局地的大雨とは、局地的かつ短時間で大雨をもたらす気象現象である。一般的には「ゲリラ豪雨」として知られている。
概要
局地的大雨は、短時間かつ狭い範囲に対し1時間あたり数十ミリ程度の強い雨~非常に激しい雨が降ることを指す。大気の状態が不安定な場合は、かなりの頻度で大雨がもたらされる。場合によっては大雨の範囲が広まったり移動することがある。
「局地的な大雨」「大気の状態が不安定(非常に不安定)」「天気の急激な変化(天気の急変)」「非常に激しい大雨(雷雨)」という言葉を天気予報でも必ず呼びかけているため、耳にしたら注意を払っていただきたい。特に「大気の状態が不安定」と言われる場合、局地的大雨や激しい雷雨だけではなく降雹(ひょう)や竜巻などの現象を伴うことも少なくはない。
たとえ1日の天気予報でしめされていなくても発生の条件がそろった場合、同様に局地的な大雨がもたらされる。現在は各種レーダーやナウキャストなどが技術的な発展を遂げており、直前の雨雲の動き・降雨の状況や10分毎の予報などを確認することができるようになっている。ただしごく小さいサイズの積乱雲の発生や急激な積乱雲の発達を表現する数式などができおらず、予想はいまだ難しく困難を極めている。
局地的大雨(雷雨)の起こる前兆と積乱雲
局地的な大雨(雷雨)が起こる前兆を簡潔に述べると以下のとおりである。
これは積乱雲が急激に発達して起こる現象としてはよくあることなので、気をつけて欲しい。
「局地的大雨」の場合は単独の積乱雲が発達し、短時間で強い雨をもたらすことが特徴である。なおレーダーで追っていると雨雲が広がったり移動しているように見えることがあるが、これは積乱雲の発生場所が移動しているのであり、実際は雨の範囲が移動したり広がっているのである。
場合によっては比較的短い時間ではあるが、積乱雲が止めどなく形成されることがあるため、短時間ではあるがしばらくの間大雨が続くこともある。また狭い範囲で大雨・雷雨をもたらすこともあり、急な河川の増水・家屋の浸水・道路の冠水・土砂災害などの危険性が一気に高まることもある。
また「スーパーセル」という寿命の長い巨大な積乱雲が発生することがある。ここに条件がそろえば細くて強い「竜巻」を生み出しスーパーセルとともに移動する。竜巻は進路上のにある建物を破壊していく。竜巻が発生する可能性が高まった場合は早い段階で「竜巻注意情報」が発表される。十分に警戒していただきたい。
→詳しくは「局地的大雨・雷・竜巻を生む巨大積乱雲」(NHK・そなえる防災)を参照のこと
「集中豪雨」は前線や低気圧などが同じ場所で積乱雲が発生し、何時間にも渡って数百ミリ以上の雨が続く。結果、大なり小なりかまわず(あまりにもひどい場合は「大雨特別警報」が発表されるレベルで)被害をもたらすことが多い。
局地的大雨がもたらす災害
「降った雨がどこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の水の深さで、mm(ミリメートル)で表しています。例えば、「1時間で100ミリの降水量」は降った雨がそのままたまった場合、1時間で雨が水深10cmとなるということです。」1平方メートルに100ミリの雨が降った場合、水の量は100リットル(重さにして約100kg)になります。
(気象庁:降水量とは何ですか?降水量を「ミリ」で表すのはなぜですか?より)
例えば1時間に20mm~50mm以上の非常に激しい雨が降った場合は以下のようなことが起こる。
- 用水路の排水が間に合わずあふれる。場合によってはマンホールの蓋が浮いてしまう。本当に間に合わなくなると、そばにある地下の建物に浸水することがある。
- 目視で水深が浅そうに見えてもなんらかの障害を見落とし、足を取られることがある。
- 河川の急激な増水により氾濫・決壊し、付近の建物や住居に浸水する可能性がある。
- ワイパーを早くしても前方の視界が非常に悪くなる。(1時間に20mm以上の強い雨)
- ハイドロプレーニング現象により車のハンドルやブレーキが利かなくなる。
- 地下道・アンダーパス(立体交差で掘り下げ式になっている下の道路)は水がたまりやすいため、浸水の被害に遭いやすい。
記録的短時間大雨(キロクアメ)
「強い雨~猛烈な雨」が断続的に続いてしまった場合は「記録的短時間大雨(キロクアメ)」につながる場合がある。その場合は大雨警報が発表され、現在の降雨がその地域にとって土砂災害・浸水害・中小河川の洪水害の発生につながるような「ここ数年で経験したことのない(1時間あたりの)雨量」が今後警戒される場合に「記録的短時間大雨情報」として発表される。「記録的短時間大雨情報」が発表されるレベルであるとまれに「河川の氾濫に関する情報」や「土砂災害に関する情報」も発表されることもあり、早い段階で警戒を呼びかけている。
「大雨」と「豪雨」の違い
「○○豪雨に匹敵する大雨」等著しい災害が発生し命名された大雨災害の名称か、もしくは地域的に定着している災害の通称(例:東海豪雨)の名称を引用する形で用いる。一般に発表する予報や警報、気象情報等では、「豪雨」単独では用いない。
(気象庁:予報用語>雨に関する用語>雨の強さに関する用語>豪雨(用例) より)
「著しい水害」があった場合は「豪雨」として命名される。たとえば「(どこどこで)数十年に一度の記録的な大雨・豪雨となりました」と天気予報やニュースでなどで報じられる。
しかし「大雨」とはこの記事に説明したとおりの激しい降雨であり、「局地的大雨」の段階ではまだ「豪雨」ではない。前途でも「集中豪雨」の説明で軽く触れたが、結果として「豪雨」となったのである。
「局地的大雨」の類義語
- ゲリラ豪雨
- 予想もつかない短時間局地的に降る大雨を表現する俗語(マスコミ用語)である。命名されたのは1969年、気象庁の予報官が命名したのがきっかけとなり、新聞記事で使われたことで広く知れ渡るようになった。当時は観測自体が大変難しかったため「予想できない豪雨」として命名された。前途にも書いたが、技術的に大きな進歩を遂げてはいるが、今でも予想が極めて困難なため一般的には「ゲリラ豪雨」と呼ばれている。
- 局地豪雨・局地的豪雨
- 基本的には「局地的大雨」と同じである。ただし意味合い的には「局地的大雨によりもたらされた極めて小さい範囲での災害(河川の氾濫・家屋の浸水・道路の冠水など)が発生している」という意味合いのほうが大きい。
- ゲリラ雷雨(ウェザーニューズ)
- 2008年ユーキャン新語・流行語大賞を受賞している名称。
- http://weathernews.com/ja/nc/press/2008/081201.html
- こちらは「ゲリラ雷雨」という言葉を単体で使わず「ゲリラ雷雨防衛隊」という名称で使っている。ゲリラ雷雨防衛隊は、「突発的な雷雨による被害を減らしたい」という想いから、2008年に結成された。「何時にどれくらい雷雨が来るのか」を現地にいるサポーターとWNI予報センターが一丸となって予想することに取り組んでいる。雷雨をもたらしそうな怪しい雲を報告し、その情報を予報センターとサポーター同士で共有し、ゲリラ雷雨の発生を事前に察知する。結果早めにゲリラ雷雨を察知し、被害を減らすことを目的としている。
- ぜひ入隊して「ゲリラ雷雨がくる前の観天望気スキル」を上げていただきたい。
- ゲリラ雷雨防衛隊・概要:https://weathernews.jp/s/guerrilla/
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