太陽系外惑星とは、読んで字のごとく太陽系の外に存在する惑星である。すなわち「太陽系外」の惑星である。
太陽系にある惑星のうち、地球より外側を周回する惑星を「外惑星」と分類するが、これとは関係ない。
概要
太陽は平凡な恒星で、宇宙にはいくらでもあることから、太陽系以外にも惑星が存在するという理論は昔から存在した。それは太陽系以外の惑星を見つけ、あわよくば他の文明を探そうという野心的な意味合いもあった。しかし、観測技術が追いついていないのと、後述する通りの理由でなかなか見つからなかったが、1992年にパルサーを回る惑星、1995年には恒星を回る惑星が発見された。
見つかってみたらこれだよ!
1992年、地球から980光年離れたパルサー「PSR B1257+12」に2つの惑星が回っているのが発見された。しかし、それはいわば「普通の星を回る惑星」ではないため、さらに探索が続けられた。すると1995年、地球から50.1光年離れた「ペガスス座51番星」という太陽に良く似た恒星で惑星が発見された。しかし、その惑星は太陽-水星の距離の1/6というかなり近い距離をわずか4.2日で公転するという、常識外れな惑星であった。しかし、その後の観測でこのような惑星はかなり普通に存在し、いかに我々の「常識」が誤っているかを見せ付けられた。
はじめはその観測方法から、木星サイズの惑星しか見つけられなかったが、近年では地球の数倍程度の、かなり軽い惑星も発見されつつある。このような軽い惑星は見つけにくく、それが発見を遅らせた要因でもある。つまり「惑星系は内側に地球型惑星、外側に木星型惑星が配置されている」という常識に縛られ、数日で公転する巨大惑星という「非常識」なものは観測から排除されていたからである。
太陽系外惑星の種類
- ホットジュピター
- 木星と同じかそれ以上に大きな惑星で、中心星から極めて近い位置を公転している惑星。
- エキセントリック・プラネット
- 軌道が楕円形の惑星。
- スーパーアース
- 明確な定義は無いが、地球の数倍から数十倍の質量を持つ岩石質の惑星。
- 逆行惑星
- 中心星の自転に対して公転が逆の惑星。
- パルサー惑星
- 中心星が恒星ではなくパルサーの惑星。
- 海洋惑星
- 惑星全体が深さ数百kmの海に覆われているもの。
- ゴルディロックス惑星
- ハビタブルゾーン内にある惑星のうち、 生命の発生だけでなく進化も起こりうると考えられている惑星。
- 炭素惑星
- 主に炭素化合物で構成されている惑星。 仮説上の天体。
- クトニア惑星
- ガス惑星の表層のガスが中心星の熱で吹き飛ばされ、コアのみが残ったもの。ホットジュピターの未来の姿とされている。仮説上の天体。
太陽系外惑星は、一見すると太陽系の惑星とは似ても似つかないものが多い。しかしそれは観測技術の限界から、そういうものが発見しやすいからという理由である。
なお、どこの星の周りも回っていない「自由浮遊惑星」は、惑星と定義するかどうか今のところあいまいである。
発見方法
- 視線速度法
- 「ドップラー変移法」とも呼ばれる。惑星によって恒星がふらついたときに起こるドップラー効果によるスペクトル変化を観測するもの。現在最も主流な方法である。この方法で発見しやすいのは、質量が大きく、恒星に近い距離を公転している惑星であり、恒星に極端に近いガス惑星が太陽系外惑星の多くを占めているのもこれが理由である。ふらつき度合いから質量もわかる。
- トランジット法
- 「食検出法」とも呼ばれる。惑星が恒星の前を横切ると、恒星が隠れてわずかに暗くなる。その変化を観測して惑星を発見する方法である。明るさの変化から惑星の直径が分かるほか、スペクトル分析で大気の成分も調べられる。
- 直接観測
- 文字通り惑星を直接望遠鏡で観測するもの。惑星は自ら光を発しないため非常に暗いので直接観測は難しい。
- 位置天文学法
- 惑星によって恒星がふらついたときに起こる恒星の位置のずれを観測して惑星を発見するもの。
- 重力レンズ法
