大艦巨砲主義単語

タイカンキョホウシュギ
  • 28
  • 0pt
掲示板へ

大艦巨砲主義(たいかんきょほうしゅぎ)とは、20世紀前半の海軍戦略において支配的であった、「でっかい船にでっかい大砲積めば最強じゃね?」という考え方である。

概要

単純に言えば、「強を搭載し堅固な装甲によって防護された『最強軍艦』である『戦艦』の質と量が上戦の優位を決定する」という思想である。
ただし、その思想の全盛期は20世紀のうち前半だけであった。

20世紀初頭、1906年にイギリス海軍が建造した戦艦ドレッドノート級が大艦巨砲主義の先駆けであるとされる。
本級は複数配置された同一口径のを一元的に管制する方式を採用し、従来戦艦とは較にならないを得たことに加え、蒸気タービンの採用による優れた速度も併せ持っていた。また防御についても列が(そしてイギリス自身も)運用・建造中の戦艦一気に陳腐化させ、列ドレッドノートしう戦艦を「(ド)級戦艦」(の字は当て字)、駕する戦艦を「(ド)級戦艦」と呼ぶようになった。
こうして、列強は大建艦競争の時代に突入していくことになる。

自己のを防ぐだけの装甲を持った戦艦は、より優れたを持つ戦艦をもってしか撃破し得ない。
つまり、強戦艦がどれだけ保有するかが的となり、実際に火を交えることなくそのの持つ海軍明されると考えるに至った。

以後、世界の列強各では戦艦建造が猛な勢いで始まることとなる。建造されるたびに艦のサイズは大きくなり(と、同時に口径も増大し)、国家財政を転覆させかねないほどの建造費を必要とするにいたってようやく列強各は頭を冷やして1921年、ワシントン海軍軍縮条約による中断期間(海軍休日)を迎えることとなる。
1937年の条約明け後もこの建造レースが続くかと思われたが、その直後に発生した第二次世界大戦において大艦巨砲主義に基づいて建造された戦艦の優位性は、発展著しい航空機及び空母に覆されることになった。
またこれら一連の流れをもって、過去の成功経験に基づくものの時勢にそぐわなくなりつつある手法などを揶揄する言葉として「大艦巨砲主義」が使われる場合がある。

大艦巨砲主義の終焉

一般的には、大艦巨砲主義は海軍戦略の航空義への転換に伴って終焉をみたとされる。
しかし実際には、それ以前に大艦巨砲主義の没落は始まっていたとする解釈もある。
第一次大戦においてドイツ英国戦艦巡洋戦艦隊が入り乱れたジュットランド(ユトランド)戦において発生した予想だにしない中・遠距離戦は双方に多大な損をもたらした。
それまで巨費を投じてこつこつと培ってきた戦艦がわずか数時間、一日の戦によりの藻と化す。この現実に衝撃を受けたのか、ドイツ海軍は艦隊保全義により傾倒し、艦隊は「そこにいるだけ」であれば良いと考え、潜水艦などを使った通商破壊戦に注することなる。対する英国ドイツ通商破壊戦に対して上護衛戦を行っていくことになった(この背景にはドイツ英国との戦差があまりにも大きかったということもある)。
これはWW1の戦いの有様が国家(経済など様々な点)を必要、あるいは阻するための総力戦となったため、局所的な上支配権を獲得するための手法として「戦」という方法がコストパフォーマンスに合わなくなってきたととしてみるべきかもしれない。

またジュットランド(ユトランド)戦の戦訓は、「遠距離撃戦における大度で落下する弾を防ぐためには、より一層の装甲化が必要」ということであり、結果として戦艦に対する建造・維持コストの増大をさらに促した。
戦艦が実戦ではあまり意味のない食いであるという認識を各海軍関係者がどれほど共有していたかはともかく、国家財政が傾くほど巨額な経費がかかる戦艦の建造を抑えるべく、戦間期に戦艦の建造は条約によって規制されることとなり「海軍休日」と呼ばれる時期を経て、第二次大戦へと至る最後の建艦競争に突入した。

