妖怪アパートの幽雅な日常とは、香月日輪による小説作品。通称は妖アパ、妖怪アパート。
単行本版は本編全10巻外伝全1巻。現在は講談社より文庫版10巻が発売中。
また「月刊少年シリウス」2011年7月号から2021年10月号まで深山和香により漫画版が連載された。単行本は全24巻。
2012年11月9日発売予定の漫画3巻特装版にて、遂にドラマCD化が決定した。
2017年7月からTOKYO MXほかにてTVアニメが放送された。全26話。
概要
YA!ENTERTAINMENTから2003年より刊行され、2009年に完結した。2004年には、第51回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞している。
今作は主人公・夕士が登場人物達との交流を通し、成長していく姿を描いたものである。タイトル通り妖怪達が住むアパートで暮らしている為、周囲は妖怪や幽霊、霊能力者が多い。なので、たまに妖怪・幽霊等と戦うこともあるが、基本的に戦闘シーンは重要な場面でしか出てこない。
なお作中では、食にまつわるシーンが非常に鮮明に描かれている。こちらに関しては番外編「妖怪アパートの幽雅な食卓 るり子さんのお料理日記」として単行本が発売されている。
香月氏による別作品「地獄堂霊界通信」シリーズとは、世界観がリンクしている為、馴染み深い土地・名前が結構出てくる。もしかしたら地獄堂を読んでおくと、本作の世界観がより楽しめるかもしれない。
あらすじ
主人公・稲葉夕士は早くに両親を亡くし、祖父の家で長らく居候生活をしていた。しかし家族との折り合いは悪く、春からの高校入学と同時に祖父の家を離れ、寮生活をすると決めていた。そして高校生となったこの春、めでたく寮生活をする予定だったはずが、なんと下宿予定だった学生寮が火事で焼失してしまう。
あまりに突然の出来事に落ち込む夕士。するとそこへ不思議な子供が現れ、前田不動産という店を勧められる。そこで紹介された格安アパート「寿荘」へ住むことになった夕士だったが、そんな彼を待ち受けていたのは少々変わった住人達だった。
妖怪・幽霊・人間が入り混じるこの「妖怪アパート」で、時には笑い、時には泣きながら、いつもとは違う不思議な日常を送っていくことになるのだが…。
主な登場人物
補足として、原作1~2巻までが1年生、3~7巻までが2年生、8~10巻までが3年生の時を描いている。
その為、登場人物の年齢も巻によって変化していく。
妖怪アパートの住人
- 稲葉夕士(CV:阿部敦) - 202号室
- 主人公。202号室の住人。条東商業高校に通っている。短髪で細眉の二重まぶたをしているが、普段から色々と我慢しているのが祟って目つきが悪い。育ちの関係から結構な現実主義者であり、当初将来は公務員かサラリーマンになると決めていた。しかし、アパートに住み始めてからは、考え方に少しずつ変化が生じていく。
原作2巻より魔道書「小(プチ)ヒエロゾイコン」の使い手となる。しかし力が無さすぎて、残念な形でしか使い魔達を召喚出来ない。以来、ブックマスターを目指して修行の日々を送っている。一方高校では田代達3人組と一緒にいる事が多く、加えて5巻以降は千晶と一緒にいる事も多くなった。
- 久賀秋音(CV:沢城みゆき) - 204号室
- 人間。生まれながらの霊能力者。夕士より一つ年上のお姉さん。性格は明るく、しかも物凄い大食い。鷹ノ台高校に通っており、夜には「月野木病院」で働いている。名前は小学6年生の頃に能力を認められ授けられた偽名で、本名は鈴木まゆこ。毎回、夕士の霊力トレーニングに付き合っている。
- 一色黎明(CV:石田彰) - 102号室
- 人間。詩人であり、有名な大人向け童話作家。作風は難解で高尚だが、ちゃんと熱狂的なファンがいる。一体いつ仕事をしているのか分からないが、一応本も出しているらしい。実は凄い金持ち。香月氏の別作品「僕とおじいちゃんと魔法の塔」でも一色家が登場するが、果たして関係があるかどうかは不明である。
- 深瀬明(CV:中井和哉) - 103号室
- 人間。通称・画家。かなりワイルドな暴走族っぽい人。普段から愛犬のシガーを引き連れている。女性人気は結構凄い。海外でも人気のある画家らしく、個展を開いたりもしている。しかし、自身(他人)の個展会場でも暴れることから、関係者からは「ゴジラ」だと嫌がられているらしい。
- 龍さん(CV:森川智之) - 203号室
