富士五湖とは、山梨県側の富士山麓に位置する5つの湖のことである。
概要
富士急の創業者、堀内良平が命名したものが、広く知れ渡ったもの。以下の5つを指す。
このうち、本栖湖・精進湖・西湖は地下で繋がっているとされている。理由は元々剗の海(剗海、せのうみ)との一つの湖であったが、864年(貞観6年)に起こった富士山の大噴火の際に噴出した溶岩によって埋まり分断されたとされる。この溶岩を青木ヶ原溶岩と呼び長尾山から流出した。本栖湖の湖水は水面標高900mを越えると青木ヶ原溶岩を通り静岡県方向に流動するとしている。
ごくまれに、精進湖の南に「赤池」という小さな池が出現することがあり、これを含めて「富士六湖」と言うこともある。
(近年では2011年と2020年、2021年に確認された)
また、富士五湖を擁する山梨県の小学校中学年においては、最終的に五湖の名称をすべて暗記できるか否かがバカかどうかの境目になっている。本栖湖や西湖を千代田湖や四尾連湖と間違えてしまうことや、思わず「本栖湖と精進湖のどっちが五湖だったっけ」と思ってしまい結局4つしか出てこない等の事故は山梨県民なら誰もが通る道である。
世界遺産問題
富士山の世界遺産登録をめぐり、富士五湖は曲折のすえ登録された経緯がある。
まず1995年に自然遺産として登録を目指すことにしたが、固有種生態系の少なさをユネスコから指摘されたうえ、富士山のゴミ処理や開発抑制などの環境問題が解決できず、国は推薦を見送った。
そのため開発や環境問題による登録可否の影響が少ない文化遺産での登録を目指すこととし、2005年には「富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議」が発足し、登録に向けて準備が進められていったが、富士河口湖町や観光協会が「観光開発やバスフィッシング等の漁業活動が制限されてしまう」と危惧したため富士五湖のリスト入りは暗礁に乗り上げ準備活動が停滞、結果富士五湖を世界遺産暫定リストから除外することになった。実際は文化遺産での登録の場合、影響が出るほどの開発が行わなければ制限は少ないのであるが、富士河口湖町や観光協会は自然遺産レベルの開発抑制を危惧しており、一部業者がバスフィッシング用の桟橋について河川法違反の可能性(設置時は違法でなかったが、改定により違法状態となっていた)があり、リスト入りによりそれらが即時撤去される恐れがあったためである。また、当時の山梨県知事が登録を急いだあまり説得に時間をかけないまま要望の通りリストから除外したとされている。
しかし2010年に富士五湖のうち千円札の絵柄にも使用されている本栖湖が「国際的評価のある展望線」として登録が推奨されると、一部から「本栖湖のみ登録するのは不自然」との声が起きたことから、文化庁と山梨県は富士五湖全体を世界遺産暫定リストへ含めることを検討。当然富士河口湖町や観光協会が再度反発したが、2007年より就任した横内正明山梨県知事は文化遺産と自然遺産の違いを説明のうえ違法状態についても早急に撤去を求めないと約束したため同意を取り付け、2013年の国際記念物遺跡会議で登録を勧告されたため確定した。なお、山中湖・河口湖は単独で登録されるが、西湖・精進湖・本栖湖は富士山域の一部として登録される。
利用
湖水の一部は発電に利用されている。西湖は東京電力リニューアブルパワー西湖発電所、本栖湖は日本軽金属本栖発電所があり、後者はアルミニウムの精錬に利用している。
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