概要
1975年、岐阜県生まれ。1993年、第3回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞において、河出智紀名義で応募した「リトルスター」で佳作を受賞するが、刊行には至らず。本人は当時17歳であった。ちなみに公式サイトで読むことができる。
1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で、第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞の大賞を受賞し、河出智紀としてデビュー。ちなみに乙一『夏と花火と私の死体』との同時受賞である。『ポプラパレス』はジャンプノベルに第4話まで掲載され、第1話が1巻、第2話と第3話が2巻として単行本化。単行本未収録だった第4話は公式サイトで公開されていたが、2014年に電子書籍版『まずは一報ポプラパレスより2』に収録されサイトからは削除された。
1998年、ソノラマ大賞に応募して最終候補になった第3作の『アース・ガード ローカル惑星防衛記』から小川一水に改名。以降しばらくソノラマ文庫が活動の中心となる。当時はドタバタSFやファンタジーなどあまりジャンルは一定しなかったが、『こちら郵政省特配課』『回転翼の天使』『ここほれONE-ONE!』など、SF風のお仕事小説が中心であった。また『イカロスの誕生日』はNHKでラジオドラマ化されている。
2002年、ハルキ文庫ヌーヴェルSFシリーズから『導きの星』シリーズを開始。文明開拓SFとして一定の評価を得る。翌年、『導きの星』を全4巻で完結させるとともに、ハヤカワ文庫JAから『第六大陸』を発表。第35回星雲賞日本長編部門を受賞し、本格的にハードSF作家として歩み始める。2005年には中編集『老ヴォールの惑星』で「SFが読みたい!」国内第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した。
以後、朝日ソノラマの倒産もあって早川書房に活動の中心を移し、『復活の地』や『天涯の砦』、『時砂の王』などを刊行。またSFマガジンを中心に短編・中編を発表、他社でもコンスタントに新作を発表しており、朝日ノベルズではライトノベル的な作品も書き続けている。「SFが読みたい!」の国内編では2003年から2008年まで6年連続ベスト10入り。2011年には短編「アリスマ王の愛した魔物」で、2014年には長編『コロロギ岳から木星トロヤへ』でそれぞれ星雲賞を受賞している。
2009年から2019年にかけては、ハヤカワ文庫JAにて全10巻(17冊)の大長編『天冥の標』シリーズを刊行。2020年、『天冥の標』で第40回日本SF大賞を受賞した。
多作のため何か読めばいいか解らない、いきなり『天冥の標』はハードルが高いという人は、1冊完結の長編である『天涯の砦』か『時砂の王』、または短編集の『老ヴォールの惑星』あたりから手に取るといいだろう。プロジェクトX系の話が好きなら『第六大陸』や『復活の地』からでも良い。SFが苦手な読者にも読みやすい作風なので、普段あまりSFを読まない人にもオススメである。
作品リスト
- まずは一報ポプラパレスより (1996年、ジャンプジェイブックス、河出智紀名義)
- まずは一報ポプラパレスより2 (1998年、ジャンプジェイブックス、河出智紀名義)
- アース・ガード ローカル惑星防衛記 (1998年、ソノラマ文庫)
- アマリアロード・ストーリー 復讐銃騎アンジェラ (1999年、ソノラマ文庫)
- こちら郵政省特配課 (1999年、ソノラマ文庫) ※のちに9と合本してソノラマノベルズから再刊
→ こちら、郵政省特別配達課1 (2014年、新潮文庫nex) - イカロスの誕生日 (2000年、ソノラマ文庫→2015年、μNOVEL)
- 回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター (2000年、ハルキ文庫)
- グレイ・チェンバー (2000年、ジャンプジェイブックス)
- 追伸・こちら特別配達課 (2001年、ソノラマ文庫)
→ こちら、郵政省特別配達課2 (2014年、新潮文庫nex) - ここほれONE-ONE! (2001年、スーパーダッシュ文庫)
- 導きの星(全4巻)
- ここほれONE-ONE!2 (2002年、スーパーダッシュ文庫)
- 群青神殿 (2002年、ソノラマ文庫→2011年、朝日ノベルズ→2019年、ハヤカワ文庫JA)
- レインボウ・プラネット 灼熱の竜騎兵シェアードワールズ (2002年、EXノベルズ)
- 強救戦艦メデューシン (2002-2003年、ソノラマ文庫[上下巻])
- 第六大陸 (2003年、ハヤカワ文庫JA[全2巻])
- ハイウイング・ストロール (2004年、ソノラマ文庫→2019年、ハヤカワ文庫JA)
- 復活の地 (2004年、ハヤカワ文庫JA[全3巻])
- 疾走!千マイル急行 (2005年、ソノラマ文庫[上下巻]→2007年、ソノラマノベルズ[合本]→2019年、ハヤカワ文庫JA[上下巻])
- こちら、郵政省特別配達課! (2005年、ソノラマノベルズ、5と9の合本)
- 老ヴォールの惑星 (2005年、ハヤカワ文庫JA)
- ファイナルシーカー レスキューウイングス (2006年、MF文庫J→2008年、MF文庫ダ・ヴィンチ)
