宇宙世紀3大悪女とは、激動の宇宙世紀を生きた3人の悪女の事である。
宇宙世紀以外のいわゆるアナザー作品を含め、ガンダム3大悪女と言われる事もある。
概要
長きに渡る宇宙世紀の時代。富野由悠季監督らによって生み出された一癖も二癖もある沢山のキャラクターの中には、当然「悪女」と評される人物もまた存在する。
その中でも一層際立っているとされるのが…
この2名である。
3人目については後述するが、候補者が数多くあがっており確定していない。それほどこの2名のインパクトが強すぎるので2大悪女でもいいのでは?とも言われるが「あと1人は誰か?」という形で話題になることが多い(3大〇〇はだいたいそんなのばっかりである)。
悪女と呼ばれる理由
ニナ・パープルトン
「機動戦士ガンダム0083」に登場。ガンダムシリーズの悪女と言えば真っ先に思い浮かぶ人も多い。通称「紫豚」。
主役機である「ガンダム試作一号機(GP01)」及びライバル機の「ガンダム試作二号機(GP02)」の専属エンジニアとして登場。GP02奪取時に「私のガンダムが!」と絶叫するなど、当初から非常識的な面を見せていたが、紆余曲折を経て主人公の「コウ・ウラキ」と恋仲になる。しかし、同時にコウのライバルで昔の恋人「アナベル・ガトー」に深い未練を抱いており、物語終盤でコウを裏切って敵であるはずのガトーを庇い、コウに対して威嚇の発砲までしている。
終盤での裏切りがあまりに衝撃的であった為か、彼女がデラーズフリートによる北米へのコロニー落としを援護したと解釈してしまう者も現れたが、それは誤りである。実際には彼女がコロニーに辿り着いた段階で既に阻止限界点は突破されており、彼女はガトーによるコロニーの軌道修正を阻止しようともしていた。
しかしながら、随所で見せる自身が担当する兵器「ガンダム」へのフェティシズムな言動や行動は、当時のファンの反感を買うきっかけとなった。また、ラストシーンで再登場した際は表情のみでセリフ等の演出が一切なされず、コウへの裏切りに対する反省や後悔などの態度がほとんど読み取れなかった点も、悪女のふてぶてしさのイメージを助長していると思われる。あんまりと言えばあんまりなラストシーンに「キースはその女ぁゲルググで踏めよ!!」と絶叫した視聴者もいたとか……
尚、映画版ではラストシーンは省略され、以後の消息も不明である。
ちなみに、ガトーとの過去は、監督交代後の後半以降にとってつけたように作られた設定であった。事実、第1話のガンダム強奪時にニナはガトーの顔をしっかりと見ているが「誰よ、あれ?」とつぶやいている(まあ、元カレの顔も忘れたビッチという悪評を産んでしまうのだがテロリストとして活動するガトーとの関係性を悟られない為とすっとぼけとも取れる)。そのため、物語前半と整合性が取れていない部分が多く、それがニナの不可解な行動の要因でもある事を付け加えておく。
後発の小説版においては、最後の裏切りも『コウに無抵抗のガトーを射殺させたら、彼は一生後悔することになると考えた末の行動』という、比較的好意的な解釈がなされ、コウとの和解も描かれている。
カテジナ・ルース
「機動戦士Vガンダム」に登場。ニナとは違う意味で最悪の女=悪女と認定される女性。
作中最大の加害者であり被害者でもある。通称「カテ公」。
物語序盤、主人公「ウッソ・エヴィン」が憧れる「利発で優しいお姉さん」として登場。敵に人質として攫われてから士官「クロノクル・アシャー」に惹かれ接近、急速に敵軍に関わっていき、誰もが思い描くヒロイン像から大きく乖離していくことに。髪を束ねて再登場した際には既に別人のようなキャラになっており、当時の小学生達を驚かせた。
中盤以降、序盤の「お姉さん」という面影はまるで無くなり、冷酷で狂気じみた悪女に変貌を遂げて主人公らの前に立ちふさがるようになる。特に所属するザンスカール帝国は地球クリーン作戦と称して地球に住む人々へ虐殺行為を働く組織であったが、それに関して何とも思ってないような素振りすらしている。
更に物語が終盤へと向かうと、行動はどんどんエスカレート。人の死をなんとも思わない冷徹な行動と言動、ネネカ隊に水着姿の生身でモビルスーツ(MS)と戦わせるなどの常軌を逸した非道な作戦を指揮し、仲間として行動していたはずのオデロやシュラク隊をいとも容易く殺し、ウッソの反逆にも狂ったような高笑いを上げるなど正気の沙汰ではなくなっていく。
最終的にはクロノクルをも手篭めにして操りウッソと殺し合わせるまでに至り、戦争の最期の最期まで圧倒的な存在感を放った。
