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大腸菌とは、細菌の一種である。
概要
腸内細菌の一種で、主に人間(ヒト)や哺乳類の大腸に住んでいる。
腸内細菌には善玉菌・日和見菌・悪玉菌の大きく3つのタイプがあり、ほとんどの大腸菌は無害な日和見菌に分類される。これは常に強い勢力に味方する細菌のタイプであり、身体に良いとされる善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)が優勢になると善玉菌に加勢しビタミンの合成や消化吸収、免疫などの生命活動に必要な重要な役割に関与してくれる。逆に悪玉菌(ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌など)が優勢になると有害物質を産生するなどの悪影響を及ぼす。
中には感染症や食中毒の原因となるタイプ(病原性大腸菌)も存在する(特に有名なのが腸管出血性大腸菌O157と赤痢菌)。だが、ほとんどの大腸菌は先述の通り無害な日和見菌であり、大腸にいなくてはならない存在である。
また、増殖能力が非常に高いことから生化学(生物化学)・分子生物学でよく実験台として使われる細菌でもあり、生物学の発展にも大きく貢献している細菌でもある。
病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)
- 腸管病原性大腸菌(EPEC)
主に小腸の細胞に感染し、発熱、腹痛、下痢、嘔吐などサルモネラ食中毒に似たような症状を引き起こす。乳幼児は重症化しやすい。
- 腸管侵入性大腸菌(EIEC)
主に大腸の組織に侵入して細胞を破壊するという赤痢菌と似たような性質を示すが、赤痢菌やEHECと異なりベロ毒素(志賀毒素)は作らない。発熱や強い腹痛、粘液混じりの血便(下血)など細菌性赤痢と似たような症状を引き起こす。発展途上国に多い。
- 毒素原性大腸菌(ETEC)
主に小腸に感染し、コレラ菌と同様に毒素を産生する性質を持つ。激しい下痢や嘔吐などがみられ、コレラと同様に真っ白い水様便が大量に排泄されるため脱水症状に陥りやすい。発展途上国に多い。
- 腸管出血性大腸菌(EHEC)
特にO157が有名。
主に大腸に感染し、赤痢菌の志賀毒素と似たベロ毒素を作る性質を持つ。このベロ毒素は猛毒で、重度の出血性大腸炎(主な症状:激しい腹痛、下血など)や溶血性尿毒症症候群(HUS。急性腎不全、溶血性貧血、血小板減少症など)などの怖い病気を引き起こす。致死率が高い。
感染症法だと危険度が高い三類感染症に指定されており、細菌性赤痢などと同じグループである。
三類感染症の細菌性赤痢を引き起こす。感染力がノロウイルス並みに強いため、食中毒というよりむしろ伝染病に近い。
菌の株によっては志賀毒素を作り、出血性大腸菌やHUSなどの重大な病気を引き起こすこともある。
関連項目
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