宇宙の騎士テッカマンブレードIIとは、タツノコプロ製作のOVA作品である。1994年に前期3話が、95年に後期3話がリリースされた。
『宇宙の騎士テッカマンブレード』の続編。
2012年9月18日よりニコニコタツノコ劇場にて公式配信開始。しかし、2015年4月30日をもって動画の配信は終了した。
あらすじ
連合宇宙暦203年。テッカマンブレードがラダム一派を地球から一掃(第1次ラダム戦役)してから十年後。
ラダム樹に取り込まれ素体テッカマンと化した人々の救出方法が発見され、次々と助けだされていった。
スペースナイツにてメカニックとして働く少女ユミ・フランソワもその一人。
彼女には憧れの人がいた。それは伝説の『白い魔人』テッカマンブレード。
ひょんな事からスペースナイツのテッカマンに選ばれたユミは憧れの人に近づくため奮戦する。
概要
『陰気な大作』と呼ばれた超どシリアスな前作とは打って変わってテッカマンに憧れる美少女の青春ドラマ的な作り(つまり今で言う萌えアニメ)な雰囲気であり、その作風の違いに前作ファンは度肝を抜かし、黒歴史呼ばわりする者がいるなど否定的に語られることが多い。
また、何の説明も無しにDボゥイが復活していたりアキがテッカマンになっていたために視聴者の混乱も招いた(これらは後述の『幻の2年後』編にて補完されているが、本編では語られていない)。
しかし、売上が悪い訳ではなかったようで当初は前期3話分で終了する予定が後期3話分が新たに作られる事となった。
こちらは前作のようなシリアスな作風となった他、新生スペースナイツ唯一の男性テッカマンであるダービッドを主軸としたストーリーと『幻の2年後』編を踏まえた設定が特徴で、一応の主人公であるユミは完全に脇役と化している。
そのためか本作に否定的であっても後期3話は評価する、と語る前作ファンも存在する。
なお、本作の戦いは設定では『第3次ラダム戦役』と呼ばれている。前述の通り、『第1次』は前作の事で、『第2次』は『幻の2年後』に当たる。
ちなみに前作同様漫画版が存在する。作者はメカデザインの中原れい。
前期3話のコミカライズであり前作の漫画版ほど作風に違いはない。
登場人物
新生スペースナイツ
- ユミ・フランソワ / テッカマンイーベル(CV:國府田マリ子)
一応の主人公。「大ボケユーミ」というあだ名を持つメカニック。
幼少期の頃に見たテッカマンブレードに憧れている。
テッカマンに志願した際は適性検査で散々な結果を出すが、何故か3人目の地球製テッカマンに抜擢された。
その際、本来はテッカマンベスナーに装着される予定だったリアクターボルテッカを事故により装着してしまう事となる。
「DさんのDってドリームのDですか?」は彼女を代表する迷言…だが、『スーパーロボット大戦W』にてまさかの名言へと昇華する。
ちなみに「イーベル」はフランス語で「冬」を意味する。 - ダービット・クリューゲル / テッカマンゾマー(CV:置鮎龍太郎)
人呼んで「アイドルテッカマン」 。いかにも軽薄そうなプレイボーイだが、本心は一途でアキの事を想い続けている。
ちなみに「ゾマー」はドイツ語で「夏」を意味する。
<以下ネタバレ>
デッド・エンド同様素体テッカマン達による暴動事件「プラハの黒い九月」の生き残り。
その際、テッカマンとなったアキに助けられており、それ以降アキの事を想うようになった。
決してホモではない、たぶん。
その経緯と後期3話の彼を主軸としたストーリーから「ブレードIIの真の主人公」と言われる事も。 - ナターシャ・パブロチワ / テッカマンベスナー(CV:本多知恵子)
テッカマンである事に強い使命感を抱く女性。3人の地球製テッカマンの中では一番総合力が高い。
プライドの高い性格からか、当初は無責任な言動が多かったユミを嫌悪していたが、ユミの努力を認めた後は打ち解けていった。
他の2人に比べどうにも印象が薄い。
ちなみに「ベスナー」はロシア語で「春」を意味する。
<以下ネタバレ>
父親は地球連合軍参謀長であり、「プラハの黒い九月」事件の際に核ミサイルでプラハを焼くという凶行を犯した事を知った際に反目し家出、スペースナイツへと入隊した。 - 如月アキ / テッカマンアキ(アキテッカマンとも呼ぶ)(CV:林原めぐみ)
新世代テッカマン達を見守るスペースナイツのチーフ。 化粧が濃くなりオバンっぽくなったと評判。
Dボゥイとは恋人同士であり、後日談である小説『水晶宮の少女』では苗字が…。
イーベル・ベスナー・ゾマーと合わせると春夏秋冬となる。
何故テッカマンに変身できるようになったのかは後述。 - ペガスII
前作で大破したペガスのメモリーとエビルのクリスタルを使用して作られた新型ペガス。
アキのテックセットや飛行などをサポートする。
ちなみに『スーパーロボット大戦W』にて(同一人物であるにも関わらず)前作のペガスと共演している。
そのためか、同作品においてのみ上記の設定は有耶無耶にされている。 - Dボゥイ / テッカマンブレード(CV:森川智之)
伝説の『白い魔人』と評されるテッカマン。
前作の戦いの果てに廃人化するものの、第2次ラダム戦役において完全復活。
その際、ラダムによる再フォーマットを受けたため完全なラダムテッカマンと化し、時間制限やブラスター化などが無くなっている。