戦争の狂気の代弁者のようなキャラであり、その悲痛なラストシーンには擁護・同情の声も高いが、総合的に判断してやはり「最悪」であったと言えるだろう。
ちなみに、ザンスカール軍ペスパにて、MS操縦訓練に平行して強化人間手術を受けたとする説がある。敵軍に攫われて宇宙に上がってから、再度登場するまでにかなり空白の時期がある事、序盤ではMS操縦に対して特筆するような描写は無かったが、再登場時にはすでに士官クラスのMS操縦技術を身につけていた事(最終的には両軍エースであるウッソやクロノクルに匹敵するまでに成長)、そして時を経るごとに顕著になる狂気の片鱗がその由来である。ゲームや書籍等でも意見の分かれるところであるが、小説版においては、戦闘時に負った重傷を治療すると共に強化手術を受けている。
3人目の悪女
3人目の候補は多く、ファンの間でも意見が分かれるところである。先述した通り2大悪女として良いのではないかという意見もある。また、3人目をあえて不詳に留める事で、ガンダム作品における「悪女」という存在の奥深さを表現しているとも言える。
以下、作品公開順に記載する。
キシリア・ザビ
「機動戦士ガンダム」に登場。
ジオン公国を統べるザビ家の長女にして軍司令官。野心家で知略に富み、一年戦争開戦以前から様々な陰謀や謀略に関わってきた。とにかく冷酷な人物として描かれる事が多く、一年戦争を描いたゲーム作品などではキシリア直属の特殊部隊が多数登場し、その殆どが悪役であることも彼女の印象をますます悪くしている。
後発の漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では補完・変更された箇所も多い。
見た目からは女性的な魅力から離れた熟女という印象が強く(といってもTV版当時は24歳の設定、ORIGINでは30代前半)、悪女というよりも悪役、「鉄の女」であり、男を弄ぶという印象は薄い。
ただし実の兄であるギレン・ザビを(彼がその前に実親を焼いたとはいえ)冷酷に頭を撃ち抜いて殺害した事、それが原因で指揮官不在の隙を突かれア・バオア・クーにおけるジオン完敗の遠因を作り出した、他にもニュータイプを戦争利用しララァを始めとした少年少女を戦場に駆り立て数々の悲劇を生み出した原因であると、所業として悪女要素は多い。
レコア・ロンド
「機動戦士Zガンダム」に登場。仲間であったが裏切り敵対する、というガンダムにおける裏切り者キャラのはしりのような存在。
物語序盤、エゥーゴの中核メンバーの女性士官として登場。その潜入手腕は見事だが、アーガマのクルーであるファ・ユィリィには自分が何の主義も持ってなく何のために戦っているかも分からない事を明かしている。
中盤以降、敵艦への潜入作戦中ティターンズ一派頭領であるシロッコに見逃されたのをきっかけに彼へ惚れた事でティターンズに投降、シロッコ直属の手駒として主人公達の前に立ちふさがる。
不本意ながらもサイド2:21バンチへの毒ガスによる虐殺作戦を指揮。内心はアーガマ隊が阻止してくることを期待していたが、間に合わず作戦通りガスにより市民を大量に殺害した事で吹っ切れてしまう。
最終的に自分が女性であることを根拠に自己正当化を行い戦場へ明け暮れる男性への恨み(内容としては半ば逆恨みともいえるような事)を吐きながら、同じく女性であり自分の倫理と信条に従ってエゥーゴについたエマとの対決に敗れ戦死する。
一方で空っぽであった自分の心を埋めるように現れたクワトロ・バジーナにその恋心を察してもらえなかったどころか実質的な告白をしても軽くあしらわれたことが裏切りへと至る心境の変化の遠因になったこと、裏切りはしたものの彼女の中でも葛藤があり、主人公カミーユに後に虐殺にも使われるコロニーレーザーグリプス2の完成を教えたり、元仲間のファを庇って味方であるはずのティターンズのMSを撃墜したり、無意識のうちにシロッコより元仲間のカツを庇おうとする描写があったりする点が、悪女になりきれない可哀想な一面を覗かせる。
ハマーン・カーン
「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」に登場。通称「ハマーン様」。
グリプス戦役と第一次ネオジオン抗争において重要な役回りを果たした女性。
グリプス戦役介入時には、第三勢力として様々な策謀を巡らせ、ジャミトフを暗殺しようとしたりアクシズをグラナダに降下させる作戦を指揮したりもした。
