概要
幻想入事変とはくろね氏(うp主)が送る、全編を通して10時間以上にも及ぶ長編幻想入りノベルシリーズである。クトゥルフ神話に関する内容も多いが、知らなくても十分楽しめる内容になっている。ほぼ同時期に起こった「宴」と称した4つの異変を、異なる視点からそれぞれ描いたマルチサイトシステムを取っている。4つの異変(タイトル)の名称は「幽冥変」「博麗変」「紅魔変」「永夜変」。また本編の4つとは別に、番外編として「LOST NO.」、異聞録の完結編に当たる夢幻変、続編に緋愴変がある。
それぞれの異変の発端は全て神取(女神異聞録ペルソナの登場人物)が持ち込んだ異物によるものである。夢幻変では4つの異変の元凶や、黒幕と思しき人物と直接対決する。緋愴変は4つの異変の後日談に当たる。夢幻変の時系列は、はっきりと示唆されていない。また秘封組や旧作キャラにも出番がある本作だが、原作緋想天の異変が本来起こるはずのタイミングが緋愴変の時系列なので、少なくとも緋愴変本編が終わるまでは、地霊殿以降のキャラは登場しない可能性が高い。
なおタイトルに「東方異聞録」が含まれるのは「幽冥変」「博麗変」「紅魔変」「永夜変」「夢幻変」までの5つのみであり、緋愴変からはタイトルを「幻想入事変~東方緋愴変」と改めている。
東方異聞録
大結界の綻びを潜り抜け、大量の外来人が流れ込んだ「幻想入事変」。この一連の騒動も収まったかったのように見えていたが―「ソレ」は誰にも気付かれずに幻想入りを果たしていた。「ソレ」が幻想入りしたのと同時期に、入れ替わるように姿を消した博麗の巫女とスキマ妖怪。更に人里では人々の不安を煽るような不穏な噂が流れ出す。
―曰く。
「赤い満月の夜、幻想郷に凶事は起こる」
「人里を襲う、槍をたずさえた赤色の狂気の噂」
「幽冥に花開く、死色の桜の噂」
「幻想郷に凶夢をばら撒く、黒色の魔女の噂」
「湖上に開く、極彩色の夢幻の門の噂」
様々な思惑が交錯する中で静かに4つの宴が幕を開ける。
幽冥変
ある日の幻想郷の太陽の畑。風見 幽香の優雅なひと時に無粋な闖入者が現れる。神取 鷹久(かんどり たかひさ)と名乗ったその外来人の男は、幽香を強力な妖怪と知りながらも挑発を続ける。男は幽香によって瞬く間に葬られたが、勝ったはずの幽香が突然苦しみだし…
主要登場人物は風見 幽香、魂魄 妖夢、西行寺 幽々子、八雲 藍。
博麗編
ある日の幻想郷の博麗神社。霧雨 魔理沙は朝食をたかる算段で博麗 霊夢を尋ねたが、神社には誰も居なかった。仕方なくアリスの家へ向かおうとした、そんな時に声はかけられる。神取 鷹久と名乗る外来人と思しき得体の知れないその男に、魔理沙は警戒を解かないまでも次第に興味を惹かれていく。博麗神社まで一人で辿り着けた理由を尋ねる魔理沙に対し、男は「この魔法の小箱が俺に力を与えてくれる」と答え、男の提示したある交換条件と引き換えに魔理沙はその小箱を手に入れる。その小箱の正体、そして「それ」がこれから自分や幻想郷に何をもたらすのかは露も知らずに―
主要登場人物は霧雨 魔理沙、アリス・マーガトロイド、パチュリー・ノーレッジ 、上海人形、蓬莱人形。
紅魔編
ある日の幻想郷の紅魔館。レミリア・スカーレットはティータイムを穏やかに過ごしながらも、特に代わり映えの無い日常に不満を抱いていた。そんな彼女の退屈を紛らわせるために、従者の十六夜 咲夜は人里で聞いたばかりのとある噂を持ち出す。
―曰く。
「月が赤く染まる夜。槍を持った赤い悪魔が人里を襲うだろう」
「紅魔の檻が焼け落ちる夜。炎獄の申し子が幻想郷に死と破壊を撒き散らすだろう」
まるで自分達のことを騙ったかのような噂を面白がったレミリアは、その晩に早速咲夜を連れて噂の出所を突き止めるための捜索へ向かう。そこで彼女達を待っていたものは―
主要登場人物はレミリア・スカーレット、フランドール・スカーレット、十六夜 咲夜。
永夜変
その日の永遠亭は慌しい雰囲気と喧騒に包まれていた。午後のひと時、負傷した氷精のチルノが最初に運び込まれて来たのを皮切りに、幻想郷中の人外の多くが負傷し、永遠亭に運び込まれるようになっていたのである。大分患者の数も減ってきた頃に八意 永琳は、いつものように藤原 妹紅と殺し合っていた蓬莱山 輝夜から連絡を受ける。曰く、「乱入した上白沢 慧音が負傷してしまい、このままでは怒り狂った妹紅が何をしでかすか分からないので緊急で治療して欲しい」とのこと。半ば呆れながらも輝夜の命令とあらば、急いで駆けつける永琳。辿り着いたその場所では負傷した輝夜と、それにトドメを刺そうとする妹紅の姿があった。妹紅は永琳の姿を見ると即座に姿を消してしまう。それ自体はどうでもいいことだったが、永琳は現場の不可解な点を疑問に思う。何故負傷したはずの慧音の姿がどこにもないのか、そして何故蓬莱人である輝夜がこんなに弱っているのか。よく見ると輝夜は弱っているどころか瀕死の重傷だった。それこそ不死性が「失われて」しまったかのように。決して「有り得ない」現実に絶望する永琳、そして消えてしまった「上白沢 慧音」。これらが意味するものとは―
6話までのサブタイトルは永夜抄のキャラ名になっており、それぞれのキャラ視点で描かれる。
主要登場人物は蓬莱山 輝夜(1話)、八意 永琳(2話)、上白沢 慧音(3話)、因幡 てゐ(4話)、鈴仙・優曇華院・イナバ(5話)、藤原 妹紅(6話)。
LOST NO.
番外編に当たるこの話は数話ごとの纏まりはあるものの、基本的に外野の話という共通点しかなく、それぞれの話は独立している。また東方に関わりの無いキャラのみで構成される話もある。
東方サイドの現時点での主な登場人物は岡崎 夢美、射命丸 文、上海人形。
夢幻変
幻想郷からは遠く離れてるであろう何処かの地―博麗 霊夢は八雲 紫を追っていた。霊夢が言うには彼女こそが今回の幻想郷中を巻き込んだ異変の元凶なのだと言う。誰よりも幻想郷を愛する彼女が何故?その疑問に答えるかのように霊夢の後から現れたのはもう一人の八雲 紫だった。
ここに東方異聞録最後の舞台が幕を開ける。
東方緋愴変
幻想郷を襲った四つの異変が終結してより2週間。
しかし未だに巫女と賢者は戻らず、むしろ幻想郷を覆う不穏な空気はより一層その邪悪さをましつつあった。
新たに生まれる噂、人間達を扇動する黒い神父の出現、消える妖精達、打ち倒される楽園の閻魔
不気味な、サイレンにも似た咆哮と共に天は緋愴に満ち、要石は砕け散る
そう、まだ何も終わってはいなかった。
滅びが確約された幻想郷で、しかし、忌むべき混沌に立ち向かう者たちが集う
今ここに、狂ったフルートの音色にあわせ、全ての幻想を葬り去らんとする黙示録が幕を開く。
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