広島市とは、広島県の県庁所在地であり、2015年4月18日現在20市ある政令指定都市のうちの一つである。中四国地方最大の都市でもあり、札仙広福と呼ばれる4大地方中枢都市の一つ。
概要
広島市は広島県西部に位置し、南側は広島湾(瀬戸内海)に面している。また、旧市内と呼ばれている市街地は、市内を流れる太田川やその支流によってできた三角州地帯の上に形成されている。これを通称、「広島七川」と呼んでいたが、治水対策の一環で山手川と福島川が改修され太田川放水路となったため、今は6つの河川が市内を縦断する。そのため、滔々とした川の流れと調和した独特の都市景観となり、杜の都仙台に対し、”水の都”広島と美称で呼んでいる(なお、水の都は無数の水路が張り巡らされていた大阪もそう呼んでいる)。
広島市は中四国地方の地方中枢都市であり、都市圏人口は約190万人、大規模な中心業務地区を持った経済規模などから見ても最大の都市(都市雇用圏というトリックありありのデータでは岡山市が上回っているが、あれは岡山+倉敷の値であり、広島の場合は職住近接が勧められた関係などで、呉はおろか東広島さえも含まれない。そのため5%通勤圏を提唱し再計算した結果が、上記の都市圏人口)である。工業都市としても知られ、マツダのお膝元である。また、世界的に見れば、広島市は世界で初めて原子爆弾の被害を受けた都市として有名であり、その経験から、国際平和文化都市として、原爆や核兵器の悲惨さ、戦争の愚かさを世界に発信し続けている。
昭和40年代には政令市昇格を仙台市と競り合い、付近の町村を次々と吸収していったせいか、平成の大合併以前から市域は政令市の中でも広い部類であった。それ以来、福岡と札幌に次ぐ地方中枢都市として、仙台とは良きライバル関係を持っている(他のところみたいに貶し合ったりせず、お互い良いところを吸収している)。
一方で、高度経済成長期以後に起きた急激な人口流入と、その割には周囲に広い平野がないため、山肌を削った急造ニュータウンが多く、近年の豪雨頻発により、無残な土石流などの災害が発生しては、50人~100人単位で犠牲になるなど、防災面での対策が急がれている。
詳細
- 面積:約905km²
- 人口:119万9300人
(2019年11月1日現在の推計人口。(東京23区をひとつの自治体と見れば、)全国で11番目に多い人口である。府中町を足せば約125万人である) - 市制施行:1889年4月1日
(Wikipediaによると、「1889年に日本最初の市(36市)の一つになって以来、一貫して中国・四国地方第1位の人口を有する。市制施行当時(8万8820人)は福岡市(5万3014人)等を大きく上回り、京阪神を除く西日本最大の都市であった。」とのこと。) - 政令指定都市への移行:1980年4月1日(10番目の指定。)
- 市長:松井一實(2011年4月の市長選で初当選。なお、「かずみ」の部分は新字体で「一実」と表記されることもある。)
- 姉妹・友好都市(提携順)
簡単な歴史
広島市の発展の始まりは、戦国時代と言われている。当時中国地方一帯を次々と勢力下に置いていた毛利氏は、山間部にある安芸国高田郡(現広島県安芸高田市)の吉田郡山城を本拠地としていたが、手狭で交通の便も悪く、軍事・政治・経済等あらゆる面で、本拠地を移転する必要性が生じていた。そこで目を付けたのが太田川河口の三角州地帯であり、当時の当主毛利輝元の命令によってこの三角州地帯を埋め立てて広島城が築城された。関ヶ原の合戦で東軍が勝利すると、長州一国に減封された毛利氏に代わり福島正則が広島藩主になったが、幕府に無断で広島城を修築したことにより改易。その後は、新たに広島藩主になった浅野氏の下、広島は城下町として発展していった。(なお、広島城は1945年の原爆投下により一度全壊している。現在ある天守閣などは戦後復元されたものである。)
明治維新以後の広島市は、軍都という、さらに違った面で発展する。とりわけ日清戦争においては、大本営が広島城内に移る、帝国議会が広島市で開かれるなど、約8カ月という短い期間ではあったが首都機能が移転するほどであり、このことからも広島市が軍事的拠点としての位置を与えられていたと考えられる。ちなみに、この軍都としての発展が、後に広島市が原子爆弾の投下目標に設定された要因にもなっている。
日露戦争ではロシア軍に上陸された時を想定して、広島市に司令部が置かれた。また砲台も設置され、市内の山中には砲台跡地が残されている。
