嬉野秋彦(うれしの あきひこ、1971年4月19日 -)とは、日本の小説家である。
概要
1994年、横浜国立大学在学中に『皓月に白き虎の啼く』で第3回集英社ファンタジーロマン大賞を受賞。同年7月に同作でデビュー。中国ものでデビューをしており、『西遊記』や『水滸伝』や『封神演義』なんかが好きで、その影響で漠然と中国的なモチーフに心惹かれていたからとブログで明かしている。中国ものは宋代を舞台にしたものを基本に神仙の登場するもの、中国式チャンバラの武侠小説などを発表している。現代に生きる陰陽師や魔術師たちのオカルトものに洋風ファンタジー、平安末期を舞台にした中国道士が活躍する『怨天賦』、架空の国を舞台にした和風ファンタジー『神咒鏖殺行』等作風は広い。ゲーム好きでSNKを中心にノベライズを手掛けゲームやドラマCDシナリオも多数。スマホゲーにもかかわっているようだが明かされていない。大百科記事のあるフリーゲームのRuina 廃都の物語もノベライズしている。
小説に限らず文章で身を立ててきた人で書店バイト以外での雇われの経験はほぼなさそうである。アーカイブで閲覧できるブログ記事(カテゴリ黒歴史)によると、94年1月は留年決定、マンションを3ヶ月で退去しなければならない等切羽詰まった状況にあったため、デビューが決まった時の安堵感は大変なもので、これでもう好きなことだけやって生きていけると本気で思い込んでいたとのこと。しかし、デビューしたスーパーファンタジー文庫はコバルト文庫のイトコみたいなもので、刊行数も2、3点で新人の嬉野には4ヶ月に一回しかチャンスが回らず生活できなかったので、翌年から今は亡き新声社でも仕事をしている。『ゲーメストワールド』創刊号に、一般読者のフリをして『餓狼伝説3』のサイドストーリーを1本“投稿”し、さらに同じく創刊号に、嬉野秋彦の名義で、『ストライダー飛竜』のサイドストーリーを書いている。新声社とのつながりは作家デビュー直後に応募した、『コミックゲーメスト』での企画。コミック版『餓狼SP』の原作ストーリーを読者から広く公募するという企画があり、応募はしたものの2作残った最終選考で落とされた。この応募作が縁で新声社から呼ばれ、嬉野曰く時代の徒花ゲーメストZ文庫の立ち上げにかかわることとなった。雑誌の仕事はゲーメストZ文庫の立ち上げの説明を聞くために出入りしていたら、声をかけられたとのこと。無断で他社との仕事はルール違反なのだが、スーパーファンタジーの担当は嬉野やライトノベルへの関心が低かったようで、前年に出ていたゲーメストZ文庫のヴァンパイアハンター外伝ノベライズには気付かず、翌96年頭Z文庫での2冊目が出た直後あたりになってから他社での仕事を知った担当が釘を刺してきている。
だが、前年の11月頃に角川スニーカー文庫から接触があった。当時はまだブログもサイトも開設していなかったし、そもそも名刺も配っていなかったのに、なぜいきなりスニーカーから?と不思議に思ったのだが、のちに聞いた話を総合すると、当時のスニーカー文庫の編集長が、「最近誰か注目している作家はいませんか?」と秋津透に尋ねたところ、中国モノが好きで名前を出してくれたらしい。 そこで編集長が連絡を取ろうとしたのだが、当時のSF文庫(=コバルト文庫)は、会社をまたいだ編集者同士の横のつながりがなかった。このまま連絡先も知れずといきそうなところ、当時のスニーカー編集部に、ゲーム系の編集プロダクション出身の人がいて、たまたまその人が少し前までゲーメスト編集部に出入りしていたことから、Z文庫の担当を介して連絡が来たのである。『チキチキ』を96年夏までに出すことで話はまとまっていく。釘を刺された時もこのまま事後承諾で押し通すつもりでスニーカーのことは黙ったままにするつもりだった。しかし、時間が経ち推測するに4月下旬ごろに96年4月末発売の『ザ・スニーカー』をスニーカー編集から渡される。次号予告のページに載らないはずの名前が手違いで載っていたからである。この時は発売予定の『チキチキ』のイラストレーターとの食事中であった。その後、雑誌の発売後にスーパーファンタジーの担当に電話して打ち明けた。この担当はやる気のないタイプでライバルレーベルの雑誌に目を通しておらず、電話で初めて知ったらしい。その日のうちに神保町に呼び出され、嬉野は不満をぶちまけてこのまま干される流れになったのだが、半年後に電話がかかってきて、何事もなかったかのように「次の新作、どうしますか?」と言われ集英社とも復縁している。『チキチキ』はそれまでスーパーファンタジーで出したどの本よりも売れているためと嬉野は推測している。このように場合によっては、早々に消えていてもおかしくなさそうなやらかしがあったが、今も現役である。
