幽霊とは
本項目では1について説明していく。
※広義に「おばけ」とも呼ばれるが、元々人間でない怪物や物体が化けたものも含める。
(河童、鬼、妖怪、唐傘おばけ、ゾンビ、その他モンスターなど)
概要
主に、人間や動物が死んだ後に非物質的なものと化しながらも、思考主体としての存在を継続したものを指す概念。例外として、生きている人間が幽霊として活動する生霊のような亜型もある。日本のみでなく、世界各地の様々な文化圏に古くからある概念である。
怪談の主役として日本の夏には欠かせない存在。暑い夏を涼しく演出してくれる、重要な逸材でもある。
大きくふたつに分けることができ、神出鬼没で移動しながら獲物を探すタイプと、じっと根気強く獲物を待つタイプがいる。待ち伏せタイプがよく出没するといわれている場所は、交通量の多い交差点、学校、病院、トンネル、踏切などがある。どちらにせよ、夜に姿を見かけることが多いようだ。
幽霊によっては、生きている人間に憑き、移動している者もいると言われる。その場合、生きている人間には何らかの不具合が生じる事が多いようだ。これを霊障と呼ぶ。逆に、背後霊や守護霊などと表現された場合には憑かれた人間を護っているとされることもある。
特に生者に害を成すものは悪霊、怨霊とも呼ばれ恐れられてきた。
霊能者
「幽霊を認識できる、さらに幽霊に関して影響力も持つ」と主張する人のことを俗に霊能者と呼び、人気のある霊能者には信者的な存在が着くこともある。「ただ幽霊が認識できるだけで対処はできない」と感じて、細心の注意を払って生活している人もいるようだ。
彼らが見えていると主張するものが実在しているのかどうかは定かではなく、さらに言えば本当に見えているのかすら確かめる術は無い。
心霊スポット
幽霊がよく出没するという噂がある場所は、心霊スポットと呼ばれ、暇な人が集団で幽霊の観察会を行う。
住宅地の中にある心霊スポットなどでは近所迷惑になり、問題になることもある。無許可で侵入される廃墟などは崩落や負傷、不法侵入といった多くのリスクを伴う。
建物などは建材に(規制前の)アスベスト(石綿)などが普通に使用されており、崩落や老朽化によって粉塵が多く舞っているといった危険性もある[2]。アスベストをたっぷり吸った結果、長い潜伏期間を経た後に肺がんや中皮腫を発症する危険性が高まる。知らぬが仏。
廃墟探索=アスベスト吸い放題コースでは、幽霊もドン引きである。
宗教
死後に関連した概念である以上、自然と宗教との関連は深くなる。幽霊が出ると言う騒ぎに対して宗教の聖職者が清めや供養を行ったり、霊能者が聖職者を兼ねている場合もある。
ただし厳密に言うと、幽霊についてを公的な教義上で明確に説明している宗教は意外と少ない。死後に人間がどうなっていくか、どこに行くのかが教義上定められている場合が多く、「死んだ後も現世でふらふらしている」という幽霊と言う概念がそれにそぐわないためであると思われる。宗教やその分派によっては、幽霊の存在を全く認めていない立場もある。
キリスト教を例に挙げると、少なくとも新約聖書には登場人物が「幽霊かと思った」というシーンはあるが、幽霊自体は登場しないようである。現代の教会も幽霊と言う概念には否定的である。
文化・芸術
「ハムレット」「雨月物語」「捜神記」といった洋の東西や年代を問わない多数の有名な文学作品でも幽霊が登場する。ちなみに芥川龍之介はエッセイで「幽霊のでてくる小説」について語ったことがあり、「小説に出てくる幽霊って服着てる奴ばっかりだよな。誰か裸の幽霊の話書けば先駆者になれるぜ」とけしかけている。
絵画においても、幽霊を主題としたものが「幽霊画」という一つのジャンルになるほどの多くの作品が描かれている。日本の幽霊画では円山応挙が特に有名で、彼の作品が「幽霊は足が無い」というイメージを日本で定着させた、とも言われる。
サブカルチャー
サブカルチャーにおいても幽霊は重要な役割を果たす。キャラ付けは人間のキャラクターと大差ないが、「心残りがある」「その場を動けない」など、生きている人間とは決定的に違う部分が萌え要素特徴となるようだ。
幽霊のステレオタイプのような白装束に三角布といった定番の衣装もあるものの、死亡時や普段の容姿・時代背景のまま時間が止まっている場合も多い。
病弱の上位版と考える場合もあるが、普通は「既に死んでいる」(稀に生き霊の場合もある)上で幽霊になったという事は、まだ生前の目的を果たそうとしているというわけなので、多くの場合、病弱より活動能力は遥かに高く、常人を超えている場合もある。
活用のされ方は作品によって異なるものの
幽霊独自の見た目や、特性を活かした活躍や展開も定番。
- 多くの人間には視認・認識する事ができない
- 物理法則に縛られない
- 相手に憑依したり、生前の記憶などを見せる事ができる場合もある
- 生存に必要な要素が必ずしも必須ではない
- 特殊な道具や素材等によって特性が変化する場合もある
- 生者と明確に区別されるため、どこか見た目が一部異なることも多い
- ギャグ補正等では要素をその時々に応じ切り替えられるものも多い
- 稀に成仏せず、憑依先となる物体を見つけるなど実体となって仲間となる展開もある。
- 登場人物が仮死状態となり、一時的に幽霊として行動するパターンもある(→幽体離脱)
さらにサブカルチャーでの性質は大きく分けて数パターンあるが、心残りがあるかで大別されるようだ。
心残りがあるもの
