大天使クリスティアとは、遊戯王OCGに登場するモンスターカードである。
概要
《大天使クリスティア/Archlord Kristya》
効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2800/守2300
(1):自分の墓地の天使族モンスターが4体のみの場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した場合、
自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動する。
その天使族モンスターを手札に加える。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いにモンスターを特殊召喚できない。
(4):フィールドの表側表示のこのカードが墓地へ送られる場合、
墓地へは行かず持ち主のデッキの一番上に戻る。
このモンスターの肝はずばり「特殊召喚封じ」である。「王宮の弾圧」と違い、発動を無効にするのではなく発動そのものを封じるという驚異の拘束力を持つ。過去にも同様の効果を持ったモンスターは存在するが、その中でも最上級モンスターだけあり抜群のステータスを持ち戦闘でも破壊されにくい。
特殊召喚というのはシンクロ召喚・エクシーズ召喚・融合召喚・儀式召喚・ペンデュラム召喚・リンク召喚・その他モンスター・魔法・罠効果による特殊召喚、これら全てが封じられる。遊戯王OCGルールは「召喚」は自分のターンにつき一回という制限はあるが特殊召喚の回数には制限はないため、たいていのデッキは特殊召喚を連打して大量展開をしている。ふわんだりぃずのような召喚を連打する例外はいるが、それもごく一部に過ぎない。
つまり、今流行しているデッキの大勢は特殊召喚に依存したデッキだということになる。そしてそれが封じられるということはデッキの核が潰される、ということでもある。強さがお分かりいただけただろうか。
特にシンクロ召喚以降は、下級モンスターは展開要員とし単体の戦闘力を軽視して、EXデッキのモンスターたちに除去を任せるデッキが主流となってきた。それゆえ先行してこのモンスターを出されるだけで積んでしまう場面もまた上がっているのだ。
また従来の特殊召喚封じモンスターは特殊召喚出来ないモンスターが多く、下級モンスターは当然攻撃力・守備力共にいまいちで、場に維持し続けるのは難しい部分があった。より性能の良い上級モンスターはアドバンス召喚しなければならないがリリース要員が必要、と手間がかかっていた。
しかしこのモンスター、特殊召喚できない制限もない。墓地に落ちれば死者蘇生でも蘇生可能である。
特殊召喚封じなのに特殊召喚可能なステータスのいいモンスターだと?インチキ効果もいい加減にしろ!→お前が言うな
しかしこの墓地にモンスターが4体のみの時というのが墓地操作のサポートカードが多い闇属性の「ダーク・アームド・ドラゴン」とは違い、中々そう都合良く揃わないことも多かった。
更にその場合では天使族モンスターを手札に入れる以上、墓地には3体しかいなくなり、またこのカードがフィールド上から墓地へ行くことはないので条件が崩れてしまう…等がネックとされていた(オネストを落として手札に加えれば特に問題は無かったり)。
【代行天使】
しかし。「マスター・ヒュペリオン」の登場により状況は一変した。このカードの効果は墓地の天使族モンスターを除外してカードを破壊するというもので墓地が溜まり過ぎていてもこのカードで除外して4体にすれば手札からクリスティアが駆けつける、という相手にしてみれば最上級モンスターが2体並んでいるのに特殊召喚出来ないという阿鼻叫喚の図が出来上がる。しかもこの「マスター・ヒュペリオン」は手札・フィールド・墓地のどこかにいる代行者と名のつくモンスターを1体除外すれば手札から特殊召喚出来るという特殊召喚の容易さ。
そして、天使族は「神の居城-ヴァルハラ」(自分のフィールド上にモンスターが居ない場合、手札の天使族モンスターを1体特殊召喚できる永続魔法)、「ジェルエンデュオ」(戦闘で破壊されず、天使族を召喚する時は2体分のリリースとして使用できる)、とこのカードを出す手段自体は豊富だったりする。
とまあ代行者の台頭によりこのカードの使い勝手も飛躍的に向上したため、このカードも2011年3月の制限改定で準制限カードになってしまった(とはいえドロー率が下がるだけで一枚フィールドにいるだけで良かったりするのだが)
2015年4月のリミットレギュレーションで無制限カードへと復帰する。
