「幼女戦記」(ようじょせんき)とは、カルロ・ゼンによるヘヴィノベル長編小説である。表紙・挿絵は篠月しのぶ。
概要
本作の大元は自作SS投稿サイト「Arcadia(アルカディア)」に投稿・公開されている長編小説(本編完結済み)、「(末期戦モノ)幼女戦記Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siens」[1]。エンターブレイン社によって順次書籍化され、単行本が出版されている。なお、書籍化にあたって原作者の手により大幅な改稿を施されており、以後のコミカライズやアニメ化といった各メディア展開はこちらが元となっている。
WW1~2戦間期をモチーフとする架空の世界を舞台に、幼女ターニャ・デグレチャフとその愉快な仲間たちが織りなす戦いの数々を描いた軍記小説。「幼女」という題字に萌え要素を期待するととんでもないことになる、硝煙の香り高い本格的戦記ものである。某赤い国やら某自由の国やらに対する溢れるリスペクト精神を満載しており、共産趣味者たる作者がエンターブレインの正気を疑うほどに「アブない」小説と化している。「一応」転生系のTSF作品だが、内容が内容なのですぐに誰もそんな事に気を払わなくなる。
2016年1月発売の書籍版第5巻において「アニメ化企画」と「コミカライズ企画」が発表。2017年1月より放送開始され、2019年2月には劇場版新作アニメも公開、2021年にはアニメ2期も制作“進攻”中。いっぽうコミック版は漫画家東條チカにより月刊コンプエース2016年6月号より連載されている。「エンターブレインは勇者の中の勇者」とは、そんな常軌を逸したメディアミックス展開に対する作者の評である。
ストーリー
シカゴ学派な超リアリストのエリートサラリーマンだった主人公。ある日、勤務態度不良の社員にリストラを勧告した帰りに駅のホームから突き落とされ死亡する[2]も、創造主を自称する「存在X」から悔悛を強要され、異世界へと転生させられてしまう。
そこは、小銃と魔導宝珠を友とする魔導兵が陸海空で軍の最精鋭として戦う、魔法と硝煙漂う世界だった。
「帝国」の孤児院で赤子、ターニャ・デグレチャフ(♀)として覚醒した主人公。成長した彼女は自身に備わった魔導資質と将来の展望を胸に士官学校に8歳で進学。その後、弱冠9歳にして航空魔導師として任官する。
時に統一暦1923年。北方の仮想敵国、協商連合が領土問題に由来する越境行動を敢行したことで戦争が勃発。徐々に広がっていく戦火の中、ターニャは自身の才覚と生前の「世界大戦」の知識というアドバンテージ、そして徹底した効率主義と分析能力によって苛烈に戦果をあげ、「帝国」のエース魔導師として頭角を現していくのだが……
登場人物
※特記のない担当声優はTVアニメ版のもの。記述は基本的に書籍版に準拠する。
- ターニャ・デグレチャフ
(ターニャ・フォン・デグレチャフ) - CV:五十嵐裕美(サウンドドラマ版) / 悠木碧
- 「存在Xに呪われたこの身ではあるが、わたし以外の全てを血に染めてでも生き残ってみせるぞ!!!」
- 「帝国」軍魔導士官。外見は白く透き通った肌と短い金髪を持つ見た目可愛らしい幼女。なお、過酷な軍務と栄養状態により、体躯の成長は戦争中殆ど見られない。素晴らしいとは思わんかね、同志諸君!
