富士通Habitatとは、富士通がかつてサービスしていたパソコン通信、のちに(インターネット経由)を利用した2DCGチャットサービスである。
メタバース(仮想空間とか仮想世界)と呼ばれるSecondLifeやVRChatといった「メタバース」の前にあたるサービスと言われ、富士通ではビジュアル通信としていた。
概要
パソコン通信上に構築した仮想都市に多数のプレイヤーが同時アクセスし、コミュニケーションを取るサービスである。
元々は米国の映画製作会社ルーカスフィルム社のゲーム開発部門、ルーカスフィルムゲームズ社(ルーカスアーツ社)が8ビットホビーパソコンCommodore64(コモドール64)向けに開発し、米国のパソコン通信Quantum Link (Q-Link、現・AOL)上で 2年間のテスト運用をしていたテキストベースのMUDからグラフィックベースのMMORPGへの試みであった。開発者はChip Morningstar(チップ・モーニングスター)、Randy Farmer(ランディー・ファーマー)。あまりにも人気でそのまま正式リリースした場合高い負荷にインフラが耐えられないとのことで終了。結局開発資金を回収するため1988年から縮小させてClub Caribeとしてリリースした。
1988年に富士通が権利を購入して、1990年2月10日にパソコン通信NIFTY-SERVE(@nifty)上でサービスを開始した。当時パソコンといえばNECのPC-98シリーズが主流だったが、富士通はFM TOWNSを展開して(1989年発売)、PC-98に比べると誰でも使いやすいパソコンを目指していた。この機種の市場投入と普及のために開始されたのがこのサービスである。翌年1991年にはPC-98版、1994年にはMacintosh版をリリースした。
1995年、米MicrosoftがWindows95を発売、通信環境がパソコン通信からインターネットに移行し、コンピュータの2000年問題、2003年第一世代メタバースのSecondLife(米LindenResearch社)の登場と2010年まで続く第一世代メタバースの世界的ブームの影響をうけ、2010年にJ-チャットの終了により一連のサービスが終了した。当時は今日のように定額の常時接続環境が整っていなかったり、サービス利用料が従量制だったために料金が高額になるとの問題も抱えていた(のちに問題解消したもよう)。
余談であるがSecondLifeも2014年に登場したヘッドマウントディスプレイ(HMD)対応の第二世代メタバース、VRChat登場により過去のサービスになった。仕方がないよね。
オープンソース版の「NeoHabitat」
2013年、米国カリフォルニア州オークランドにあるゲーム博物館MADE(The Museum of Art and Digital Entertainment)がソースコードの一般公開プロジェクトを始動し、開発者や権利者の富士通の協力を得て2016年に公開を開始した。さらに2017年2月より、開発者の一人Randy Farmer(ランディ・ファーマー)が主導したオープンソース化プロジェクトが立ちあげられ作業が完了、NeoHabitatとして一般公開された。公開されたファイルは下記の通り。
- Commodore64のアセンブリソースとアートワーク 参考:アセンブリ言語
- Stratus VOS の PL/I ソース
- サーバデータベース用ツール
- 計画、設計、ベータフェーズに関する多数のドキュメント
歴史
- 1985年、ルーカスフィルムゲームズ社(のちのルーカスアーツ社)、Habitat開発開始
- 1986年、ルーカスフィルムゲームズ社(のちのルーカスアーツ社)、Habitatをベータテストリリース
- 1988年、ルーカスフィルムゲーム社によるベータテストリリースが終了
- 1989年(平成元年)2月、富士通、FM TOWNS発売
- 1990年(平成2年)、FM TOWNS版を発売
- 1991年(平成3年)、PC-98版を発売
- 1994年(平成6年)、Macintosh版を発売
- (1995年、Microsoft、Windows95発売。通信インフラがパソコン通信からインターネットへ。テレホーダイの登場)
- 1995年(平成7年)9月、米国にて「WorldsAway(ワールズアウェイ)」リリース
- 1996年(平成8年)、HabitatⅡエリシウム(V1)をリリース
- 1996年(平成8年)6月、東京都臨海副都心エリア限定ご当地HabitatⅡ「ゆりかもめネット」を実験的にリリース
