まだ手遅れではないと、君たちも分かっているだろう。ここは私たちの世界でもある。私たちは、君たちと同じ程度に、にくにくしきものたちを滅ぼしたい。そして私たちには、君たちを助ける事が出来る。私たちはお互いを助ける事が出来るのだ。鑕へ来たまえ。話をしよう、私たちはこの世界を救える。
SCP-2217 - SCP財団より,2022/08/08閲覧
壊れた神の教会 (Church of the Broken God、略称CotBG) とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場する要注意団体(GoI)である。
概要
壊れた神の教会はシェアード・ワールド『SCP Foundation』のなかでもかなり古参の部類に入るオブジェクトである。最初期の2008年にはSCP-882 (機械) というオブジェクトが執筆され、これが2012年に壊れた神の教会との関連を紐付けられたからである。彼らは初期こそ、機械を集める謎のカルトという立ち位置であり、財団の機械系アノマリーの収集を妨害する怪しい連中としての登場が主であった。
立ち位置が変化したのはサーキック・カルトの物語中における成立であろう。彼らの世界征服に対抗しようとする勢力として、「肉」のサーキック・カルトに対し「機械」の壊れた神の教会が選ばれることとなる。こうしてバックボーンの掘り下げが進んでいき、やがて紀元前から存在する「メカーニズム」という思想体系と、それを信奉する産業革命期に成立した「壊れた神の教会」、という区分が産まれた。現在も異世界には壊れた神の教会とは無関係に存在するメカニト (メカーニズムの信奉者) たちが存在していることもわかってきた (メタ的には、そう設定された) 。
しかし財団世界的には財団があくまで壊れた神の教会を先にGoIナンバリングしたことから、外宇宙的にはタグが『壊れた神の教会』であって『メカーニズム』ではないから、財団世界・外宇宙問わず財団職員はごっちゃにしがちである。『壊れた神の教会⊂メカーニズム』と理解すればよいだろう。メカーニズム自体については、『メカーニズム』という項目で解説を行いたい。
なお、以下では「壊れた神の教会」をその略称であるCotBGと表記する。これは「壊れた神の教会」の中に「壊れたる教会」というグループが存在し、非常にややこしいためである。
財団が指定する団体番号はGoI-004。構成員は3派閥合わせて30万人と見積もられており、資力は年間で10-50億USDとされている。
歴史
CotBGは、産業革命期に機械と大量生産の増加を見たメカニトたちの小集団群が、MEKHANEの帰還が近い証であるとしてまとまったことで産まれた。これは現在ではCotBGの主流派である「壊れたる教会」として知られる。
しかしメカーニズムはメカニト帝国崩壊後、自分たちが機械実体へ変換されることを実践しなかった。これにともない「神の膿漿液 (SCP-217 - 時計仕掛けのウイルス)」も失われていた。そのため、自己変換の実現性を疑問視していた。しかしいくつかの小集団は「自分たちが偽物のMEKHANEになればいいのでは」と考え、当時の工業界の資本家たちの協力の下壊れたる教会から分離した。異常な技術の普及は一般社会からの異常の隠匿を目的とする財団にとって好ましいものではなく、CotBGと財団の初期の対立の要因となった。
彼らはやがて、歯車仕掛正教の総主教の元統合され、19世紀末に主要な分派として成立した。彼らは20世紀までにいくつかのMEKHANEの一部と見られるアーティファクトの収集を開始し、CotBG内ではMEKHANEの再構成はもはや時間の問題と考えられていた。しかし壊れたる教会は、同じCotBGとはいえ分派たる歯車仕掛正教がMEKHANEの再構築を行うことを認められず、自分たちでMEKHANEのアーティファクトを捜索することとした。
壊れたる教会のメンバーとして、このころロバート・ブマロという男が動きはじめた。この名前にピンと来た方は多いだろう――そう、イオンと昔争いあったあのブマロである (財団は現在まで同一人物であることに気付けていないが) 。彼は表向き機械のコレクターとして、雇った人員を異常な方法で神とコミュニケートできるように改造した。壊れたる教会は歯車仕掛正教ほど人工的な強化を奨励しなかったため財団にも驚きを与えている。
やがてブマロは1943年までに100近くのアーティファクトを発見し、その後3年ほど失踪した後に、CotBGの指導者と「神の構築者」としての立場を確立した。彼は壊れたる教会の指導者としてのみならず、全ての既知のCotBGの宗派間で崇敬されている。財団が気付いていないだけで、メカーニズムの創始者本人であるわけであるから、歯車仕掛正教もブマロに対して崇敬こそあれど嫌悪があるはずもなかろうが。
