天安門事件(簡体中国語では「天安门事件」)とは、1976年と1989年の2回、中華人民共和国で発生した一般市民への武力弾圧事件である。
- 第一次天安門事件(1976年4月5日):周恩来首相慰霊に捧げられた花輪を毛沢東側近の四人組が指示して撤去した事に激昂した市民デモ隊と当局の鎮圧部隊が衝突した事件。四五天安門事件。
- 第二次天安門事件(1989年6月4日):胡耀邦元総書記追悼に集まった市民らが次第に民主化を求める大規模デモに発展したものが当局の鎮圧部隊と衝突した事件。六四天安門事件。
通常「天安門事件」は、2回目の1989年6月4日に発生した「六四天安門事件」を指すことが多い。大躍進政策、文化大革命と続き、中華人民共和国史上(建国後)3番目の悲劇である。
本稿ではこちらを記述する。
概要
中国の民主化を求める学生などの若者が連日にわたり天安門広場を占拠をしていたが、1989年6月4日に中国軍が武力行使を行い、多くの民衆を殺したとされている。
実際に殺害された人数については、これまで様々に推計されていた。共産党自身は1989年6月末に、市民200人と治安部隊数十人が死亡したと発表していたが、2017年に機密指定が解除されたイギリスの外交文書によると、殺害された人数は少なくとも1万人に上ると報告されていたことが明らかになっている。[1]
中国政府ではこの事件の起こる直前から海外メディアの締め出しなど隠蔽工作に躍起になり、この事件を無かったことにしようとしたが、BBCやCNNなどの取材班がこの惨劇を中継し全世界へ配信した。この事件の際に戦車の前に飛び出して走行を阻止しようとした「無名の反逆者」の映像が最も象徴的なシーンとして、現在でも語り継がれていることでも知られる。
中国における検閲
現在(本記事編集時点、2019年)においても、インターネットの検索サイトで「天安門事件」に関する記述の閲覧を阻止したり、学校教育でこの事件のことを無かったことにするなど、中国共産党による徹底した情報規制が行われている(当時イギリス領及びポルトガル領であった香港・澳門を除く)。欧米諸国からの真相究明の要求も拒否し続けており、真実は闇の中である。
「六四天安门事件」(六四天安門事件)といった直接的表現だけでなく、「八九民运」「六四运动」も天安門事件を表現する言葉として規制されている。また「六四」などの隠喩されたワードも規制されている。流石に「八」のLeet表記「ハ」(U+30CF)や「v」のLeet表記「⌄」(U+2304、10進数で8964)、文字コードがこれに対応する「襤」(U+8964、16進数で8964)までは完全に対応していないかもしれないが…
AIを利用した自動画像認識技術によって「六四天安门事件」に関わるインターネット上の画像を自動的に発見するという、SFじみたことまで行っていると噂される。
こういった検閲については中国社会では半ば常識となっているようで、例えば中国共産党の機関紙「人民日報」のウェブサイト内に「临近“六四”敏感时期,」(日本語訳:「“六四”のセンシティブな時期が近づいて、」)と記されていたり
する。「六四」の隠された意味が閲覧者に広く知られていなければ意味不明な記述であろう。
中国人ネットユーザーの間では、こういった検閲・規制を回避するために「8×8」「82」「Eight Squared」「5月35日」「TSM(Tiananmen Square Massacre。「天安門広場虐殺」の意)」などの言葉で当局の規制に対抗するべく奮闘している。
X(旧Twitter)などのSNSでは中国産スパムアカウントに対する魔除け、また単に中国人除けとしてプロフに「六四天安門事件」と書くパターンが多い。効果のほどは謎である。
ピンポ~ン
百度百科
中国版Wikipediaのようなサイト「百度百科」でこの事件関連の事を調べると、検閲のせいで奇妙なことになっている。
まず現在(本記事編集時点、2019年)「天安门事件
」(天安門事件)のページは一応存在するものの、1976年の事件の方を指す「四五运动
」のページへのリダイレクトになっている。そしてこの「四五运动
」のページには1989年の事件については不自然なまでに全く触れられていない。
「六四天安门事件」の記事はもちろん存在しない。
「1989年
」の記事や「6月4日
」の記事にも、この「六四天安门事件」に関することは徹底して掲載されていない。
そして上記の「四五运动
」「1989年
」「6月4日
」の記事はもちろん、自然数「64
」の記事にすらロックがかかっており編集不可能となっている。
ところで、「6月4日
」や「64
」の記事は前後の日付や前後の自然数と比べてやけに「有用」ボタン(いわゆる「いいね」機能)が押された回数が多い。検閲に対する皮肉か?
ちなみに、エーリッヒ・ケストナーの児童小説「5月35日
」の記事も存在し、こちらも数百回というやたらと多くの回数「有用」(いいね)ボタンが押されている。中国人はとってもこの小説が好きらしい。作者の「埃里希・凯斯特纳
」(エーリッヒ・ケストナー)の記事の「有用」ボタンは5回位しか押されてないのにね。ふしぎ! なお、この児童小説「5月35日
」の記事もロックがかけられているぞ。 → 「5月35日
」の記事は百度百科から消滅しました。お察しください。
関連動画
▼グロ注意
関連リンク
関連項目
- 中華人民共和国
- 中国共産党
- デモ
- 事件・事故の一覧
- 大躍進 / 文化大革命 - 記事冒頭でも述べた中華人民共和国の歴史上起きた、その他の悲劇。しかし六四天安門事件ほどには現在の中華人民共和国においてタブー視されておらず、百度百科にも記事がちゃんと存在していてこれらの政策を批判する記述も残されている。
- 検閲
- タブー
- 魔除け
脚注
- *天安門事件の死者は「1万人」 英外交機密文書
2017.12.26
親記事
子記事
- なし
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