小さき勇者たち~ガメラ~とは、2006年公開の“ガメラシリーズ”の映画である。
概要
ガメラ生誕40周年記念作品。
シリーズ通算第12作目に当たり、現時点までの純粋なガメラ映画作品としては最新作。
1995年~1999年までの平成三部作を制作していた大映・徳間からシリーズの版権が角川(現:KADOKAWA)に移った後に作られた作品であり、制作は角川ヘラルド映画、配給は松竹となっている。
先の平成三部作とは一切の繋がりのない完全なリブート作品で、それに加えて本作はこれまでポリティカルおよびミリタリーテイストの強い作風が特徴だった前三部作とは対照的に、旧昭和時代におけるガメラシリーズへの原点回帰を目指してか“子供とガメラの交流”と“子供とガメラの成長”をコンセプトにしており、主人公を含めた多くの主要人物は子供で占められ、そのため物語も全体的に子供中心の目線で話が進む純粋なジュブナイルファンタジー作品としての趣きが強い作品になっている。
これまで低予算である事が多かったという同シリーズにおいて本作では10億円以上の破格の予算が当てられたとされ、ロケ地となった岐阜県では10m大の実物大ガメラの模型が作られてそれをイベントで一般公開したりといった大規模なタイアップ企画も催されるなど、映画公開前は本作の積極的なPRが行われていた。
しかし、公開後の最終興行成績は4億程度と、制作費と比較すると結果的には不振に終わる事となり、ファンからの評価においてもこれまで以上に賛否両論で、昭和時代の作風への回帰に納得、理解を示す者もいれば、前三部作のハードかつシリアスな雰囲気の印象の方が強いあまり本作の急な路線変更に対して落胆に近い感想を抱く者もいるなど、その評価は大きく二分される事となった。
評価の方はまだしも、興行成績に関しては制作元の角川も無視できなかったのか、本作を最後に現在までガメラシリーズの映画製作は途絶えたままの状態となっている[1]。
ちなみに幼体時のガメラが登場するシーンでは「ケヅメリクガメ」というリクガメの一種をタレント動物として使っており[2]、本作の影響で安易にケヅメリクガメに手を出す人間の増加を懸念してか映画上映前にはケヅメリクガメの飼育に関する注意喚起のメッセージが表示されていた。
あらすじ
1973年、岐阜県の志摩にて人間を襲う「ギャオス」の群れと、それに挑む「ガメラ」の戦いが繰り広げられていた。
数で攻めるギャオスに追い詰められたガメラは遂に自爆という最後の手段を持って全てのギャオスを殲滅し、人々をギャオスの脅威から守った。
それから30年以上経った2006年、志摩に住む少年の相沢透はかつてガメラが自爆して果てた場所の近くで赤い水晶のような石とその上に置かれた卵を見つけ、やがてその卵からリクガメに似た子亀が誕生し、透はその亀に死んだ母が自分につけていたあだ名に因んで「トト」と名付けて育てはじめる。
しかし、その子亀は宙を浮いたり、火を吹いたり、さらに短期間でゾウガメほどに大きくなったりと常識では考えられないような性質を次々と発揮し出すようになり、透達の間でこの亀があのガメラではないかとの疑惑が浮上する中、ある日トトは透の前から忽然と姿を消す。
それからしばらくしてギャオスの遺伝子から誕生した新種の怪獣「ジーダス」が志摩に出現し、破壊の限りを尽くして行ったが、そこに10m級にまで巨大化を遂げたトトが現れてジーダスの前に立ちはだかった。
登場怪獣
本作に登場する“ガメラ”および“ギャオス”に関しては該当項目を参照。
ジーダス
首元の巨大な襟巻きが特徴のティラノサウルスなどの大型肉食恐竜に似た怪獣。
口の中に先端が鋭利なカメレオンのように伸びる長い舌を持ち、それを勢いよく飛ばして敵の体を貫く。
1973年のガメラの自爆で吹き飛んだギャオスの遺伝子を摂取した爬虫類が突然変異して誕生したとされ、ギャオスと同様に積極的に人間を襲って捕食する凶暴な性格であり、加えてギャオスの怨念も引き継いでいるのかガメラ=トトを執拗に狙う。
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関連項目
脚注
- *2015年のコミコンNYにて石井克人監督によるガメラを題材とした短編映像が公開されたが、これも結局は映画としての制作は成される事はなかった。17年後の2023年はNETFLIXのネット配信用アニメ作品となる『GAMERA-Rebirth-』が制作されたものの、劇場用作品としては未だに本作が最後作である
- *一方で、この時のケヅメリクガメの扱いが動物虐待ではないかという疑惑の声も上がっていたとされる
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