岸田文雄とは、自由民主党の衆議院議員(広島1区)である。第27代自由民主党総裁、宏池会会長。
令和3年10月4日の臨時国会で、第100代内閣総理大臣となる 。就任直後の衆院選2021にも勝利し、11月10日に引き続き第101代内閣総理大臣に就任した。
経歴
昭和57年、早稲田大学法学部卒業、同年日本長期信用銀行入社。
昭和62年、父・岸田文武衆議院議員の議員秘書となる[2] 。
平成4年に父の文武氏を亡くすと立候補することを決め[3] 、翌年平成5年、第40回衆議院議員選挙・広島1区にて衆議院議員に初当選する[4] 。
役職
平成20年、消費者問題調査局長、道路調査会副会長兼事務局長、団体総局長。
政務調査会長
平成30年4月12日の宏池会例会にて、安倍政権での森友・加計問題を始めとする行政や政治の信頼が揺らいでいることについて、「深刻に受け止めなければならない」、「政府においてしっかりと説明責任を果たしてもらわなければならない」と述べる。また韓国のイ・スフン駐日大使と会い、「南北会談、あるいは米朝首脳会談、これらを前にして日米韓の連携は重要である」、「今年はかつて小渕総理と金大中大統領が結んだ日韓パートナーシップ宣言20周年という節目の年」、「ぜひ日韓関係を前進していきたい」とのやり取りをしたことを報告をする[6] 。
同年5月24日の自民党財政再建特命委員会についての記者会見において、「2020年までのプライマリーバランス(PB)黒字化ということが困難になったが、PB黒字化という大きな目標は掲げ続け、そのために努力を続けていくということも選挙の公約として掲げた」、「政府においても今年の骨太の方針に向けて財政再建に向けての新たな目標、計画を明らかにするとしているが、党においてもぜひこの議論をしっかりリードしなければならない」と述べた[7] 。
同年10月11日宏池会懇談会にて、政務調査会改革として、総裁直属の79条機関の整理縮小を安倍晋三総理大臣に申し入れたことを報告した。また130ある組織の整理や部会の権限強化、ペーパーレス化を改革の柱にすると述べた[8] 。
平成31年1月10日ぶら下がり会見にて、韓国の文在寅大統領が年頭の記者会見を行い、日韓関係の悪化について「日本の政治家が政治争点化し、拡散させていることは賢明な態度ではない」と述べ、日本の対応に問題があるとの認識を示したことに対して[9] 、「求めているのは国際的な条約や約束について、しっかり守られるべきこと」、「国際法違反の状態を是正する責任は韓国側にある」。「今回の大統領の発言については、いま申しあげたような状況を踏まえたうえでの発言とは思えず、大変残念」と述べた[10] 。
閣内
平成13年、小泉純一郎内閣で文部科学副大臣。日韓サッカーワールドカップ開催に尽力[11] [12] 。
平成19年、第一次安倍改造内閣で内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方・国民生活・科学技術政策・再チャレンジ・規制改革担当)。
平成20年、福田康夫内閣で内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方・国民生活・科学技術政策・規制改革・消費者行政推進・宇宙開発担当)。
平成24年、第二次安倍内閣で外務大臣。その後、平成25年の安倍第二次改造内閣、第三次安倍内閣、平成27年の第三次安倍改造内閣、第三次安倍第二次改造内閣でも外務大臣を務める。
平成29年、憲政史上初となる外務大臣と兼任する形で防衛大臣に就任[13] 。
令和3年、9月29日に開催された自民党総裁選挙で総裁に就任し、10月4日に第100代目の内閣総理大臣に就任。翌11月10日に第101代総理大臣に就任。
外務大臣
平成25年1月28日、アメリカ合衆国のヒラリー・クリントン国務長官と日米外相会談を行う。その中で、バラク・オバマ大統領のアジア太平洋地域重視の姿勢を歓迎する旨述べ、在日米軍について現行の日米合意に従って進め、TPPについては緊密な連携、「2030年代に原発稼働をゼロにする」との前の野田佳彦政権の方針については再検討が必要、国際的な子の奪取に関するハーグ条約に早期の国会承認を目指すことで一致した[14] 。
同年8月6日、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式に安倍晋三首相、田村憲久厚生労働大臣と共に参列。その後被爆者代表らと話し合いをした[15] 。8月9日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に安倍首相、田村厚生労働大臣と共に参列。同じ日に、同年4月に自身が立ち上げを表明した「ユース非核特使」の委嘱式を行う[16] 。