大東亜戦争でも重要拠点として機能。陸海軍問わず様々な軍事施設や関連施設が集中した。広島湾に面する宇品港には陸軍船舶司令部が置かれ、激戦地に送られる兵員の輸送拠点となった。戦争末期の1945年、連合軍の本土上陸が現実味を帯びてきたため、九州の部隊を指揮する第二総軍司令部と中国軍管区司令部が広島城内に設置された。
第二次世界大戦末期の1945年8月6日、原子爆弾投下による甚大な被害を受けて市街地は壊滅。第二総軍と中国軍管区司令部、そして通信網が一挙に消滅し、外部との連絡が完全に途絶。比治山が盾になる形で、唯一段原地区のみ全壊を免れた。爆心地から少し離れていたため被害を受けなかった宇品港の陸軍が、真っ先に救援活動を開始。カ号観測機による上空偵察ののち、市民救助のため陸兵が市内に派遣された。また憲兵隊は全市が炎上していると報告した。翌日に日本政府は「広島市に新型爆弾が投下された」と発表。当時は放射能の存在が知られていなかったため、家族や友人の安否を確かめに来た人々も二次被爆している。
「今後75年間は草木も生えない」と言う絶望的な噂も流れたが、市民はそこから立ち上がり、急速な復興を遂げる。広島東洋カープの活躍も市民の心の支えになった。現在でも、都市高速道路が着々と整備されていたり、広島駅周辺や湾岸部などで再開発が行われていたり、新市内の丘陵地帯ではベッドタウン化が進行したりと、中四国地方の中心都市として、また、京阪神三都、福岡と並ぶ西日本の中心都市として、また、幸か不幸か世界的な知名度も高いことを活かしたグローバル都市としてもまだまだ発展の余地があると見られている。
2010年2月6日には、ニコニコ動画(9)の全国ツアー「ニコニコ大会議2009-2010」が広島市でも開催された。
各行政区の簡単な紹介
旧市内(昭和40年代に周辺市町村と合併する以前から広島市だった地域)
- 中区
文字通り広島の中心部、中洲の中央に位置する。
広島城のある基町を中心として、県庁や市役所などの行政機関が集まっている。
また、八丁堀~紙屋町~本通りの一帯は、中四国地方最大の繁華街となっている。一応地下街(紙屋町シャレオ)も存在する。かつてはそごう・広島バスセンターの隣に旧広島市民球場もあった。
市民球場(跡地)と相生通りを挟んだ反対側には、世界遺産である原爆ドームがあり、元安川を挟んだ旧中島地区とともに平和記念公園を形成している。 - 南区
広島駅の南側の一帯と、その南の巨大な中洲が南区である。中洲でありながら比治山や黄金山などの小さな山もあり高低差の大きい地域や、港湾エリアとなっている宇品と南端の宇品島などがある。
廣島驛広島駅や広島港があり、広島市の玄関口となっている。
さらに2009年には広島駅の近くに新しい球場もできた。
また、広島を代表する企業・マツダの工場がある。(なおマツダの本社は、市内ではなく隣の府中町に置かれている。府中町はマツダのおかげで税収がよいのと合併推進派、単独市制施行派、現状維持派が綺麗に分かれているため議会で過半数の票をとれず、いくら周囲を広島市に囲まれていても広島市と合併することはまずない。別名、広島のレソト) - 西区
主に横川・西広島両駅を中心とする繁華街エリアと、西広島バイパス沿いの住宅街エリア、西部の商工センターエリアに分かれている。ほぼ東区にめり込み、市街地北西の要衝となっている横川地区を除くと、閑静な住宅街や自然が広がる郊外の印象が強い。
西広島駅周辺の己斐(こい)地区は、ズッコケ三人組の舞台となっているミドリ市花山町のモデルとなっており、駅前には三人組の石像が置いてある。広電とJRの駅が隣接しており、要衝となっている。よく区役所のある福島町へのアクセスに用いられる。
横川駅周辺は西区の中心地的存在。数年前に駅前広場が整備されたり広電7号線が開業したりした結果、現在では郊外との重要な交通の結節点となっている。広島駅方面、宮島方面、可部方面に伸びるJRと、紙屋町方面、江波方面に伸びる路面電車、西区と南区に通じるバスの発着場が一つになっていて玄関口の役割を果たす。駅の近くには西区図書館も存在する。駅の南口は交通量・行きかう人ともに多いが、反対側の北口は住宅街で静か。(余談だが、駅前にある「ゴッドバーガー」は、価格こそマクドナルドとかに比べるとゴッドなくらい高いが、その分味もゴッドなくらいうまい。
