天使の施しとは、遊戯王OCGに登場するカードである。OCG登場の後に、原作「遊☆戯☆王」にも登場した。
概要
「BOOSTER4」(1999年8月発売)で登場した魔法カード。テキストは以下の通り。
通常魔法(禁止カード) デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。※遊戯王カードWikiより引用
初期の頃から強力なドローカードとして使用され続けた多くのデュエリストに馴染みのあるカード。昔からデュエルをしているものは大体お世話になっているだろう。
同じく強力なドローカードとして有名な「強欲な壺」と比較した場合、ドローする枚数が向こうより1枚多い代わりに、手札を2枚捨てなければならないので、最終的な手札枚数は増えないという違いがある(発動したこのカードで-1、引いたカード+3、捨てるカード-2、つまり-1+3-2=0となり増えない。「強欲な壺」は-1+2=1で1枚増える)。
初心者などは捨てる部分を嫌って「強欲な壺」を優先して採用し、このカードを採用しない人も多い。だが、この捨てる部分を利用したコンボで、「強欲な壺」を越える働きができるのだ(もちろん、あちらはあちらでとても強いが)。
例えば、手札の「青眼の白龍」などの強力カードを墓地に捨てた上で「死者蘇生」などで復活させるというもの。アニメでも良く使われ、単純だが強力。
また、墓地を増やすことがメリットとなるデッキもある。前述の蘇生コンボもそうだし、墓地のカードをコストとする「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」、「混沌帝龍 -終焉の使者-」などの召喚につないだり、「ミラクル・フュージョン」、「龍の鏡」などの墓地融合の融合素材を確保するのにも使える。
手札から捨てることで効果を発揮する暗黒界も忘れてはいけない。3枚ドローした上で捨てた暗黒界の効果でフィールドのアドバンテージを得られる強力なカードと化す。
さらには墓地に送られたとき効果を発動できる「ダンディライオン」、墓地にあることで効果を発揮する「D-HERO ダッシュガイ」などの効果を発動したり、墓地から自身の効果で蘇生できる「黄泉ガエル」で損失を補ったり、用途は多い。
初期から強力なカードとして遊戯王OCGに存在し続け、何度も禁止、制限リスト上を移動し続けていた。
初めて規制が掛けられたのは2000年4月1日。このときは上記のような利用法をできるカードがそこまで多くなかったために制限カードの「強欲な壺」より一つ下の準制限カードである。
その後しばらく準制限カードにとどまり続けるが、徐々に墓地に捨てることがメリットとなる場面が増えたために、2003年1月1日には制限カードに指定される。
禁止カードの導入から半年後、このカードの強力さが認められ、2004年9月1日にこのカードは「強欲な壺」を超える禁止カードに指定される。上記の2体のカオスが猛威を振るっていたこともあるだろう。だが、半年後、2005年3月1日は制限カードに帰ってきた。
さらに半年後の2005年9月1日には再び禁止指定。8月にこのカードとシナジーする暗黒界が登場していたことが影響したのだろうか。と思っていたら、さらにさらに半年後、2006年3月1日には「強欲な壺」と入れ替わる形で再び制限カードに復帰。2月に「次元の裂け目」、「マクロコスモス」などの暗黒界の天敵となるカードの登場があったからだろう。
そして2007年3月1日、「強欲な壺」が帰ってこないままこのカードは禁止カードに指定される。これにより、遊戯王OCG黎明期から多くのデュエリストを支え続けてきた2大ドローカードが両方とも禁止カードに指定されることとなった。
これまで何度も制限に復活し続けてきたため、また戻ってくることを期待するものも多かったが、これ以降、現在に至るまで禁止カードの位置からは動いていない。現在も墓地に捨てることを利用できるカードは続々登場しているため、帰ってくることは難しいだろう。
環境に振り回され禁止、制限を行き来し続けたこのカードだが、今は禁止カードの位置で下の制限、準制限のドローカードがどう動くかをのんびりと眺めている。
