大阪市高速電気軌道66系とは、大阪市高速電気軌道(OsakaMetro)が所有する車両である。
概要
堺筋線初のVVVFインバータ搭載車両であり、先代の60系を置き換えるために大阪市営地下鉄時代の1990年から導入が開始された。
1990年から1992年に落成された第1編成~第5編成は6両編成で製造された。1992年から1993年にかけて8連化するために中間車2形式が追加製造され組み込まれ、8両編成になった。その後1994年まで第6編成から第12編成が最初から8両編成で登場し、この時点で60系の非冷房車はすべて廃車されたために増備は中断した。
2002年には老朽化が進む残りの60系冷房改造車を置き換えるために増備が再開し、2003年までに第13編成~第17編成が製造された。これにより堺筋線の車両はすべて66系に統一されることになった。最終的な車両数は136両。
製造は第1編成~第10編成・第13編成~第15編成が川崎重工業で、第11編成・第12編成・第16編成・第17編成が近畿車輛で行われている。台車は大阪市営地下鉄では初めてボルスタレス台車を採用した。回生ブレーキ搭載。
車体はステンレス鋼で、橙色、白色、茶色のラインが入っただけの無塗装である。直通先の阪急線上を走る唯一のステンレス車であり、鋼製・アルミのマルーン色の車体ばかりの阪急線内ではかなり異彩を放つ存在である。前面は切妻ではなくやや傾斜がつけられており、窓周辺はブラックに塗装、前照灯や標識灯・尾灯は阪急8000系・8300系のものに似たものが装備されている。
車内には他路線の車両と同じ仕様のLED案内表示器が千鳥配置で設置されている。表示器が設置されていない側にはドア開閉位置を知らせる簡易案内表示器が設置されている(こちら側・反 対 側がそれぞれ停車駅のドア方向に合わせて点灯する)。
長らく「天神橋筋六丁目」の表示幕は、文字数と視認性の影響からか、自社駅でありながら省略形の 天神橋筋六 と表記されていた。2016年頃よりリニューアル車のLED表示でのみ 天神橋筋六丁目 に変更されていたが、2018年の民営化の際に後期車のみ表示幕更新が行われ 天神橋筋六丁目K11 と、駅ナンバリング入りのものに変更された(同時に前面表示幕も天神橋筋六丁目表記のものに更新)。
車両のバリエーション
初期車
第1編成(66601F)~第12編成(66612F)が該当する。VVVFインバータ装置は日立(及びライセンス供与を受けた東芝や三菱)が製造したGTOサイリスタである。2012年より初期車を対象にリニューアル工事の施工が行われている。
後期車
第13編成(66613F)~第17編成(66617F)が該当する。VVVFインバータ装置は東芝・三菱製のIGBTに変更された。前期車と外見上違う点は、前面の窓ガラスが前照灯・行先表示器を覆うほどまで上部に拡大し車体が丸みを帯び、側面上部の帯が茶色1本から茶色、白色の2本になっている部分である。他にはクーラーキセもFRP製からステンレス製に変更されている。
リニューアル
2012年6月~12月に66605Fを対象にリニューアルが行われ、翌年の2月1日に営業復帰した。リニューアル内容は以下のとおりである。
- スカートの装着。
- 前面の大幅改造(窓を後期車と同じく上まで拡大・番号の移設・標識灯を9300系のものに交換)。やや関東顔に。
- 前面・側面の行先表示器をフルカラーLEDに交換。
- VVVFインバータ装置と補助電源装置(SIV)をIGBTに交換(更新後のVVVFのメーカーは更新前と同じ)。
- 側面の帯を大阪市交通局30000系と同じスタイルのものに変更、帯の色が変更になった他、号車番号が側面に大きく記されるようになった。
- 内装を30000系に近い仕様に変更(シート端のポールの2本化、床面の配色の変更、バケットシート採用)。
その後は2014年1月に66602Fが、12月に66603Fが出場し、それぞれ営業運転に復帰している。2014年度施行車からの変更点は以下のとおりである。
2015年11月にはトップナンバーの66601Fが出場し、営業運転に復帰した。なお大阪市交通局の発表により、地下鉄車両の車内デザインを変更するということになったため、この編成が堺筋線での車内デザイン変更施行車第1号となった。変更内容は以下のとおりである。
その後は2016年11月に66604Fが、2017年11月に66606Fが出場し、営業運転に復帰している。
2018年11月には66607Fが出場し、営業運転に復帰している。この編成より、車内デザインが更に新しいものに変更されている。また、側面のLED表示が、更新後の表示幕と同じように駅ナンバリング入りのものになっている。
なお、他線のリニューアル車と異なりLED案内表示器のLCDへの交換は行われていない。簡易案内表示器もそのままである。(こちらは30000系に逆輸入されたが。)また、66602Fは一時的に前照灯が白色LEDに試験交換された事があるが、すぐに戻されている。
運用
現在は堺筋線内運用(天神橋筋六丁目駅-天下茶屋駅)の他に、京都本線直通(高槻市駅-天下茶屋駅)、千里線直通(北千里駅-天下茶屋駅)が主な運用。66系は全て普通運用のみで、優等種別には定期運用では一切入ることはない。66系の表示幕の中にはなんと急行高槻市・急行天下茶屋も入っているが、営業運転で使用された試しはない。京都本線は2007年に急行が廃止されているため、ダイヤ改正で急行の復活でもない限り使われる事はないであろう。