- 天涯の砦 (2006年、ハヤカワSFシリーズJコレクション→2009年、ハヤカワ文庫JA)
- 時砂の王 (2007年、ハヤカワ文庫JA)
- 妙なる技の乙女たち (2008年、ポプラ社→2011年、ポプラ文庫)
- フリーランチの時代 (2008年、ハヤカワ文庫JA)
- 風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記 (2008年、角川春樹事務所→2011年、ハルキ文庫[上下巻])
- 不全世界の創造手 (2008年、朝日ノベルズ→2020年、朝日文庫)
- 煙突の上にハイヒール (2009年、光文社→2012年、光文社文庫)
- 天冥の標(2009年-2019年、全10巻17冊)
- メニー・メニー・シープ (2009年、ハヤカワ文庫JA[上下巻])
- 救世群 (2010年、ハヤカワ文庫JA)
- アウレーリア一統 (2010年、ハヤカワ文庫JA)
- 機械じかけの子息たち (2011年、ハヤカワ文庫JA)
- 羊と猿と百掬の銀河 (2011年、ハヤカワ文庫JA)
- 宿怨 (2012-2013年、ハヤカワ文庫JA[全3巻])
- 新世界ハーブC (2013年、ハヤカワ文庫JA)
- ジャイアント・アーク (2014年、ハヤカワ文庫JA[全2巻])
- ヒトであるヒトとないヒトと (2015年-2016年、ハヤカワ文庫JA[全2巻])
- 青葉よ、豊かなれ (2018-2019年、ハヤカワ文庫JA[全3巻])
- 博物戦艦アンヴェイル (2010年、朝日ノベルズ→2020年、ハルキ文庫)
- 博物戦艦アンヴェイル2 ケーマの白骨宮殿 (2010年、朝日ノベルズ)
- 青い星まで飛んでいけ (2011年、ハヤカワ文庫JA)
- トネイロ会の非殺人事件 (2012年、光文社→2014年、光文社文庫)
- コロロギ岳から木星トロヤへ (2013年、ハヤカワ文庫JA)
- 臨機巧緻のディープ・ブルー (2013年、朝日ノベルズ)
- 美森まんじゃしろのサオリさん (2015年、光文社→2017年、光文社文庫)
- 砂星からの訪問者 (2015年、朝日文庫)
- アリスマ王の愛した魔物 (2017年、ハヤカワ文庫JA)
- ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (2020年、ハヤカワ文庫JA)
- ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2 (2022年、ハヤカワ文庫JA)
- ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3 (2023年、ハヤカワ文庫JA)
単行本未収録作
- エンジニア・ユニッタ (1999年、「ジャンプノベル」15号掲載(河出智紀名義)、公式サイト公開中)
- 封金使 ―刻と小夜美の放浪記― (1999年、某出版社で没になった作品とのこと、公式サイト公開中)
- 黎明の天魔 (2001年、同人誌「Progressive7」収録)
- ホッピング泥 (2001年、同人誌「Progressive7」収録)
- PLANETALINK (2001年、「SFオンライン」掲載、現在はサイト終了につき見られない)
- ラムズギットの灯台守 (2003年、同人誌「Progressive22 ノックの音が」収録)
- ジブラルタル攻防戦 (2005年、トクマノベルズ『七都市物語シェアードワールズ』収録)
- コズミックロマンスカルテット with E (2012年、河出文庫『NOVA 7 書き下ろし日本SFコレクション』収録)
- 時じくの実の宮古へ (2012年、「小説宝石」12月号掲載)
- シルクワーム (2013年、京都SFフェスティバル限定配布作品、掘骨砕三との共作)
- 陸の奥から申し上げる (2017年、早川書房『ILC/TOHOKU』収録)
- 破綻円盤 ―Disc Crash― (2017年、ハヤカワ文庫JA『BLAME! THE ANTHOLOGY』収録)
- プレイヤーズ・アンノウン・ストリーミン・グラウンド (2018年、「S-Fマガジン」6月号掲載)
- ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (2019年、ハヤカワ文庫JA『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』収録、2020年の同題の書籍はこの短編の長編化)
- 和音さんは帰星らない (2019年、「小説宝石」12月号掲載)
- 竜神滝の皇帝陛下 (2020年、『銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河』収録)
- 受け継ぐちから (2021年、『ポストコロナのSF』収録)
- 未明のシンビオシス (2022年、『GENESiS 創元日本SFアンソロジー 時間飼ってみた』収録)
- 大江戸石廓突破仕留 (2022年、「小説現代」4月号掲載)
- ツインスター・アピアロンザ・プラネット (2022年、「SFマガジン」8月号・10月号掲載)
- 最後の一頭 (2022年、「メフィスト・リーダーズ・クラブ」掲載)
- 殺人橋フジミバシの迷走 (2023年、「SFマガジン」8月号掲載)
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