もっとも、この時点で戦艦の攻撃手段である大砲による攻撃というのは限界に達しようとしていたのも事実である。すなわち、どれだけ巨を搭載したとしても観測できる見通し距離は(地球は丸いので)線を越すことは出来ないという現実にぶつかることになった。
観測できない距離での撃を可にするため、戦艦に弾着観測用の航空観測機を搭載しようという手法も生み出されたが、当時芽しつつあった航空機の集中運用プラットフォーム、すなわち空母に搭載されている艦載機によって阻されることは眼に見えていた。

ここで諸外海軍関係者の中から、観測機を蹴散らすための航空機爆弾を積めば、より遠距離での攻撃が可になるのでは?というアイデアに達する者が出てくるのは時間の問題だったといえるだろう。
もっとも、この時点では航空攻撃によって行動中の戦艦を撃破することが可だとはまだ確信されていなかったのであるが。

大艦巨砲主義の席巻は、第二次世界大戦によって終わりを告げる事になる。イギリス軍によるタラン襲、次いで日本海軍による真珠湾攻撃において、空母航空戦艦を撃破しうることが明された。しかし、いずれも撃破されたのが「停泊中の」戦艦だった事から、依然として作戦行動中の戦艦航空機では倒せないという考えが流だった。だが、真珠湾攻撃から僅か2日後にその考えは覆される事になる。世界の戦い方を変えたマレー沖海戦の生起である。この戦でイギリス海軍が誇る新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズ巡洋戦艦レパルスが「作戦行動中に」航空攻撃で撃沈され、しかも日本側の被害は陸攻3機喪失のみというワンサイドゲームであった。の王者たる戦艦航空機敗した事実は、列強各驚愕させた。こうして航空理論は大艦巨砲主義に対する優位を確立した。「戦艦を発揮するための偵察役」あるいは「偵察役である観測機を撃破する」ためであった空母機動部隊の地位が、従逆転したのである。このマレー沖海戦に、戦の役は空母航空機に変わっていった。

日本海軍大和戦艦を建造したことを「時代錯誤な大艦巨砲主義」と評することもあるが、大和建造計画が立案された当時はまだ航空機流ではなかったので、注意が必要である。航空機役になるきっかけを作ったマレー沖海戦戦艦大和工の僅か2日前であり、未来予知でもい限り大和の建造は至極当然であった。結果だけを見るならば、日本海軍に先見の明がなかったとも言える(その日本海軍が前述の真珠湾攻撃空母の有性を世界明してしまったのがなんとも皮)。余談だが、大和級三番艦「信濃」は建造中に戦艦から空母に変更されている。

一方、諸外ではどうだったかというと、アメリカではルーズベルト大統領経済政策による一つとして、戦艦建造計画がスタートしていた。雇用対策、すなわち共事業としての戦艦(だけではなく空母まで)量産が行われていたわけで、もはやの差はいかんともしがたいものがあり泣ける始末である(日本海軍アメリカ海軍に対して優越することが出来たのは、開戦の有に関わらず1943年前後だというのが日本海軍の判断で、この背景があったからこそ山本五十六の「一年、二年であれば…」という有名な発言につながっている)。
もっとも最後の戦艦アイオワ級は大艦巨砲主義というよりは日本金剛級を意識したような巡洋戦艦進化として誕生している。
英国ではキング・ジョージ5世戦艦戦争前に建造開始されたものの、生き残った四隻は戦争が終わるとあっという間に訓練艦、予備役艦艇扱いとなってしまった。戦争中に建造されたのはヴァンガード戦艦だけ。さらに言えばヴァンガード級の建造的も未使用の身があったので、もったいないから…というもので、建造されたのは一隻にとどまる(ただし英国戦艦技術のを結集して作られたのはいうまでもない)。

