「島津忠良」(しまづ・ただよし 1492 ~ 1568)とは、「薩摩の聖君」として崇められる戦国時代の薩摩国の武将であり、隆盛の基盤を作った島津家中興の祖として所謂戦国大名としての島津家の初代とされる傑物である。
入道して「日新斎(じっしんさい)」と名のる。
※「信長の野望」では、登場年代により「島津忠良」または「島津日新斎」の名で登場する。
子に長男・貴久、次男・忠将、三男・尚久の三兄弟と、その姉にあたる御南(肝付兼続室)らがいる。
概要
薩摩島津家の支族である伊作島津家の島津善久と美貌と教養を併せ持つ才媛として名高い「常盤」こと梅窓夫人の間に生まれる。
父の死後、母の機転により海蔵院の頼増和尚の元で教育を受け、長じて相州島津家の養子となって伊作・相州両家を合わせて領し、仏教・儒学・政治学等諸々を学んで、人道を守り領民に善政を施した事で名声を得た。
長男・貴久を本家に養子入りさせ、守護職を継がせると後見として共に薩摩統一の為に元宗家の島津勝久や仇敵島津実久と争い、重臣・伊集院忠朗と共に島津家の奥義となる「釣り野伏」を考案して奮戦し、十年を越える激しい抗争の末、薩摩を平定して貴久を本家の当主に据え、天文19年(1550年)に加世田に隠居。幕府と朝廷が貴久を正式に当主として承認したのはその2年後の事だった。
隠居後も実権を握り続けて「麓(ふもと)」と呼ばれる城下町を整備したり、養蚕等の産業を奨励して仁政を敷いたほか、家臣団や孫の義久・義弘・歳久・家久四兄弟の育成に励み、家臣が規律と団結を理解しやすく覚えやすいようと教育の基本をいろは順に歌にした所謂「日新公いろは歌」を創作した。
「大将たる者は腹を据えて動じないことが、勝利の根本である。」
「戦いで、たとえ緒戦に敗れても、後の締めくくりが肝心である。
と前線の司令官としての心得を説いて兄弟の立ち位置を明示し、身内の争いで没落した島津家に内紛が起きぬように教育する等、その後の島津氏隆盛の基礎を作り出した事から「島津家中興の祖」と呼ばれ、以降の島津家中に大きな影響力を与えた。
その後、孫の島津義久・島津義弘・島津歳久が初陣で戦功を上げるといった島津家の未来を託す者達の成長を見守りつつ加世田で没した。
~島津忠良(島津日新斎)辞世の句~
「急ぐなよ 又とどまるな 吾が心 定まる風の 吹かぬかぎりは」
※その他「島津忠良」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。
戦国大戦
『時代を変える新たな戦術、見せてやるわ』
戦国大戦にもVer1.20の島津家として参戦。武力6統率9と軍師的な配分の鉄砲隊だが特技は制圧・防柵・車撃と自重せず3つ持っている。正直蜂須賀小六が可哀相。
計略の「攻城射撃の采配」は味方の武力を上げ、更に鉄砲隊は射程距離が伸び、敵城門を鉄砲で撃てるようになる。撃つと敵城に触れずして直接ダメージを与えられる、のだが1射撃で与えられるダメージは雀の涙。流石に複数部隊で撃ち続ければそれなりに減る、がそもそもそんなことができる状況なら直接城殴った方が早い事が多い。
計略の影響かかなり戦国大戦では出現率・使用率共に低い。つーかサブ計略なら同コストに島津歳久がいるから…
忠良作の和歌
敵味方問わず戦没者を供養する為に南無阿弥陀仏を頭にすえて歌った和歌
南 | 何事も 何事もみな 南無阿弥陀 なお討ち死には 名をあぐるかな |
無 | 無益にも むつかしき世に うば玉の 昔のやみの 報ひはるらん |
阿 | あしき世に あらゆる物も あしなれば あからさまにも あらじ身の果て |
弥 | 南には 弥陀観音の 御座あれば 身まかる時も 誰かのこらん |
陀 | 誰にかも 誰ぞと問はん 誰しかも 誰かは独り 誰かのこらん |
仏 | ふつふつと ふつと世も 身もふつきりと ふつとくやしく ふつと悲しも |
日新公伊呂波歌
文武を極め、善政を敷いて「薩摩の聖君」と崇められる島津忠良が、家臣の教育の為に自らが修めた儒教を規範とする教育論を解りやすく覚えやすくする為に創りだしたものが所謂「日新公いろは歌」であり、後の薩摩藩においても、藩士の郷中(ごじゅう)教育の規範となった。
※この歌集は、以下のサイトを参考に掲載されております。また、大意は一行に編集した際に意味が変わっている可能性があります。詳細は下記サイトで更に確認して下さい。