『II』当初はラダムを呼び寄せてしまわないために地下にて隠遁生活を送っていた。 - 本田(CV:飯塚昭三)
旧スペースナイツの数少ない残留メンバー。本作では52歳になり、随分と老け込んだ。ユミのメカニック時代の上司であり、ユミ達のことを気にかけている。 - ハヤト・カワカミ(CV:高木渉)
ブルーアースγ号のパイロットを務める、ユミのサポートメンバー。ユミに惚れているがまったく気づいてもらえない。 - アニタ・ブラニガン(CV:渡辺久美子)
ブルーアースβ号のパイロットを務める、ダービッドのサポートメンバー。中性的で体格も良いが一応女性。 - ゴリアテ・バージナル(CV:相沢正輝)
ブルーアースα号のパイロットを務める、ナターシャのサポートメンバー。「自己批判」が口癖。
連合防衛軍
- グリア・パブロチワ(CV:家弓家正)
連合防衛軍の参謀長であり、ナターシャの父。
<以下ネタバレ>
反応弾の発射を許可し「プラハの黒い9月」の惨劇を引き起こした張本人。娘のナターシャ以外の素体テッカマンを差別している。
敵
- デッド・エンド / テッカマンデッド(CV:結城比呂(現・優希比呂))
一見、女と見間違えるほどの美貌を持つ美少年。
テッカマンデッドは地球製のシステムではなくラダム製のシステムによりテックセットしているため
戦闘力は地球製テッカマンよりも高くブレードと同等かそれ以上。
ちなみに、重装形態と軽装形態の二形態があり、重装形態はブラスターテッカマンと同等の能力を持つ。
素体テッカマンの暴動事件である「プラハの黒い九月」の生き残りであり、事件当時、デッドはプラハの街の外にいたため無事だったが、その際に核に焼かれるプラハを目の当たりにしたことで地球連合軍と何も解決出来なかったスペースナイツに対して憎しみを抱くようになる。
スペースナイツとの戦いの中で、同じ生き残りであるダービットと奇妙な友情で結ばれていく。決してBLではない、たぶん。
戦いが終わった後はスペースナイツと和解し、民間レベルでの特別協力者となった。 - テッカマンミハエル
回想シーンでのみ登場。「プラハの黒い九月」事件の首謀者。
スペースナイツに所属していた女性研究者・フレイルが一体化しており、胸部に素体テッカマン化したフレイルの頭が埋め込まれている(ちなみにフレイルは後述の『幻の2年後』に登場している)。
ブレードのテックランサーを武器として使う他、全身像はLD版第5巻ジャケットで見られる。
初期続編案『幻の2年後』 (第2次ラダム戦役)
初期案である正当な続編。前作同様の悲劇的な世界観を踏襲している。
内容は『ラダムの2度目の侵攻』『アキのテッカマン化』『Dボゥイの復活』などが語られている他、『II』後期3話のある事件に繋がる要素も見られる。
当初はこちらを『II』として制作しており、脚本も大体が出来上がっていたが、あかほりさとるの「前作と同様の雰囲気ではいけない」という一言によってあっさり没。
その結果本作が生まれる事となった。
一時期、パソコン通信サービス『ニフティサーブ』にてOVA制作スタッフの一人がこれらのストーリーを『ラダム再び』と称して年表とともに公開していたが、現在はサービス終了に伴い閲覧不可。
現在はこちらのサイト(IE以外のブラウザでは表示がやや崩れる)から非公式な形ではあるが閲覧可能ではある。
特典映像『MISSING LING』はこの話の一部を映像化した作品。
『ラダム再び』による、本作までのおおまかな流れ
- 干渉スペクトルを利用して素体テッカマン化された人々が救出・蘇生される。
- 素体テッカマン達の力でオービタルリングの復興が急速に進む。
- 第2次ラダム侵攻。地球製フォーマットによるテッカマンを作る計画を知ったアキが、装置に入りテッカマンアキとなる。ラダムテッカマンとして再フォーマットしたDボウイを通じて世界中の素体テッカマンを暴走させ、さらには地球を消滅させようとするラダムの計画。計画は阻止され、Dボウイに回復の兆しが。
- ラダムが寄生生物と判明し、暴走の件もあり素体テッカマンが危険視されるようになる。
- 政府がスペースナイツ派から連合防衛軍派となり軍が復権。
- 第二オービタルリング建造の為に素体テッカマンが強制徴用され抗議デモが起こる。軍が鎮圧の為に干渉スペクトルを過剰照射し、少年テッカマンが死亡。抗議デモは暴動へ発展。
- プラハの黒い9月事件発生。
- 素体テッカマン擁護の立場にあった外宇宙開発機構は、暴動とプラハの黒い9月事件の責任を取らされる形となる。フリーマンら上層部は火星(資料によっては金星)に左遷、スペースナイツは解散となる。
- ラダムの第3次侵攻が確認される。政府はスペースナイツ再結成と地球製フォーマットによるテッカマン作成を指示。軍はソルテッカマン部隊増強を行うが、素体テッカマンには全く頼らない。
その他
関連動画
公式配信
主題歌・BGMなど
スーパーロボット大戦では
『スーパーロボット大戦W』にて初参戦。『I』との同時参戦でもある。
時系列は前作の十年後から前作の中盤の時期に入れ替えられた他、前述のユミの迷言が名言に昇華するなどで評価は非常に高く必見。
また、リアクターボルテッカがバランスブレイカーじみてるとしても評判である。
関連商品
関連項目
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