- 前世は現代日本のエリートサラリーマン。無信仰と倫理観の欠如を咎められ、現代人を悔悛させ信仰心に目覚めさせるべくモデルケースとして、創造主を名乗る「存在X」の手により生前の記憶を保ったまま異世界に転生させられてしまった。魔導素質が認められたことで、「他に道はない」と察し弱冠8歳で帝国軍士官学校へ入学。安全な後方でのエリートコースと、軍除隊後の平和的・文化的な生活を夢見つつも、以後ままならない人生を歩むことになる。
- 兎にも角にも、「まともに考えたらこうなるはずだ」と思ってやったことの結果が悉く本人の狙いとは違う方向へと動いていくため、その度に自分の感性と常識が世の中に合わないことに絶望し、周囲と自身のギャップに気付かず苦悩する羽目になる。レルゲンなどからは戦いのためには目的も手段も厭わない本物の戦争狂と見られているが、本人はあくまで自らの立身出世と自己保身のために「上官に評価されるような、理想的な将校としての行動」を心がけているに過ぎない。また、国際法や戦時協定の穴を突いたり自軍に有利な解釈を披露して戦果を上げることに定評がある。
- コーヒーに目がなく、美味しい淹れ方をする人間や代用品ではない本物のコーヒー豆を差し入れてくれる人間に好感を抱く。コミー(共産主義)を否定し、叩き潰すことに対して一切の躊躇が無く、労力を惜しまない自称資本主義者であり、コミーの習性についてもなにかと造詣が深い。
ターニャの部下
- ヴィーシャ
(ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ) - CV:金元寿子(サウンドドラマ版) / 早見沙織
- 「私とて、帝国軍人です! 僭越ながら、小官は任に完全に耐えうると確信します!」
- 帝国軍伍長(初登場時)、ライン戦線でターニャとペアを組む少女魔導師。出身地は「連邦」首都モスコーで、幼い頃に帝国に亡命した。
- 志願兵ではなく、義務徴兵の対象となって兵士となった。泥沼のライン戦線での初陣以降、生き延びるため必死にターニャの背中を追う。ターニャの推薦で促成の将校課程へ進み少尉に昇進。二〇三魔導大隊編成を期に、以降はターニャの副官を務める。大隊内では屈指の常識人だったはずなのだが、ターニャの部下としては大隊最古参であるだけに、様々な経験を通していつのまにやら感化されつつある。
- 余談だが、各メディアで容姿の描写が著しく変わる人物でもある。漫画版では正統派美少女として読者の眼を喜ばせ、アニメ版では作品のコメディ要素(ターニャを除く)を一身に背負いつつ地味に歴戦の風格を漂わせる。
- マテウス・ヨハン・ヴァイス - CV:濱野大輝
- 「二〇三に志願する際に言われたことだ。生きて帰れると思うな、とね。若かった自分は、力量を過信して愚かにも英雄になれると思った。魔導師というのは自分を過信する」
- 帝国軍中尉(初登場時)、二〇三魔導大隊の副隊長。
原作では姓のみ明らかになっているが、アニメ版ではフルネームが設定され、第二中隊長を兼務。
元は東部方面軍所属であり、大隊発足以来ターニャとともに地獄の前線をくぐり抜けてきた信頼の置ける副指揮官で、(ターニャにとっての)面倒事をいろいろと押し付ける相手でもある。ターニャには筋金入りの戦争馬鹿と思われている模様。
- ヴォーレン・グランツ - CV:小林裕介
- 「……戦争に来たんだなぁ」
- 二〇三魔導大隊発足後、しばらくしてから加わった帝国軍の新任少尉。
戦争が進み余裕がなくなった軍の育成過程故か、大隊着任時は未熟な士官でしかなかったが、早々にターニャによる正気とは思えない訓練兼襲撃任務に投入されて辛くも生き延び、以後大隊の一員として実戦経験を積んでいくことになる。 - アニメでは大隊編成時から参加。
- ヴィリバルト・ケーニッヒ - CV:笠間淳
- 帝国軍中尉。二〇三魔導大隊の一員。
作中では姓がわずかに登場したのみだったが、アニメではフルネームとともに第三中隊長と設定され、長髪を後ろに縛った髪型が特徴となっている。
- ライナー・ノイマン - CV:林大地