「盗み見ゴブリン」のイラスト左にこのカードのイラストが確認できる。
また、このカードに描かれている天使は、「衰弱の霧」のイラストにも描かれている。
その他の作品にて
バトルシティ開催前夜の城之内VSレアハンター戦でこのカードが初登場。エクゾディアパーツを揃えるためのドローカードとして利用していた。
原作ではこの一度だけだったが、アニメではさらに出番が増えて、遊戯、海馬、舞など、様々なキャラクターが使用する。
関連カードとして、アニメオリジナルカード「堕天使の施し」が登場している。「このターンお互いのプレイヤーは魔法効果によって墓地に捨てたカードを手札に戻すことができる」という笑うしかない恐ろしい効果であった(「苦渋の選択と組み合わせることで5枚のカードをサーチできる)。
アニメGXでも多くのキャラクターによって使用され、「捨てる」部分を活用したコンボを行うものも多くいた。漫画R,GXでも登場。やはり捨てることを活用している。
アニメ5D'sではライディングデュエル専用の「Sp-エンジェル・バトン」というこのカードを意識したようなカードが登場。イラストにはこのカードと同じ天使が描かれている(構図は違う)。テキストは以下の通り。
通常魔法
自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。
自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。
困ったときのエンジェル・バトンとして、遊星のピンチを何度も救ってきた。スピードカウンターを抜きにして考えるとこのカードの下位互換ではあるが、「トレード・イン」や「デステニー・ドロー」より強力なカードになってしまう。元々ライディングデュエル用のものなのでOCG化はないだろうが、もしすることになったとしても何らかのデメリットが科せられるだろう。
また、漫画GXでレジー・マッケンジーが「天の落とし物」というこのカードの効果が両プレイヤーに及ぶカードを使用している。
マッケンジーは「エンジェル・リング」「シャティエル」「ホーリー・サンクチュアリ」をドローし、「エンジェル・リング」と「エンジェル・ポー」を捨て、手札を交換することで後の展開につないでいる。十代は「HERO'Sボンド」「強欲な壺」「アース・グラビティ」をドローし「HERO'Sボンド」「アース・グラビティ」を捨て、次のターン「強欲な壺」でさらにドローして逆転の糸口をつかんだ。
アニメ5D'sに登場した「デュエル地蔵」はこのカードの天使を元にデザインされている。地蔵というには少々疑問があるが、あまり気にしてはいけない。それだけありがたいカードということだ。
ゲーム「タッグフォース」シリーズでは、「強欲な壺」同様、全デュエリストに専用ボイスが用意されているという優遇ぶり。だが、初期のリストでは禁止カードであるため、聞けるのはキャラクター攻略後のボイステストか、禁止カードを1枚入れられるようになった状態でパートナーデッキに組み込むしかない。
TF5のクロウに言わせればインチキカード。お前が言うなではあるが、納得の評価である。
おまけの知識
書籍の付録カードを、デッキの最大投入可能枚数である3枚入手するため、書籍を3冊購入し、カードだけを抜き取り、ダブった書籍2冊を売ったり捨てたりすることを、俗に、このカードの効果になぞらえて「天使の施し」と呼んだりする。
強力な効果を持つ「冥府の使者ゴーズ」が付いている「遊☆戯☆王R 第3巻」などは「天使の施し」をした人も多いのではないだろうか。
当然、ゲーム作品などでも同じことは可能だが、一つ数千円するゲームを3つ買うのは少々勇気と財力が必要になる。後で売るならある程度は取り戻せるが。
「天使の施し」をして手に入れたカードが制限指定され、1枚しか使えなくなったときの虚しさは大きい。売ってしまうという手もあるが。
1つ買ってカードだけ抜いて売れば「ゴブリンのやりくり上手」や「カードトレーダー」、2つ買ってカードを抜いて本体を1つ売れば「Sp-エンジェル・バトン」になるが、そう呼ばれることは少ない。
関連動画
関連静画
関連商品
関連項目
- 9
- 0pt