太陽系(英:Solar System)とは、太陽及び、その周囲を回転する全ての天体をまとめた総称である。またはその周囲の空間。
太陽の周囲の天体は彗星や逆行小惑星を除いて、全ての天体が太陽の自転と同じ方向に公転しており、その軌道面はほぼ同一平面上にある。
銀河系内の位置
太陽系は銀河系の中心から25,000〜28,000光年、オリオンの腕に位置すると考えられている。毎秒約220kmの速度で移動しており、約2億数千万年で銀河系内を1公転するので、既に銀河系を20周以上していることになる。
太陽系の構成要素
恒星
Sun |
- 太陽 :太陽系の中心。
惑星
元々は恒星の周りを回る大きな天体という曖昧な定義しかなかったが、2006年8月の国際天文学連合の決議において、太陽系の惑星には以下の定義が行われた。第3の定義において準惑星と区別される。ただしこの分類が適用されるのは太陽系のみである。
Mercury | Venus | Earth | Mars | Jupiter | Saturn | Uranus | Neptune |
- 水星 :第1惑星。地球型惑星。一番小さな惑星。表面はクレーターに覆われている。
- 金星 :第2惑星。地球型惑星。灼熱地獄。西から上ったお日様が東へ沈む。
- 地球 :第3惑星。地球型惑星。我らが故郷。幸いにも生命が存在可能な環境が整う。
- 火星 :第4惑星。地球型惑星。火星人はいるかもしれない。
- 木星 :第5惑星。木星型惑星。太陽系最大の惑星。恒星になりたかった?かは知らないが所詮格が違った。
- 土星 :第6惑星。木星型惑星。大きな輪っかが目印。もしかしたら水に浮くかもしれない。
- 天王星:第7惑星。天王星型惑星。なぜか横倒しに。
- 海王星:第8惑星。天王星型惑星。残念ながらチチウス・ボーデの法則には当てはまりませんでした。
- 冥王星:第9惑星。(←m9(^Д^)プギャーとか言ったり思ったりした人は直ちに太陽系から出て行きなさい)
準惑星
2006年8月の国際天文学連合の決議で新たに定義された分類。英語では dwarf planet といい、当初は「矮惑星」「矮小惑星」などと訳されていたが、2007年4月の日本学術会議の報告により「準惑星」と定められた。太陽系以外にこの分類は適用されない。
惑星との定義の違いは、自身の軌道上の他の天体を弾き飛ばしていないという点である。また、まだ定義が曖昧であるため積極的に使用しないこととなっており、小惑星番号は与えられているが準惑星独自の番号などは与えられていない。
2009年時点で下の5つの天体が準惑星と認定されているが、今後更に増える可能性がある。小惑星帯(メインベルト)に存在するケレスはメインベルト天体、それ以外の4つは冥王星型天体に分類される。
Ceres | Pluto | Haumea | Makemake | Eris |
- ケレス :火星-木星間の小惑星帯(メインベルト)で最大の天体。セレスとも。
- 冥王星 :冥王星型天体、冥王星族。2006年に惑星から格下げされてしまった。二重準惑星とも考えられている。
- ハウメア:冥王星型天体、キュビワノ族。自転速度があまりに速いため縦に潰れた形になっている。
- マケマケ:冥王星型天体、キュビワノ族。
- エリス :冥王星型天体、散乱円盤天体。冥王星よりも若干小さい。(当初は冥王星よりやや大きいと考えられていた)
冥王星型天体
2006年8月の国際天文学連合で提案されたが決まらず、2008年6月の決議で新たに定義された分類。英語では Plutoid という。海王星以遠の軌道にあり、自身の質量により球形を保つ天体のことである。現時点ではケレス以外の準惑星4つが分類される。今のところ準惑星に対する分類で、小惑星であるTNOは含まれない。
太陽系小天体
2006年8月の国際天文学連合の決議で新たに定義された分類。英語では small solar system bodies という。太陽の周りを回る天体のうち、惑星、準惑星、衛星以外を指す言葉。要するに小惑星と彗星の総称であるが、まだ定義に曖昧な部分が残るため、積極的に使用されないことになっている。惑星間塵や流星物質のような塵も含む。このような分類ができたのは、彗星として発見されながら後に小惑星としても再発見されたり、その逆であったりし、両方に分類される天体(彗星・小惑星遷移天体)が増えてきたことが影響している。
小惑星
2006年8月の国際天文学連合の決議以降の分類では、単純に言えば太陽系小天体のうち彗星や塵以外の総称である。元々は惑星として発見されたケレスと似たような天体が多数発見されるようになったため、惑星というには小さすぎる天体を総称した曖昧な分類であった。
