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概要
「寄生」とは、ある生物が他の生物から栄養を奪い取り、それによって栄養を奪われた生物が不利益を被ることを指す(不利益がなければ「片利共生」)。そして、寄生する側を「寄生生物」、寄生される側を「宿主」と呼ぶ。
寄生虫は「動物」であり、動物は「多細胞で体外から栄養を摂取する生物」であるため、寄生虫は必然的に多細胞生物ということになる。ただ、広義には他の生物に寄生する原生動物(単細胞生物で動物的なもの)である「原虫」も寄生虫に含まれる。
寄生虫によくみられる特徴として、運動や感覚、消化と言った器官が退化しているというのがある。要するに宿主が栄養を運んできてくれるので、わざわざ自分から探す手間が必要ないということである。
また、複数の宿主を持つものも多い。日本住血吸虫は卵が便とともに排泄され、孵化した幼生は宮入貝に寄生する。その中で増殖し、貝から水中に脱出した後に、哺乳類の皮膚から体内に侵入して成体になるという生活環がある。幼生として寄生する宿主は中間宿主、成体として寄生する宿主を終宿主と呼ぶ。
一般的にいって、寄生虫が宿主に与える影響は限定的であることが多い。なぜかといえば、生命にもかかわるほどの影響を与えて宿主が死んでしまっては、寄生虫からしたら共倒れになってしまうだけだからである。そのため、寄生虫によって重篤な症状が引き起こされるというのは、本来の宿主でない生物に寄生した場合であることが多い。
本来の宿主に寄生できなかった場合、寄生虫は成体になれないというのもよく見られる。そのような場合に幼生が無性生殖によって数を増やす寄生虫もあり、有名なものとしては北海道を中心に生息するエキノコックスの虫卵を摂取することで幼生が増殖し、肝障害などを引き起こすというものがある。
また、幼生が寄生できる場所を探して体内を移動することによって起こる幼虫移行症を引き起こすものもある。顎口虫という寄生虫がいるが、これは幼生が人体に侵入すると体内を移動し続け、移動した場所がみみずばれになるほか、眼球に侵入すれば失明のリスクもある。
その両方がみられる寄生虫もあり、致死率100%と言われることもある(その話が正確かどうかは定かでないが)「芽殖孤虫」がそれである。
寄生虫に寄生されるのを予防するのに重要なことは、食前の十分な手洗い、生食を避ける(安全性が確保されている刺身を除く)、海外旅行での生水を避けるといったことである。
関連動画
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寄生虫解説動画。なお広義の寄生虫が対象であり、原虫の赤痢アメーバなども解説されている。
関連項目
- ニコニコ大百科:医学記事一覧
- 寄生生物
- パラサイト
- 病原体
- 原虫 / 真菌 / 細菌 / ウイルス
- 居候 / 乗っ取り
- 害虫
- アニサキス
- エキノコックス
- 芽殖孤虫
- 顎口虫
- ギョウチュウ
- クリプトスポリジウム
- サナダムシ
- 赤痢アメーバ
- 日本住血吸虫
- ハリガネムシ
- マラリア原虫
- レウコクロリディウム
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