- 高位の霊能力者。長身で端正な美形であり、長い黒髪に黒い服を着ている。立ち振る舞い等々から、夕士と秋音にとっては憧れの存在である。なおその見た目、上院町に友達がいることなどから、読者からは「あれ、もしかして地獄堂のあの人?」と疑われている。詳しくは「地獄堂霊界通信」シリーズを参照。
- 古本屋(CV:杉田智和)
- 人間。世界各地を飛び回り、怪しいものを取り扱う怪しい人。丸眼鏡をかけている。一応住人なので、たまにアパートへ帰ってくる。ブックマスターであり、魔道書『七賢人の書』(セブンセイジ)の使い手。夕士にとっては先輩。香月氏による別作品「下町不思議町物語」にも登場し、修繕屋こと高塔の友人として活躍している。
- まり子さん - 101号室
- 幽霊。B:89 W:58 H:90という超ナイスバディなお姉さん。幽霊になってだいぶ経つ為、周囲曰く中身はおっさんと化している。現在は成仏するのを辞め、妖怪託児所にて保母さんとして働いている。
- クリとシロ
- 幽霊。クリは人間で言えば2歳くらいの幽霊。とある理由から喋ることが出来ない。一方、シロはクリに付き添う白いメス犬。元は近所に住んでいた野良犬だが、生前からクリの面倒を見ていた。ちなみに2人とも命名は一色さん。母親の霊に縛られ続けている為、成仏したくてもすることが出来ない。
- るり子さん
- 白く美しい手だけの幽霊。いつも食堂で皆に料理を振る舞っている。手だけしかないのは死の直前、最後に見たのが自分の両手だった為。夕士とは基本筆談だが、秋音ちゃんなど霊能力を持った人とは手の動きやテレパシーなどで会話している。
- 佐藤さん(CV:遊佐浩二) - 208号室
- 妖怪。人間としての偽名は佐藤幸司。見た目は40歳くらい。妖怪でありながら人間社会に溶け込み、普通に会社で働いて、普通に年を取って…という日々を長きに渡って送っている。現在は大手化粧品会社「ソワール化粧品」の経理課長。
- 大屋さん
- 妖怪。その名の通り「寿荘」の大家さん。真っ黒い大きな体に、白い着物を着ている。部屋代徴収はきっちりやる。居留守など姑息な手は全く効かない。ちなみに喋ることはないが、相手が言ってる事は伝わっているので文句は禁物らしい。
条東商業高校
- 千晶直巳
- 原作5巻より登場。名前は女性っぽいが男性。2年の2学期から赴任してきた、夕士のクラスの担任教師。夕士曰く、画家と雰囲気が似ている。いわゆる美形であり、女子人気は絶大。血が薄い為、よく貧血を起こす。夕士がある事件から救って以降、急激に仲良くなり、一緒にいる事が多くなった。天才的に歌が上手い。
- 青木春香
- 原作5巻より登場。千晶と一緒に赴任してきた英語教師。清楚で美しい見た目とは裏腹に、その凄まじい偽善者っぷりから夕士達には嫌われている。一方で女子人気は物凄い…というかパッと見は宗教である。たびたび夕士達とは衝突を繰り返しているが、彼女自身が改心する気配は一切無い。
- 田代貴子
- 活発でサバサバとした女の子。夕士からは桜庭、垣内と合わせて姦し娘と呼ばれている。1巻で夕士が事故から助けて以来、急激に仲良くなった。趣味は情報収集であり、これに限って田代に敵う者はいない。どうやら腐女子のようであり、夕士と千晶の関係を色々と面白がっている。この2人は田代曰く「ダーリン&ハニー」らしい。
その他
- 長谷泉貴(CV:中村悠一)
- 夕士の親友。容姿端麗・頭脳明晰・実家は金持ちなど何かと凄い人物。将来は父の会社を乗っ取って社長になる予定であり、陰で密かに不良を従える等の準備をしている模様。休みの度によくお土産持参でアパートへ遊びにやって来る。クリを溺愛しており、住人からは「パパ」だと言われている。(ちなみに「ママ」は夕士。)
- フール(CV:子安武人)
- 原作2巻より登場。魔道書「小ヒエロゾイコン」から出現した、22匹いる中の0の"愚者"。身長15センチほどの小人で、見た目は中世の道化師風。夕士をご主人様と呼び慕っている。ちょいちょい出現しては、魔道書の説明をしてくれたりする。
関連動画
関連チャンネル
関連項目
関連リンク
- 香月日輪インフォメーションサイト
- 妖怪アパートの幽雅な日常 | 香月日輪オンライン | 講談社BOOK倶楽部
- 妖怪アパートの幽雅な日常|月刊少年シリウス|講談社コミックプラス
- 妖怪アパートの幽雅な日常 アニメ公式サイト
- 妖怪アパートの幽雅な日常 公式アカウント (@YouapaAnime) | Twitter
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