平成26年4月11日及び12日,広島において,軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)広島外相会合が開催され、議長として参加。「核兵器のない世界」を目指し、NPT運用検討会議の成功させることを宣言した[17] 。
平成27年6月3日、UN Womenのインタビューに答え、同組織の中核予算に約500万ドル、非中核予算(プログラム・プロジェクト)に1400万ドル以上を拠出したと述べた。インタビューの中で安倍晋三首相の「ジェンダー平等に取り組んでUN Womenの有力拠出国になりたい」というメッセージを強調した[18] 。
平成27年12月28日、韓国の尹炳世外交部長官と会談。日本軍従軍慰安婦問題について、当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している旨を伝えた[19] 。
平成28年5月17日、訪日したオバマ大統領を、平和記念資料館前において,湯崎英彦広島県知事,松井一實広島市長らと共に、出迎えをする。資料館はオバマ大統領に、岸田大臣から,資料館の概要及び佐々木禎子さんの折り鶴を含むいくつかの展示物について説明をする[20] 。
平成29年11月27日及び28日に、広島市で有識者を招いた、核軍縮の実質的な進展のための賢人会議第1回会合を開催する[21] 。
ポスト安倍
2017年9月14日、母校・私立開成高校OBの国会議員やキャリア官僚らでつくる同窓会「永霞会(えいかかい)」の設立総会が開かれ、会長に就いた。同会は、岸田総裁誕生への布石と見られている[22] 。
2018年9月、安倍晋三氏が自由民主党総裁に再任されたことで、2021年9月末まで最長で安倍内閣が続くこととなり[23]、その後の総理総裁候補が争われている [24] 。なお2018年自由民主党総裁選に出馬しなかったのは、安倍総裁からの“禅譲”の約束があったからだとされている[25] [26] 。
2018年11月10日付の産経新聞のインタビューに答え、「(広島東洋)カープも次を目指してもらって、私も『次』を頑張ります」とポスト安倍への意欲を見せている[27] 。
2020年の安倍総理の体調悪化による退陣後の自民党総裁選に出馬するも、菅義偉に敗れ、ポスト安倍を達成する事は出来なかった。
2021年9月の菅総理の自民党総裁選不出馬を受けての自民党総裁選に改めて出馬。事前の調査では河野太郎が有利と言われていたが、ふたを開けてみれば岸田文雄が1回目の投票でも1位を獲得、決選投票でも勝利をおさめ、第27代自民党総裁に選ばれた。2021年10月4日には臨時国会で第100代総理大臣にも選ばれ、2017年から5年越しの自民党総裁就任=総理大臣就任=ポスト安倍達成となった。
第100代総理大臣として
第49回衆議院議員総選挙
総理大臣就任直後の10月14日に、4年の任期が間近に迫っていた衆議院を解散。第49回衆議院議員総選挙(衆院選2021)が10月19日公示、10月31日投開票の日程で行われた。総理大臣としての仕事を全くしていない状態での衆議院選挙は異例であるが、実質的な岸田内閣の信任投票となる。
野党の立憲民主党などによる野党共闘による候補者一本化などが話題となり、事前予想では選挙前の自民党の276議席から大幅な減少も予想され、自民党としての勝利条件が連立与党での過半数とされたが、ふたを開けてみれば自民党が261議席を得ての15席減と微減にとどまり、自民党単独での過半数、絶対安定多数を確保。連立与党では293議席確保、逆に立憲民主党は選挙前109議席から選挙後96議席に減らした。岸田首相は国民の信任を得たと勝利を宣言した。
第101代総理大臣として
衆院選2021の勝利を経て、11月10日に第101代総理大臣として選出され、第二次岸田内閣を組閣した。
新型コロナウイルスオミクロン株への対応について
2021年11月29日に、南アフリカ共和国で発見された新型コロナウイルスオミクロン株の対策として外国人の一時的入国停止する方針を打ち出した。
日本では秋以降急速に新型コロナウイルスの脅威は収束していたが、新しく発見された変異株に対して世界がいっせいに警戒を強める中、岸田首相も素早い対応となった。
