巨大地震の前兆に分類される現象は多岐にわたるが、それぞれの信ぴょう性はまちまちである。
概要
日本に住む日本人にとって、巨大地震というものは何時かは必ず起こるものであり、起こった際に大きな被害が出ることは避けられないものとして認識されている。
しかし、地震の発生は避けられないとしても、いつ発生するかが分かれば、事前に避難などの準備をしておくことができる。そこで人々は様々な記録や目撃情報を調べ上げ、地震の前に必ず起こる現象を見出そうとしている。これが、「巨大地震の前兆」と呼ばれるものである。
古くは「ナマズが暴れると地震が起こる」という迷信があったが、これを「ナマズは地震が起こるのを人間より先に感知して、危険を感じて暴れ出すのだ」と解釈し、「ナマズが暴れること」が地震の前兆であるという主張がされるようになった。
ナマズに限らず、様々な動物が地震の前に何らかの特異な行動を起こすという主張は多く、これらに対して科学的な調査も行われているが、確実な地震予知につながった例はいまだない。
巨大地震の前兆とされる現象の例
なお、これらが実際に巨大地震の前兆であるかどうかは保証しない。
検証可能性の問題、科学技術の限界
各地で発生した巨大地震の前に起こった現象を調べ、それらを重ね合わせた上で共通した現象があれば、それが巨大地震の前兆かもしれない。
しかし、上に記したような巨大地震の前兆とされる現象の中には地震とは関係なしに起こる現象も含まれており、巨大地震の前兆と言われる現象が起こったからと言って必ず地震が起こるとは限らない。ましてや各地の環境の違いは千差万別であるため、ある地域では起こった前兆がほかの地域でも起こるとは限らない。
また、地震は同じ地域で一定の期間を挟んで何度も起こるため、過去の地震が発生する前に起こった出来事を調べて行けば、それぞれの地域に対応した何らかの巨大地震の前兆と言える現象を発見できるかもしれない。
しかし、これらの巨大地震の前兆と呼ばれる現象に対しての検証可能性は低いと言わざるを得ない。数百年周期で起こる巨大地震を記録するにあたって、人一人の寿命はあまりに短すぎるし、人類が積み上げた観測結果やデータでも少なすぎる。古文書の記録は大いに参考にすべきではあるが、近代以前の科学的視点を持たない人たちによって書かれた古文書は同時に疑いの目も持って見ることも忘れてはならず、その信憑性は決して100%とは言えない。
さらに言えば、近代になってからの地震予知の研究でさえも巨大地震の前兆が確実に発生するとの担保は与えてくれない。例えば、気象庁は、機器の精度を上げるなどして、発生が予想される南海トラフ地震に対して前兆滑りの観測による地震予知へ挑んできたが、2017年には地震予知を完全にあきらめ、方針転換を余儀なくされた。前兆滑りを確実にとらえることは出来ない可能性もあるとされたためである(→南海トラフの記事参照)。
認知バイアスと、オカルトへの注意
以上のことに加え、別に問題になるのが認知バイアスである。科学的な研究を行っている科学者ならともかく、素人が下手に前兆現象を集めようとした場合、認知バイアスの一つである確証バイアスに引っかかってしまい、地震の前兆でもなんでもないものまで地震の前兆ととらえてしまうことがある。ひどい場合にはオカルトに分類すべきものまで地震の前兆とされることがあるので、注意しよう。
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関連項目
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