富山地方鉄道とは日本の民間鉄道会社及びその鉄道・軌道路線の総称である。多くの関連子会社を持ち、富山地方鉄道グループとしてグループ会社を形成している。本記事ではグループ会社も併せて説明する。
概要
1930年に設立された富山電気鉄道株式会社が、1943年1月1日に陸上交通事業調整法[1]に基づいて県内の国鉄を除いた全ての鉄道線・軌道線・バス会社を合併し、それに合わせて現会社名に改名して発足した。
鉄道、市電(路面電車)、路線バス、高速バス、貸切バス、タクシーなどを運営する非常に多角的な会社である。また、ボウリング場、ビルなども運営している。
※以下、富山地方鉄道が運営する鉄道を地鉄あるいは鉄道と、路面電車は市電、グループ全体に関しては地鉄グループと呼ぶことにする。
鉄道
現在、営業する鉄道路線は本線、立山線、不二越・上滝線(不二越線、上滝線となっているが運行上は一つの路線)の3本である。JR城端線、氷見線など県内西部にローカル路線を多く持つJRに対し、こちらは東部中心である。路線図から分かるとおり、上滝線は立山線に岩峅寺で合流する。本線と立山線は観光路線としても需要が高い。
鉄道車両、駅舎など古風なものが多く、一部の駅舎は映画のロケなどに使われたことがある(ただ、老朽化が進んでいるため絵になる駅はあまり多くないかもしれない)。車両には14760系などオリジナルのものもあるが中小私鉄の経営上、大手から譲り受けたものを魔改造していることも多い。リサイクルってエコだよね。
JR各線とともに通勤通学に使われる貴重な足として使われる鉄道であるが、不二越・上滝線や立山線はおおむね朝夕のラッシュアワー時以外、1時間に1本(ラッシュアワー時は2本)。田舎なのでどこの路線も似たようなもんではあるが・・・。その点、本線は電鉄富山~上市間でほぼ毎時3本以上、上市~滑川間で毎時2本以上の運転が確保されており、特に電鉄富山~寺田間はラッシュアワー時に毎時5~7本の運転となるなど、他の中小私鉄と比べてかなり高頻度の運行が確保されているので安心である。ただし滑川~宇奈月温泉間は前述の各線とほぼ同等の運転頻度となる)。
またかつては、国鉄→JRの特急・急行列車、更には国鉄を介して名古屋鉄道(名鉄)の「北アルプス」が本線や立山線へ乗り入れていたことがある。当時は「サンダーバード」に用いられていた681系も、富山地方鉄道への乗り入れ実績を有している。
全線のほとんどの列車が電鉄富山発着である。観光特急では、本線の宇奈月温泉と立山線の立山の間を結ぶものもある。
2012年には、富山地方鉄道を舞台とした「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」が2011年12月3日全国ロードショーで公開された(富山では11月19日に先行公開された)。
2019年3月16日、不二越上滝線の稲荷町-不二越間に栄町駅が設置された。
2025年7月に富山地方鉄道が本線の滑川―新魚津間と、立山線の岩峅寺(いわくらじ)―立山間の2線区について、沿線自治体などの行政からの支援を得られない場合には2026年秋で廃線にする方針を固めたと富山県の有力紙、北日本新聞が2025年7月31日に1面トップで報じた。季節によって利用に偏りがあり、立山線の岩峅寺―立山間について、立山黒部アルペンルートが営業している夏期には登山客らの利用が多いものの、「冬期は閑古鳥が鳴いている」と地元住人から言われる状態だった事も影響している。
本線の滑川ー新魚津はあいの風とやま鉄道と平行しており、北陸新幹線金沢開業前の北陸本線(後のあいの風とやま鉄道)は、はくたか・北越の退避や普通列車の運行本数でハンデを背負っていた事もあり、富山から宇奈月まで乗り換え無しである事も含め、富山地方鉄道にアドバンテージがあったものの、北陸新幹線開業で特急列車が新幹線に移行しそれらのハンデが無くなった事、北陸新幹線で富山から黒部・宇奈月温泉駅まで行く場合の運賃が富山地方鉄道に比べ270円しか高くない事も利用の減少に影響しているものと思われる。
本線を廃線にした場合飛び地になる新魚津〜宇奈月温泉間だが、上記区間が廃線になる場合、こちらも廃止の対象になる模様。
赤字区間を廃線にする方針を示したことを受け、29日、立山一帯で観光業を営む団体が立山線の存続を県に要望した。
これにより、立山町は国の交付金を活用し、存続させる方針を示した。
一方本線については、滑川市の水野市長が「今後の収支見込みなど調査の結果が出なければ支援のあり方は決められない」と述べており、「負担しないとは一言も言ってない」とは言っているものの今後の見通しは不明である。
車両
- 14720形
- 10020形
- 14760形
- 10030形(元京阪3000系テレビカー)
- 16010形(元西武5000系初代レッドアロー)
- 17480形(元東急8590系)
- 20020形(元西武10000系ニューレッドアロー)
- クハ170形・クハ173形・クハ175形
- デキ12020形電気機関車
路線図
| 滑川駅 | 浜加積駅 | 早月加積駅 | 越中中村駅 | 西魚津駅 | 電鉄魚津駅 | 新魚津駅 | 経田駅 | 電鉄石田駅 | 電鉄黒部駅 | ||||||||||||
| ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||
| ● | 中滑川駅 | ● | 東三日市駅 | ||||||||||||||||||
