工業高校とは、工業や産業に関する学科が置かれている高校(高等学校)の総称である。
工業高等学校ともいう。
概要
主に工業や産業について学ぶ高校の総称。都道府県によっては工科高校(工科高等学校)、総合技術高校(総合技術高等学校)、科学技術高校(科学技術高等学校)などとも呼ばれる。
普通科に比べて英語や数学などの一般教科の授業が少ない代わりに、専門教科の授業や実習が多いのが特徴である。
学校にもよるが入学試験は普通科に比べて簡単である(合格しやすい)ことが多く、偏差値40〜50くらいの学校が多い。ただし稀に偏差値55程度のそこそこ難しい工業高校もある。逆に偏差値40未満の底辺校も少ない(底辺校は普通科が多い)。
ちなみに名門校と言われる工業高校は偏差値50前後〜50台前半くらいであるところが多い。
近年は学校数が減少傾向にあり、他の実業高校(農業高校、商業高校など)と統合するところや、普通科や総合学科に転換するところもある。
特に大学進学率が高い首都圏などでは工業高校の人気はお世辞にも高いとは言えず、偏差値が低くなりがちだったり真っ先に統廃合の対象となったりすることも珍しくない。逆に大学進学率が低い地域では工業高校の偏差値が意外と高かったりすることが多い(特に東北地方ではこの傾向が目立つ)。
工業高校のメリットとデメリット
メリット
工業高校のメリットとしては、以下のようなことがあげられる。
- 国家資格を含めた各種資格の取得に力を入れている。業務独占資格や必置資格であれば特に強い。
- 普通科に比べて就職に強く、成績優秀者は大企業や公務員も狙える。
- マナー教育が充実しているため、礼儀正しい人間になれる…かも?
- 景気が良い地域の工業高校であれば、地元の大きな工場などを狙いやすい。
- (そもそも普通科や商業科などにも言えることではあるが)卒業すれば高卒資格は手に入るので、中卒よりは就職先の選択肢が広がる。
デメリット
一方で、工業高校には以下のようなデメリットも存在する。
- 専門教科や実習に興味が無いと地獄。最悪の場合、単位を落とす(留年する)危険性も…。
- 取れたら新聞に名前が載るレベルの難関資格を取れる生徒はごく一部である。
- 一般教科の授業は卒業に必要な最低限の単位しかやらない場合が多いので、(推薦入試はともかく)一般入試だと大学受験はほぼ絶望的。
- 大企業や公務員といった待遇の良い就職先が見つかるのは成績上位者くらいで、多くの卒業生はそれほど待遇が良くない中小企業や零細企業などに就職している。離職率も決して低くはない。
- 就職しやすさはその地域の経済状況によっても大きく左右される。
- (マナー教育がしっかりしていることの裏返しとなるが)校則が厳しいので退学者も少なくない。
主な学科
機械科
主に機械の設計や施工などについて学ぶ。金属加工や組み立て、溶接の他、製図やCADについても学ぶ。
ほとんどの工業高校に設置されており、工業高校で最もメジャーな学科の一つである。
実習では危険な作業が多いため、少しでもふざけていると冗談抜きで先生に怒られる。今でも鉄拳制裁が普通にあるという噂も…。
電気科
主に第二種電気工事士の資格取得を目指す。優秀な生徒は第一種電気工事士や第三種電気主任技術者(電験三種)といった難関国家資格も目指す。
成績優秀者であれば大手電力会社への就職も狙える。
電子科
主に電子機器の製作や情報技術について学ぶ。はんだ付けとプログラミングができないとキツいかも…。
取得を目指す主な資格としては無線従事者や工事担任者、ITパスポートなどがあげられる。優秀な生徒は基本情報技術者などの難関国家資格も目指す。
学校によっては基本情報技術者試験の科目免除制度が使えるところもある。
土木科
主に土木の設計や施工などについて学ぶ。学校によっては建築科と統合されていることも。
取得を目指す資格としては測量士補などがあげられる。また、卒業後に実務経験を積むことで土木施工管理技士の資格も目指せる。令和2年度からは特定の科目を履修して卒業することで二級建築士試験の受験資格を得ることもできるようになった。
工業化学科
物理学重視の工業高校の中では珍しく、化学をメインに勉強する学科。他の学科はほぼ男子ばかりだが、ここは女子生徒もそこそこ多い。
自動車科
卒業すると三級自動車整備士国家試験の受験資格が得られる。ただし、設置されている高校は非常に少ない。
鉄道科
鉄道について学べる学科。日本全国にわずか2校しか存在しない。
ニコニコ大百科に個別記事がある工業高校
その他
週刊少年ジャンプの漫画『スラムダンク』のラスボス的存在である山王工業高校のモデルは、秋田県立能代工業高等学校(現・秋田県立能代科学技術高等学校)であるとされる。能代工業高校はバスケットボールの強豪校として全国的に有名である。
関連項目
親記事
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