天動説とは、
概要
今では、ほとんどの人は、小学生ですら「太陽の周りを地球が回っている」ということは知っているだろう。しかし、かつては、この天動説のほうが有力であり、おおよそ中世までは信じられていた。
体感では、地球が太陽の周りを回っているとは感じにくい。「おー、今日も地球が早く自転して太陽の周りをびゅんびゅん公転しているなぁ!」と感じている人はそういないのではないだろうか。そのこともあって、古代の様々な地域で、地球の周りをほかの天体が回っていると考えられてきた。
特に、この考えは古代ギリシャで盛んになり、様々な著名な学者たちが天動説を唱えてきた。有名なアリストテレスやプラトンなども天動説を唱えていたし、少なくとも「巨大な亀が大地を支えている」みたいな宇宙観よりは科学的に見ええただろう。また、「プトレマイオスの定理」などの有名な定理で知られるエジプト在住のギリシャ人数学者、天文学者である星守の騎士プトレマイオスはその著書「アルマゲスト」の中で天動説を唱えたが、その内容は惑星の逆行(通常とは逆の方向に惑星が動くように見えること)がなぜ起こるかなども説明できており、かなり惑星の動きを正確に解説するなど精巧に書かれており、多くの支持を集めた。
そのこともあって、中世になってからもおおむね天動説が支持された。また、旧約聖書の記述
主がアモリびとをイスラエルの人々にわたされた日に、ヨシュアはイスラエルの人々の前で主にむかって言った、「日よ、ギベオンの上にとどまれ、月よ、アヤロンの谷にやすらえ」
日は昇り,日は沈む。こうしてそれはその場所へと急ぎ,そこからまた昇る。
・・・といったような記述から、「地球は平面であり、地球の周りを他の惑星が回っている」という宇宙観がキリスト教にはあり、その考えが天動説には合致していたので、教会の支持もあり疑われることはほぼなかった。(実際には地球平面説のほうはキリスト教関係者からも信用されていなかったようだ。コロンブスが「地球は丸いから海をひたすら行けばインドに着きます!」と主張しても異端認定はされなかったし、なんなら古代ギリシャでも地球は丸いと考えられていた)
・・・しかし、近世に入ってから、コペルニクスやガリレオが地動説を主張し、キリスト教会からバッシングを受けながらもどうやら地動説が正しいということが判明し、天動説は無事駆逐され姿を消しましたとさ。めでたしめでたし。
・・・とはならなかった。現在でも、アメリカ合衆国などキリスト教の影響が強い国の一部の地域では、聖書の教えに反するとして地動説を教えず、天動説を学校で教えている地域もある。ある調査では、アメリカ人の25パーセントは天動説を信じているという結果も出た。このようにキリスト教の、特に福音派(聖書はすべて正しい!神様は何も間違えない!という考え方)の影響が強い地域やそのような人からは今でも信じられている。
また、天動説を信じていなくても、体感では天動説のほうがピンとくるため、日本語の表現でも天動説的な言い回しが使われることがある。例;「陽は登り~風熱く~空燃えて~♪地平を駈ける獅子を見た~♪」「沈んでいく夕日のように彼女は美しい」など。これらは太陽が昇ったり沈んだりと表現しており、動く主体は太陽になっている。
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