→島津日新公いろは歌
→島津義弘.com 日新公いろは歌について
【い】 | いにしへの道を聞きても唱へても わが行にせずばかひなし |
(大意)古の賢者の立派な教えや学問は口に唱えるだけで無く、実践実行する事が大事である。 | |
【ろ】 | 楼の上もはにふの小屋も住む人の 心にこそはたかきいやしき |
(大意)豪邸に住む者も、粗末な小屋に住む者も、その価値は心が清く正しいかで決まる。 | |
【は】 | はかなくもあすの命をたのむかな 今日も今日もと学びをばせで |
(大意)勉学を明日に引き伸ばさず、今この時を大事にして毎日毎日勉学に励むべし。 | |
【に】 | 似たるこそ友としよければ交らば われにます人おとなしき人 |
(大意)友人を選ぶ時は、自分と合う人よりも自分より優れた見識を持つ人を友とするのが良い。 | |
【ほ】 | ほとけ神他にましまざず人よりも 心に恥じよ天地よく知る |
(大意)天地神仏は己の心の中にあるので、他人が知らぬからと恥知らずな事をしてはいけない。 | |
【へ】 | 下手ぞとて我とゆるすな稽古だに つもらばちりも山とことのは |
(大意)自分が色んな事に下手だと卑下して努力を怠ってはならない。塵も積もれば山となる。 | |
【と】 | 科(とが)ありて人をきるとも軽くすな いかす刀もただ一つなり |
(大意)罪人を斬る際は軽々しく行ってはいけない。人を殺す剣も活かす剣も心一つで決まる。 | |
【ち】 | 知恵能は身につきぬれど荷にならず 人はおもんじはずるものなり |
(大意)知恵や芸能は身に付けても重荷にならない、人はそれを見て尊敬し及ばぬ事を恥じる。 | |
【り】 | 理も法もたたぬ世ぜとてひやすき 心の駒の行くにまかすな |
(大意)道理が通らず法も守られぬ乱世にあっても、己一人心を奮い起こして正義と人道を守れ。 | |
【ぬ】 | ぬす人はよそより入ると思うかや 耳目の門に戸ざしよくせよ |
(大意)盗人は耳や目から入ってくる物だ。目や耳によく戸締りして誘惑を退けよ。 | |
【る】 | 流通すと貴人や君が物語り はじめて聞ける顔もちぞよき |
(大意)自分がどれだけ詳しくても目上の人が話す時は、初耳という顔で聞くと良い。 | |
【を】 | 小車のわが悪業にひかされて つとむる道をうしと見るらむ |
(大意)人は己の怠惰な心に引かれ易い。自身の職分に忠実にまじめに務めるべし。 | |
【わ】 | 私を捨てて君にしむかわねば うらみも起こり述懐もあり |
(大意)主君に仕えるには我を捨てて一身を捧げよ。そうしなければ恨み辛みや不平不満が出る。 | |
【か】 | 学問はあしたの潮のひるまにも なみのよるこそなおしずかなれ |
(大意)学問に朝も昼も無い。夜は静かなので最も良い。時間を惜しまず励むべし。 | |
【よ】 | 善きあしき人の上にて身をみがけ 友はかがみとなるものぞかし |
(大意)自省は難しいが、他人の善悪はよく分かる物だ。友人を見て習い、悪い事は反省せよ。 | |
【た】 | 種となる心の水にまかせずば 道より外に名も流れまじ |
(大意)私利私欲に任せて行動すると人道を外れ悪評が立つ。この悪の種を刈り取り正道を行え。 | |
【れ】 | 礼するは人にするかは人をまた さぐるは人をさぐるものかは |
(大意)人に礼を尽くすとは、己を正しくして己を敬う事である。天を敬って己を慎む心を養え。 | |
【そ】 | そしるにも二つあるべし大方は 主人のためになるものと知れ |
(大意)臣下の陰口には主を思う物と自己の利害の為の物がある。それを良く判断し反省すべし。 | |
【つ】 | つらしとて恨みかえすな我れ人に 報い報いてはてしなき世ぞ |
(大意)相手からの恨みを返しても連鎖するだけなので、恨みには徳を持って対処すべきである。 | |
【ね】 | ねがわずば隔てもあらじいつわりの 世にまことある伊勢の神垣 |
(大意)不正をもって偽りの対処をしても天は見ているので、誠をもって対処すべし。 | |
【な】 | 名を今にのこしおきける人も人も 心も心何かおとらん |
(大意)後世に名を残した偉人とて同じ人間、及ばぬと諦めず奮起して頑張る事が必要である。 | |
【ら】 | 楽も苦も時すぎぬれば跡もなし 世に残る名をただおもうべし |
