日本の歴史 | ||||
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室町時代とは、日本の歴史区分の一つである。1338年から1573年までの235年間をさす。名称は、幕府の所在地が京都の室町であったことに由来する。
概要
鎌倉幕府が滅亡し、後醍醐天皇による建武の新政がスタートするも、現実離れしたやり方は大混乱を招いてしまう。その結果、清和源氏の名門である足利尊氏が武士たちに擁立されるような形で室町幕府を開く事になった。
以下しばらくは、後醍醐天皇率いる南朝と、尊氏らが擁する北朝とが対立する南北朝時代が続く。やがて南朝は衰退し、3代将軍・足利義満の時代(1392年)に南北朝は合体した。この義満の時代が最も安定していた時期である。
その後は将軍の早世や暗殺などで将軍権力は弱まってゆき、No.2たる管領の存在感が高まっていく。一方、関東の統治を任されていた将軍家の分家「鎌倉公方」も幕府に反抗するなど、各地の情勢は不安定だった。
有力な守護大名たちの力を削るため、将軍らが後継問題に介入するなどの行為も行われたが、それらが各地の大名家での内紛を呼び起こし、積もりに積もったひずみが雪崩れ込むような形で『応仁の乱』が勃発する。以降、各地で下克上の風潮が起こり始め、遂には『明応の政変』で将軍が追放される事態にまで発展してしまった。
明応の政変以降は将軍はほとんど傀儡と化し、幕府自体は存続していたとはいえ、日本全土を統治する中央政権としての力は失われてしまう。よってこれ以降を戦国時代と呼ぶ。室町時代自体は、15代将軍・足利義昭が京都を追放されて中央政府の座を奪われた1573年までとするのが一般的である。代わって、織田信長・豊臣秀吉が天下を再統一する安土桃山時代が始まる。
おおよその区分
あくまで目安です。
- 1333:鎌倉幕府滅亡、建武の新政開始
- まだ幕府が開かれていないので、正確には室町時代ではない時期
- 1336:足利尊氏が後醍醐天皇に反抗開始。
- 同時に南北朝時代開始でもある。
- 1338:尊氏が征夷大将軍に任命される。
- 初期。正式に室町幕府がはじまる。
- 1392:南北朝合一
- 1428:6代将軍足利義教が就任
- 1467:応仁の乱開始
- 1493:明応の政変
- 1549:江口の戦い
- 1573:足利義昭が京都を追放され、室町幕府滅亡
- 1588:足利義昭が征夷大将軍を辞任
- 亡命政権も滅亡して完全終了。
室町幕府歴代将軍
源頼朝や織田信長・豊臣秀吉・徳川家康といった人々は「新しい統治体制を作る」事を前提として新時代を築いたが、足利尊氏の場合は後醍醐天皇への対抗上から半ば予期せぬ形で政権を開く事になってしまった。そんな訳で室町幕府は、名門足利家をトップに据えつつも、有力守護大名の連立政権のような形態となった。
足利義満はこれを改めようと、有力大名家に介入したり挑発したりして内紛を起こさせる・討伐の名目を作る、という形で力を削ぎ、中央集権化を固めようとした。この政策はうまくいったが、義満という超カリスマだから出来たという点は否めず、跡を継いだ足利義持は(義満時代に溜まっていた各地のヘイトを緩和する意味でも)元の合議制へと緩やかに戻していった。
その後、足利義教や足利義政は義満を真似て各地に介入するが、逆に火種を無闇に増やす結果となり、それが応仁の乱で爆発してしまう。遂には将軍がクーデターで追放され、11代以降は将軍の傀儡化が進んだ。と同時に、追放された足利義稙の家系と、代わりに擁立された足利義澄の家系とに将軍家が分裂し、幕府の実権を奪う為に対立将軍候補を擁立する、などという事態にまでなってしまった。
このような状況を受け入れていた将軍もいれば、将軍の権威を復活させようと燃える者もいた。後者にあてはまるのは10代足利義稙・13代足利義輝・15代足利義昭であるが、戦国乱世の中ではもはや力及ばず、暗殺・追放といった憂き目にあうのだった。
- 初代:足利尊氏(たかうじ) 在:1338~1358
- (高氏→尊氏)なんだか流れから征夷大将軍に。武将としては優秀だったが、政治的リーダーには向いていなかった。メンヘラ気味、豆腐メンタル将軍。
- 2代:足利義詮(よしあきら) 在:1358~1367
- 「太平記」では無能扱いだが、幕府の地盤を固めた。
- 3代:足利義満(よしみつ) 在:1368~1394
- 金閣の人。南北朝合一、日明貿易の推進、有力大名の力を削ぐ、太政大臣就任など正に全盛期。天皇位すら狙っていたとまでウワサされる。
- 4代:足利義持(よしもち) 在:1394~1423
- 地味。先代が色々派手にやりすぎたので軌道修正に終始。何気に在任期間最長。
- 5代:足利義量(よしかず) 在:1423~1425
- 酒の飲み過ぎで早死。享年19。
- (代理):足利義持 1425~1428
- 結局新たな後継者を決めないまま世を去る。
- 6代:足利義教(よしのり) 在:1429~1441