グリプス戦役終盤、三つ巴の最終決戦から離脱して戦力を温存したハマーン率いるアクシズは、その組織名を「ネオジオン」と改称、戦後の混乱の隙をついて各サイドに制圧部隊を派遣して地球圏を掌握、第一次ネオジオン抗争を引き起こす。
ダブリンへのコロニー落としの決行しダブリン市での虐殺を行ったり、忠実な部下で情に溢れるマシュマーを狂った強化人間にするなど、冷酷で非道な面も多い。
しかし、前述のキシリアと同じく軍の指導者としての行動であると言う点と、腹心であるグレミーに裏切られてなし崩し的に追いつめられてしまうところや、最終的に改心しジュドーに希望を見出して死ぬところ、そして彼女の方がシャアにメロメロだったが裏切られたり泥臭くジュドーに粘着し続けた等、ハマーン自身が男に振り回されていたように見えてしまう点などが悪女としての印象を薄くしていると思われる。
ガンダム3大悪女としての3人目
アナザー作品を含めた場合、以下のキャラクターも3番目の候補に上る。
ネーナ・トリニティ
「機動戦士ガンダム00」に登場。
初登場時はただのかわいい娘といった印象だったが、初登場時から2話後に本性を現す。
殺戮を楽しんでいるようであり、「もう、たまんない!」とか言い出す。
さらに、MSでの移動中に目に入った結婚式場に対し「自分たちがお仕事してるのに能天気に遊んじゃって!」という理由のため襲撃。リア充の粛清
生身の民間人にビームライフルをぶっ放し大量虐殺するというカミーユもびっくりな悪行をした。(カミーユは私怨でティターンズの憲兵に対して足元にバルカン射撃を行っており、驚かす程度であった。)
兄弟を殺されて4年たった2期でも全く改心しておらず、消し飛んだ町を見て「もう、たまんない!」とか言っている。そして4年間仕えてきた王留美を「あんたが大嫌い」と言って兄もろとも射殺。
最期は結婚式場の唯一の生き残りで親と左腕を彼女によって失わされたルイス・ハレヴィの手によって葬られた。
あまりの悪行に、ファンの一部からは、「同情の余地はネーナ」と言われる始末。あえて言わせてもらうとすれば、ニイニイズの仇であるアリー・アル・サーシェスを殺せなかった事、小説版でその仇に「支配と屈辱を与えられた(強姦されたとも解釈できるが詳細不明)」くらいだろうか。
いうまでもなく行いは候補の中でもトップクラスの悪女であるが、いささか小物過ぎてほかに比べ格が足りないとの意見もある。
アウラ・マハ・ハイバル
劇場版機動戦士ガンダムSEEDFREEDOMに登場。
幼い少女の見た目をしながら新興国ファウンデーションの女王。
劇場版のビジュアルが公開された際は宇宙世紀シリーズに出てくる幼少期のミネバ・ラオ・ザビのように摂政に飾り立てられて意のままに扱われてそうな少女という印象であった。
以下映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ネタバレ注意!
その正体は50歳の元科学者。非倫理的な遺伝子改造による人造人間の実験が行われていた曰くつきの場所コロニーメンデルにて研究していたメンバーの一人であり、数十年後のSEEDFREEDOMにおいて彼女の造った"新人類"アコードの子どもたちと巨大ビーム戦略兵器「レクイエム」を以てして世界征服を企んだ。
その外見は遺伝子研究の果てに若返りを実現したのか、それとも本人はとうに死に、現在の彼女は記憶を別の肉体に移したカーボンヒューマンなどではないかと言われているが2/26現在その正体については語られていない。後者などであった場合は彼女も真の黒幕の被害者であるという可能性も挙げられるがその証拠は挙がってない為、これから記する事は彼女自身が画策した事を前提とする。
彼女が劇中起こした罪はあまりに多く、
- 計画の為にアコードの子どもたちを意図的に倫理観の無い残虐な駒、それでいて柔軟性が無い幼稚な人間へと教育する。
- 主人公であり世界平和監視機構コンパス実働部隊隊長であるキラ・ヤマトをコンパス総裁で恋仲であるラクス・クラインから引きはがす為にアコードの一人オルフェ・ラム・タオを使って彼らを揺さぶる。
- その後コンパス部隊を罠に嵌めて彼らを抹殺しようとする。
- その為に隣国の核ミサイルを利用し彼らを死の縁に追いやる。
- ラクスへはキラが裏切ったと欺瞞を装い保護を名目に宇宙に連れて行き、彼女が従わないと分かるや監禁。
- さらに後の武力行使の名目の為に核兵器を自国にも撃ち数万はいたであろう自国民を焼き払う。
- 自国が焼かれたというマッチポンプを名目にレクイエムを起動し核兵器を使われたユーラシア連邦の首都モスクワへ照射し数万はいたであろう市民を焼き払う。