- 帝国軍中尉、二〇三魔導大隊第四中隊長。
アニメオリジナルキャラで、恰幅のよい体形をしている。
「帝国」軍
- ハンス・フォン・ゼートゥーア - CV:石塚運昇(サウンドドラマ版) / 大塚芳忠
- 子どもを戦争に送る? 軍人として最悪の恥だ。それを、まるで当然のように自分は想定していた。……ああ、自分の無能が恨めしい。
- 帝国軍准将(初登場時)、参謀本部戦務参謀次長。
帝国軍二羽烏の片翼。学者然とした冷静な軍人で、既存の防衛計画を崩壊させることになる対協商連合戦への深入りに反対するも果たせず、戦火の拡大を余儀なくされる。のちに戦争指導の中枢に座り、帝国の未来のため、帝国と世界のすべてを翻弄する“恐るべきゼートゥーア”。 - ターニャとの偶然の会話から「世界大戦」の可能性に気づき、その予測の正しさを確信。帝国の敗北を避けるため、ターニャの後ろ盾として即応魔導大隊の編成を推進する。可愛い上に聡い幼女に「おじ様。私、自分の大隊が欲しいの(意訳・誤訳)」とおねだりされ、それに応える心意気ある軍人。
- クルト・フォン・ルーデルドルフ - CV:玄田哲章
- 「戦争のやり方というのは、こうやるのだ!」
- 帝国軍准将(初登場時)、参謀本部作戦参謀次長。アニメ化に伴いフルネームが設定された。
ゼートゥーアの盟友にして帝国軍二羽烏のもう片翼。才幹と自信の調和した俊才で、帝国軍参謀本部における機動戦の権威。ゼートゥーアの肝いりで作られた第ニ〇三航空魔導大隊を活用し、対協商連合戦や対共和国戦における戦略立案を進める。
- エーリッヒ・フォン・レルゲン - CV:後藤ヒロキ(サウンドドラマ版) / 三木眞一郎
- 「……デグレチャフ中尉の人格に深刻な疑義を感じたためであります」
帝国軍少佐(初登場時)、参謀本部人事局人事課長。アニメ化に伴いフルネームが設定された。
かつて士官学校を訪問した際、指導生であったターニャが命令に従わなかった下級生の脳の有無を確認せんとした瞬間を目撃し、以来その存在を不安視する。しかし生真面目な性格ゆえにその能力を認めざるを得ず、軍の人事に携わる中でターニャ・デグレチャフという異質な「狂人」の扱いに苦悩する。 - 後に作戦局付き高級参謀に転任、ゼートゥーアの股肱として、またターニャの信頼する上官として、泥沼化する戦争の指導に関わっていくことになる。すなわち、上と下に翻弄される日々。
- アーデルハイト・フォン・シューゲル - CV:野島裕史(サウンドドラマ版) / 飛田展男
- 「理論上、動くのだ! どうして君こそまともに動かせないのだ!」
帝国軍技術開発部主任技師。ターニャ曰くMAD。あとキ○ガイ。
革新的かつ先鋭的な魔導科学の技術開発に情熱を注ぐ、一個の“てんさい”。彼の性格は「安全機構は機能美がないので除外したかった」という台詞で凡そ理解できることだろう。徹底した無神論者だったが、試作魔導演算宝珠「エレニウム九五式」の開発に際し「存在X」より神託を受け、演習場を消滅させかけながらも開発に成功。以後、毎週日曜の午前中に礼拝に通う敬虔な信徒と化す。 - エレニウム九五式の開発成功にとどまらず、同機を元に開発された先行量産型魔導演算宝珠「エレニウム九七式」や、強行偵察用特殊追加加速装置などといった新装備の開発と二〇三大隊への提供など、主に技術面でターニャを支える(支えられる側の不本意さをよそに)。
ターニャの敵たち
- メアリー・スー - CV:戸松遙
- 神様、どうか、私に力を。 ……あの悪魔を殺す力を、私にください。
- 協商連合軍の航空魔導師であるアンソン・スーの愛娘。
協商連合陥落の際、父を残して家族で「合州国」へ脱出。その後父の戦死の報を聞き、合州国軍で魔導師の道を選ぶことになる。
- ドレイク - CV.森川智之
- 連合王国軍の航空魔導師。
- 名門出身の俊英として、帝国軍の侵攻と戦うべく、いまいち頼りにならない義勇兵の新人魔導師たちを率いて西に東に奔走する。その結果、どこに行っても未熟な新兵に悩まされ、どこを飛んでもターニャたちに襲われる空飛ぶ不運。しかもターニャからもどこでも遭遇すると思われている。