| 電鉄富山駅 | 稲荷町駅 | 新庄田中駅 | 東新庄駅 | 越中荏原駅 | 越中三郷駅 | 越中舟橋駅 | 寺田駅 | 越中泉駅 | 相ノ木駅 | 新相ノ木駅 | ● | 西滑川駅 | ● | 荻生駅 | |||||||
| ● | 西加積駅 | ● | 長屋駅 | ||||||||||||||||||
| ● | 中加積駅 | ● | 新黒部駅 | ||||||||||||||||||
| ● | 新宮川駅 | ● | 舌山駅 | ||||||||||||||||||
| ◆ | ◆ | ● | ● | ● | ● | ● | ◆ | ● | ● | ● | ● | 上市駅 | ● | 若栗駅 | |||||||
| ◆ | ◆ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ◆ | ● | 栃屋駅 | ||||||||||||
| ◆ | ◆ | ▽ | 椎子塚駅 | ● | 浦山駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 栄町駅 | ▽ | 田添駅 | ● | 下立口駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 不二越駅 | ▽ | 五百石駅 | ● | 下立駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 大泉駅 | ▽ | 榎町駅 | ● | 愛本駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 南富山駅 | ▽ | 下段駅 | ● | 内山駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 朝菜町駅 | ▽ | 釜ヶ淵駅 | ● | 音沢駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 上堀駅 | ▽ | 沢中山駅 | ● | 宇奈月温泉駅 | ||||||||||||||||
| ○ | 小杉駅 | ◆ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ||||||||||||||
| ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◆ | 横江駅 | 千垣駅 | 有峰口駅 | 本宮駅 | 立山駅 | ||||||||||
| 布市駅 | 開発駅 | 月岡駅 | 大庄駅 | 上滝駅 | 大川寺駅 | 岩峅寺駅 | |||||||||||||||
| ●青色:本線 | 特急・急行停車駅 | 急行停車駅 | 一部急行停車駅 | ||||||||||||||||||
| ▽緑色:立山線 | 特急・快急停車駅 | 一部特急 全快急停車駅 |
快急停車駅 | ||||||||||||||||||
| ○橙色:不二越・上滝線 | ◆は各線の乗り換え駅 | ||||||||||||||||||||
路面電車
詳細は「富山市内軌道線」を参照のこと。
地元では一般的に市電(市内電車)と呼ばれているものである。地鉄が郊外まで伸びているのに対し、市電は現在は中心部を走っている。特に環状線は富山駅前、大手モール、グランドプラザ、荒町と市内のど真ん中を回っている印象が強い。
戦前の一時期は市電の名の通り、富山市の直営となっていたこともあるが、1943年の交通調整で富山地方鉄道へ譲渡され、現在に至っている。
大きく分けて1系統・4系統(南富山駅前方面)、2系統・5系統(富山大学前方面)、3系統・6系統(環状線)がある。2系統の終点は文字通り富山大学前で学生の足となっている。また、4系統以降は岩瀬浜方面に乗り入れる。
環状線は2009年12月に開通したばかりの新路線である。新路線に伴い新車両も導入され、「セントラム」の名称で親しまれている。この路線の経営方式は車両・路線は富山市が保有し、地鉄グループは運営のみ行う、全国初の上下分離方式の路面電車として運営されている。
鉄道、路線バスの例に漏れず車両が古かったが、最近は新車両導入で改善されている。
2020年3月21日には富山港線と富山駅高架下の富山駅停留所で接続、それに先立つ2月22日に富山港線を運営していた富山ライトレールを吸収合併した。
車両
元富山ライトレール車
路線バス・高速バス
富山市内を最も広範囲にカバーする交通網が富山地鉄の路線バスである。このため電車が一切通ってない場所では非常に重宝されている(例えば、富山駅から富山空港へのアクセスはタクシーなどを除けば路線バスしか無い)。また、電車が本数をが少ない時にカバーとして使われることもある。但し、運賃が高い。車両は新車の導入が進んでいる。
地鉄グループは高速バスも運営している。路線はいずれも出発地は富山で目的地は東京、大阪・京都、名古屋、金沢、新潟、仙台行きがある。
その他
それ以外にもホテル、タクシーなど多くの事業を行なっている(行っているのは主に子会社であるが)
関連子会社には立山黒部アルペンルートを運営する立山黒部貫光などもある。
関連動画
大変な途中下車シリーズ
関連静画
関連項目
関連リンク
脚注
- *鉄道・バス会社の乱立による経営競合で利用者の利便性が低下するのを防ぐべく、企業合併を促進するために制定された法律。かの大東急を生み出したきっかけの法律ではあるが、元々は戦時の統制とは無関係の平時立法なため、現在も現行法として効力を持っている。
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