年末調整とは、給与所得者の一年間の所得税及び復興特別所得税の納税を完結させる手続きである。
概要
給与所得者は通常、源泉徴収義務者(要は会社等のこと)が支給する月々の給料から所得税相当額を天引きされており、義務者はそれを税務署に納入してくれているわけだが、この天引き額と実際にその人から徴収すべき税額には諸々の理由によりズレがある。
そのズレを最終的に精算するのが年末調整である。その精算のために被雇用者は秋頃になると会社等に自分の扶養親族の状況や、加入している生命保険や住宅ローンの状況などを報告する書類を自ら作り、提出する。会社側はその提出物をもとに各人の年税額を計算し、過不足を12月の給料や賞与支給時に精算してくれる。一般的にはお金が戻ってくることが多いが、実は人それぞれであり追加で納付する場合もある。
面倒に思うかもしれないが、この手続きをちゃんとすることで大半の給与所得者は確定申告をする必要がなくなる。裏返すと、会社の設定した期限までに真面目に書類を提出しなかったり、書類が揃わなかったりすると、年明けに自ら確定申告をしなければならない、もしくはしないと損する状態になるので、理由がなければ素直に経理部門の指示に従おう。
昨今は大企業などでは独自のシステムを構築して電子的に必要項目を入力したり添付書類を提出したりする仕組みが整ってきている。というか年末調整の必要書類は年々複雑怪奇になっているので(控除類に所得制限が入ってきているせいなど)、紙に直接書かせると従業員が混乱する可能性が高いからでもある。
年末調整で済まない場合など
とはいうものの、昨今の働き方の多様化で年末調整ですべてが終わらない場合も多い。業務委託による報酬や副業、農業や不動産の賃貸、仮想通貨など給料以外の収入があれば給与分で年末調整してもどのみち確定申告をすることになるわけで、そうなってくると昨今は国税庁の確定申告関係システム(特にマイナでの自動連携機能等)が便利になっているのであえて保険料や住宅ローンを会社に提出しないで、最初から申告時に精算する選択もアリかもしれない。また、ポピュラーな控除である医療費控除や寄付金控除は年末調整で対応できないので、これらが理由で申告する場合も、前段階の年末調整をスルーしたくなる要素ではある。
また、ここまでは原則論で説明してきたが、雇用主がDQNもしくは著しく能力に欠ける場合に年末調整をしないで源泉徴収票をよこす場合(最悪な輩は源泉徴収票すらくれない)もあり、そういった場合も確定申告が必須となる。前職の源泉徴収票を提出したら合わせて年末調整してくれるものなのに、処理がよくわかんないからと対応拒否して申告精算しろと言ってくるとかもある。
かようにイレギュラーなパターンもあるのではあるが、多くの給与所得者にとって年末調整は大事な手続きであり、自分が確定申告での対応をスマートにできるぜ!というのでなければ、会社に指示される通りにきちんと対応した方がよいものである。
その他注意事項
- 給与が年後半で下がったなどの諸事情で年末調整ではお金を返しきれなくなる詰みパターンになった場合は、救済措置として税務署に会社から申請してもらってお金をかえしてもらう方法もある。
- ふるさと納税のワンストップサービスは確定申告をしない年末調整で終わる人のための制度なので、ワンストップ申請をしてから別の理由(医療費控除など)で確定申告をするとワンストップが無効となる。
- 子供がバイトで稼ぎまくってるのを把握してなかったなどの事情で扶養控除等申告書の内容が間違ってた場合は年末調整を見直して差額を納めさせられることもあり。
- 年末調整関係者はキッシーの定額減税ご苦労さまです…一年だけ謎の書類が数枚増えます。
関連項目
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