小惑星の数は発見されているものだけでも数十万個に及び、多くは火星-木星間の小惑星帯(メインベルト)に集まるが、それ以外にも木星トロヤ群(アキレスなど)や、近年は海王星以遠の太陽系外縁でも多数発見されている。それ以外にもアポロ群(エロスなど)やケンタウルス族(キロンなど)などの小惑星群を形成している。
軌道による分類では小惑星帯(メインベルト)に存在する物をメインベルト小惑星、それ以外を特異小惑星として区別している。C型、S型、M型小惑星といったその構成成分のスペクトルによる分類もある。
小惑星には通し番号で小惑星番号がつけられる。太陽系内の天体では、制限はあるものの発見者が自由に名前をつけることができる唯一の天体でもある。
小惑星帯(メインベルト)とメインベルト天体
惑星になりたくてもなれなかった過去を持つ小惑星の集まったエリア。他の小惑星帯と区別してメインベルトとも呼ばれる。準惑星であるケレス(直径910km)以外はメインベルト小惑星と呼ばれる。最初に発見されたケレス、パラス(同520km)、ジュノー(ユノー、同240km)、ベスタ(ウェスタ、同468 - 530km)の四大小惑星は特に有名。
メインベルトは広く、フローラ族、ウェスタ族、パラス族、ゲフィオン族など多数の族(ファミリー)に分類されている。
太陽系内縁の特異小惑星の分類
共鳴小惑星
惑星と同一の軌道に存在する小惑星のこと。木星のラグランジュ点のL-4、L-5点に集まる木星トロヤ群(アキレスなど)が特に数も多く、有名である。
横断小惑星
金星横断小惑星や火星横断小惑星など、その軌道が各惑星の軌道を横切ることがある小惑星。地球近傍小惑星も大半が地球横断小惑星である。
ケンタウルス族
木星と海王星の間の軌道を周回する小惑星群。木星などの巨大衛星の重力の影響が強いため、その軌道は不安定である。海王星の重力によってエッジワース・カイパーベルトから内側に散乱させられた天体との考え方もある。名前は主にギリシア神話のケンタウロスの名前がつけられている。
逆行小惑星
軌道傾斜角が90度を超え、公転が太陽の自転と逆になる小惑星群。その多くが元々彗星であったと考えられるダモクレス族と見られている。
地球近傍天体 (NEO)
(no image) | |
Itokawa | Ryugu |
地球の近くに近づいてくる天体。NEOという言い方は地球近傍小惑星や地球近傍彗星の総称である。地球に衝突する可能性があるのはこれらの天体である。地球近傍小惑星としてはアポロ群(エロスなど)などが有名。ダモクレス族などオールトの雲由来の元彗星と考えられる天体もある。
太陽系外縁天体 (TNO)
海王星以遠の軌道を通る太陽系小天体及び準惑星のこと。単に外縁天体とも。英語では trans-Neptunian objects といい、「海王星以遠天体」などと訳されていたが、2007年4月の日本学術会議の報告により「太陽系外縁天体」と定められた。小惑星の命名規則では世界各地の創世神話に登場する神の名前を与えることとなっている。
エッジワース・カイパーベルトとエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)
海王星軌道(30AU)よりも外側の、黄道面付近の天体が密集したエリア。ー約48AUぐらいまで。広義では散乱円盤も含む。ここにある天体をエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)と呼ぶ。2007年4月の日本学術会議の報告ではEKBOは太陽系外縁天体 (TNO) の別名とされているが、これは広義の意味を指すと考えるべきである。。
EKBOには主に以下のような天体がある。海王星の衛星トリトンや海王星トロヤ群(海王星との1:1共鳴天体)は元々EKBOであったが海王星の重力に捕まったものと考えられており、通常はEKBOに含まれない。
- 冥王星族(プルーティノ族):海王星との3:2共鳴天体。公転周期約247年、軌道長半径約39.4 AU。冥王星など。
- トゥーティノ族:海王星との2:1共鳴天体。公転周期約330年、軌道長半径約47.7 AU。
- キュビワノ族:海王星との共鳴天体以外。古典的EKBOとも呼ばれる。ハウメア、マケマケなど。
散乱円盤天体(SDO)
軌道長半径が約48AU〜約400AU。海王星の重力によってエッジワース・カイパーベルトから散乱させられた天体。近日点がエッジワース・カイパーベルト以内にある。太陽から遠いため、未発見のものが多い。エリスはここに含まれる。
E-SDO
近日点がエッジワース・カイパーベルト以遠にある天体を指す仮の名称。発見された中で最遠の軌道を回るセドナのみがここに分類されている。セドナの発見者は「内オールトの雲」という名称を提案している。
