太公望とは、
- 周代の歴史人物の通称。姓は姜、氏は呂、名は尚(望)、字は子牙(牙)。
- 1の人物をモデルとした物語上の登場人物。日本の作品ではこの通称率が高い
- 1の人物をモデルとした宮城谷昌光による歴史小説のタイトル
- 1の人物に由来する釣好きな人に対する呼称
のことである。
概要
周の軍師にして後に斉の始祖となる呂尚の通称。渭水のほとりで釣りをしていたところ、文王により「吾が太公、子を望むこと久し(我が祖父が待ち望んでいた人物である)」と言われ召し抱えられたという逸話に由来しているとされている。
文献等では「呂尚(望)」『封神演義』といった古典小説等では「姜子牙」といった具合で呼称表記されていることが多いが、歴史をモチーフとした日本の創作では「太公望」の名称でのみで通している場合も少なくない。また、時代の流れかそれとも封神の知名度を上げることとなった作品の影響なのか、元となった封神と違い老人ではなく若者として描かれることがほとんどである。
歴史上の太公望
「殷」を打ち倒し、「周」の成立に関わった軍師であることやその後の強国「斉」の始祖である事がクローズアップされることが多く、兵法書「三略」「六韜」の著者とされることもある。後代の皇帝などからも称賛されており、太公望を祭る廟なども建設されている。
『封神演義』の中の太公望
娯楽小説『封神演義』では周の軍師である点は変わらずだが、同時に崑崙山で仙人の修行をした道士でもあるとされ、仙界の使命を帯びて人間界に降り立った人物となる。初めて登場した時点ですでに72歳というジジイである。
彼の使命は命脈の尽きた王朝である「殷」から新しい王朝「周」への易姓革命を成し遂げると同時に、その際の戦争を機会として人間界から仙術に通じた人物などを除き、彼らを新しく作る神界に封じる(封神する)ことである。太公望の使命を達成するために、崑崙山からは太公望の兄弟子や師匠に当たる仙人たちが人材を派遣し、時には彼ら自らが人間界に降りてきて太公望を助けることになる。
太公望は周と殷の戦争を通じて仙界の戦いにも大きくかかわり、最終的に365名の封神を成し遂げる。
「太公望」の呼称をメインで起用している作品
封神演義(漫画)
CV:結城比呂
週刊少年ジャンプで貴重な知略系主人公の一人。媒体に合わせてか若じじいキャラという設定づけがなされた。「姜子牙」の呼称はキャラ紹介欄にはあるものの本編では全く呼ばれていない。作中でしばしば用いられている師叔(スース)呼びは師匠の弟弟子(血縁でいうところの叔父に該当)に対する尊称であるのだが、注釈では「師匠の弟子」と書かれており完全版でも修正されていない。あと伏羲関連の設定は完全に本作オリジナルなので混同注意。念のため一応。
封神演義(ゲーム)
コーエーより発売された完訳版をモチーフに制作されたゲームシリーズの主人公。こちらも若者として描かれている。また、舞台やキャラクター設定を地続きとしながらも1の主人公は崑崙山の道士「太公望」、2の主人公は遊牧民の少年「子牙」としてそれぞれ別人扱いにするというなかなかの大技に出ている。
無双OROCHI
CV:岸尾だいすけ
魔王再臨より参戦(一応OROCHI以前にも宝物庫武将としてモブグラで出たことはあったが)。自信過剰タイプの青年。武器は釣竿型。また、武器には原作封神では他キャラの宝貝であった「鞭」とつく名称のものが原典には無い雷公鞭も含めて揃い踏みしている。
Fate/Grand Order
2021年12月に実装のサーヴァント(聖杯戦争)の一人。やはり若々しい姿で登場する。釣りのエピソードにちなんだ宝具演出を持つ。
詳細は「太公望(Fate)」参照。
小説『太公望』
1998年に単行本が発売された宮城谷昌光による歴史小説。ハードカバー・文庫版ともに全3巻。一族を皆殺しにされた復讐心の少年時代より幕を開ける革命物語。滅亡側から描いた作者の過去作である『王家の風日』とは視点的な意味でも対となっている。藤崎竜による漫画版封神演義も本作よりいくらか影響を受けている。
関連動画
関連項目
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