弁護士とは、味方にすると頼もしいが敵に回すとおっかない、国家資格専門職である。
概要
日本においては、司法試験、司法修習を経てなることができる法曹系の国家資格である。
また日本の弁護士法(72条)では、弁護士(または弁護士法人)でないものは「報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と定められている。弁護士でないものがこれらの業務(弁護士業務)を行うと、法律違反となる(非弁行為)。
刑事事件においては、被告側の弁護人として、検察側と争い、被告の無罪(または軽い量刑を)勝ち取るべく努力する。刑事訴訟の弁護人を務めることができるのは、原則として弁護士だけである。また、自分で弁護士を弁護人として雇うことができない場合でも、国が弁護士を弁護人として選任する(刑事訴訟において「資格のある」弁護人を受ける権利については日本国憲法37条に規定がある)。
民事事件においては、他国のように弁護士強制制度がないことから、原告・被告どちらか(または双方)に弁護士がつかないことも多い(双方弁護士専任は全体の5割程度。過払い金含めるとさらに減って、約4割程度が双方弁護士専任である。リンク先32ページ参照)。相続や離婚調停などの家事事件、労働事件、消費者事件、破産や財産管理などの法律事務など、弁護士によって得意とする案件はさまざまである。また、企業の法務部などに属し、債務・債権管理、契約書の締結、企業関連の訴訟など企業法務に従事する弁護士もいる。
一般人には敷居が高いと思われがちな弁護士ではあるが、最近では初回相談のみ無料などを標榜する弁護士も多い。また、国の司法制度改革の一環として、弁護士の紹介・費用の立て替えを行う「法テラス」(独立行政法人日本司法支援センター)という組織も存在する。身近に法律問題を抱えていたら、思い切って弁護士に相談してしまうのも一つの選択肢である。
アメリカでの扱い
訴訟大国であるアメリカでは弁護士の存在はより身近なものになっており、法律を中心に勉強するロースクールの数も多い。ただ、アメリカでは各州がそれぞれの州法にしたがって認定しているものであるため、認定された州以外の場所において法律業務は行えない。つまり共通して使える国家資格は連邦法には存在しない。[1]
大企業にもなると、その企業規模によっては訴訟の数も跳ね上がるためあらゆる訴訟に対応しなければならず、企業内に法務部を設ける以外に専門の顧問弁護士や弁護チームを雇っていることもある。
なお、(お国柄というのもあるが)アメリカの広告などでは「法律に強い」「訴訟に勝てる」といった自身を売り込むタイプの宣伝が一般的である。交通事故などにあうとやって来た弁護士から訴訟を推奨されるということもある。また、裁判に勝てないと見込むと裁判を放棄して勝手に仕事から引き上げてしまうケースや、より多くの報酬を狙ってたくさんの人間を巻き込むケースもあり、問題となっている。[2]
実力・収入・地位の高さとは裏腹に、蛇蝎のごとく嫌われている職業でもあり、その存在を皮肉ったジョークや、演出なども存在しており、ブラックジョークのネタの定番としても扱われている。
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脚注
- *ただし、他州の資格だけ持っている弁護士が一時的に自州の裁判所で弁論することを認めたり、一定の資格や経験をもつ他州の弁護士にその州の法曹資格を与えるケースがある(その州での資格を与える際に別途試験を受ける場合もある)。
- *多数の人が同じような被害をうけている場合に、その被害者全体を代表して訴えを提起できる制度「クラスアクション」があるため(同じ内容の訴訟を個別に取り扱わなくて済む)。被害を訴える人間が増えれば裁判において企業からの賠償や慰謝料が取りやすくなり、依頼人・訴訟人が増えれば増えるほど報酬も増えるので弁護士には得になる。また、敗訴した場合でも集団訴訟に参加した依頼人には費用が請求される。
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