岩浪美和とは、(いわなみ よしかず、1962年5月19日-)は、日本の男性音響監督。神奈川県横浜市出身。
概要
アロハシャツ・短パン・サンダルというラフな風貌でアフレコ現場を眺めているオジサンがいたら用心せよ。その男は十中八九音響監督として有名な岩浪美和その人である。
この道ウン十年(少なくとも90年代初頭には既に最前線で活躍している)の大ベテランであり、培ってきた人脈と経験を買われ、「このアニメは絶対にコケさせるわけにはいかない」というタイトルに起用されることが多い。また、『トランスフォーマーアニメイテッド』や『パンスト』では、自身が関わっていない初代・原典などのオリジナルキャストを招くといった荒業も披露している。
ちなみに、
・彼が担当した子供向け作品はキャラクターたちが最終回などに主題歌を合唱したりすることもある。きっかけは『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズ』。
・大のイヌ好き。
・アフレコ収録中は、声優のことを役名で呼ぶ。正式な役名ではなく好き勝手な渾名で呼ぶことも。
・アニメ業界を描いた『SHIROBAKO』では、岩浪氏は製作に関わっていないが、氏をモデルにしていそうな「稲浪良和」というキャラクターが登場する。一見ぶっきらぼうだが作品を真摯に大切にし、誰にも平等に接する素敵な音響監督として描かれているが、本人はツイッターにて「あんな格好よくないですって」と笑っている。
水島努監督作に多く参加しており、音響効果の小山恭正氏と組むことが多い。
DOLBY ATMOS、DTS:Xと言ったイマーシブサウンドでの制作に積極的であり、2019年10月現在邦画アニメでDOLBY ATMOS採用作品はHELLO WORLD、ガールズ&パンツァー最終章などを始め5作品あるが全て岩浪氏が制作に関わっている。編集時現在DTS:Xに至っては邦画作品で実写含みガールズ&パンツァー最終章のみとなっており、言わずとも岩浪氏が制作に関わっている。
近年の代表作はTYPE-MOON×ufotable制作作品(2015年まで)、A-1制作の「ソードアート・オンライン」シリーズ、「Fate/Apocrypha」、他には「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ、「プリンセス・プリンシパル」シリーズ、「この素晴らしい世界に祝福を!」「ガールズ&パンツァー」など。
声優無法地帯
岩波氏は時々海外アニメの吹き替えの脚色・監督を任されることがあるのだが、原作の内容が暗かったり難解だったりして「あっコレ視聴者にウケねーや」と判断した場合、ギャグマシマシに脚色するという手法を取る。これは自身が担当したテレ東版『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』にて(もともとギャグ成分多めであったのだが)アドリブ・ギャグ多めの脚色が大ウケしたことに端を発している。特に『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズ』シリーズにおいては、後に「声優無法地帯」と称されるほどのはっちゃけっぷりを見せた。
しかし、無法地帯といってもさすがに全面的に許しているわけではなく、話の根幹に関わる重要なセリフはギャグ改変を許さずしっかりしゃべらせるし、行き過ぎたアドリブにブレーキをかけたりもする。
例えば『ビーストウォーズ』および『ビーストウォーズメタルス』ではタカラ側から「コンボイだけは真面目にやってくれ」と言われて子安武人のアドリブ量を抑えさせたり、メガトロンが両腕をあげたシーンで「グリコー!」と叫んだ時はスポンサーにグリコがいないこともあって流石にNGにしたりしている。
また、『X-MEN』のような真面目な作品においては過剰なアドリブを要求したりもしていない(総集編でははっちゃけてるけど。あと千葉繁若干一名常時はっちゃけてた人もいる)。これにはプロデューサーから「今回は普通にやってくれ」と要請されたという事情もあったのだが、結果はというとCAPCOMの格ゲーこそヒットしたものの、玩具の売り上げは鳴かず飛ばずの大失敗になってしまった。
岩浪御大伝説
- 『ビーストウォーズ』では、日本語吹き替え独自の脚色を加えるということもあって、翻訳された内容を元に岩浪美和が脚本を執筆している。しかし岩田光央を初め台本通りのことを言わない人物だらけになったことで「こちとら半日考えてんのに……しかもそのアドリブで笑ってしまうのが悔しい(苦笑)」という理由から、台本に「フリートーク○秒」というものが多くなってしまったとか。
- 「もしビーストウォーズを普通にやっていたらここまでヒットしていなかっただろう」と語っている。事実『ビーストウォーズ』のおもちゃはこの脚色のおかげもあって日本では爆発的な売り上げを伸ばした。そのため旧来トランスフォーマーのファンに対しては、「シリアスなストーリーを望んでいたファンには申し訳ないとは思っているが、ビーストウォーズのヒットのおかげで日本におけるトランスフォーマー人気にまた火をつけられた」と弁解もしている。
- 『ミュータント・タートルズ』は、本来タカラトミーはまともに展開する気はなかった、というより日本ではそこまで成功しないだろうと考えていた。ところが岩浪美和主導によるテレビ東京版吹き替えは大好評を呼び、グッズが売れたため日本独自のお茶の間向けCMすら製作された。これに関してタカトミ内では「七不思議」として今でも語り継がれている。
- アメリカからの輸入アニメにおいては、「困ったら岩浪美和を使え」と言われるほど重宝されている(特にタカラトミー)。
- 『ジョジョの奇妙な冒険』では、岩浪氏の短パンからスラリと伸びる美脚が声優やスタッフの間で話題になり、本作の名台詞にちなんで「脚がグンバツの音響監督」と称された。小麦色の肌と、ほっそりとした健康的な脚線美は必見。ぜひググって頂きたい。
主な作品
インタビュー記事
- 『ガルパン』『サイコパス』『スパイダーバース』も 音響監督・岩浪美和に聞く、映画の音の作り方
- 「幼女戦記」音響監督・岩浪美和インタビュー ふたりの一騎打ちに音楽を一切つけていない理由とは!?
- 音響の魔術師・岩浪美和の音はなぜ響くのか? 「ニンジャバットマン」の“時空震サウンド”ができるまで
- 岩浪美和音響監督に聞く、劇場だからできたSAOの「迫力ある音」の秘密
関連項目
外部リンク
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