山本周五郎賞とは、新潮文芸振興会が主催し、新潮社が後援する文学賞。「山本賞」「山周賞」とよく略される。
最新の受賞作は、永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(第36回、2022年度)。
第36回(2022年度)候補作
- 浅倉秋成『俺ではない炎上』(双葉社)
- 荻堂顕『ループ・オブ・ザ・コード』(新潮社)
- ★ 永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)…受賞
- 岩井圭也『完全なる白銀』(小学館)
- 吉川トリコ『あわのまにまに』(KADOKAWA)
第36回選考委員
概要
物語性に優れた大衆文学の小説を表彰する賞。新潮社が1968年に始めた日本文学大賞の後継として、1988年に純文学を対象とする三島由紀夫賞とともに設立された。三島賞と、純文学の短編が対象となる川端康成文学賞とあわせて「新潮三賞」と呼ばれ、授賞式は三つ一緒に行われる。
選考対象作品は4月1日から翌年3月31日までに刊行された小説。選考は5月に行われ、選評は『小説新潮』に掲載される。選評の分量は直木賞などと比べてもかなり多い。
吉川英治文学新人賞が出世作に与えられる賞とすれば、山本周五郎賞は強いて言えばそれに続く代表作に与えられる賞、という傾向がある(もっとも窪美澄のように、デビュー作で受賞する例もある)。直木賞ではスルーされがちなファンタジー系の幻想小説やSFなどが受賞することもあり、「直木賞を獲れなさそうな作家の残念賞」と言われることも。とはいえ直木賞と両方を受賞している作家も多い。
なお山本周五郎は直木賞の受賞を辞退した(第17回)という経歴があるためか、直木賞を既に獲っている作家が候補に挙がることはない。直木賞とのダブル受賞を達成したのは、熊谷達也『邂逅の森』(第17回)、佐藤究『テスカトリポカ』(第34回)、永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(第36回)の3作(いずれも山本賞受賞が先)。
宮部みゆき『火車』や森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』など、直木賞落選作が山本賞を受賞する、もしくは山本賞受賞作が直木賞で落選するパターンも多いが、池井戸潤『下町ロケット』のように稀に山本賞落選作が直木賞を獲ることも。
吉川英治文学新人賞と違い、年齢制限的なものは特にないようだ。最年少受賞は吉本ばななの24歳、最年長受賞は梁石日の61歳。
2010年には芥川賞・直木賞に先駆けて授賞式のニコニコ生放送での公式中継を行った。2011年にも受賞会見と授賞式の中継を行ったが、2012年以降は行われていない。
2019年度の第33回選考会は新型コロナウイルスの影響のため従来の5月ではなく、秋に行われることとなった。
大百科に記事のある受賞作
大百科に記事のある受賞作家
詳しい受賞作・候補作リストはWikipediaか「直木賞のすべて」の当該ページを参照。
- 佐々木譲 (第3回 『エトロフ発緊急伝』)
- 稲見一良 (第4回 『ダック・コール』)
- 船戸与一 (第5回 『砂のクロニクル』)
- 宮部みゆき (第6回 『火車』)
- 真保裕一 (第10回 『奪取』)
- 篠田節子 (第10回 『ゴサインタン 神の座』)
- 岩井志麻子 (第13回 『ぼっけえ、きょうてえ』)
- 中山可穂 (第14回 『白い薔薇の淵まで』)
- 京極夏彦 (第16回 『覘き小平次』)
- 恩田陸 (第20回 『中庭の出来事』)
- 森見登美彦 (第20回 『夜は短し歩けよ乙女』)
- 今野敏 (第21回 『果断 隠蔽捜査2』)
- 伊坂幸太郎 (第21回 『ゴールデンスランバー』)
- 貫井徳郎 (第23回 『後悔と真実の色』)
- 道尾秀介 (第23回 『光媒の花』)
- 小野不由美 (第26回 『残穢』)
- 米澤穂信 (第27回 『満願』)
- 湊かなえ (第29回 『ユートピア』)
- 佐藤究 (第34回 『テスカトリポカ』)
関連生放送
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 直木賞
- 芥川賞
- 吉川英治文学新人賞
- 本屋大賞
- 日本推理作家協会賞
- 江戸川乱歩賞
- 本格ミステリ大賞
- 柴田錬三郎賞
- 三島由紀夫賞
- 野間文芸新人賞
- 吉川英治文学賞
- 大藪春彦賞
- 山田風太郎賞
- 泉鏡花文学賞
- 中央公論文芸賞
- 吉川英治文庫賞
- 日本ミステリー文学大賞
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