- コンパス総裁で多くの人が慕う歌姫でもあるラクスの意思を改竄し都合の良い主張を彼女の発言と欺瞞しつつ、レクイエムを脅しに地球圏全国家に実質的な服従を要求する。
- 同時進行で宇宙国家プラントのシンパにクーデターを起こさせ支配を盤石にしようとする。
- 尚も反抗した地球国家オーブにレクイエムを照準する。
- しかし命からがら生き延び態勢を立て直して向かってくるキラ達の挑発に激怒し、独断で照準を変えさせ作戦を滅茶苦茶にする。
と、敵味方関係なく害悪を働いた諸悪の根源である。レクイエムの照準を変えさせた事からも普段は腹心のオルフェに任せていても統帥権は彼女にある為、社会的にも彼女に全責任があると考えられる。
その動機についても、同じようにレクイエムを持ち出した前作SEEDDESTINYラスボスのギルバート・デュランダルは世界平和の為という大義はあったものの、彼女においてはそのような描写も無い事や稚拙な言動から完全に私欲でこれらの悪逆非道を行っていたのではないかと噂されている。
所業としては成り行きで主人公から見ると余計な事をしただけのニナや地球クリーン作戦と称して大量虐殺を行うザンスカール帝国に嬉々として所属し実働部隊として戦い続けたカテジナらと同等以上である。特に現実の情勢悪化で彼女が行った事の現実感が上がっているのも悪女としての評価を相乗的に上げていると考えられる。
一方で、ニナのように滅茶苦茶な行動からヘイトを貯めるといったような評価ではなく真っ当な小物的悪役としてキャラクター造形を褒めるような評価が多い。前述二人のように自身が対象となって直接男心を弄ぶような事はしてない事からも三大悪女の枠に入れていいかは賛否が起こっている。
過去にガンダム三大悪女の候補とされていた人
クェス・パラヤ
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場。
理想の男性像として「アムロ・レイ」に巡り会い近付くが、恋人であるチェーンの存在とアムロの言動に反発し、シャアとの邂逅を機に敵軍に寝返ってしまう。
ニュータイプ能力を開花させて戦いの中で父を殺害、アムロらとも死闘を演じるが、最終的にはハサウェイの説得を聞き入れることなく爆死。その際、ハサウェイを庇うような行動もしている。
女というよりも少女・子供である点と、不幸な生い立ちと不安定な少女の感情をララァの似姿としてシャアに利用されていたということ、実際は戦闘に参加しただけで悪女としての被害がほとんど無いという点が議論の分かれるところである。
小説「ベルトーチカ・チルドレン」の続編にあたる「閃光のハサウェイ」では、チェーンではなくハサウェイ自身が彼女を殺害してしまった事になっている為、死後数年間に渡ってハサウェイの心に憑りついており、彼女の幻影から罵倒を受け続けたハサウェイはマフティー・ナビーユ・エリンとして民間人への被害も厭わないテロリストとして活動を開始している。
しかし、この幻影はハサウェイ自身の狂気・罪悪感が生み出しているものとも解釈できるので、この点においてクェスを悪女呼ばわりできるかは微妙なところである。
ララァ・スン
「機動戦士ガンダム」に登場。
ニュータイプとしての素養をシャアに見いだされ、シャアの部下としてシャアに同行する。
富野による小説の記述や、シャアの担当声優である池田秀一が演技指導の際に富野に聞いたところによると、ララァはシャアとの肉体関係もあったとされる。
強力なビームを放つ無線兵器ビットを操る「エルメス」を駆り、「ソロモンの亡霊」と言われる程の戦果を挙げた。その際に停泊していた連邦軍戦艦を多数仕留めており、戦艦の乗員からして殺害数は千名は上ると考えられ後年のニュータイプと比べ戦場で殺害した者の声を聞くといった描写も劇中無い。
しかし戦乱激しいガンダムシリーズにおいて戦艦や兵士の大量撃破が視聴者などから悪とされる事はほぼ無く、彼女が悪女とされる根拠はそこではない。
サイド6のコロニーでアムロと運命的な出会いを果たすと、その後の戦闘でアムロと精神的に共鳴する。が、戦闘に割って入ったシャアを庇いアムロの攻撃により命を落とす。アムロはララァとの間に未来のビジョンを見つけるも自らララァを殺してしまい、またシャアは「母になってくれるかもしれない女性」を失うという、お互いに大きなトラウマを背負うことになる。
一年戦争が終わった後も、2人ともララァを忘れることが出来ず、大きな存在となって心に残り続ける。「逆襲のシャア」ではアムロの夢の中に現れシャアを「純粋な人」として評価しているが、アムロはこれに反発している。尤もこの時に現れたのがララァ本人であるかは定かではないが……