- なにかとメディアミックスで人物像が盛られやすく、アニメでは追加で渋いおじが先に登場(のちに漫画でも登場)。そして漫画はドレイク一門はどこまで盛ってもヨシと思っているふしがある。
-
- ロリヤ - CV.チョー
- 「惜しいなぁ……。 あと、少し早ければ食べごろだったのだが」
『同志ロリヤ』。外見は四十代の平凡な小男。さしてその正体は「連邦」に住まう一般人が恐怖と憎悪を向ける、内務人民委員部の総元締め「内務人民委員部長官」である。趣味は市内の視察という名の[内務人民委員部検閲済]。 - 当初から隣り合った「帝国」には強い警戒感を抱いていたが、「帝国」への宣戦布告直後に発生したターニャ達帝国軍第二〇三航空魔導大隊による「連邦」首都モスコー強襲をトリガーとし、帝国への侵攻に執拗に注力するようになる。
-
- 存在X
- 「最近の人間共は、世の理から外れすぎだ! 物事の理非をしらん!」
物語の序盤にて登場する存在。
外見は盛大な髭を蓄えた老翁。自らを「創造主」と名乗り、「十戒を定めたであろう」と主人公を一喝した。なおこの呼称は目前の存在を神と認めない主人公による仮称であり、「この世の理を外れた存在があるとすれば神か悪魔だが、神が存在するなら世の不条理を放置するはずがなく、よって悪魔である」というロジックによるもの。エレニウム九五式に「奇跡」と称する洗脳装置を組み込むなど、性格にはかなり問題がある。
用語
- 魔導師
- 「宝珠と王笏」による伝説上の「奇跡」を魔導演算宝珠によって再現し、飛行術式を始めとする魔導を軍事利用できるようになったことで成立した兵科。飛行に限らず、術弾に魔力を籠めた大威力射撃、防殻、酸素生成といった術式を使いこなし、強大な火力と歩兵以上の機敏さを併せ持つとされる。
- 航空魔導師の中でも上位のエースは敵によって魔力波長を「登録」され、登録魔導師(ネームド)と呼ばれるようになる。「共和国」軍によってターニャに与えられた「ラインの悪魔」がその例。四方を仮想敵に囲まれた「帝国」では全戦線に配備できるだけの魔導師が不足していることから、魔導将校の低年齢化や女性士官の導入、短期促成による育成が常態化しており、十代の魔導士官は珍しくないものになってしまっている。
- エレニウム九五式
- 「帝国」軍主任技師アーデルハイト・フォン・シューゲルが開発した新型魔導宝珠。正式名称は「エレニウム工廠製九五式試作演算宝珠」。ターニャ曰く「チートアイテム(呪い付き)」。
- 「通常一基の演算宝珠を『四発化』することで超高高度機動戦を可能にする」と謳い上げるものの、実際には四基の宝珠の同調に尋常でない魔力を消耗する上、少しでも使用者が集中を乱すと暴走してしまう危険な欠陥品。しかしその技術的完成度はもはや神の領域にある。
- 何人もの試験要員を病院送りにした末、シューゲル博士に目をつけられたターニャが試験要員に選ばれて辛うじてまともな試験が可能になるも、事故を繰り返し予算と時間を食いつぶしたあげく、実用化に成功する見込みが立たず開発打ち切りを余儀なくされた。しかしその後「存在X」がお節介にも恩寵として与えた「奇跡」により、事実上ターニャだけが運用可能となる。
- ターニャの強力な武器ではあるが、稼働させると「創造主を賛美したくなる」という重大な精神汚染が発生する。これにより、一定時間それに沿った行動を無意識下でとってしまうこともある。
- 帝国軍第二〇三魔導大隊
- 予備戦力強化計画の一つ、「即応魔導大隊構想」の一環として、ターニャの陳情(と思われている)を元にゼートゥーアが提唱し、実験的に設立された航空魔導大隊。発足前の仮称は「第601編成部隊」。これは編成番号V601に由来する。
- 発足当時は余力のあった東部方面軍の魔導師を中心に構成され、ターニャが部隊員の選抜・編成および初期調練を担当した。以来、各方面に参謀本部直轄の便利な精鋭機動戦力として投入され、おびただしい戦果を挙げることとなる。のちにこの二〇三大隊を中核として、ターニャの指揮する諸兵科連合部隊、サラマンダー戦闘団が編成される。
