女神異聞録ペルソナとは、1996年9月20日にアトラスから発売されたプレイステーションのソフトである。
また、2009年4月29日にリメイクされたPSP版が発売された。
2018年12月3日発売のプレイステーションクラシックに本作が収録された。
概要
女神転生シリーズの流れを組みつつも、新しい試みを持たせた作品。
大きく変わったところは「悪魔が仲間(仲魔)にならない(シリーズ定番のCOMPも登場しない)」「パーティーが全て人間(全員が高校生の少年少女)」というところであり、主人公たちは自らに宿した(降魔という表現をされている)「ペルソナ」の力で戦う。
ストーリーは基本的に通称「セベク編」と呼ばれる1本道のルート。
だが、序盤の行動によって、通称「雪の女王編」と呼ばれる、難易度の高い隠しルートに進める。
さらにどちらのルートにもバッドエンドが用意されており、進め方や選択肢によって左右される。
雪の女王編に突入するためには特殊な手順が必要だが、特に2週目限定というわけではないので、隠しイベント等を探すのが得意な人は何も知らないままうっかり突入してしまうという事故も。
ダンジョンはかなり広大な作りになっており、クリアするまでにはかなりの時間を要する。また、セーブポイントが少なくエンカウント率も高いのが特徴。
総じて本作は難易度が高めのRPGに分類されるが、それまで重厚かつハードだったメガテンのシステム・世界観を判りやすい超能力バトルに転化した事や、思春期の高校生の心理やトラウマを題材としたストーリーは評価を受け、昨今までシリーズ展開が続いているアトラスの新たな看板シリーズとなった。
PSP版は移動速度の向上、ロード時間の短縮、戦闘エフェクトのスキップなどが見られ、
プレイする上でストレスとなっていた部分が大幅に軽減された。
また、BGMの一部が新規曲に差し替えられている。新規曲はP3以降に近い雰囲気であるため、ユーザーからの評価は賛否両論である。
戦闘
全体
女神転生シリーズと違い、戦闘シーンがクォータービュー形式に変更。
パーティと陣形を組んで戦うが、主人公たちが装備できる武器は剣、銃共に種類が決まっており、
攻撃範囲がほぼ固定となっている。このため、あまり自由な陣形は組めない。
交渉
悪魔との会話は「パーティの誰か」が「どんな会話をするか」という選択方法になっており、主人公の特権ではなくなった。むしろ本作で主人公の会話コマンドは相当”使えない”部類なので、個性豊かな仲間が会話のカギになる事が多い。
また悪魔の感情も4つ(怒り、喜び、興味、恐怖)に分かれてグラフで明示されるようになった。
レベルアップシステム
経験値は「戦闘での貢献度が高いキャラが多くもらえる」という特殊なシステムが採用されている。
実験的な試みであったが、HPが最大の状態で全体回復魔法を使っても貢献度が高く上がるように設定されていたり、素早さが低いキャラ(マーク、なんじょうくんなど)のLvが上がりにくかったりなどの弊害があり、次作からは使われていない。
魔法
これまでの女神転生シリーズでは属性魔法はさほど多くはなかった(火炎、氷結、電撃、衝撃、破魔、呪殺程度)が、今作では精霊魔法(火炎、氷結、疾風、地変)、物理魔法(電撃、重力、衝撃、核熱)と、大幅に増加した。
先述した陣形システムにも関連するが、敵も陣形を組んでいる。なので、敵1体を攻撃範囲の中心とする魔法・特技で攻撃するように設定したとき、ターゲットの敵が味方の攻撃などで先に倒れるとターゲットは別の敵へシフトしてしまう。
このため、ターゲットとなった敵が生きていれば敵全員に攻撃が当たるはずが、ターゲットがズレたために1匹にしか当たらなかった、などということも起こるので注意が必要である。
また、バッドステータスの種類も非常に多く、物理攻撃が不可能になる「罪悪」、命中率が下がる「盲目」などが追加された。
ペルソナ
作品により若干意味合いが異なるが、本作におけるペルソナとは人間の心の奥底にある別人格が、(メガテン的な意味の)悪魔の形で具現化したもの。
主人公たちはふとした事がきっかけでペルソナ能力を獲得し、「ペルソナ使い」となる。
ペルソナは1キャラにつき、最大3体まで降魔(=ペルソナを装備)する事ができる。
ペルソナはタロットにおける大アルカナで種族分類され、
キャラ固有の相性、ペルソナ自体の相性によって降魔可能かどうかが導き出される。
(種族相性が良いアルカナでも、キャラとの相性が悪いので降魔できないペルソナも存在する)
また、ペルソナには降魔に必要なレベルが設定されている為、高レベルのペルソナを降魔する為には、キャラクターのレベルも上げる必要がある。
ペルソナは使いこむ事によってランクが8まで上がり、使える特技が増えていく。
また8まで上げると、消去する際にアイテムに変化させることができる。
ちなみにペルソナの種族分類は、女神転生シリーズにおける悪魔分類をアルカナに当てはめた感じになっている。(例:EMPEROR=魔神、SUN=霊鳥、WORLD=龍神など)
ベルベットルーム
女神転生シリーズの悪魔合体施設であった邪教の館に代わり、ペルソナの作成や降魔をする為の施設としてベルベットルームが登場。
様々な場所で、ペルソナ使いにしか見えない「青い扉」が出現しており、それを抜けると一面が真っ青で、女性の歌の響く不思議な一室があり、部屋の主人である鼻の長い小男イゴールが丁重に出迎えてくれる。場所や内装、入室条件等は作品によって差異があるものの、ペルソナシリーズ全作共通の施設となっている。