オールトの雲
太陽から1万〜10万AUの間で球殻状に広がっているとされる仮想天体群。実際に発見されたわけではないが、彗星の軌道などの状況証拠から多くの学者に支持されている。彗星の生まれ故郷と考えられている。
彗星
2006年8月の国際天文学連合の決議以降の分類では、単純に言えば太陽系小天体のうち小惑星や塵以外の総称である。氷や塵でできており、太陽に近づくことでコマと尾(テイル)を出すという外見が特徴である。コマと尾の材料が無くなると小惑星と区別できなくなるため、そのような天体は「彗星・小惑星遷移天体」と呼ばれている。
軌道による分類では太陽の周りを回る周期彗星と、太陽には1度近づくだけの非周期彗星に分けられる。また、周期彗星は公転周期200年以下の短周期彗星と200年以上の長周期彗星に分けられることがあり、長周期彗星に非周期彗星を含むこともある。
著名な彗星には以下のような物がある。現在は発見者の名前がつけられており、同時に発見した人がいた場合は3人までの名前がつけられる。同じ発見者が複数の彗星を発見した場合は第2、第3……とつけられていく。
Halley | Hyakutake |
衛星
Moon | Galilean moons |
惑星、準惑星、小惑星の周りを回る天体のこと。これらの周りには惑星の環などを構成する氷や岩石などの小天体もあるが、学術的な区別は未だ定義されていない。衛星の周りを回る天体は孫衛星と呼ぶ。
太陽系の広さ
冥王星が発見されてから一昔以上前くらいまでは冥王星軌道までが太陽系であるとされ、誰も信じて疑わなかった。しかし上記のように、小型の天体とはいえ冥王星より外側の天体が次々と発見されたり、またオールトの雲の存在が仮説ではあるが広く支持されるようになってからは冥王星軌道までが太陽系とする学者は皆無となった。
実際に、太陽の重力圏(太陽の重力の影響が他の恒星の重力より大きい範囲)は太陽を中心に1.5光年ほどであるとされている。そのため、まだ議論はあるものの、太陽系の範囲は太陽から1~1.5光年程度であるとするのが一般的になりつつある。これは冥王星軌道までとする頃と比べるとかなり広くなった。
しかし、きれいな球の形というわけではない。
天文単位(astronomical unit)
天文学で用いられる単位。単位記号は「au」または「AU」など。1AUは地球と太陽の平均距離に相当し、約1.5億kmである。基本的には太陽系内の運動を表すときに用いられている。
チチウス・ボーデの法則
ヨハン・ダニエル・ティティウスが発見しヨハン・エレルト・ボーデが広めた法則。ティティウス・ボーデの法則、ボーデの法則とも。
太陽と惑星の間の距離をαAU(1AU=太陽ー地球)とすると、その値は近似的に以下の式で表せる。
α=0.4+0.3×2n(n=-∞, 0, 1, 2, …, 7)
水星 | 金星 | 地球 | 火星 | 小惑星帯 | 木星 | 土星 | 天王星 | 海王星 | 冥王星 | エリス | セドナ | |
n | -∞ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
α(計算上の距離) | 0.4 | 0.7 | 1.0 | 1.6 | 2.8 | 5.2 | 10.0 | 19.6 | 38.8 | 77.2 | 154 | 307.6 |
実際 | 0.39 | 0.72 | 1.00 | 1.52 | 2.77 | 5.20 | 9.55 | 19.21 | 30.11 | 39.45 | 67.96 | 501.24 |
(参考文献:ニューステージ地学図表、浜島書店)
※エリス以降は参考として掲載した
天王星までの惑星はほぼ法則に近い位置に存在している。火星と木星の間の小惑星帯も、ほぼこの法則通りに位置する。このことからわかるようにこの位置には惑星が誕生する可能性があった。しかし木星の強い重力に邪魔され、小惑星は惑星まで成長することが出来なかったようだ。
しかしながら海王星はこの法則からずれていたため、さらなる「惑星X」を探索させるきっかけとなった。これにより7の位置に近い冥王星が見つかったが、その規模の小ささから8の位置に巨大な惑星があり何らかの重力の影響を及ぼしているのではと考えられ、発見以降も探索が行われた。現在、そのような惑星は見つかっておらず、さらに冥王星が惑星から外されたことは前述の通りである。
結局、この法則は物理的な根拠は全くないので偶然だったとすることで落ち着いている(?)
関連動画
関連項目
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