国家
- 帝国
- 大陸中央部に存在する列強の一角。首都はベルン。
- 北の「協商連合」との間に係争地ノルデンを持ち、東を「連邦」と「ダキア大公国」、南を「イルドア王国」、西を「共和国」、そして海向こうを「連合王国」に囲まれ、大陸でも一頭地を抜く国力を持つゆえに、すべての周辺国家を潜在的仮想敵国とせざるを得ない状況下にある。軍部の主導のもと、協商連合の越境を奇貨とばかりにそんな自国不利の大陸情勢を変えようと試みたことが、戦争を世界大戦へと拡大する結果を招くこととなる。
- 領域と立場は「大ドイツ主義を完全に実現してしまったドイツ帝国」のイメージとのこと。
- 協商連合
- 帝国が北部で国境を接する国家。国名は「レガドニア」。
- 係争地ノルデンをめぐり帝国と対立、国境紛争を繰り返していたが、新たに成立した国粋主義政権が帝国をあなどりパフォーマンス的に大規模越境に及んだことが帝国の全面侵攻を誘発、大陸全域に及ぶ世界大戦の引き鉄を引いてしまう。
- 共和国
- 帝国が西部で国境を接する列強国家。国名は「フランソワ」。
- 地政学上、帝国の圧力をもっとも受ける位置にあるため、協商連合の弱体化による脅威の増大を恐れて帝国に宣戦を布告、戦争を大陸全域に飛び火させるきっかけとなる。
- 連合王国
- 大陸沿岸に存在する島国で列強の一角。首都はロンディニウム。
- 海洋国家としての自国の立場を維持するため、旧大陸の分割支配と勢力均衡の維持を最優先事項としており、協商連合の暴走から泥縄式に始まった戦争の中で帝国の急拡大を警戒。次第に帝国に圧倒されつつある協商連合や共和国に陰に陽に支援を与え、帝国の掣肘を試みる。
- 連邦
- 帝国が東部で国境を接する共産主義国家。国名は「ルーシー」。首都はモスコー。
- その内情はジュガシヴィリ人民委員会議議長による独裁国家で、彼を補佐するロリヤ内務人民委員部長官率いる秘密警察による恐怖政治が敷かれている。帝国には最大級の仮想敵と見做されており、大戦勃発以降も帝国軍東部方面軍だけはまったく動かされていないほど。
- イルドア王国
- 帝国が南部の山岳地帯で国境を接する君主制国家。帝国唯一の同盟国。
- 列強の一角で、各種物資の輸出など帝国には各種の便宜を図りつつも参戦していない。旧大陸中心部から内海に延びた半島を占めるバランサー的な立場にあることから外交面に高い手腕を有し、あくまで親帝国中立国の立場を堅持することで双方との敵対を防いでいる。
- 血みどろの世界大戦の渦中にあって、なお巻き込まれることなく自国の平和を維持する巧みな外交、なにより人としての良識を維持しつづけている点はまさしく称えるべきものである。
- 合州国
- 西の果て、海を越えた新大陸にある民主主義を奉じる超大国。
- 新大陸に無限の資源と工業力を有し、自由と正義を標榜する連邦国家。旧大陸の情勢には不介入を建前としている。実際には義勇兵の派遣や兵器の供与など、さまざまな形で対帝国戦争を支援しはするものの、連合王国の熱烈な勧誘にもかかわらず国家としてはあくまで中立の姿勢を堅持しようとしている。
書籍版
タイトル | 発売日 ページ数 |
副題の意味 |
---|---|---|
幼女戦記 1 Deus lo vult | 2013.10.31 445P |
「神の欲するままに」 |
幼女戦記 2 Plus Ultra | 2014.05.31 565P |
「もっと先へ」 |
幼女戦記 3 The finest hour | 2014.11.29 413P |
「最良の時」 |
幼女戦記 4 Dabit deus his quoque finem. | 2015.06.29 483P |
「神は終わりを与える」 |
幼女戦記 5 Abyssus abyssum invocat | 2016.01.30 512P |
「地獄は地獄を呼ぶ」 |
幼女戦記 6 Nil Admirari | 2016.07.30 425P |
「何事にも驚かない」 |
