「役不足」とは、議論の種である。
用法1
「役不足」という語の正しい用例は以下の通りである。
この仕事は簡単すぎて、あなたには役不足かもしれませんが、どうか一つお願いします。
これは役者にたいして「あなたのようなすばらしい役者にこんな小さな役を演じさせて申し訳ない」という例が語源とされている。「人」に対して、「役」の方が不足している、という意味である。
しかし、近年ではこの用法は誤用により少なくなってきている。
用法2
最近増えてきた使われ方は以下のようなものである。残念なことに一般に広く浸透してきており、本項でも用法2と題してあるがれっきとした誤用である。
流川「てめーだけじゃ役不足だ」
このように、「役不足」の「役」が、「役者」の「役」の意味に使われており、「役」に対して「人」の能力が不足しているという意味になっている。「役不足」の語が指す対象も、「仕事」から「人」に変わっており、結果的に意味が正反対になっている。「力不足」からの類推でこの用法が広まったという説もある。
この用法は広辞苑などの名だたる辞典には載っておらず、その意味ではこの用法は「誤り」である。
この場合は「力不足」を用いるべきである。
しかし、文化庁の調査によれば近年は誤用である用法2の方を用いる人が本来の意味(用法1)を用いる人よりもわずかに上回っているという。(そのことはデジタル大辞泉にも記載されている
)言葉は変化するものであるから、いずれこの用法が主流になる可能性も高い。とはいえ少なくとも現時点では誤用と見なされている以上、公の場や文章ではこの用法を使うべきではないだろう。
用法3
一目見た限りでは誤用ではあるが、あえて婉曲的な言い方をしているだけで、正しい意味で言っていると解釈できるケースがある。
これは普通に考えれば「お前では俺を倒せない」的な意味で相手側に役不足と言っているように見えるが、視点を変えると「お前如きにわざわざ俺が出向くなんて」的な意味で自分側に言っていると考えることが出来る。
「社長とお会いするなんて、私では役不足では」
これも誤用のように見えるが「社長が私に会いに来るなんて、社長がするような役ではない」と言っているように考えることが出来る。
このように用法3を考慮して世の中の誤用とされる役不足を見ると(状況や文脈によって変わるが)誤用では無いという例がいくつか出てくる。掲示板でもその話題がたびたび登場している。
その為、誤用のような役不足が登場したら、それは誤用なのか、遠回しながら意味は通じるのかを、見極める事が求められる。正直、ここまで考えて役不足を使う例はかなり少ないと思うが。
なお、この場合はより的確な言葉として「分不相応」で十分な場合が多い。
補足
誤用が多いと言われるこの言葉だが、文化庁の調べによると実は正しい意味を理解してる人の割合は回復傾向にある
日本語学者の推察によると、誤用の代表例として取り上げられることが多いので学習が進んだのだろうとのことである。
関連項目
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