作品
シリーズ
- 中国モノ
- 白瑛シリーズ(3巻)、魔星またたく刻 火燐児風雲録、紅龍よみがえる午後、狐啾記 月夜のふたりの6冊はあまり売れなかったらしい。新人で売れていないことを考慮してもチャンスが少なく生活のために、他社でも仕事をしていた。スーパーファンタジー編集部のフォローのなさ(校正の仕方も教えず、校正記号が間違っていると言う等新人にそういうことを教えるという意識自体が、最初から持っていないような担当だった。 そんなわけだから、業界の仁義的なこともいっさい知らなかった)もあり執筆速度にはすでに自信があり締め切りを守れば問題なしと考えた。専属拘束料金もないし、金をかけたデビューではなかったので余計によそで書いても、特に問題ない思ったとのこと。
- スニーカーからチキチキ美少女神仙伝 !を7巻(1巻は96年から)で畳み、3年半ほど空けてファミ通文庫からチキチキのわ〜る烈風伝 !!を出している。イラストはせたのりやすで共通している。ファミ通でせたにイラストを発注していると聞き、だったらファミ通からもチキチキを出そうとイラストありきで前作サブキャラとのわーる新キャラを主役コンビにして、書かれた。密接に関わる2つのシリーズは作者唯一のドラマCDとなっている(名義としてはのわーるではある)。
- 虎は躍り、竜は微笑むは純粋な武侠もの学園もので嬉野の中国もので神や仙人要素のないものはこれが初。なおかつ、宋代が基本だったこれまでのとは違い時代も世界も曖昧な架空中華というべき舞台で展開する。
- 洋風ファンタジー
- 妖精の騎士で洋風ファンタジーを開拓。コバルト文庫から出しているのもあって、女子向けなキャラや展開にしたら受けて集英社で初めて重版がかかった。もめた編集から何事もなかったかのようにコバルトから出そうと言われた。神保町で雑誌のフォローがあるコバルトのほうで賞に応募すれば良かったと担当に言っていたのが叶ったことになる。これから担当は交替、心機一転である。97年から始まり妖精の騎士を4巻で畳んでから、2年半後、同一世界のフェアリーランドクロニクルをスーパーダッシュから出している。人物は違うが、妖精に育てられた騎士が主役で妖精は母であり恋人というインモラルさが根底に流れているのは共通。
- スニーカーでの2作目としてレオン東遊記、これは性格の悪いキャラが味方にいるのが後の作品にまで系譜としてつながっている。
- ファミ通文庫の創刊第一号のホルスマスター。16巻完結は嬉野作品として未だに破られずにいる。実の妹への愛が度を越した兄が主役。唯一のコミカライズ化も果たす。
- スーパーダッシュでの2作目のアウゴエイデス。男勝りな妹と見た目は美女な兄の冒険家コンビが主役の一品。表紙だけだと美人姉妹。
- ホルスに次ぐ13巻まで続いた黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グラフィコス)カタカナタイトルから漢字にルビを振るタイプに。ヒロインが主人公をいろんな意味で虐げる構図があまり好きでないとのことで、若いながらも有能な少年と彼に世間知らずと馬鹿にされてぐぬぬとなるお嬢様育ちの少女の物語となっている。設定上魔法の行使に肌の露出が必須なのでセクシーさはあるが、エロ要素はあんまし期待せずに。少しずつ関係性が変わっていく魅力はあるが、それなりに辛抱する必要はある。
- 剣魔剣奏剣聖剣舞とダンジョン・サーベイヤは同時期スタートでこれらは2巻切りで以降はいっても2巻止まりと停滞期に入った。剣はタイトルを見るとよくわからないが、作者が好きな武侠に洋風世界をかぶせたもの。漢字の二つ名等、癖を隠していない。もう一つはダンジョンものだがキャラの個性を受け入れられるかで、読後感は変わると思う。
- カクヨムで異世界転生を経験した者たちが現代に帰還してのバトルや作者の強みを感じる洋風ファンタジー、チキチキの新シリーズに武侠ものを掲載している。無料なので試すのも一興。
関連項目
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