観音地区には広島西飛行場(元・広島空港)という空の玄関口もあったのだが、ヘリポートなどを除いて空港機能は遠く東の三原市にある広島空港へと移ってしまった。
運動系の部活とかやっていれば一度は目にしたことがあるであろう、ミカサ(主にバレーボール)やモルテン(主にサッカーボール)のといったスポーツ用品を製造している本社や、お好み焼きに欠かせないオタフクソースの本社があるのも実はここ。
西部には商工センターと警察署、年金事務所などが所在する。アルパークと呼ばれる商業施設があり、本屋や映画館、スーパーなど一通りのものが揃っている。JR、広電ともに駅があるためアクセスも容易。ここより更に西進すると佐伯区に入る。 - 東区
東区とはいうものの南区やJR山陽本線(広島駅)の北側に位置し、旧市内の中では最も広い区。広島駅付近は大企業や政府の出先機関が集中するビジネス街だが、ちょっと北へ目を向けると住宅街と自然が彩っている。三角州の北東部にある山間地を抱えており、市街地に近いのにものすごく自然が多く、また、原爆の被害を受けなかった国宝の不動院金堂など文化財も数多く存在する。
牛田の広島ビッグウェーブは(競技用)50mプールが(大会のない日には)市民に開放されている。さらに冬になるとスケートリンクになるので意外とおすすめ。
なぜかニコ動で弾幕化されるまでの人気がある矢賀駅は東区にある。
新市内(合併で新たに広島市となった地域)
- 安佐南区
広島の三角州の北の頂点にあたる緑井、祇園地区や、そこから西に入った先の西風新都など、大規模な団地が多数開発されている地域。
西風新都は1994年に広島で開催されたアジア大会のメイン会場とすることを見越して整備され、サンフレッチェ広島の本拠地でもある広島ビッグアーチがあり、市内中心部とはアストラムラインや広島高速4号線などでつながっている。
近年では、緑井地区や祇園地区に大規模商業施設が出店したことにより、新たな商業エリアとして期待がかかっている。
一方で、急激な開発の影響で土砂災害の対策が後手に回ってしまい、2014年8月には集中豪雨により118名もの死傷者を出す大規模土砂災害が発生してしまった。 - 安佐北区
市内面積の約4割を占める最大の区。広島市最北の地。西区の横川駅から伸びるJR可部線の終着駅「あき亀山駅」がある。ここより北上すると広島市を出て、安芸高田市に入る。市街地から遠く離れており、正直可部地区・高陽地区以外はほぼ田舎な気がする。(そこに住んでいる方々には少々申し訳ない…)
ちょっと遠出にはなるものの、市内唯一の動物園である安佐動物公園がある。 - 安芸区
ここも田舎の風景と新興住宅地が混在する地域。広島駅から東側に向かった地区で、何気に飛び地を持つ。東広島市と隣接している他、海田市には陸上自衛隊の駐屯地がある。安芸区に本社を持つタカキベーカリーのパンはけっこう美味しい。 - 佐伯区
読みは「さえき」である(大分の佐伯市は「さいき」)。西区よりも更に西の地区で、かつて五日市町という人口10万人目前となった町が中心となっている。南側には大規模なベッドタウンが広がっているほか、北部に位置する湯来(ゆき)町(「広島の奥座敷」と呼ばれている湯来温泉がある)との合併によって一気に区の面積が拡大した。湯来町は絵に描いたような田舎で、バス以外の公共交通機関が通っていない陸の孤島である。車で行くにしても細い山道を1時間弱通る必要がある。
宮島に行く場合は、佐伯区南部を通って廿日市へと抜ける事になる。
広島市観光案内
広島平和記念公園/原爆ドーム
まあまず広島市を観光するとして思いつくのはここであろう。学生の修学旅行先としても大人気である。外国人の観光客も多く、公園内を歩けば何人か見かける。
平和記念公園は、原爆投下によってほとんどすべてが壊滅したかつての繁華街・旧中島地区を中心に建設された。公園の南側には広島平和記念資料館(通称:原爆資料館)があり、原爆投下に至った経緯や被爆当時の惨状を伝える遺品などが展示されている。
また、公園の北西には『負の世界遺産』の原爆ドームがある。何度も補強工事が行われてはいるが、被爆のその『時』を今も多くの観光客の目に焼き付けさせている。
広島市民の交通事情
