広島市を中心に親しまれており、一般的に認知されている関西風のお好み焼きとは少し違った独自の文化を持つ。
キャベツ、焼きそば、小麦粉、玉子、豚肉を円形に焼き上げ、仕上げにソースをかけて完成。最大の特徴は、山盛りのキャベツから出る旨みと、具材が混ざらずに層になっていることである。
広島風お好み焼きは戦後復興の折、鉄板一枚で始められる商売として焼け野原の広島市から始まったと考えられている。客がさまざまな具材を持ち込み一緒に焼いてもらっているうちに、現在のスタイルが生まれた。
作り方
- 鉄板に油をひき、小麦粉を水で溶いたものをお玉の背で薄く延ばします。クレープ状にまーるく薄く。(魚粉をまぶす場合も。)
- キャベツを盛ります。「それ、ちょっと盛りすぎじゃないの?」っていうぐらい大胆に!もやしも乗せちゃう?
- 豚肉を乗せます。
- ひっくり返します。ここが難しいよ!
- しばらく焼きます。山になっていたキャベツが火が通るとだんだん小さくなっていきます。
- 横でそばを焼きます。焼きそばを平たく広げて、お好み焼きを上に乗せ、またしばらく焼きます。この時に焼きそばをカリッと仕上げると美味!このへんで押さえておくとひっくり返すときに楽。
- 横に卵を落とします。へらで黄身を割って、少し延ばして、お好み焼きを上に乗せます。
- ひっくり返してソース(オタフクソースなどのお好みソース)と青のりをかけたら完成!
※ ここでは一般的な作り方の一例を記載していますが店舗によって多少焼き方が違う場合があります。
広島風お好み焼き用語集
肉玉そば or そば肉玉 (にくたまそば そばにくたま)
焼きそば・豚肉・玉子が入る広島風お好み焼きの基本的な形。「肉玉そばください!」と注文すると通っぽい。そばの代わりにうどんを入れたり、餅やチーズを加えたりと様々なトッピングが存在する。相場はだいたい700円くらい。安いものは500円から、高いものは1000円くらいまで。
W(ダブル)
麺の量を二倍にすることが出来る。「おばちゃん、肉玉そばWで!」
こて
お好み焼きを焼く時に使うへらのようなもの。食べる時には、一口サイズに切り分けるために小さなこてが渡される。
こて食い
箸を使わずに、こてで小さく切り分けたお好み焼きを鉄板からそのまま直接食べる食べ方。広島人らしい食べ方だが素人にはオススメできない。
鉄板と皿
食べる前に店員さんに「鉄板にする? 皿にする?」と聞かれることがある。鉄板とは、調理する鉄板の前の座席に座り、こてをつかって鉄板から直接食べる、いわゆるこて食いのこと。
皿と答えた場合はこてと箸、皿が渡されるので、切り分けたお好み焼きを皿に乗せ、箸を使って食べる。
また、鉄板の前ではない座席を選択した場合は、大きな皿の上にあらかじめ切り分けられたお好み焼きが乗せられて出される。
鉄板を選択するのが通っぽくてかっこいいけど、多少のコツを必要とするので自信が無いなら皿を選択したほうがいいだろう。別に恥ずかしがらなくてもいい。
広島風お好み焼きについての議論
押さえるえるか、押さえないか?
お好み焼きを焼く時に押さえるか押さえないかの議論は広島風に限らずあらゆるお好み焼きで交わされる熱烈な議論である。一般的には関西風お好み焼きは粉の比率が多いので、ふっくら焼き上げるために最後まで押さえないほうがいいと言われている。しかし広島風お好み焼きの場合は生地の割合が関西風に比べて非常に少ないので、この理屈はそのまま通用しない。現在広島では、「押さえる派」のお店と「押さえない派」のお店で真っ二つに分かれている。
割合として多いのは「押さえる派」で、こちらのほうが古い店が多い。押さえる理由は、最後に旨みを閉じ込めているんだとか、キャベツの水分を飛ばさないとドロドロな食感になるとか、ボリュームが凄いので押さえておかないとひっくり返すのが困難であるとか、焼きそばがカリッと焼かれているのが美味しいからだとかの理由が挙げられる。
「押さえない派」は比較的新しい一派で、最近少しずつ増えてきた。押さえない理由は関西風と同じで空気を含ませてふんわり焼くためだとか、キャベツのみずみずしさを楽しむためだとかの理由が挙げられている。また、NHKのテレビ番組「ためしてガッテン!」において、「押さえないほうが美味しい」という検証結果が出されたこともある。イメージとしては押さえるものよりも「オムそば」に近い印象の料理になる。
押さえる派のお店の中にも、最初から重りのようなものを乗せて押さえっぱなしにしているお店もあれば、蒸し焼きにする段階では押さえずに、ひっくり返す直前に押さえるお店もあり、それぞれがお店の色であると言えるだろう。どちらが好みかは食べる人次第! 気になる人は色々な店舗を回って、食べ比べをしてみるのも良いだろう。
Q.P.マヨネーズは邪道なのか?
近年のマヨネーズブームに乗って、お好み焼きにマヨネーズを乗せたいという人が増えたが、広島風お好み焼きにマヨネーズはかかってないのが基本である。マヨネーズが欲しい場合はお店の人に頼めばつけてくれるだろう。
ごはんはおかず?
関西人はお好み焼きとごはんを一緒に食べると言われている。広島風お好み焼きの場合もそうなのかと思われることがあるが、広島風お好み焼きはあまりごはんと一緒に食べることはないようである。作り方の項目を見ればわかるとおり、広島風お好み焼きには最初から、小麦粉と焼きそば、二つの炭水化物が含まれている。一枚で、炭水化物と炭水化物の夢のコラボレーションを実現しているのである。
呼び方
広島では広島風お好み焼きしか食べないと思われがちだが、広島風お好み焼きは作るのにある程度の技術と、大きめの鉄板を必要とするため、実は一般的には家で食べるお好み焼きは関西風のお好み焼きであることが多い。また、広島で業界二位のお好み焼きチェーン店と言われる「徳川」は関西風お好み焼きのお店である。そのため、「広島風お好み焼き」と「関西風お好み焼き」という呼びわけがあり、両方ともお好み焼きなのである。決して「広島焼き」とは呼ばない。広島焼きという呼び方はどちらかと言うと焼き菓子や、焼き物を連想しやすい。広島で「広島焼き」なんて言うと人によっては「お好み焼きと言えや!」と怒られる可能性があるので注意しよう。
広島風お好み焼きと関西風お好み焼き
広島人と大阪人の前でお好み焼きの話を始めると、両者一歩も退かない大喧嘩に発展する場合があるので止めたほうが良い。
上記を見ればわかるが、広島風お好み焼きと関西風お好み焼きは共存関係にあり、それぞれにそれぞれの美味しさがある。「あれはお好み焼きじゃない」なんて言わずに、みんなの「お好み」を大切にしよう。
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関連項目
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