安倍元真単語

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「安倍元真」（あべ・もとざね 1513～1587?）とは、戦国時代の武将である。今川家・徳川家に仕えて活躍した。

概要

安倍元真は駿河国の有力な国人衆の一人で、今川義元に仕えて「元」の字を与えられた。
桶狭間の戦いの後は今川氏真に仕えて、駿河に侵攻した武田信玄の軍と戦った。
今川家が滅びると徳川家康に従い、武田軍と戦い続けた。
三河武士の陰に隠れて知名度は低いが、60歳を越えても戦場で活躍した勇将である。

詳しい概要

駿河の国人安倍信真の子。駿河安倍家の先祖は信濃の名門諏訪氏または滋野氏とされる。
安倍家は大井川上流の地域を治めていた。この地方には金鉱山があり、材木も産出した。

1568年12月、武田信玄が大軍を率いて駿河へ侵攻。この時すでに遠江には徳川家康が侵攻していた。
今川氏真は武田軍を撃退するために１万を超える大軍を現地に派遣したが、従軍した国人衆から寝返りが出てしまい敗北。今川氏真は遠江掛川城へ逃れた。
掛川城も徳川軍に包囲されて翌年開城したが、今川氏真は舅の北条氏康から強力な支援を受けて挽回を図り、徳川家・上杉家と同盟して武田家に対する包囲網を形成。今川家に味方した国人衆は北条家と徳川家の援軍を得て大規模な反撃を行った。

安倍元真とその息子の安倍信勝は、多くの国人衆が武田家や徳川家に寝返る中で今川家に留まっていた。
安倍父子は今川家臣の岡部正綱たちと協力して駿府を守り、武田軍と激しく戦った。
今川家臣団の奮闘を知った武田信玄は、今川家の菩提寺である臨済寺の僧侶に和睦の仲介を依頼し、交渉が成立して今川軍は退去した。
武田家からの勧誘を拒絶した安倍元真は、大井川上流の所領（井川地域「安倍谷」）へ引き揚げた後も今川家に従い続けて武田家に敵対した。
※安倍家には抗戦を続けられるだけの財力と地の利があったと考えられる。後の時代のことだが、この地域の金山は江戸幕府の金融政策を支えた重要な鉱山だった。徳川家康は大井川に橋を架けることを禁止したが、井川地域は例外にした。

今川・北条・徳川の三家を敵に回して劣勢になった武田信玄は敵対勢力の各個撃破を狙い、安倍元真に対しては安倍家所領の井川七村の内２つの郷の一揆を煽動した。
一揆勢の夜襲を受けて多数の家臣を失った安倍元真は、一族郎党を連れて徳川領へ逃亡。
徳川家康は安倍元真を歓迎し、領地と兵を与えて支援した。安倍父子は一揆勢を撃破して故郷を奪還した。

だがその間に武田軍は駿河の大半を征服してしまい、今川家の支援者だった北条氏康が死去して御家再興の望みが絶たれてしまったこともあり、安倍元真は井川の統治を親族と家臣に任せて自身は徳川家に仕えた。
その時点ですでに高齢だったが、駿河で武田軍の５つの砦を奪取し、その功績を家康に讃えられて領地の加増を受けた。
やがて徳川家と武田家の抗争が激化し武田家が優勢になると、今度は徳川家から武田家へ寝返る国人衆が続出したが、安倍元真は徳川家に留まり武田軍と戦い続けた。

1575年の長篠の戦いの後、徳川軍が遠江東部の諏訪原城を攻撃。城の守備軍は善戦して持ち堪えていた。
安倍元真は井川から連れてきた鉱夫に地下道を掘らせ、夜間に兵を率いて城内に侵入し攻め落とした。
その後も国境の拠点を武田軍から奪取したり、砦を守って敵軍を何度も撃退した。武田勝頼は安倍勢が籠る砦を攻撃するために大軍を動員しようとしたが、断念している。
1577年、安倍元真は同じ今川家旧臣で武田家に降った天野景貫や三浦右馬助と戦い、敵軍を撃破した功績で家康から感状を与えられた。

1582年に武田家の滅亡を見届けた後、駿河を領有した徳川家康から駿府の城下町に屋敷を与えられた。
高齢を理由に引退していた安倍元真は、1587年に死去した。（没年には異説もあり）

父親と共に戦った安倍信勝はその後も北条家や羽柴秀吉との合戦で活躍し、安倍家は孫の代に武蔵国の大名となった。
井川の統治は安倍元真の娘婿の海野元定が継ぎ、徳川家康の信頼を得て重用された。

信長の野望

関連項目

• 今川義元
• 今川氏真
• 岡部正綱
• 武田信玄
• 徳川家康
• 戦国時代の人物の一覧

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