幼女戦記 7 Um sementem feceris, ita metes | 2016.12.28 439P |
「播いた種は刈らねばならぬ」 |
幼女戦記 8 in omnia paratus | 2017.06.30 429P |
「起こりうる全てに備えよ」 |
幼女戦記 9 Omnes una manet nox | 2018.01.12 469P |
「我らすべてを同じ夜が待つ」 |
幼女戦記 10 Viribus Unitis | 2018.09.29 437P |
「一致団結して」 |
幼女戦記 11 Alea iacta est | 2019.02.20 429P |
「賽は投げられた」 |
幼女戦記 12 Mundus vult decipi, ergo decipiatur. | 2020.02.20 485P |
「世界は騙されたがり、ゆえに騙される」 |
幼女戦記 13 Dum spiro, spero. [上] | 2023.08.30 477P |
「息あるかぎり希望を捨てない」 |
幼女戦記 14 Dum spiro, spero. [下] | 2023.09.29 500P |
待望の電子書籍版も発売中。「(物理的に)ライトになった」と評判である。
漫画版
作画:東條チカによるコミカライズ。月刊コンプエース2016年6月号より連載中。
WEB版やアニメのネタをも稠密に組み込み、原作の行間を読みすぎる丁寧な仕事ぶりでありながら、その畏るべき執筆速度によって時に月三桁におよぶ掲載ページ数を誇る。さらにはスピンオフ『幼女戦記食堂』の連載も並行していた時期もあり、コンプエースは時に「幼女戦記エース」と化した。原作に追いつく気配は見えない。
幼女戦記食堂
参謀本部の食堂とK-Brotのアレさに悩むターニャたちのグルメもの。
ドイツもとい帝国の食事が多数紹介されている。
アニメ版
2017年1月から放送開始。NUT制作。
ニコニコチャンネルでは2017年1月19日 24:00(1月20日 0:00)配信開始。
2018年1月には劇場版新作アニメの製作が発表され、『劇場版 幼女戦記』として2019年2月8日に劇場公開された。
2021年6月、新作映像「砂漠のパスタ大作戦」公開と同時に第2期の制作が発表となっている。
スタッフ
TVアニメ第1期
劇場版
放送局
TVアニメ第1期
放送局 | 放送開始日 | 放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|
AT-X | 2017年1月6日 | 金曜 22:00~ | リピート放送あり |
TOKYO MX | 金曜 25:05~ | ||
KBS京都 | 2017年1月8日 | 日曜 23:30~ | |
サンテレビ | 日曜 25:00~ | ||
テレビ愛知 | 日曜 26:05~ | ||
BS11 | 2017年1月9日 | 月曜 24:30~ | |
配信サイト | 配信開始日 | 配信時間 | 備考 |
AbemaTV | 2017年1月6日 | 金曜 25:35 配信 | 独占先行配信 |
ニコニコチャンネル | 2017年1月20日 | 金曜 00:00 配信 | 第1話無料 |
配信サイト
- 何とニコニコチャンネルで観ることができる。 アニメ、映画
- フジテレビオンデマンド アニメ、映画
- U-NEXT アニメ、映画
- dアニメストア アニメ、映画
- hulu アニメ、映画
- Prime video アニメ、映画
- Abema TV アニメ、映画
- NETFLIX アニメ、映画
- m.music.jp アニメ、映画、漫画、書籍、音楽
それ以外では、GYAO!ストア、Rakuten SHOWTIME、ひかりTV、バンダイチャンネル、J:COM オン デマンド、PlayStation®Store、DMM.com、ビデオマーケット、HAPPY!動画、ムービーフルPlusにて配信。