しかし、大艦巨砲主義が覆されたとしても戦艦の存在意義が否定されたわけではない。そのを生かして沿撃で活躍した事実もある。金剛ガダルカナル・ヘンダーソン飛行場撃)、ガングート級(レニングラード攻囲)、アメリカ海軍戦艦によるノルマンディ上陸作戦硫黄島沖縄などの上陸戦で有効な撃を行っている。陸軍が運用する大砲サイズはせいぜい口径120mm~210mmであり、これは駆逐艦サイズといってもいい。かたや戦艦305mm~400mmという大きさである。戦艦がいかに巨大な大砲を扱っているかわかるだろう。
金剛型戦艦による沿撃の成果は一個師団に匹敵する、という報告があがるのもむべなるかな、ということだ。ちなみに戦艦による対地艦砲射撃を最初に行ったのは日本で、甚大な被害を受けたアメリカ軍がその戦法を自軍に取り入れてガンガン行った。

戦後も、米海軍アイオワ級戦争のたびに沿撃用に引っり出し、後にトマホークCIWSを搭載する魔改造やらかしたお前はどこのウォーシップコマンダーだ。
もっとも、当時はトマホークを集中運用するプラットフォームがなく、「戦艦引っりだすならついでに乗せちゃえば?」みたいなノリだったとは思うが…そのアイオワ級現在はすべて退役し、記念艦や博物館として余生を過ごしている。

余談ではあるが、アイオワ級最大の功績と言えばスティーブン・セガールと沈黙シリーズを世に送り出したことである。

大艦巨砲主義とロマン

シンプルに強く、堅く!を志向する大艦巨砲主義は、々の意識の単純な部分に強く訴する。

そもそも、つるん、ぺたん、な航空母艦フラットトップ)よりも豊満でメリハリの利いた戦艦の構造そのものにに惹かれてしまう部分があるのは否めない。いや、両方好きですけど。

「あれ、戦艦に飛行甲つけたら最強じゃね?」
「あれ、空母にでっかい積んだら最強じゃね?」

妄想が膨らんでしまった人のために、「こうくうせんかん」というものがある。

かつて日本海軍が保有していたが、2009年3月海上自衛隊が「重航空護衛艦ひゅうが」としてリメイク。巨というには若干ものたりなくもあるが、せっかく予算を組んで建造してもらったのだから、ロマンを楽しんでみて欲しい。

個人的な領域における大艦巨砲主義

強く、硬く、太く、長く、多く、そして…
よりもい!

・・・という大艦巨砲主義の理想を全に達成することは、現実的には様々な制約から不可能であることは歴史の教訓からみて自明である。

(´・ω・`)

関連動画 

関連コミュニティ

関連項目

【スポンサーリンク】

  • 28
  • 0pt
スマホ版URL:
https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E5%A4%A7%E8%89%A6%E5%B7%A8%E7%A0%B2%E4%B8%BB%E7%BE%A9

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

大艦巨砲主義

294 ななしのよっしん
2019/09/27(金) 01:56:51 ID: SYX97KZtqY
戦艦が簡単に沈むか!
295 ななしのよっしん
2019/10/20(日) 22:12:26 ID: F+vJ5jn9dQ
>>293
そもそも戦艦をどうやって敵空母艦隊に接近させるかという大きな問題がだな…
296 ななしのよっしん
2019/10/20(日) 23:20:58 ID: 6im8KDm+/n
艦載機による戦闘訓練なんぞ空母運用するならどこでもやっとるしの
さらに言うと偵察も空母仕事だからのうちに発見されたらまず対策される
日没以降に相手に気付かれない距離から射程距離まで
一気に接近できる速ならなんとか