しかし、年が明けて2022年になるとオミクロン株が日本でも流行し、新型コロナ第6波となって多数の感染者が出てしまった。岸田首相は3回目のワクチン接種の遅れなどで非難されることとなる。
2022年ウクライナ危機に関して
2022年2月に発生したロシア軍のウクライナ侵攻に関して、世界各国はロシアへの制裁措置を続けざまに発表した。日本も岸田首相自ら制裁を行うことに言及し、すみやかな制裁が実施された。
侵攻開始から1年が経過した2023年3月には、侵攻が続く中のウクライナを訪問し、引き続きの支援を続けることを約束し、「必勝しゃもじ」ほかの激励の品を送った。
安部晋三襲撃事件と国葬儀
2022年7月8日に安部晋三元首相が演説中に銃撃され死亡するという事件が発生した。
岸田首相は安部元総理の国葬を行うことを決定し、自らが葬儀委員長を務めた。国葬儀は9月27日に実施された。
異次元の少子化対策
2023年1月の所信表明演説では「異次元の少子化対策」を打ち出した。
岸田文雄襲撃事件
2023年4月15日、和歌山県での応援演説中に手作りのパイプ爆弾を投げつけられるという襲撃を受けた。幸いにもけがなどはなかったが、前年の安部晋三銃撃事件の記憶が鮮明な中の事件ということで大きな話題となった。
広島サミット
2023年5月19日~21日に広島市でサミット(先進国首脳会議)が開催され、岸田首相は開催国として議長を務めた。今回のサミットにはウクライナのゼレンスキー大統領が来日して出席するというサプライズもあった。
長男の不祥事
2023年5月に首相秘書官に任命していた長男・岸田翔太郎が首相公邸内で親族の忘年会を開催し、不適切な写真撮影などを行ったなどの報道が出された。
岸田首相は当初は厳重注意に留めたが、その後、6月1日付で首相秘書官を更迭するに至った。
物価高対策
長引くロシアによるウクライナ侵攻や、円安傾向が続いているため、2022年から2023年の日本の物価は値上がりが続いている。岸田内閣は2023年11月時点では有効な手立てを実行できておらず、支持率低迷の一因となっている。
内閣改造
政策
- 政治理念として、「世界で唯一の戦争被爆国である日本は、これまでもこれからも平和国家として歩みます。私はその歴史を受け継」ぐことを謳っている[28] 。
- 財政政策 - 2018年3月21日、クレディ・スイスが香港で開いた「アジア投資会議」の中で、「今の日本の状況を考えるともう少し真剣に取り組む必要がある」、日銀の金融緩和は「いつまでも続けることは難しい。出口の時期を考えることが大事だ」、2019年10月の10%への消費増税は「当然考えなければならない」と語り、予定どおり実施すべきだという考えを示した。[29] 。
- 外交・安全保障 - 自身の発行する機関誌の中で、「近年は強いリーダーシップ、米国中心外交、タカ派的体質が強調される」「それぞれの意義を否定するものではないが、要はバランスが大切」「謙虚さを忘れた権力は独裁者に」「日本にとって米国は大変重要な存在。しかし将来を見据えた場合、中国の存在を無視することは出来ない。日米中三ヵ国の関係のバランスが重要」「武器輸出三原則、集団的自衛権等に関しても勇ましい発言が目立つが、もう少ししっかりとした吟味が必要」と語っている[30] 。
- 憲法改正 - 国民主権と基本的人権の尊重と平和主義の3原則を変えることはないが、「自衛隊」というものを、憲法の中にしっかり明記する必要がある。他に、緊急事態対応、教育無償化、参議院の合区について議論を行い、国民の理解を得る必要があるとしている。日本国憲法9条をめぐる議論については「今の憲法においても、私は自衛隊は合憲だと思っています。今の憲法でも、平和安全法制は合憲だと思っています」「9条2項まで外してしまうということになると、私の立場からは少し離れてしまう」と述べている[31] 。
- 集団的自衛権 - 「集団的自衛権は他国を守ることではなく、あくまで自国を守るための権利」「誤解が起こる一因としては、集団的自衛権行使についての議論と共に集団的安全保障やPKOの議論がごちゃまぜになって行われていることが挙げられる」[32] 。
- 核武装 - 「国際的な核不拡散体制は、NPT条約(核拡散防止条約)を基本に考えられている。日本が核武装するということになれば、この大前提が崩れてしまう。日本が戦後ずっと築き上げてきたこの体制を崩すようなことは考えてはならない。唯一の戦争被爆国である日本ならなおさらだ。国民感情からしても核保有はありえない」[33] 。