ララァ本人に冷酷な「悪」の面はほとんど見られないが、死んだ後も彼女を愛した男性2人を振り回し続け、2人の戦う運命を決定づけてしまったという意味で「悪女」と見る向きもある。
しかし、そもそもララァはキシリア及びシャアの意向に同意することで前線に出てきたのであり、シャアがキシリアの命を軍人として愚直に呑むよりララァの生命を優先していれば悲劇は幾らかどうにかなったかもしれない事、そもそもアムロとシャアの因縁はララァが死んでからの方が大きく生前シャアや仲間の行動に憤る事もあったララァに対し死後二人の間で見えるララァの像というのは二人に都合が良い事しか言わないため本人や本人の意思であるかも怪しい、と他の候補より"悪"のインパクトが弱い為に最近悪女として取り上げられることはほぼ無い。
シーマ・ガラハウ
「機動戦士ガンダム0083」に登場。通称「シーマ様」。
シーマ艦隊を率いてデラーズフリートに参加。しかし、ジオンに対する忠誠心はさらさら無く、安住の地を得るチャンスとしてデラーズフリートを利用、策謀を巡らせた。
連邦軍の高官グリーン・ワイアットと密談を計画し、デラーズフリートを裏切る見返りに永住権を貰う取り引きを行う。ワイアット側も乗り気であり、密談が成功していればその後の歴史は大きく変わっていたと思われる。
しかし密談寸前になってアルビオン隊に発見され、失敗。ここから不幸の坂を転がり落ちていく。
物語終盤、反逆を起こしてデラーズを射殺。以後、連邦との密約の下シーマ艦隊としてデラーズフリートを離脱するが、GP03デンドロビウムの猛攻によって戦力のほとんどが壊滅。眼前で寝食をともにした仲間と母艦リリー・マルレーンを失い、文字通り何もかも失う。自らが搭乗するガーベラ・テトラもGP03のメガビームキャノンにより串刺しにされ、壮絶な最期を遂げる。
一年戦争時には様々な汚れ役に手を染めはしたが、軍人として命令に従っただけであり、彼女自身が望んで行ったわけではないという点と、"故郷をソーラレイに改造される"、"虐殺・破壊工作などの仕事ぶりを仲間からも蔑まれる"、"終戦時にこれらの元凶とも言える責任者でもあったアサクラ大佐に全ての責任を押し付けられた形でB級戦犯として扱わてアクシズへの亡命も拒否される"、そのせいで宇宙海賊として生きる事を強いられる……など、とにかく幸の薄い略歴から悪女らしくない、むしろアナベル・ガトーや連邦が持つ大義・デラーズフリートが持つ理想へのアンチテーゼ的な描写の為に悪女として描写されている面もあり、逆に哀れという意見も多い(むしろ「様」が付くようにニナよりも余程ヒロインらしいと言う意見もある)。ジオンへの忠誠心が無いのも、上述の仕打ちを受けた事によるものである。また、彼女を邪魔しなければグリプス戦役及びその後の戦乱は発生しなかったという説もある。
このように同情できる…と言うよりもあまりに救いようの無い要素が目立ったためか、公式コミカライズ「機動戦士ガンダム0083 REBELLION」では、シーマが優遇、救済されるような形のストーリーが展開されている。
フレイ・アルスター
「機動戦士ガンダムSEED」に登場。
コロニー・ヘリオポリスに通う学生で、大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターの娘。キラ・ヤマトは彼女に淡い憧れを抱いていたが、彼女は同じヘリオポリスの学生、サイ・アーガイルの婚約者でもあった。
ザフトのヘリオポリス襲撃の際に救命ポッドで脱出、アークエンジェルに拾われる。その後はキラやサイと共にアークエンジェルに身を寄せる。
ザフト軍に父親の乗る艦を落とされたことからコーディネイターへの憎悪を抱き、また父親を守りきれなかったキラにも怒りの矛先を向ける。アークエンジェルから退艦し戦争から離れようとしたキラに色仕掛けをし、戦いの道へと戻す鬼畜の所業に手を染めた。同時に戦闘で疲弊していくキラへ肉体的な慰めを与え、ガンダムシリーズとしては初の地上波での(しかも未成年同士の)性行為シーンが放映されることになった。(もっとも、SEEDシリーズはキャラデザインとして未成年でも16歳程度なら大人びて描かれているため成年並みの風格を表していた。)その反動のようにサイへは冷たく当たるものの想いまでは捨て切っておらず、おかげで両者は肉体で繋がりつつも心は離れているというアンバランスな関係に陥ってしまい、キラは精神に変調をきたし更に戦いへのめり込んでいくこととなった。