かなり幅広いサイトで観ることができる。コメント付きで見たいならdアニメストアニコニコ支店への加入が良いだろう。見放題サイトでの視聴なら価格と他作品との兼ね合いでプラットフォームを選ぼう。
各話リスト
TVアニメ第1期
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 配信日 | 動画 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | ラインの悪魔 | 猪原健太 | 上村泰 谷口宏美 |
上村泰 | 細越裕治 | 2017 1/20 |
|
第2話 | プロローグ | 赤松康裕 | 髙田晴仁 | 1/27 | |||
第3話 | 神がそれを望まれる | 春藤佳奈 | 谷口博美 | 2/3 | |||
第4話 | キャンパス・ライフ | 赤松康裕 春藤佳奈 谷口宏美 上村泰 |
丸山裕介 | 南井尚子 山口菜 |
2/10 | ||
第5話 | はじまりの大隊 | サトウシンジ | 高村雄太 | 牧孝雄 | 2/17 | ||
第6話 | 狂気の幕開け | 熊澤祐嗣 | 赤松康裕 | 梁博雅 斎藤美香 牧孝雄 谷口宏美 髙田晴仁 南井尚子 三島詠子 緒方歩惟 |
2/24 | ||
第6.5話 | 戦況報告 | - | |||||
第7話 | フィヨルドの攻防 | 猪原健太 | 春藤佳奈 | 牧孝雄 谷口宏美 髙田晴仁 |
3/3 | ||
第8話 | 火の試練 | 小林寛 | migmi | 三島詠子 緒方歩惟 梁博雅 南井尚子 |
3/10 | ||
第9話 | 前進準備 | 丸山裕介 谷口宏美 上村泰 |
丸山裕介 | 三井麻未 山中正博 山村俊了 KIM SU-HO LEE JU-HYON |
3/17 | ||
第10話 | 勝利への道 | 上村泰 谷口宏美 |
小野田雄亮 | 後藤圭佑 重原克也 林あすか |
3/24 | ||
第11話 | 抵抗者 | 立川譲 | 牧孝雄 | 3/31 | |||
第12話 | 勝利の使い方 | 春藤佳奈 | 髙田晴仁 谷口宏美 | 4/7 |
ようじょしぇんき
TVアニメに連動してWebで公開されている2週間限定公開のミニアニメ。ちびキャラ化したターニャたちの掛け合いが描かれる。公開終了後はアニメBlu-ray/DVDに収録。
インターネットラジオ
- 幼女戦記 ラジオの悪魔
- 配信:不定期金曜日配信
- 配信サイト:インターネットラジオステーション<音泉>
- パーソナリティ:悠木碧(ターニャ・デグレチャフ 役)、三木眞一郎(レルゲン 役)
関連動画
関連静画
関連チャンネル
CD
関連項目
- カルロ・ゼン
- 小説作品一覧
- ネット小説
- Arcadia
- 架空戦記
- 異世界
- ぅゎょぅι゛ょっょぃ
- 形式上はTSF
- アニメ作品一覧
- テレビアニメ
- 2017年冬アニメ
- ニコニコ動画で配信中のアニメ作品一覧
- 幼魚戦記
- 異世界かるてっと
関連リンク
補記
おそらく上の説明では「幼女戦記の幼女戦記たる点」を全く説明できていない自信があるので、最後に漫画家・野上武志氏による的確かつ簡潔な解説を引用させていただく。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/takeshi_nogami/status/396445657356972032
野上武志 Takeshi NOGAMI @takeshi_nogami
「幼女戦記」読了。新城直衛が幼女になって空飛んできた。何を言っているか分からないと思うが、ほぼあってる。
10:16 - 2013年11月2日![]()
脚注
- *Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siensは『全てを殺せ、神は己の者を知り給う』の意(ヨハネ黙示録13章より)
- *アニメでは明確に当該社員の行為として描かれている。
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