現在では神光の宣告者と組んでクリスティアの除去をガードしつつ神光の弱点である高打点モンスターをクリスティアで出させないといったパーミッション系の封殺のお供としての出番が多い。
ちなみにこのカードは初出はVジャンプの付録でありその後1年ほど再録がなかったため一時期値段が大変お高いものとしてカードショップで取引されていた。しかし「マスター・ヒュペリオン」の登場と同時にストラクチャーデッキで再録されたため、入手難度は極端に低下した。
※ストラクチャーデッキ…構築済みデッキセット。通常カードゲームでは、パックと呼ばれる特定枚数がランダムに封入されているものを購入してカードを揃えるという体裁を取るのに対し、特定カードを固定で詰め合わせた構築済みデッキが発売されることもある。特定カードが欲しいだけならそれが収録されている構築済みデッキを買えば、カードショップを介さなくても最も確実に入手することができる。
【代行天使】は代行者にこのカードを刺したデッキが基本である。自分たちが散々特殊召喚したあとにこのカードを出して相手の展開を封殺するのである。これはひどい。詳しい戦術は代行天使の項を参照してほしい。
第二の【代行天使】―幻奏―
無制限に緩和されてから9年後、2024年2月にOCGの大会である天使族テーマの優勝報告が上がった。それが【幻奏】だ。
幻奏はペンデュラム召喚が登場した9期出身のアニメテーマでなのだが、何故かペンデュラムモンスターが実装されていなかった。一応、融合モンスターは追加されたのだが、デッキパワーが弱く、単体で戦うのはまず不可能だった。
12期に入り、ペンデュラムモンスターの追加など大幅な強化がされた。現代水準のレベルに引き上げられたところで、融合モンスターである「幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト」に注目された。このカードは墓地のカードを3枚まで除外する効果があるため、「マスター・ヒュペリオン」同様の調整が可能。しかも融合モンスターなので、ヒュペリオンと異なりサーチの必要は無くなった。
とはいっても、幻奏の展開を止めてまでクリスティアを出すかは状況によるし、結局はクリスティアを手札に持っておくという前提がある。
しかし同時期、マスターデュエルにおいてより確実性の高い召喚ルートが爆誕した。
スネークアイ with アナコンダ&烙印融合
MDで2024年2月に登場した【スネークアイ】はレベル1とレベル8の炎族モンスターを主体としたデッキだ。OCGであれば追加のカードも実装されており、「蛇眼の炎燐」といった展開のキーカードも含まれるため、容易に大型リンクモンスターへの展開が可能。
……と、ここまで聞くと天使族要素ゼロなのにどうやって出すのかという話になるが、キーカードは3つ。
1つ目は「蛇眼の炎龍」。スネークアイのレベル8モンスターであり、墓地のモンスターを永続魔法扱いでフィールドに置く効果と、相手ターンに永続魔法扱いのモンスターをフィールドに特殊召喚する効果を持つ。
2つ目は「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」。OCGでは禁止カードなのだが、MDでは何故か生存している。その効果の1つにLPを2000払い、墓地に送った融合魔法の効果をコピーするというもの。
3つ目は「烙印融合」。デッキ融合で強力な融合モンスターを出せるのだが、制限カード。そのため、素引きよりもアナコンダによる効果のコピー元としてデッキから引きずり出す形となる。烙印融合で「アルバスの落胤」とクリスティアを墓地へ送ることが可能。
総じて、炎龍と適当なモンスター2体さえ出せれば、アナコンダで烙印融合しつつクリスティアを墓地へ送り、炎龍でクリスティアを永続魔法扱いでフィールドに置き、次のターンの始めに炎龍の効果でクリスティアを特殊召喚という天使族もドン引きのコンボが完成してしまった。
観月小鳥の切り札…?
ちなみに激突!デュエルカーニバル!およびタッグフォースSPの観月小鳥はこのカードに専用台詞がある(マスター・ヒュペリオンにもある)。これは小鳥の担当声優である小松未可子が遊戯王アニメに出演したことで遊戯王を始め、初めて本格的に組んだ遊戯王のデッキが代行天使だったからである。つまり中の人ネタ。
なおアニメで使ったことは一度もなく、それどころかこのカードはZEXALに一切登場していない。
関連動画
関連商品
関連項目
- 遊戯王OCG
- 遊戯王OCGカードリスト
- 代行者(遊戯王)
- ダーク・アームド・ドラゴン(こちらは墓地に闇属性が3体いたら特殊召喚)
- 1
- 0pt