男を惑わし戦いに駆り立てたという意味での「悪女」ではあるが、行為に及んだのは父親を殺したコーディネイターへの復讐心の結果であり、動機としてはある意味まともである。
またアークエンジェルから降りた後もザフトに拉致され、クルーゼより戦争継続の道具を持たされて宇宙を漂流させられる、連合軍に復帰するも戦艦から脱出した際に脱出艇を狙撃され非業の死を遂げるなど、最期まで戦禍に晒され続けたことから戦争の被害者として同情的な見方をされることも多い。
戦火に巻き込まれて以降、およそ幸福とは言い難い生涯に終わった彼女であった。
ちなみにキラを騙した件については罪悪感があり、このためキラが帰投した時に謝罪しようと決意していたのだが、その戦闘でキラは行方不明になってしまう。
その後は一貫してキラと出会う事が出来ず、謝罪する機会が無いまま死んでしまった。
討たれた直後にキラが見た精神世界でようやく相対する事が出来、キラと対話して「ずっと謝りたかった」と謝罪の意を見せている。死後とはいえきっちりと反省し、和解が描写されたという点は大きいだろう。
そして「私の想いが貴方を守るわ」とキラを抱擁して消滅。フレイの死と和解は、黒幕クルーゼを討つ原動力となるのだった。
ただし、監督自身は「キラにフレイの言葉は聞こえていない」と発言しており、実際二人の会話は噛み合っていないので、アニメ本編では二人が和解したと言えるかは微妙である。一方、漫画版や小説版などではフレイの声が聞こえている描写がある。
と、放映時から擁護出来る描写があった事、そもそも中盤彼女が悪女の手腕を振るう時期においてもキラを利用しようと彼に注目するフレイより穏健的な思想のクルーや同級生たちの方がキラへ無自覚に差別発言をしてフレイはそれに引いているという描写がある事、同シリーズでより相対的に"絶対悪"としか断じえない女性キャラも出てきた事からも悪女として取り上げられる事は少なくなった。
ラクス・クライン
「機動戦士ガンダムSEED」「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に登場。
プラントの指導者、シーゲル・クラインの娘であるが、平和の歌姫としても有名であった。地上で負傷したキラを匿い、キラにザフト軍の最新鋭機であるフリーダムを与えたことで、ザフトからは国家反逆罪で指名手配される。その後父親が謀殺されたこともあり、バルドフェルド、ダコスタと共にザフト軍の戦艦エターナルを奪取、アークエンジェル、クサナギと合流しいわゆる「三隻同盟」を結成、ヤキン・ドゥーエ戦役に参戦する。
停戦後は表舞台には立たずキラとオーブで隠遁生活を送るが、何者かに暗殺者を差し向けられたこと、自分のニセモノであるミーアがザフトの歌姫としてプロパガンダに参加していたことなどからデュランダル議長へ疑念を向ける。アークエンジェルでオーブを脱出した後、エターナルと合流、ファクトリーにおいて新MSの開発をひそかに指揮するなど、デュランダルに対する戦力増強を図る。デュランダルがデスティニープランを発表したことで戦いを決意し、オーブ連合艦隊らと合流、デュランダルを打ち滅ぼす。戦後はザフトの最高評議会議長になる。
愛する相手にザフト軍の最新鋭機体を渡した反逆行為、自ら戦陣へと赴き武力行使も厭わない行動、SEED後に指導者としての自覚なく隠遁したことで争いの火種を生み出した結果、クライン派の暗躍により却って戦争を悪化させたというやった事のみを列挙すれば公式の謳う「平和の歌姫」というフレーズからは程遠い人物像である上、その悟りを開いたかのような素振りから単に視聴者のラクスへの好き嫌いで悪女と判断している意見も多かった。
しかし、リマスター前DESTINYの脚本・演出の拙さや世界観として彼女がそうでもしてなければレクイエムや核兵器といったような大量虐殺兵器がより多く行使されコズミック・イラはさらに地獄の様相を呈していた事は想像に難くない事、そもそも彼女としては隠居生活からの脱却も出自自体も被害者的な立場である事からも近年では再評価され、特に続編の「SEEDFREEDOM」ではそういった立ち振る舞いはかなり無理をしていた、といった人間味ある描写もあった事からも悪女として取り上げられることは今やほぼ無い。
ロマリー・ストーン
「機動戦士ガンダムAGE」第二部に登場。
主人公のアセム・アスノとそのライバルであるゼハート・ガレットの同級生。