新たなペルソナは、悪魔との会話で手に入る「スペルカード」を素材とし、ベルベットルームで合体させることによって入手することが出来る。
(このため、これまでの女神転生シリーズと感覚はあまり変わらない)
「ペルソナ同士を合体させる」という事は出来ない。また、隠しアルカナとして事故でしか作れないFOOLが存在する。
合体時に魔法継承が可能なアイテム(はんげつのせきばん、等)を入れる事により、ペルソナに魔法を1つ追加することが可能。
また特殊なペルソナを作成する場合には「封神具」という、特別なアイテムが必要。
(すいてんぐうのおふだ、まさむねのがんたい等)
ガイド合体というのもあり、今所持しているスペルカードから出来る組み合わせを一覧表示してくれるので、カードさえ集めていればとりあえずざっくばらんに合体も可能。
ただし、素材の入れる順番や相性などで色々変わるので、しっかり合体したい場合は研究が必要。
プレイヤーキャラクター
主人公(デフォルト名なし)
聖エルミン学園2年生。プレイヤーの分身(という設定)のため、性格描写的なものはほとんどない。
武器は片手剣とマシンガン。
過去作の主人公と同じく、ステータスポイントを自由に割り振れるのは彼だけなので、必然的に主力になる。
象徴アルカナは「EMPEROR=魔神」。初期ペルソナは「セイメンコンゴウ」。
耳にピアスを付けているのが特徴で、「ピアスの少年」などと呼ばれる。
コミック版での名前は「藤堂尚也」で、死んだ双子の兄弟が居るなど、独自の設定がある。
園村麻希(マキ)
主人公のクラスメイト。病弱で御影総合病院に入院している。
セベク編の固定メンバーであり、ストーリーの鍵となるキャラクター。
武器は弓矢とハンドガン。射程の相性が逆な上、後列になる事が多いため、同時に使うことはほとんどない。
象徴アルカナは「PRIESTESS=女神」。初期ペルソナは「マソ」。
稲葉正男(マーク)
主人公のクラスメイト。マキに恋心を持つ。セベク編の固定メンバー。気さくで陽気なムードメーカー。
武器は斧とショットガン。固定メンバーであるが、素早さが伸びないのでなかなか成長してくれない。
また戦闘時においては特徴的な掛け声でペルソナを召喚する。ペルペルペルペル!
象徴アルカナは「CHARIOT=破壊神」。初期ペルソナは「オグン」。
南条圭(なんじょうくん)
主人公のクラスメイト。南条財閥の御曹司。常にNo.1を目指す男。
常に上から目線のお坊ちゃまだが、薬局のBGMに洗脳されかけたり、意外と抜けているところもある。
セベク編固定&雪の女王編選択メンバー。武器は両手剣とライフル。
象徴アルカナは「HIEROPHANT=鬼神」。初期ペルソナは「アイゼンミョウオウ」。
余談ではあるが、劇中では大概呼び捨てにされており、全然「なんじょうくん」なんて呼ばれ方はしない。
桐島英理子(エリー)
主人公のクラスメイト。帰国子女なので、ルー語を話すお嬢様。主人公と交渉コマンドや使用武器にいくらか共通点がある。
両ルートで選択可能メンバー。武器は片手剣とライフル。
象徴アルカナは「JUDGMENT=天使」。初期ペルソナは「ニケー」。
上杉秀彦(ブラウン)
主人公のクラスメイト。お調子者だが実は意外と繊細。マークとは似たもの同士である。
小さいころのとある事件以来、ブラウンというあだ名が付けられている。
両ルート選択メンバー。武器は槍とマシンガン。
象徴アルカナは「JUSTICE=軍神」。初期ペルソナは「ネヴァン」。
綾瀬優香(アヤセ)
主人公のクラスメイト。イマドキのコギャル(発売当時)。
「今が楽しければそれで良い」という刹那的な性格。家庭的な一面もあるが、ワガママである。
雪の女王編固定、セベク編選択メンバー。武器は鞭とハンドガン。
象徴アルカナは「MAGICIAN=幻魔」。初期ペルソナは「フーリー」。
黛ゆきの(ゆきのさん)
主人公のクラスメイト。男前な性格だが、意外と気さくで頼れる女番長的存在。
雪の女王編固定メンバーでストーリーの鍵となるキャラクター。この為、あまり彼女のおっかけをしているとうっかり雪の女王編に突入してしまう。
武器は飛具とショットガン。
象徴アルカナは「EMPRESS=地母神」。初期ペルソナは「ヴェスタ」。
城戸玲司(レイジ)
主人公のクラスメイト。無口で無愛想で筋肉質とコワモテだが、何故か主人公には優しい。
特定の進め方をしないと仲間にできない、隠しキャラ的存在。
セベク編限定キャラ。武器はナックルとライフル。
象徴アルカナは「DEVIL=魔王」。初期ペルソナは「ブレス」。
DEVIL、DEATH、TOWER、HANGEDMANなどのけったいな属性のペルソナに特化した適正を持つ。
その後のシリーズにおいてもDEATH、TOWERなどに所属するペルソナをまともに扱える、唯一のキャラ。
他作品とのつながり
一部プレイヤーキャラ(マキ、ブラウン、エリー、なんじょうくん、レイジ、ゆきのさん)は2にも登場。
実際に仲間になるキャラもいる。主人公もちらっと出てた。
真・女神転生if...の女主人公は「内田たまき」という名前を得て登場。2にも登場する。
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