広島市街は三角州地帯の上に形成されているため、そのため地盤がかなり脆弱(地面を深く掘ると水が噴出しまくる程度の脆さ)である。そのため、地下鉄を通そうにも地盤対策などで建設に余計な費用がかかる(その回収費用が嵩むので、あえて通したとしても初乗り運賃が400円弱ぐらいに試算されてしまったため、断念された経緯あり。ソースは日経ビジネス文庫「広島市」より)ため、本通駅~県庁前駅間が地下鉄扱いになっているアストラムラインを除けば、広島市に地下鉄は通っていない。このことは、現在でも路面電車(広島電鉄)が広島市民の足として活躍している一つの要因でもある。ちなみに、広島電鉄は全8系統、路線総延長は35.1kmであり、路面電車として日本一の運行規模を誇る(なお、他地方の人が見るとその複数両編成の路面電車に驚くが、広島の人は「え、普通じゃないの?」という意識を抱いている)。欧米で主流のムーバーも広島では普通に運行中である。
路線バスについては、複数のバス会社が運行している。そのため、多くのバスが走る相生通りや鯉城通りは、だいたい混んでいる。広島市のバスターミナルとして機能している広島バスセンターが広島市の中心部である紙屋町に位置していることも混雑の原因なのだろう。
郊外からは、主に中心部行きの路線バス、アストラムライン、JR(通称國鐵廣島)が通勤・通学に使用される。変わり種ではボリビアのラパスみたいな、スカイレールという通勤用ロープウェーがある。
ちなみに、路面電車や路線バスのほぼ全線で電子マネー『PASPY』が使用できる。PASPYエリア内であればICOCA(実はJR広島でも使用可能)も使える。2018年3月からはSuicaやPASMOなども対応した。ただし、逆にPASPYはICOCAエリア内など他のICカードエリアでは使えない。
また、瀬戸内海に位置する広島ならではの交通としてジェット船を使った定期航路があり、通勤に船を使う人も少なからずいる。中には対岸の愛媛県松山市から通う人やビジネス客も多い。本四連絡橋のしまなみ海道が広島県尾道市と愛媛県今治市を結んでいるため、お互い広島、松山からは少し距離があるためである。特に、西日本豪雨で道路が分断されてから海上交通が見直されるようになっている。
原爆と平和
概要でも触れたが、広島市は世界で初めて原子爆弾の被害を受けた都市である。(なお、広島市への原爆投下およびその被害については、広島人にここで語らせるときっと非常に長くなるため、原子爆弾の記事を参照してもらいたい。)
それゆえに、戦後60年以上経った現在でも、戦争とか核兵器とかにはとにかく敏感である。どこかの国が核実験を行えば被爆者団体が抗議の座り込みを行ったり、毎年夏になると、市内の小中学校では戦争や平和についていろいろと学ぶ機会が設けられたりと、本当に平和に対する関心が高い。8月に入ると、書店では原爆に関する絵本が並べられ、どの図書館にも原爆に関するコーナーがある。
名物
同じく全国から出張したビジネスマンが広めたものが多い。これは全国新幹線沿線の都市にありがちな現象である。
関連動画等
関連コミュニティ
関連項目
広島市出身の主な人物(大百科記事があるもの 他にもあったら追加どうぞ)
- 綾瀬はるか(女優)
- 辛い新井貴浩(広島東洋カープ)
- 新井良太(阪神タイガース ↑の実弟)
- 糸谷哲郎(将棋棋士)
- 井上晴哉(千葉ロッテマリーンズ)
- 奥田民生(シンガーソングライター 元ユニコーン)
- 奥田民義(声優、ナレーター)
- 金本知憲(阪神タイガース監督)
- 小山裕香(声優)
- 西城秀樹(歌手)
- 獣神サンダー・ライガー(プロレスラー (設定上永井豪宅出身となっている))
- 高津臣吾(元メジャーリーガー)
- 達川光男(珍プレー殿堂入り野球解説者)
- 中田翔(北海道日本ハムファイターズ)
- 野中政宏(声優(というよりむしろ草薙京))
- 野村弘樹(元プロ野球選手)
- ハーフナー・マイク(プロサッカー選手)
- Perfume(テクノポップユニット (※ただしのっちのみ福山市出身))
- 原田泰造(タレント)
- 張本勲(元プロ野球選手)
- 三宅正治(フジテレビアナウンサー)
- 森島寛晃(元サッカー選手)
- 矢沢永吉(ロックミュージシャン)
- 柳田悠岐(福岡ソフトバンクホークス)
- 山本浩二(ミスター赤ヘル)
その他広島市に関連する項目
- 広島県
- 政令指定都市
- 日本の市町村の一覧
- 原爆ドーム
- 原子爆弾
- 広島シティネットワーク/國鐵廣島
- 広島電鉄
- 広交グループ
- 広島バスセンター
- 広島高速道路
- 広島東洋カープ
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