卒業式にヴェイガンによる攻撃を受け、その最中にMSに乗り敵対するアセムとゼハートを目撃する。
卒業後はアセムと同じように連邦軍に入隊、戦艦ディーヴァのオペレーターを勤める。
学園時代からゼハートに好意を寄せていたようで、時折そのことを仄めかしている。
戦場でアセムとゼハートが対峙したことを聞いて「(ゼハートに会えて)良いなぁ……」という失言をしてしまったり、3人が再会した際、銃を向けてアセムを射殺しようとしている最中のゼハートに告白しようとしたり、銃を奪い軍に通報しろというアセムの言葉を無視してゼハートを庇い、結果的に逃走の手助けをしてしまっていることなどが問題点として挙げられる。
それらの行動が上記のニナ・パープルトンにかなり酷似しているため「酢豚」と呼ばれる事も。
さらに問題なのが、アセムの息子であるキオの髪色・髪型がロマリー似(本作は三つの世代を描いた大河ドラマ的な構成であり、世代ごとのキャラクターデザインが放送開始以前から公開されていた)であることからロマリーはアセムと結婚する可能性が高く、端的に言ってしまえばロマリーは二人の男を弄んだ挙句、後からアセムに乗り換えるのではないかという予測が批判の原因となっていた。
しかし、アセム編最終話にてロマリーは「自分はゼハートとアセムに憧れて軍に入った」「子供のように振舞っていた」ことを反省して謝罪。その後アセムのプロポーズを受けてこれを承諾、結婚した。第三部ではアセムの失踪という不幸に見舞われつつもシングルマザーとしてキオを育てており、第四部でアセムと10数年ぶりの再会を遂げた際には涙を流して喜んでいる。
結局ゼハートとは一線を越えた関係になっておらず、アセムとの謝罪や和解、結婚後の苦労などが描かれた事もあり、現在では悪女として取り上げられることは少なくなっている。
プロスペラ・マーキュリー
「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場。
主人公スレッタをアスティカシア高等専門学園へと推薦した「シン・セー開発公社」のCEO。
その一人だけあからさまに怪しい仮面を被った風貌をしている事から水星の魔女放映当初から注目されてきた。
以下『機動戦士ガンダム水星の魔女』ネタバレ注意!
その正体は主人公スレッタ・マーキュリーの母であり、彼女の同級生であるミオリネの父デリング・レンブランと共に一大プロジェクト「クワイエット・ゼロ」を内密に取り仕切る者である。
出自それ自体が人体を蝕む事で強力な戦闘能力を手にするGUNDを使用するモビルスーツGUND-ARMを手掛けたエンジニア集団の生き残りの一人という事もあり、当初から人を惑わし手に掛ける「魔女」だと噂されていたが、その評は遠からず当たっており度々起こした怪しい行動への疑義を巧妙な論点逸らしや詭弁すれすれの弁舌で上手く躱す様子が描写された。
娘のスレッタに対しても目的のために利用するような口ぶりをし始めてからは「彼女は"悪女"である」という視聴者からの評も目立ってきた。
特にヒートアップしたのは水星の魔女12話からで、彼女らがいたプラント・クエタがテロリストらに襲撃された際に、囲まれるスレッタを助けるためにテロリストを躊躇なく殺害した場面。この事変はそれまで試合としてでしか戦闘が行われなかった水星の魔女において非常にショッキングな事態であり、スレッタも目の前で人が死んだという事実にショックを受けていたが、そんな恐怖に震える娘にガンダムに乗って敵を打倒す事、その為には人を殺す事が許される事をこれまた巧みな話術とスレッタの弱い自我に教え込み、まるで洗脳されたかのような目をして吹っ切れたスレッタはガンダム・エアリアルを駆って戦場に飛び出していった。
改修されたエアリアルによって圧倒的火力を見せつけ命を奪うまでもなく敵を撤退させたスレッタであったが、施設内で想い人であるミオリネが残っていたテロリストにより危機に陥りつつある事をエアリアルにより察知するとエアリアルで施設に突入。今にも撃たれそうであったミオリネを助ける為に、スレッタはエアリアルの腕部でテロリストを叩いた。そして人を殺傷した事よりもミオリネを助けれた事に喜びながらコクピットから出てきたスレッタは、テロリストであったものに足を滑らしながらも笑顔でミオリネに手を差し伸べてしまうのであった。