- 1997年(平成9年)5月1日、チェイルC&C(韓国ソウル市)にHabitatⅡの韓国ローカライズ版「硝子都市(ユリドシ)」をライセンス、サービス開始
- 1997年(平成9年)9月16日、HabitatⅡエリシウム(V1)内にHabitat/3Dを構築、3DCD化を試みる
- 1998年(平成10年)、WorldsAwayを元にHabitatⅡグレースビル(V2)をリリース。インターネット経由でのアクセスに変更
- 1999年(平成11年)、2000年問題でHabitat、HabitatⅡエリシウム(V1)、HabitatⅡグレースビル(V2)、サービス終了
- 1999年(平成11年)9月、J-チャットリリース。富士通から富士通パレックスへ移管される
- 1999年(平成11年)12月、定額料金制導入、月額2,000円
- (2000年、フレッツISDN<インターネット常時接続環境>登場)
- 2001年3月、開発者のChip Morningstar(チップ・モーニングスター)、Randy Farmer(ランディー・ファーマー)がInternational Game Developers Association(国際ゲーム開発者協会)からパイオニア賞(当時はファーストペンギン賞)を贈られた
- (2003年、第一世代メタバース「SecondLife」リリース。2010年まで世界的ブームに)
- 2004年(平成16年)、富士通パレックスがジー・サーチに吸収統合
- 2010年(平成22年)、J-チャットサービス終了で一連のサービスシリーズが終了
- 2013年、米国MADEにてソースコード公開プロジェクト始動
- (2014年1月、第二世代メタバース「VRChat」リリース)
- 2014年8月、米国版がサービス終了
- 2014年9月、MADEにて開催されたハッカソンで失われたソースコードの復元に成功
- 2016年、GitHubにてソースコードを一般公開
開発者
- チップ・モーニングスター(Chip Morningstar) - プロジェクトリーダー、プログラミング、デザイン
- スティーブ・アーノルド(Steve Arnold) - プロデューサー
- ランディー・ファーマー(Randy Farmer) - プログラミング、デザイン
- エリック・ウィルマンダー(Aric Wilmunder) - プログラミング
- ジャネット・ハンター(Janet Hunter) - プログラミング
- ゲイリー・ウイニック(Gary Winnick) - アーティスト
動作環境
Habitat
HabitatⅡエリシウム(V1)
HabitatⅡグレースビル(V2)
ユーザー数
米国版
1994年コードネーム「Reno」として富士通Habitatのコードを元に作業を始め、1995年CompuServeで「WorldsAway」としてサービス開始。1997年インターネット上にパブリック公開。CompuServeがAOLのバリューブランドに変わると富士通が赤字になったためにサービスをInworlds.com (のちのAvaterra, Inc)に売却。2011年VZones.com内のワールドの一つとして独立して存続。2014年8月にサービスを終了した。
経済
大衆文化
- マイクロチップの魔術師(原題:True Names):アメリカの作家ヴァーナー・ヴィンジが1981年に発表したSF小説。Habitatを作るヒントになったと言われている。
- Halt and Catch Fire:米国のテレビドラマ。2014年6月1日から2017年10月14日にケーブルテレビで4期に渡って放映。うち第2期と第3期は作中のネットワークゲーム会社がCommodore64(コモドール64)ユーザー向けのCGを用いたチャットサービスを提供する会社に変わる過程を描いているという。Habitatがモデルではとされている。
関連動画
富士通Habitatテーマ曲「Dream in Dream」 作曲:佐々木誠(富士通)
関連項目
関連リンク
- Habitat/3D提供開始
- 富士通 - MADA Habitat ソースコード
- GitHub - NeoHabitat公式サイト
- NeoHabitatプロジェクト
- Xアカウント - NeoHabitat ダウンロード
- GitHub
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