(大意)楽しみも苦しみも永遠ではなく事が過ぎれば跡形もない。後世に名を残す事を心がけよ。 | |
【む】 | 昔より道ならずしておごる身の 天のせめにしおわざるはなし |
(大意)昔から道に外れて驕る者は必ず天罰を受ける。驕らず神を敬い教えを守るべし。 | |
【う】 | 憂かりける今の身こそはさきの世の おもえばいまぞ後の世ならむ |
(大意)嫌な事の多い現世は前世の報いなので、来世の為に現世の行いを大切にせよ。 | |
【ゐ】 | 亥にふして寅には起くと夕霧の 身をいたずらにあらせじがため |
(大意)朝早く起きて夜遅く休むのも勤めを果たす為であり、時間を惜しんで勤労すべきである。 | |
【の】 | のがるまじ所をかねて思いきれ 時にいたりて涼しかるべし |
(大意)常日頃から覚悟を決めておけば、万一の時の未練が無く涼やかでいられる。 | |
【お】 | 思ほえず違うものなり身の上の 欲をはなれて義をまもれひと |
(大意)人は私利私欲の闇に迷い込み易いので、私欲を取り去って事を行い義を守るべきである。 | |
【く】 | 苦しくとすぐ道をいけ九折の 末は鞍馬のさかさまの世ぞ |
(大意)苦しくても道を曲げる様な悪事を行わず、心真っ直ぐに正道をあるくべし。 | |
【や】 | やわらぐと怒るをいわば弓と筆 鳥と二つのつばさとを知れ |
(大意)穏やかさと怒りは文と武に例えられ、鳥の両翼の様にどちらも欠く事はできない物だ。 | |
【ま】 | 万能も一心とあり事ふるに 身ばしたのむな思案堪忍 |
(大意)「万能一心」と言うが、万能に達しても一心が悪ければ無意味なので良く思案すべし。 | |
【け】 | 賢不肖用い捨るつという人も 必ずならば殊勝なるべし |
(大意)賢者を登用して愚者を遠ざけよと唱え、有言実行出来るなら素晴らしいが実際は難しい。 | |
【ふ】 | 無勢とて敵をあなどることなかれ 多勢と見ても恐れずべからず |
(大意)小勢だからと侮らず、大勢だからと恐れるな。一致団結すれば大敵とて破る事はできる。 | |
【こ】 | 心こそ軍する身の命なれ そろゆれば生きそろわねば死ぬ |
(大意)自軍の心が一つに纏まれば生き、揃っていなければ敗れ死ぬだろう。 | |
【え】 | 回向(えこう)には我と人とをへだつなよ 看経はよししてもせずとも |
(大意)読経せずとも良いので、敵味方の分け隔て無く死者を弔い、等しく祈るべし。 | |
【て】 | 敵となる人こそはわが師匠ぞと おもいかえして身をもたしなめ |
(大意)自分にとっての敵を師と思えば、反面教師として手本が見えてくる。自重自戒せよ。 | |
【あ】 | あきらけき目も呉竹のこの世より 迷わばいかに後のやみぢは |
(大意)光溢れる現世でさえ迷うのに、死後の真っ暗闇ではより迷う。仏道を修め悟りを開け。 | |
【さ】 | 酒も水ながれも酒となるぞかし ただなさけあれ君がことの葉 |
(大意)酒を与えても結果は人次第。人の上に立つ者は思いやり深く、情け深くあるべし。 | |
【き】 | 聞くことも又見ることも心がら 皆まよいなりみな悟りなり |
(大意)見聞きする物は受け取る側の心がけ次第。優れた物を受け入れる心構えをせよ。 | |
【ゆ】 | 弓を得て失うことも大将の 心一つの手をばはなれず |
(大意)士卒からの信頼を得るも失うも、ただ大将の心配り一つに懸かっている。 | |
【め】 | めぐりては我身にこそは事えけれ 先祖のまつり忠孝の道 |
(大意)先祖を敬い忠孝を尽くす事が何れ自分に帰ってくる様励むべし。 | |
【み】 | 道にただ身をば捨てんと思いとれ かならず天のたすけあるべし |
(大意)正道と思う道であれば一身を捨てて進め、そうすれば必ず天が助けてくれる筈である。 | |
【し】 | 舌だにも歯のこわきをば知るものを 人はこころのなからましやは |
(大意)舌が触れる歯の硬さを知っている様に、交流を持つ相手の心構えを用心すべし。 | |
【ゑ】 | 酔(ゑ)へる世をさましもやらでさかずきに 無明の酒をかさむるはうし |
(大意)迷う事の多い世の中を迷いながら歩くのは情け無い。まっすぐ先を見据えて歩くべし。 | |
【ひ】 | ひとり身あわれと思え物毎に 民にはゆるすこころあるべし |
(大意)頼る者が無い老人・孤児・寡婦に情けをかけて労らう様に、仁慈の心で寛大に接すべし。 | |
