹・墨滴・墨本
異体字
- 墨は旧字体で、人名用漢字である。JIS X 0213第三水準。2004年に参考字体から格上げされた。
互換文字
- 墨はUnicodeにおいて墨と互換とされる字である。
関連項目
外部リンク
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