このあまりに狂った情景に、一度はスレッタ自身に強い言葉を投げかけて批難したミオリネもその疑いを育ての親であるプロスペラに向けるが、論点を殺害行為そのものの是非にすり替えそうでもしないとレンブラン親子が助からなかった事、そして秘密主義のデリングの秘密を明かす事でさらに有耶無耶にした。その後スレッタのコミュニケーションを通して倫理観が決定的に狂ってしまっている事を確信し再びプロスペラを糾弾した時には、今度は自分らが親のデリングの数十年前の行いにより被害者であるというミオリネにとって衝撃的な事実を明かす事で話をすり替え、スレッタを大事に思うミオリネの心理を利用して自分がスレッタに今後関わらない事を条件に自分の計画に協力する事をミオリネに呑ませたのである。このあまりに見事な政治劇に彼女が"悪女"である事をこの時点で確信した者も多かった。
その約束を守り試合中エアリアルの機能を停止させるバックドアをエアリアルに仕込み事で、ミオリネにスレッタの自尊心を壊すよう仕向ける形でスレッタと別れさせた。エアリアルの中に遺るエリクト・サマヤを通してスレッタがエリクトを復活させるために造られたに過ぎない存在である事や同じように11人も"姉妹"が造られてエアリアル内に取り込まれた事も明かされ、その際に自分の敬愛していた母から突き放す形でスレッタとも別れたのである。
さらに、ミオリネに関しても地球の脅威を排除するために紛争を誘発させる道具として利用する。相手の兵装をエアリアルでハッキングしマッチポンプによりベネリットグループの総裁となったミオリネの目の前で彼女の責任になるよう虐殺を引き起こさせた。これによりミオリネは今までにないショックを受け、ミオリネが推し進めようとした地球在住者アーシアンとの融和も破談となってしまう。
ミオリネをも踏み台にしたプロスペラは再び宇宙に上がり、計画の要である巨大戦略兵器クワイエットゼロを起動させ、前述の地上及び同時期に起こった学園でのテロ事件を受けて武力行使を行おうとした宇宙議会連合の艦隊の殲滅を娘のエリクトに命じ、クワイエットゼロのガンド・ノードによるハッキングにより戦闘能力を奪って無抵抗の敵推定数千名を一方的に殺害してみせた。
その後議会連合の第二陣も屠り地球圏掌握の為に動くプロスペラであったが、彼女を止める為協力して立ち向かう事を決心したミオリネとスレッタ、そして地球寮などにより組織された"ベネリットチーム"により彼女の野望は潰えたのであった。
このように闇の能登とも呼ばれる声優の力量も相まって元の意味の"魔女"のように説得力を持って振舞ってきた彼女だが、一方でスレッタを安全圏に遠ざけることにあっさり同意した事や、エアリアルの"解放"が進み自分で事を進められるようになってからはスレッタを巻き込ませまいとしたという情は間違いなくあった事、彼女が過激で急進的な行動に走ったのは数十年前に殺害された仲間の意思を継ぐという使命に駆られた"呪い"であるのと最愛のエリクトを蘇らせ争いの無い安息の地に住まわせるという他の悪女や悪女候補に多い動機である私欲では無かった事、彼女が示唆するように彼女の素振りは数十年前にデリングによって生み出された"置き土産"でありその責任は実際の所デリングらにある事、事が終わった後に彼女の最愛の娘エリクトがさらに大きい謀略に巻き込まれエアリアルごと焼かれかけた事により本気で悲哀の叫びをした事、作中全くの別軸から陰謀を企てていた者がその罪を被る事を買って出た事で世間的には許された事、彼女が一番の当事者であるスレッタやミオリネが彼女を赦した事、最終回を迎えてから数カ月もすると擁護のしようもないまごう事無き悪役女性キャラクターがガンダムシリーズに登場したから、放送終了後後彼女を悪女として挙げる声は少なくなっている。
ただし前述のような事象を引き起こしたのは結局彼女自身であり、プロスペラが最後作品的に特に分かりやすく裁かれず生存して物語が幕を閉じた事は如何なものかと、水星の魔女という作品自体を批判する者もいる。
関連動画
関連静画
関連項目
- 悪女
- 宇宙世紀
- 三大○○の一覧
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士Zガンダム
- 機動戦士ガンダムZZ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動戦士ガンダム0083
- 機動戦士Vガンダム
- ガンダム三大ドロシー
- 機動戦士ガンダムOO
- 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
被害者
宇宙世紀
アナザー
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