【も】 | もろもろの国や所の政道は 人にまずよく教えならわせ |
(大意)治める国や村の掟はしっかり民に教えよ。怠って罰を受ける者を出すのは不仁である。 | |
【せ】 | 善にうつり過れるをば改めよ 義不義は生まれつかぬものなり |
(大意)善に移り、過ちは改めよ。義不義は生来の物ではないので悪いと気付けばすぐ改めよ。 | |
【す】 | 少しを足れりとも知れ満ちぬれば 月もほどなく十六夜の空 |
(大意)満月の後の十六夜の如く、少し足りない程度を満足として楽しむ心が大事である。 |
関連動画
※「信長の野望」シリーズに島津忠良または島津日新斎の名で登場している。
▼「信長の野望 天下創世」の総合ランキングでは堂々の7位。さすが全能力80オーバー。
▼「信長の野望 天下創世」のお館さま(統率+政治)ランキング10位。
補足
「信長の野望」シリーズでの島津忠良(島津日新斎)の能力一覧。
正に「島津家中興の祖」「薩摩の聖君」の渾名に相応しい万能振り。「革新」以降は息子の貴久同様武勇が平均より少し上程度に止められているが、配下や孫達がそれを補って有り余る猛者揃いなので戦闘面で苦労はしないだろう。
また、初登場の「覇王伝」では鎧武者姿の中年風だったが、「天翔記」で月代を剃った白髪の老人風、「嵐世記」と「蒼天録」では白髪の老人風だが髪型が総髪に代わり、「天下創世」「革新」では再び月代頭に戻るが髪が黒くなり、代わりにヒゲを生やしている。そして「天道」ではまた総髪になり、「創造」以降は尚古集成館所蔵の肖像画がモデルの僧形の物が用いられ…と顔グラの変遷がかなり激しい人物でもある。
どの道言える事は「南のチート爺は伊達じゃない!」それに尽きると言う事か。
作品名 | 軍事能力 | 内政能力 | |||||||||||||||
全国版 | 知能 | - | 健康 | - | 魅力 | - | 野心 | - | 運 | - | |||||||
戦国群雄伝(S1) | 戦闘 | - | 政治 | - | 魅力 | - | 野望 | - | |||||||||
武将風雲録(S1) | PC | 戦闘 | - | 政治 | - | 魅力 | - | 野望 | - | 教養 | - | ||||||
DS | 戦闘 | - | 政治 | - | 魅力 | - | 野望 | - | 教養 | - | |||||||
覇王伝 | 采配 | 92 | 戦闘 | 83 | 智謀 | 79 | 政治 | 90 | 野望 | 70 | |||||||
天翔記 | 戦才 | 158(A) | 智才 | 170(A) | 政才 | 182(A) | 魅力 | 88 | 野望 | 70 | |||||||
将星録 | 戦闘 | - | 智謀 | - | 政治 | - | |||||||||||
烈風伝(※) | 采配 | 74 | 戦闘 | 53 | 智謀 | 86 | 政治 | 79 | |||||||||
嵐世記 | 采配 | 92 | 智謀 | 93 | 政治 | 94 | 野望 | 92 | |||||||||
蒼天録 | 統率 | 80 | 知略 | 82 | 政治 | 85 | 野心 | 89 | |||||||||
天下創世 | 統率 | 84 | 知略 | 80 | 政治 | 81 | 教養 | 83 | |||||||||
革新 | 統率 | 83 | 武勇 | 59 | 知略 | 91 | 政治 | 96 | |||||||||
携帯版 | 戦才 | - | 智才 | - | 政才 | - | |||||||||||
天道 | 統率 | 83 | 武勇 | 59 | 知略 | 91 | 政治 | 93 | |||||||||
創造 | 統率 | 77 | 武勇 | 60 | 知略 | 84 | 政治 | 88 | |||||||||
戦国立志伝 | 統率 | 77 | 武勇 | 60 | 知略 | 84 | 政治 | 88 | |||||||||
大志 | 統率 | 78 | 武勇 | 59 | 知略 | 88 | 内政 | 89 | 外政 | 83 | |||||||
新生 | 統率 | 77 | 武勇 | 63 | 知略 | 89 | 政務 | 93 |
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