完全試合とは、野球・ソフトボールにおいて、投手が1人の走者も許さずに完封勝利すること。
概要
「パーフェクトゲーム」とも呼ばれる。ノーヒットノーランと違って、四球、死球、失策、振り逃げなどによる走者の出塁も一切許されない。9回を打者27人で終わらせることが絶対条件であり、球史に燦然と輝く大記録である。ノーヒットノーランは複数回の達成者がけっこういるが、NPB、MLBともに完全試合の複数回達成者はひとりも存在しない。
完全試合の状態で9回を投げきったが味方が無得点だった場合はそのまま延長戦に入り、チームが勝利するまで完全試合の状態を維持することが達成条件となる(西口文也は2005年、大野雄大は2022年に9回を完全に抑えながら延長でヒットを打たれ記録を逃した。後述)。過去に例はまだ無いが、完全試合の状態のまま引き分けになった場合は参考記録となる。
なお、日本では完全試合は選手個人の記録であるため、継投で達成された場合は参考記録となる。2007年の日本シリーズでは、山井大介と岩瀬仁紀の継投による完全試合が記録された。MLBではチームの記録として継投での完全試合も公式記録にカウントされるが、現在のところ例は無い。
日本での達成者は16人で、直近では2022年に佐々木朗希が達成している。しかも連続奪三振記録の更新(9者連続奪三振→13者連続奪三振)、1試合奪三振タイ記録の19奪三振も果たしている。MLBでは2010年にダラス・ブレイデンとロイ・ハラデイが完全試合を達成したが、1年に2度の完全試合はMLBでも1880年以来130年ぶりの記録だった。さらに同年にはアーマンド・ガララーガが9回二死まで完全試合だったが、最後のアウトを誤審でヒットと判定され記録を逃すという出来事もあった。……とか言ってたら2012年にはフィリップ・ハンバー、マット・ケイン、フェリックス・ヘルナンデスの3人が完全試合を達成し、1年に3度の完全試合という史上初の記録が誕生した。どういうことなの……。
なお、MLBにおける完全試合達成者は、2023年6月28日に記録したドミンゴ・ヘルマンまでで24人となっている。
ちなみに、味方に失策があっても完全試合が達成される場合がある。ファウルフライの落球があった場合がそれであり、NPB・MLBともに完全試合として認められている(MLBでは1991年までは認められていなかった)。
準完全試合
安打を含めて走者を1人だけ出しての完封試合は「準完全試合」と呼ばれる。これはNPBでは過去52回記録されており(うち16回がノーヒットノーラン)、地味にノーヒットノーランより珍しい記録であったりする。現時点での最後の達成は、2022年6月18日の山本由伸のノーヒットノーランによるものである。
大百科に記事のある達成者
NPB
- 藤本英雄 (巨人・1950年6月28日)
- 武智文雄 (近鉄・1955年6月19日)
- 金田正一 (国鉄・1957年8月21日)
- 西村貞明(西鉄・1958年7月19日)
- 島田源太郎(大洋・1960年8月11日)
- 外木場義郎 (広島・1968年9月14日)
- 佐々木宏一郎(近鉄・1970年10月6日)
- 高橋善正(東映・1971年8月21日)
- 八木沢荘六(ロッテ・1973年10月10日)
- 今井雄太郎 (阪急・1978年8月31日)
- 槙原寛己 (巨人・1994年5月18日)
- 佐々木朗希 (ロッテ・2022年4月10日)
MLB
NPB(二軍)
社会人野球
大学野球
- 森繁和 (駒澤大学・1976年第25回全日本大学野球選手権大会)
- 上重聡 (立教大学・2000年東京六大学野球秋季リーグ)
- 梅津智弘 (國學院大學・2002年東都大学野球2部秋季リーグ)
- 一場靖弘 (明治大学・2004年第53回全日本大学野球選手権大会)
- 高梨雄平 (早稲田大学・2013年東京六大学野球春季リーグ)
関連エピソード
- 当て馬が完全試合
- 1966年5月1日、大洋ホエールズは当初左投手を先発させるつもりだったが、対戦相手(広島)にバレている事が分かり、急遽右投げの佐々木吉郎を先発させた
- 広島の偵察メンバーが左打者に置き換わったところで本来の左投手にスイッチする予定だったのだが、佐々木が初回をノーヒットに抑えたので「ヒットを打たれたら交代させるか」という事になった。
- ・・・そのまま試合終了まで一人のランナーも出さず、完全試合を達成してしまった。
- 9回を完全に抑えたのに完全試合ならず
- 2005年8月27日、西武ライオンズのエース・西口文也は東北楽天ゴールデンイーグルス打線を9回までパーフェクトに抑えていた。ところが、相手先発のルーキー・一場靖弘(ちなみにこの年の一場の成績は2勝9敗1セーブ、防御率5.56)の前に打線が沈黙、0-0のまま延長戦に突入してしまう。そして延長10回表、先頭の沖原佳典にヒットを打たれ、延長戦で完全試合を逃すというNPB史上初の記録を打ち立ててしまうこととなった(MLBでも過去2回しかない記録である)。なお、試合は10回裏に西武がサヨナラを決め、西口は完封勝利を記録している。また相手の一場は大学時代に全日本大学野球選手権大会で完全試合を達成したことがある。
- 2022年5月6日、今度は中日ドラゴンズの左腕エース・大野雄大が阪神タイガース打線を9回までパーフェクトに抑えた。ところが味方打線も青柳晃洋の前に散発2安打と振るわず、スコアレスで延長戦へ。大野は西口を越え10回2死まで漕ぎ着けるものの、30人目の佐藤輝明にツーベースを打たれ完全試合を逃してしまった。なおチームはその裏、こちらも続投した青柳を攻略しサヨナラ勝ちを収め大野は完封勝利。中日が大野の記録達成と近年好調な打撃に賭け、阪神も長期戦を覚悟し青柳に代打を送らなかったため、投手分業が進んだ令和のセ・リーグとしては珍しいエース対決となった。余談だが西口と大野は誕生日が同じである(9月26日)。
関連動画
完全試合を逃した例
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関連項目
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