なお、行楽シーズン(春・秋)に嵐山への直通特急として、臨時で嵐山駅まで乗り入れたことがある。これまでに2010年秋に66601F、2011年春に66607Fが乗り入れを行っているが、現在は同じ列車は阪急車が使用されている。また66系の表示幕には直通特急の表示幕は存在しないため、前者は無表示(白幕)、後者は臨時で対処した。
編成表
全編成が8両編成である。SIV・CP・蓄電池を搭載する制御車66600形(Tec1)・66900形(Tec2)、パンタグラフや主制御器を搭載する中間電動車66600形(Ma1)・66900系(Ma2)、66600形からパンタグラフを取り除いた66100形(Mb1)・66300形(Mb2)、CPを搭載する中間付随車の66700形(Tp')、中間付随車の66800形(T')が存在する。なお全編成が正雀駅近辺にある東吹田検車場に在籍している。
第1編成~第5編成の8連化に伴い後から製造された車両を太字で表記する。なお形式名の「e」は蓄電池を搭載するという意味の大阪市交通局独自の記号である。
制御装置の欄(スペースの都合上「制御」と記す)の記号は次に対応している。
★:三菱GTO、■:日立GTO、▲:東芝GTO、☆:三菱IGBT、△:東芝IGBT
また制御装置の欄において、IGBT更新が行われた編成を灰色で表示する。
更新の欄は、内装変更を伴わないものを△、新内装(初代)に改装したものを○、新内装(2代目)に改装たものを◎で表記する。編成表は2018年12月現在のもの。
←天下茶屋 | 天神橋筋六丁目・高槻市・北千里→ | ||||||||||||
番号 | Tec1 | Ma1 | Mb1 | Tp' | T' | Mb2 | Ma2 | Tec2 | 製造年 | 制御 | 更新 | 備考 | |
1 | 66601 | 66001 | 66101 | 66701 | 66801 | 66301 | 66201 | 66901 | 1990年 | ★ | ○ | 中間車:1993年 | |
2 | 66602 | 66002 | 66102 | 66702 | 66802 | 66302 | 66202 | 66902 | 1991年 | ★ | △ | 中間車:1993年 | |
3 | 66603 | 66003 | 66103 | 66703 | 66803 | 66303 | 66203 | 66903 | 1992年 | ■ | △ | 中間車:1992年 | |
4 | 66604 | 66004 | 66104 | 66704 | 66804 | 66304 | 66204 | 66904 | 1992年 | ■ | ○ | 中間車:1993年 | |
5 | 66605 | 66005 | 66105 | 66705 | 66805 | 66305 | 66205 | 66905 | 1992年 | ■ | △ | 中間車:1993年 | |
6 | 66606 | 66006 | 66106 | 66706 | 66806 | 66306 | 66206 | 66906 | 1993年 | ▲ | ○ | ||
7 | 66607 | 66007 | 66107 | 66707 | 66807 | 66307 | 66207 | 66907 | 1993年 | ▲ | ◎ | ||
8 | 66608 | 66008 | 66108 | 66708 | 66808 | 66308 | 66208 | 66908 | 1993年 | ▲ | |||
9 | 66609 | 66009 | 66109 | 66709 | 66809 | 66309 | 66209 | 66909 | 1994年 | ★ | |||
10 | 66610 | 66010 | 66110 | 66710 | 66810 | 66310 | 66210 | 66910 | 1994年 | ★ | |||
11 | 66611 | 66011 | 66111 | 66711 | 66811 | 66311 | 66211 | 66911 | 1994年 | ■ | |||
12 | 66612 | 66012 | 66112 | 66712 | 66812 | 66312 | 66212 | 66912 | 1994年 | ■ | |||
13 | 66613 | 66013 | 66113 | 66713 | 66813 | 66313 | 66213 | 66913 | 2002年 | △ | |||
14 | 66614 | 66014 | 66114 | 66714 | 66814 | 66314 | 66214 | 66914 | 2003年 | ☆ | |||
15 | 66615 | 66015 | 66115 | 66715 | 66815 | 66315 | 66215 | 66915 | 2003年 | ☆ | |||
16 | 66616 | 66016 | 66116 | 66716 | 66816 | 66316 | 66216 | 66916 | 2003年 | △ | |||
17 | 66617 | 66017 | 66117 | 66717 | 66817 | 66317 | 66217 | 66917 | 2003年 | △ |
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 0
- 0pt