- 北方領土 - 北方領土でのロシアとの共同経済活動は北方四島返還につながる[34] 。
- 辺野古新基地建設 - 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場を同県名護市辺野古に移設する計画を巡っての政府と沖縄県の対立は、沖縄県が譲歩すべき[35]。
- いじめ - 「ルールに基づいたけんか」を通して、いじめをなくしていく[36] 。
- コンテンツ - 平成16年に「青少年等に及ぼす影響について十分配慮する」責務を定める規定を盛り込んだ「コンテンツ創造促進法」を議員立法で制定[37] 。平成19年に「映画の盗撮の防止に関する法律」を議員立法で制定[38] 。
その他
関連動画
関連チャンネル
関連項目
第99代 | 第100代、第101代 |
菅義偉(自由民主党) 2020~2021 |
岸田文雄(自由民主党) 2021~現職 |
脚注
- *自由民主党公式サイト 岸田文雄
- *Yahoo!みんなの政治 岸田文雄
- *岸田文雄公式サイト 季刊誌『翔』@web vol.Special 02
- *国会議員白書 岸田文雄
- *岸田文雄公式サイト 経歴
- *4月12日宏池会例会 岸田文雄公式サイト
- *自民党財政再建特命委員会についての記者会見 岸田文雄公式サイト
- *宏池会挨拶-党政調改革- 岸田文雄公式サイト
- *韓国大統領が日本批判「政治家が争点化、賢明ではない」 朝日新聞 2019年1月10日12時30分
- *韓国大統領の発言を受けて 岸田文雄公式サイト
- *自由民主平成15年7月8日
- *季刊誌『翔』@web Vol.24
- *岸田文雄公式サイト 経歴
- *日米外相会談 岸田文雄公式サイト
- *広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式への岸田外務大臣の参列 岸田文雄公式サイト
- *岸田外務大臣の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典への参列及び「ユース非核特使」委嘱式の実施 岸田文雄公式サイト
- *第8回NPDI外相会合(広島) 岸田文雄公式サイト
- *パートナープロフィール:岸田文雄 外務大臣とのインタビュー 認定NPO法人「国連ウィメン日本協会」
- *日韓外相会談(日韓合意) 岸田文雄公式サイト
- *オバマ米国大統領の広島訪問 岸田文雄公式サイト
- *核軍縮の実質的な進展のための賢人会議第1回会合における議論概要 外務省
- *「岸田文雄首相」目指し母校応援団 永田町・霞が関の開成高OB会発足 中央官庁に多勢 利害も一致 産経新聞 2017年9月15日00時00分
- *在任、来年最長更新も 歴代通算、戦前の桂太郎超え
- *石破・岸田・野田「ポスト安倍」達は今…総理の座に向けた3者3様の戦略 FNN PRIME 2018年12月20日 午後5:00
- *岸田氏、優柔不断の果てに出した「撤退宣言」 首相の「禅譲」に望み託すが、先は視界不良 東洋経済オンライン 2018年7月25日21時40分
- *岸田文雄は、なぜ立たぬ NHK政治マガジン
- *【政界徒然草】自民、岸田文雄氏「ポスト安倍」へ活発 政調3本柱の戦略 産経新聞 2018年11月16日01時00分
- *メッセージ 岸田文雄公式サイト
- *自民・岸田氏、財政再建「もう少し真剣に」 日本経済新聞 2018年3月21日14時47分
- *季刊誌『翔』vol.31
- *憲法9条2項の削除は「いかがなものか」自民党・岸田文雄政調会長が憲法改正を語る BLOGS編集部 2018年3月21日10時12分
- *岸田外務大臣講演会 中央大学新聞 2014年6月24日
- *「核保有はありえない」 岸田文雄自民党政調会長(前編)Japan In-depth 2017年9月12日
- *第48回衆院選 自民 広島1区 岸田 文雄 - 毎日新聞
- *第48回衆院選 自民 広島1区 岸田 文雄 - 毎日新聞
- *自由民主平成15年7月8日
- *コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律 岸田文雄公式サイト
- *「映画の盗撮の防止に関する法律」 岸田文雄公式サイト
- *広島マツダスタジアムで始球式
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