やがて1990年代の電子機器の発達により、歯車仕掛正教内部は「電子デバイスを教義に含めてよいか」で議論が分かれる。総主教が「コンピュータは異端である」と教義に追加したことで、いくつかのグループが歯車仕掛正教から独立。彼らは大きな協力を歯車仕掛正教ほどは受けられなかったものの、聖ヘドウィグの教えに従い1990年代後半に統合され、現在マクスウェリズム教会として知られる団体となる。彼らはプロメテウス研究所などの協力者を得たことや、メディア、インターネットを中心に教科を行うことでCotBGの伝統派の地位を脅かしつつある。
3つの派閥
上述の通り、CotBGには3つの主要な派閥が存在する。主として、神の再構築を優先し自己の変成を重視しない「壊れたる教会」と、自己の変成を重視する立場の「歯車仕掛正教」「マクスウェリズム教会」である。ただし後者2派閥も神の再構築を完全にかなぐり捨てているわけではない。
壊れたる教会 (The Broken Church)
職人はただ神にのみ答えるのだ、その手で彼の者の御身体を修復するために。
-構築者ロバート・ブマロ
壊れた神の教会ハブ - SCP財団より,2022/08/08閲覧
メカーニズム小集団群が産業革命期に統合されできた、CotBG主流派。信仰する神を単に『壊れたる神 (The Broken God)』とのみ呼ぶ。現在はロバート・ブマロが指導者をつとめている。先述の通り、ブマロはメカーニズムそれ自体の創始者であることから、他の二派閥もブマロへの崇敬を失っておらず、故にこの主流派自体もこれといった蔑称は持っていない。
歯車仕掛正教 (Cogwork Orthodox Church)
壊れた神の教会ハブ - SCP財団より,2022/08/08閲覧
自分たちの身体を機械的に増強し、MEKHANEの意匠と設計に基づいて自分たちを作り変えようとしている。これは彼ら自身による、彼らの『規格化』と考えられている。この自己改造のために歯車仕掛正教の信徒たちはしばしば可聴域のカチカチという音を身体から発している。これがゆえに他の2派閥からは『刻み屋』と呼ばれている。彼らは神を『MEKHANE』と呼称する。
彼らは産業革命後期の技術的規範に固執しているため、彼らは蒸気機関や時計じかけといったアナログな機械の量産を祈りの一形態として捉えている。彼らは情報の共有や分散を、神聖な知識の散逸と捉えている。このことからおそらく蛇の手とは仲は悪いと思われる。
総主教 (Patriarchs) と呼ばれる組織によって中央集権的な体制を持っているが、この総主教が頑迷らしく、1990年代の電子・デジタルデバイスに反発し、「なにゆえ教会にコンピュータがあるのだ!教えはどうなっているのだ教えは!」と異端認定を行ったことでいくつかの集団が歯車仕掛正教を離反。下記のマクスウェリズム教会の下地となる。現在も歯車仕掛正教の信徒は電子・デジタルデバイスの使用を禁忌とみなしている。
マクスウェリズム教会 (Church of Maxwellism)
個性とはファイルシステムであり、それを通して私たちの主はコンパイルされるのです。
-Yogensha_No_Kotoba.txt
壊れた神の教会ハブ - SCP財団より,2022/08/08閲覧
歯車仕掛正教が電子・デジタルデバイスを異端としたことに反発し、彼らから離反したいくつかの集団が、聖ヘドウィグの教えに従い統合された団体。歯車仕掛正教に対する反発故か、逆に中央組織や決まったリーダーを持たない。彼らは自身に義肢や強化骨格などを埋め込むが、このインプラントに伴い、通信、データストレージ、ネットワーク機能、感覚強化を重視している。これにより信徒はネットワークに接続し、互いに連絡をとりあうことで対等な関係を築いている。彼らはコンピュータのファンノイズを瞑想の援助に用いるため、他の2派閥からは『唸り屋』と呼ばれる。彼らは神を『WAN』と呼称する。
彼らはWANはデジタル時代の技術と精神の中に、共通要素を持たないデータとして存在する断片化された神格として解釈する。このため、他の2派閥のように機械を集めるのではなく、自分たちが精神を接続することで、神が人類の集合意識として再コンパイルされると信じている。このため知識の共有には積極的。
プロメテウス研究所と懇意にしていたが、倒産してしまった際は悲嘆に暮れたらしい (歯車仕掛正教サイドがプロメテウス研究所の倒産を手を叩いて喜んだのとは対象的である) 。
特異な点として、サーキック・カルトの実在を否定しており、おとぎ話の住人という認識を持っていた (CotBGがギリシア沿岸の島の奪回を目論んだ際に、改めて他の2派閥からサーキック・カルトの実在を知らされている) 。
関連動画
関連項目
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