- 光が重力で曲げられる性質を利用して、惑星が恒星の目の前を通り過ぎるときに、惑星が恒星の光を曲げて、見かけ上輝きが増大して見える現象を観測するもの。他の方法では見つけにくい遠くにある惑星を発見する際に重宝するが、効果がわずかなことと惑星が目の前を通りすぎる可能性が低いため、数は少ない。
- パルサータイミング法
- パルサーの発する電波が非常に正確なことを利用して、電波の周期的なズレを観測するもの。初めて発見された太陽系外惑星はこの方法で発見された。
惑星の名前
命名法が決まってないせいか、ちゃんとした名前がついている惑星は数えるほどしかない。
そのため、現在は公転の中心にある星の名前にb、c、d・・・と、発見順にアルファベットをつけていくのが主流になっている。例えば「グリーゼ581g」という惑星は、グリーゼ581という星の周りを回る6番目に発見された惑星という意味になる。あくまで発見順でつけられるので、中心の星から近い順ではない。だから、近い順でみるとアルファベットの順番がバラバラに見える。先のグリーゼ581系は近い順に「e、b、c、g、d、f」となる。
aから始まらないのは、aがその中心にある星であることを示すからである。惑星の名前にやたらbが多いのは、複数個見つかっている星が少ないからとも言える。連星の周りを回る惑星に関しては定義がないのでどちらでもよい。
ただし、最初に惑星が発見された「PSR B1257+12」の惑星はこの命名規則以前に発見されたので、それに従ってない。
- HD
- 星表「ヘンリー・ドレイパーカタログ」に掲載されている恒星の周りを回る惑星につけられている。2007年までに発見された惑星の大半はHD番号である。
- グリーゼ
- 星表「グリーゼカタログ」に掲載されている恒星の周りを回る惑星につけられている。星表を作ったのはヴィルヘルム・グリーゼだが、ハルトムート・ヤーライスが補遺している功績を称えて「グリーゼ・ヤーライスカタログ」とも呼ばれている。そのため、そちらの略称だと「GJ」となるが、これはどちらかというと補遺で追加された恒星を回る惑星につけられている。
- WASP
- 太陽系外惑星の通過を観測するプロジェクト「スーパーWASP」で発見された惑星及び恒星につけられる名前。WASPとは「Wide Angle Search for Planets」のことで、「ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント」とは関係ない。報告が取り下げられた9bを除いて現在18bまである。また、11bは後述のHAT-P-10bとかぶっている。
- HAT-P
- 食検出法による太陽系外惑星を発見する「ハンガリー自動望遠鏡ネットワーク」で発見された惑星につけられている。現在14bまである。10bは先述のWASP-11bとかぶっている。これは、最初にスーパーWASPが発見したものを、存在が公表されていない段階でたまたま再発見したものである。
- CoRoT
- 宇宙望遠鏡「COROT」で発見された惑星につけられている。確認中を含め17bまである。
- XO
- 食検出法による太陽系外惑星を発見する「XO望遠鏡」で発見された惑星につけられている。現在5bまである。
惑星の定義
現在の理論では、木星の13倍の質量を持つ天体は「褐色矮星」という、恒星のなりそこないの枠に収まっていた。太陽系外惑星は、従来発見されていた惑星は地球の数倍の質量から木星の数倍の質量に収まっていたため問題はなかったが、近年木星質量の13倍を超えるものや密度が褐色矮星並みのものが発見され、物議をかもし出している。そもそも、褐色矮星の定義自体があいまいであり、別の定義が必要という意見もあった。
- 従来どおり、木星の13倍以下の天体は惑星、13倍以上は恒星である。
- 核融合を起こしていなければ、質量によらず、分子雲が自己収縮してできた天体は恒星、その周りの円盤内でチリが寄り集まってできた天体は惑星。
- 核融合を起こしておらず、何かしらの天体の周りを回る天体が惑星である。どこの星も回っていない「自由浮遊惑星」は惑星ではない。
2006年に決定した「惑星の定義」と同じく、太陽系外惑星に関しても、今後きちんとした定義を話し合うことが必要である。
関連動画
関連項目
- 13
- 0pt