航跡まで消せるステルスでも搭載したらどうっすかね
297 ななしのよっしん
2019/10/31(木) 02:51:11 ID: Py46Oby5N/
護衛艦隊さえ蹴散らせば空母を攻撃するのは小艦艇でもいいし、航空機でも敵空母自身が航空機運用に集中できなくなるから効果は上がるだろう
つまり戦艦の役割は護衛の戦艦を蹴散らして小艦艇にを開く事だ
どっちにしろどうやって空母艦隊に追い付くかって?さあ……
空母が揚陸支援に集中しないといけない時…例えばマリアナ沖海戦日本軍の理想通り、戦艦部隊の危惧通りに進めば最後の戦艦体の艦隊決戦があったかもしれない
298 ななしのよっしん
2019/11/15(金) 15:54:49 ID: mI8Y1QiWkt
ガンダムのビクザムなんかはIフィールドという最強の盾があるお陰で硬くて、でかくて、強いという凄い大艦巨砲主義の理想の実現だと思う
その点現実大艦巨砲主義はいくら強い攻撃兵器が作れてもそれを防ぐ防御兵器は作れないんだから結局のところロマンでしかないんだろうな
299 ななしのよっしん
2020/04/06(月) 00:30:06 ID: Py46Oby5N/
八八艦隊とか本気でやってた頃は、実際こちらの要な戦艦を喪えば相手戦艦を沈める効果的な方法がなかったので、
建艦競争による財政破綻がちらついてでも相手に対抗できる強な艦を持たなければ制権喪失→海外植民地維持の困難→植民地経済の破綻となってどっちにしろ終わるという、ロマンで片付けていいのか悩むような血みどろのチキンレースに陥ってた気がする
300 ななしのよっしん
2020/05/21(木) 12:42:21 ID: EGMzBrRVsT
>>291,293
当時の戦艦は、攻撃=防御>速度の優先順位で設計されていたので、
艦載機を効率よく発艦させるために速度が重視されていた空母に追いつけない
特に空母戦場となった太平洋では、絶対に守らなくてはいけない基地がほとんどかったので、
間には予想される敵艦隊の位置から離れるように移動するだけで、空母は安全に戦えた

一方で狭い域の北海では、護衛が少なすぎの作戦ミスもあるけれど、
空母グローリアス巡洋戦艦とも呼ばれるシャルンホルストグナイゼナウに接近されて、沈められている

今のアメリカ原子力空母は、原子力のおかげで最大船速で移動し続けられるので、
護衛艦隊すら置き去りにして逃げられるらしいw
301 ななしのよっしん
2020/06/25(木) 12:24:40 ID: Py46Oby5N/
空母化の第一はやはり潜水艦
潜水艦を確実に防ぐ手段は全な制権を取るくらいしかない。一方で潜水艦で確実に攻撃成功させる手段もほぼないので「潜水艦活用する」というのは難しく、環境を整えて後はお祈りゲームで言えばDoT的な存在か。活用者側の適切な潜水艦戦略学習が不安定なのもネック

第二は航空攻撃。特に陸上航空
個人的に陸上航空基地vs航空母艦空母戦略の一番のと思う

第三は耐える事
航空は一度使い切ると補充困難で自然と撤退するしかなくなる。顕著なのが珊瑚海海戦。ただ"肉壁相殺して耐える"面があるので、制権なく物量でも負けてると大和武蔵が沈没したようにどうにもならない
302 ななしのよっしん
2020/06/25(木) 12:27:35 ID: Py46Oby5N/
続き
第四は水上による打撃
日本秩父巡洋艦都市伝説)や巡洋戦艦などが役だろう。ただ実際にグナイゼナウ襲撃のように攻撃成功させるには空母側がよほどうっかりしなければ不可能だろう。逆に言えば空母側が堂々とこちらの襲撃圏内を移動できないようにさせる意義があるが、護衛等適切な対応を強要できたとして費用対効果は微妙な所

水上による襲撃は接触を必要とする分襲撃艦自身が追われる側になりやすいというネックがある。そこで味方襲撃艦を自由に行動させる、相手襲撃艦を敵側勢圏に逼塞させる為に戦艦の出番が生まれる
ふう…ようやく大艦巨砲主義に繋がったぜ…
303 ななしのよっしん
2020/11/14(土) 22:54:28 ID: t5GS9cFkGh
現代の水上戦闘艦が潜水艦を狩るものと艦隊防を担うもの(こちらも強な対潜艦であることが多いけど)にざっくり分けられる事でも戦が潜水艦航空機を中心に回るようになったのがわかるな

急上昇ワード改