何らかの理由で死にきれないが故に幽霊になったものであり、それが何であるかが重要なカギとなる
基本的に、その原因(未練など)にけりをつけて成仏することになる。
未練のある場所や対象と容姿・境遇の似た人物に対し、危害や霊障を与えている展開も多い。
- 生前やり残した目的を達成するために幽霊となり、尚頑張っているもの
多くの場合言い知れぬ悲しみや深い恨み等を明示的に持っており、事が解決して心が晴れ成仏するか、或いは阻止されて倒されてしまう - 生前の目的を達するために幽霊になったはいいが、その目的を忘れているもの
多くの場合、どこかしらのタイミングで目的を思いだし上記に移行する
恋愛ゲームの場合は思い出したとしても主人公との対話を得て、『恨みなどどうでも良い』という事になり下記の心残りが無いものパターンに移行する事もある。上記に移行する場合もあり、対話を試みないシナリオの場合はそのまま本懐を遂げ成仏する(もしくは霊に干渉できる力を持った人物により寸前で強引に消滅させられる)。対話を試みるシナリオ(関連しているキャラや幽霊そのもののルート)の場合は果たす寸前で主人公との対話を思い出し、辞めて自力で成仏する(もしくは自分ではどうする事も出来ないのでそういった力を持つキャラにお願いする)。前者の場合はどちらにせよ心苦しい顔になる事が多く、後者は幸せそうな顔になる事が多い。どちらになるかはゲームの雰囲気によるところが多く、ダーク系の場合は前者、ライト系の場合は後者になるパターンが多い。攻略キャラでありながら思い出すところまで進行させないで終わらせる場合も少なからずある
心残りが無いもの
幽霊として存在し続けることに意義がある『死を生きる生命体』であり、成仏しない。
また、前者が自身の目的を離れて遊び始めると、後者に近くなる(西行寺幽々子など)
- 今生きている者への影響を目的とするもの
使命を果たすことが目的なのは同一だが、それが「生前のやり残し」ではなく、死後も相変わらず業務を継続しているとか、新たに何かするために幽霊となっている者。どちらかというと精霊や祖霊の方が近いかもしれない - 生前の如何によらず、最早気にしていないか果たす必要がないもの
生前○○が大好きで死んでもまだやっているというものや、幽霊になった理由がどうでもよいものなどの「絶対に幽霊である必要」が無い者であり、要するに「設定上幽霊」である。稀に、やり残しがある幽霊が事件解決後も仲間としてついてきてこれになる場合もある。
科学的実在性
医学的には、脳に傷害・疾患を患った患者の症例報告や、脳手術を行った患者の観察記録などの研究から、人間の意識・感情・記憶は脳の機能・構造によるものとみなされている。これに対し、「幽体離脱体験や臨死体験で天井からの視点を証言した例」「前世の記憶を語る人物」「心臓移植後に移植元の人物の人格を一部引き継いだ例」などの反論となる報告も散見されるものの、いずれも「未検証もしくは検証不十分」であることが多く「逸話採集」の域を出ていない。
よって現在の科学的知見に照らし合わせる限り、死亡することで脳が不可逆的に機能・構造を完全に失った場合、意識・感情・記憶は全く維持出来なくなると予想され、幽霊は実在する可能性が低いものであると言える。
ただし、仮に「物質によらずに脳の機能・構造をバックアップして保存しているなにか」が発見された場合は、死後の意識、すなわち幽霊の実在性は急上昇するかもしれない。
蛇足だが、霊魂と科学に関係した逸話として「魂の重さを量った医師」というものがある。医師が「死にかけている人間を秤つきのベッドにのせて死ぬまで待ち、死ぬ瞬間の前の体重と死んだ後の体重を量る」というとても迷惑そうな実験を行い、その結果「死の瞬間に少し重さが減った」という話。これは実際に行われた実験であり、アメリカ人医師ダンカン・マクドゥーガルが実施して医学雑誌に報告している。ちなみに犬でも同様の実験を行い、「犬では重さが減らなかった」とのことである。ヒトには魂があるが、わんこには魂が無いと言いたかったのかもしれない。
- 現段階では幽霊などを直接観測できるカメラ、装置などはない。
- 「疲労や恐怖・不安による幻覚・幻聴、誤認(見間違い)では?」といった意見。
- 電磁波や低周波騒音など、目に見えない要因が重なったのでは?という意見も。
ただし人間は動物のように夜目が利かないため、外敵や障害物などが見えない真っ暗闇などを本能的に怖がるという部分はある。「落ち武者は薄の穂に怖ず」などが良い例。
その他
日本の幽霊のイメージでよくある白装束の幽霊がよく頭につけている三角の布は「天冠」(てんかん)と呼ばれるもの。その他、よく見ると着物の前側が左前(左右逆)になっている。
何かと怖がられる存在ではあるものの
「生きている人間の方が怖い」というオチは様々な作品で見られる。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
概念団体・個人・比喩セリフ |
場所・環境作品名・ジャンルその他 |
脚注
- *ペーパーカンパニー、ゴースト会社とも呼ばれ、不正や犯罪、本来の目的の偽装に使われる。
- *アスベストは非常に細いため肉眼では見えず、歩くことでさらに舞い上がる場合もある。
- *作品によっては同列に扱われる場合もある。
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