- (義宣→義教)くじ引きで選ばれた事で有名。将軍権力の復活を目指し「万人恐怖」と呼ばれる恐怖政治を敷く。「嘉吉の乱」で暗殺された。
- 7代:足利義勝(よしかつ) 在:1442~1443
- 在任わずか8ヶ月で病死。享年10。
- 8代:足利義政(よしまさ) 在:1449~1473
- (義成→義政)銀閣の人。ニート。妻は守銭奴。色々と「応仁の乱」の原因を作った人。
- 9代:足利義尚(よしひさ) 在:1473~1489
- (義尚→義煕)応仁の乱の末に将軍位を勝ち取るが、酒の飲み過ぎで陣中で早死。享年25。
- 10代:足利義材(よしき) 在:1490~1493
- (義材→義尹→義稙)「明応の政変」で追放される。以降しばし各地を放浪した「流れ公方」。
- 11代:足利義澄(よしずみ) 在:1494~1508
- (義高→義澄)政変で擁立された傀儡の将軍。
- 10代(再):足利義稙(よしたね) 在:1508~1521
- 大内氏の力を借りて復活。しかし最終的には出奔してしまう。
- 12代:足利義晴(よしはる) 在:1521~1546
- 傀儡2世。各地にはるるんを量産。義澄系。
- 13代:足利義輝(よしてる) 在:1546~1565
- (義藤→義輝)剣豪将軍。幕府権力復興を目指し驀進するが「永禄の変」で暗殺された。義澄系。
- 14代:足利義栄(よしひで) 在:1568
- (義親→義栄)在任8ヶ月、一度も京都に入れないまま病死。義稙系。
- 15代:足利義昭(よしあき) 在:1568~(1573)~1588
- (義秋→義昭)お手紙将軍。織田信長の力を借りるが後に対立。1573年に京都を追放された後も将軍位には就いていたが、中央政権の座が織田氏に渡り、二度と足利氏の手に戻らなかったので幕府は滅亡とみなされる。義澄系。
室町幕府の構造・職務
守護(室町時代)の項も参照。
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管領(かんれい)
将軍に次ぐNo.2。将軍が看板だけになると事実上のトップと化した。元々は「執事」という名前で、その名の通り足利家中の筆頭家老のような存在だったのが、足利家が将軍となったことで幕府の機構に組み込まれた。
「三管領」と呼ばれる、足利氏の分家である三家(の宗家)だけが就任できた。 -
侍所所司(さむらいどころしょし)
武士を統率し、治安維持を担う警察組織。といっても各地の統治は守護大名に一任されていたので、基本的に幕府のある京都周辺が活動の場である。
「四職」と呼ばれる、室町幕府成立に大きく携わった名門四家が基本的に就任していた。 ほか、土岐氏も結構な頻度で就任している。 - 政所執事(まんどころしつじ)
財務担当。途中から伊勢氏が独占した(後北条氏はこの伊勢氏の分家筋である)。 - 問注所執事(もんちゅうじょしつじ)
訴訟処理担当…のはずが、引付衆にその役目を取られてしまった。 - 評定衆(ひょうじょうしゅう)
本来は合議で政務を行う、要は議員のような存在だったのだが、ほぼ名誉職と化す。地方の大名が箔付けの為に就任していたりする事も。 - 右筆方(ゆうひつがた)
幕府の文官官僚。奉行衆とも呼ぶ。 - 奉公衆(ほうこうしゅう)
幕府の武官官僚。将軍の親衛隊的存在。 - 鎌倉公方(かまくらくぼう)
東国(関東)統治担当。足利尊氏の四男・足利基氏の子孫が代々務めた。だが徐々に反抗的になり、関東の諸戦乱を引き起こす事になる。 - 関東管領(かんとうかんれい)
鎌倉公方の補佐役、管領の関東版。足利尊氏の母の実家である上杉氏が代々務めた。公方と喧嘩する事が多い。 - 奥州探題(おうしゅうたんだい)
陸奥統治担当。斯波氏の一族・大崎氏が代々務めた。しかしどんどん没落していった。 - 羽州探題(うしゅうたんだい)
出羽統治担当。上に同じく斯波氏の一族・最上氏が代々務めた。やっぱり没落していくが、戦国時代に復活する。 - 九州探題(きゅうしゅうたんだい)
九州統治担当。足利氏の一族・渋川氏が代々務めた。そして例によって没(ry
室町時代の争乱
室町幕府の成立が成立なので非常に不安定。そのため、乱も非常に多い。また、地域によっては応仁の乱以前に戦乱吹き荒れる時代が到来していた。
- 南北朝時代(1336-1392)
- 観応の擾乱(1349-1352)
- 康暦の政変(1379)
- 土岐康行の乱(1389-1390)
- 明徳の乱(1391)
- 応永の乱(1399)
- 上杉禅秀の乱(1416)
- 永享の乱(1438)
- 結城合戦(1440)
- 嘉吉の乱(1441)
- 享徳の乱(1455-1483)
- 文正の政変(1466)
- 応仁の乱/応仁文明の乱(1467-1477)
- この辺りから、広義の戦国時代
- 長尾景春の乱(1476-1480)
- 長享の乱(1487-1505)
- 明応の政変(1493)
関連項目
室町時代を主な舞台としている作品(ニコニコ大百科に記事があるもの)
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